粘液便の原因とは?種類や病気の可能性を知っておこう!

トイレに行った時、便に白いものが混じることはありませんか?普段意識して見るものではない分、ふとした時に気付くと気になりますよね。何か異常があったり、悪い病気ではないか?と不安になる方もいるかと思います。

実はこれ、「粘液便」と呼ばれるものなんです。排便の際に、便と一緒に粘液も一緒に出てきてしまうことがあると言います。粘液便自体はそう怖いものではありませんが、原因が分からないと不安ですよね。ではまず、粘液便になってしまう原因についてお話しましょう。

粘液便の原因

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便に混ざって出てくる粘液は、大腸から排出されると言われます。何らかの理由で大腸の壁が傷つくと、傷を治すために粘液が出ます。

この粘液が便と一緒に排出されたものが、粘液便というわけですね。この粘液は傷が治れば出なくなる場合がほとんどですが、いつまでも粘液便が続く場合には別の病気が隠れている可能性もあるので、注意が必要です。

粘液便の種類

大腸から排出された粘液の色は、通常は白色ですが、時に色がついていることがあります。大抵は心配する必要のないものですが、具体的にどのような種類があるかご紹介しましょう。

粘血便

白い粘液に血が混ざったものです。大腸のどこかから出血している場合があるため、医療機関を受診されるとよいでしょう。

ピンク色

原因としては、痔や肛門の傷が考えられます。便秘などで便が固いために肛門が傷ついたり、切れ痔による出血が原因です。傷が治れば収まります。

緑色

緑色というのはあまり見慣れていないため、驚かれることも多いでしょう。しかし、胆汁が原因ですので、あまり心配はいりません。胆汁にはビリルビンという色素が含まれており、これが大腸の外で酸化すると緑色に変化します。これが緑色の粘液便の正体です。

粘着便の原因が病気の可能性も?

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すでにお話しした通り、粘膜便が長引く場合には、単なる大腸の傷ではなく、病気が原因だと考えられます。

では、具体的にはどのような病気があるのでしょうか?

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

大腸の最も内側にある、大腸粘膜にできる病気です。大腸粘膜が炎症を起こすことで、びらんや腫瘍ができます。

20~30代の比較的若い世代で多い病気ですが、50~60代でも発症することがあります。一度よくなっても、数か月後~数年後に再び悪化する場合があるため、油断できません。

原因

身体の中異常な抗体ができることで、大腸粘膜が攻撃されてしまうことが主な原因です。ただし、原因は一つではなく、食生活や遺伝的な問題、腸内細菌叢の変化など、いくつもの要因が重なっているため、これだとはっきり言いきることは難しいようです。精神的・肉体的ストレスを感じると悪化することがあるそうです。

症状

血便や粘液便のほか、下痢や腹痛などの自覚症状があります。初期症状では綿のように白いものが便に混じりますが、出血している場合にはピンクっぽい粘液が混じることもあります。

さらに症状が進むと、体重が減ったり、発熱、貧血を起こすこともあります。また、潰瘍性大腸炎は以下の2つに分類することができ、治療することは可能ですが、治療ですっきり治ることは少ないようです。

再燃緩解型(さいねんかんかいがた)

数ヶ月後~数年後に再び悪化し、それを何度も繰り返すタイプです。

慢性持続型

症状がいつまで経っても消えず、だらだらと長期間にわたって続くタイプです。

治療法

治療法は、症状の重度によって変わってきます。

比較的軽度な場合

治療法は2つあり、薬の内服か、腸に直接注入する方法があります。服用の場合、5‐アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、やペンタサ)やステロイド薬を処方されます。

ただし、炎症箇所が直腸や大腸の左半分のみに見られる場合には、注腸製剤(ペンタサやステロイド)を肛門から腸内へ注入する治療法も取られます。

重症の場合

①薬による治療

症状が重い場合には、まず入院してから、上記のサラゾピリンやペンタサを服用します。それだけでなく、静脈内にステロイド薬を投与して治療します。腸管を安静にする必要がある為、食事は一切抜き(絶食)、中心静脈栄養を投与する場合もあります。

②白血球除去療法

炎症の原因となる白血球を血液から取り除いてしまう方法で、副作用が出にくい点が特徴です。

ただし、上記のような方法でも症状が改善せず、重い症状が続く場合や、悪化を繰り返して日常生活に支障が出てしまう場合には、大腸の摘出が必要となります。また、発症から10年以上が経過している場合には、大腸がんの発生リスクも高くなるため、要注意です。もしも大腸がんを発症した場合には、やはり手術による摘出が必要になります。

詳しくは、潰瘍性大腸炎は完治するの?原因や治療方法を紹介!を読んでおきましょう。

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)

ストレスなどを原因として、便秘と下痢、またはその両方を繰り返すのが特徴です。病院で検査しても、レントゲンや内視鏡などでは異常を発見できません。気持ちがリラックスしている時には症状が出にくかったり、体重の変化が見られないなどの場合には、この病気を疑いましょう。うつ病などを始めとする、精神疾患に深く関わっていると言われています。

日本人の10~15%の人がこの病気を患っているとされ、その割合は、消化器科を受診する人の中では3分の1を占めるほどです。20代~40代に多く見られ、男性は下痢を繰り返す「下痢型」、女性は便秘を繰り返す「便秘型」が多いようです。

症状

腹痛や腹部の不快感のほか、下痢や便秘など、便通に変化が現れます。

痛みの場所としては腹部の左下が最も多いですが、場所がはっきり定まらない場合も見受けられます。痛みの種類としては、突発的に差し込むような痛みが起こるものと、慢性的に鈍い痛みが続く2パターンがあり、どちらの場合も便意を催すことが多く、出してしまうと一時的に症状は改善します。食後に症状が出やすく、反対に睡眠中には症状がありません。

このほか、腹部の膨満感やお腹がごろごろ鳴る、ガスが溜まっておなら出るなどの症状もあります。人によっては消化器以外にも出ることがあり、主に頭痛や疲労感、抑うつ状態や集中力の低下など、さまざまなものがあります。

詳しくは、過敏性腸症候群の症状をチェック!治療方法は?を参考にして下さい。

治療法

まず理解しておかなくてはならないのは、この病気の治療には、長い時間がかかるということです。命にはかかわらないものの、治療を続けても完治に至ることは少ないため、完全に症状がなくなることは期待しない方がよいでしょう。そのため、治療方法は以下の3つになります。

①生活(食)習慣の見直し

不規則な生活や睡眠不足、疲労が溜まっていると病気につながることがあります。アルコールや辛いものの大量摂取は症状悪化につながりますから、控えることが大切です。反対に、食物繊維を取ることは便秘、下痢型ともに有効なので、積極的に食事に取り入れましょう。

②薬事療法

薬を取り入れた治療方法としては、高分子重合体、消化管運動調節薬、漢方薬の投与が基本となります。高分子重合体とは、コロネル、ポリフル(ポリカルボフィルカルシウム)などで、食物繊維の作用を強力にしたような薬です。

消化管運動調節薬は、セレキノン(トリメブチン)などで、消化管の運動を調節することにより、下痢や便秘、腹痛を改善することを目的に使用します。ただし、それでも症状が改善しない場合には、抗不安薬、抗うつ薬の投薬も考えられます。

③心身医学的治療

こちらの場合は、精神療法、自律訓練法、認知行動療法などがあります。 自立訓練法は、自分の力で不安や緊張を和らげたり、集中力を高めたり、精神的な苦痛を緩和したりできことを目的に行います。

また、認知行動療法は、簡単に言えば考え方をコントロールすることが目的です。辛い状況に陥った時、それを悲観するのではなくよい方向へ考えることで、心のバランスを整え、ストレスを緩和させることを目的としています。

病気以外で白い粘液が付く場合

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上記のような病気以外でも、便に白い粘液が混じることがあります。そんな時には、以下のような原因が考えられますので、当てはまるものがないか、チェックしてみてくださいね。

バリウム

胃の検査でバリウムを飲むことがありますよね。このバリウムは、飲んでから3日後くらいまでは完全に体内から消えず、便に混ざって出てきます。これは正常なことなので心配はいりませんが、白~グレーがかった便が出ることがあります。

バリウムについては、バリウムが出ない時の対処方法とは!水分や食事を改善?を読んでおきましょう。

消化不良

暴飲暴食によって消化不良を起こすと、一時的に便に白いものが混ざることがあります。胃腸に負担をかけるような食生活は避けるように心がけましょう。

ただし、長く続く場合には「脂肪肝」の可能性があるため、気になる場合には医療機関を受診してください。脂質の多い食事やアルコールの摂りすぎなどを続けていると、内臓に負担がかかり「脂肪肝」になることがあります。脂肪肝の場合には、便に白いものが混ざるほか、おならが臭いなどの症状も現れます。放置すると脂肪がんになる可能性もあるため、脂肪肝と診断されたら食事療法などを行い、体質改善に努めることが大切です。

便秘薬や下剤によるもの

便秘薬や下剤を服用すると、便に白いものが混ざることがあります。薬の服用をやめれば元に戻りますが、個人の判断で勝手に中止せず、病院で相談してから判断する方が賢明です。

寄生虫によるもの

少し怖いですが、どんなに衛生環境が整っていても、寄生虫への感染はなくなりません。その原因のほとんどは、食品をよく洗わずに食べてしまったり、肉や魚を生(または半生)で食べてしまったりすることです。便に糸のような白いものが混ざっていたら、回虫の可能性ありです。

また、白いゴマのようなものが混ざっていたら、それはサナダムシの卵かも知れません。あまり便をよく観察するのは気が引けるかも知れませんが、寄生虫の可能性を考えて、きちんと見てみることも大切です。寄生虫かどうかは素人目には判別困難ですが、白いものが動いていたら寄生虫で間違いありません。

気になる場合には、医療機関で詳しく検査してもらいましょう。

赤ちゃんの便が白いのは?

赤ちゃんの便に白い粒が混ざっている場合は、脂肪乳やカルシウムが原因です。

赤ちゃんはまだ消化機能が発達していないため、こうした状況がよく見られます。特におかしなことではありませんので、明らかに元気がないなどの異常がなければ心配はいりません。ただし、便から腐ったような臭いがしたり、下痢のような白い便が出る場合には注意が必要です。

また、消化機能の未発達が原因で白いものが混ざるのは、0才までのため、1才をすぎても白い便が出る場合は、早めに医療機関を受診された方がよいでしょう。ほかの原因が考えられるためです。

まとめ

便は毎日目にする機会が多いですが、あまり注意を払って観察することは少ないですよね。だからこそ、いつもと色が違ったり、白いものが混ざっていたりしたら、何だろうと不安になってしまうでしょう。

便の変化は体からのサインです。基本的には重大な病気でないことが多いですが、中には病気が原因になっているものもあります。少しでも不安があったり体の不調を感じたりしたら、早めに医療機関で相談してみましょう。何でもないことが分かれば安心できますし、もし病気でも、早期発見ができれば早く対処できますからね。

私たちの健康のバロメーターとなる便ですから、上手に付き合っていきたものです。

  
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