血清とは?数値で分かる病気はなに?血漿との違いや毒との関係を知ろう!

私たちの体を循環している血液には、様々な成分が含まれています。それは酸素といった重要な物質を運ぶ赤血球や、外敵から身を守る白血球などがありますよね。

血清はこのような血液成分の1つです。よく毒ヘビに噛まれた時、血清を打つなんてことを言いますが、その血清です。これは具体的にどのような性質があるのでしょうか。

血清の役割や数値を見ることで、病気を治したり、病気の有無を推察することができます。血清の役割について、詳しくみていくことにしましょう。

血清って何?

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例えば、どこかに体を引っ掛けてしまい、皮膚から血が出たと思います。その後、血液は固まり始め、出血は止まりますよね。とても当たり前の生理現象です。

この時、固まった血液を見てみると、実は2つの層に分かれます。表面の層にできるのが血清。その下の層にできるのが血餅(けっぺい)と呼ばれます。

血清=解毒する薬のイメージがあるかもしれませんが、実はとても身近なところにあるのですね。出血した時は傷口を注意してみるとわかるかもしれません。

身近なところで血清はこのようなところで見られますが、その主成分は「アルブミン」と「グロブリン」と呼ばれるものです。これら2つについて詳しくみていきましょう。

アルブミンとは?

血清の主成分であるアルブミンはタンパク質の一種です。体の中でもその量は約7割を占めるともいわれていて、体の活動を支える重要な成分です。

アルブミンには大きく2つの役割があります。それは「浸透圧の維持」と「運搬」です。これらはどういった役割なのでしょうか。

血液は血管を通り、身体中を流れています。この時、血液中の中でも圧力の違いが生まれます。浸透圧とは圧力の低いところから高いところへ流れる水圧のことです。

浸透圧のバランスが保たれていないと、血液は循環しにくくなります。アルブミンはこの浸透圧のバランスを保ち、血液がうまく流れるようにしているのです。

運搬とは体に必要なホルモンや栄養素を書く細胞まで運びます。細胞までこれらがきちんと届けられることで、細胞は活性化し、生命活動をすることができるのです。

グロブリンとは?

血清のもう一つ成分であるグロブリン。これは防御タンパク質とも呼ばれ、外敵から体を守る役割があります。外敵とは細菌やウィルスのことです。

グロブリンにはさらに細かく5つの種類があります。それは、、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEです。主な役割は先に述べたように外敵から身を守るため、抗体をつくることですが、まだ役割や効果が分かっていないものもあります。

グロブリンにはその他、アルブミン同様、栄養素を運ぶと言った役割や、老廃物の排出、アレルギーの緩和効果があります。ブロブリンの減少は体の不調を招くおそれがあり、注意が必要です。

血清と血漿の違いとは?

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血液の成分には様々あり、その区別にはなかなか苦労するものです。特に血清=解毒剤とイメージのある人には、それから抜け出すのは難しいかもしれませんね。

血清を説明するためには、血液の成分をきちんと理解する必要があります。では、血清とはそもそもなんなのか。血液や血漿とどう関係があるのかについてみていきましょう。

血液の成分とは?

体を流れる赤い血液には目には見えませんが、たくさんの細胞が含まれています。血液には以下の成分が含まれています。

赤血球

赤血球は酸素を運ぶヘモグロビンが含まれていて、各細胞へ酸素を運搬します。また、排出された二酸化炭素を回収する役割もあります。

赤血球は穴の空いていないドーナツのような形をしていてます。また、赤血球の量によって動脈、静脈等の色の変化が発生します。

白血球

体内に侵入したウィルスや細菌に対して、攻撃する細胞です。白血球の中でもリンパ球と呼ばれる細胞がこの役割を行います。先に述べたグリブロンを産生します。

白血球の増減は体に異常が起きていることを測る一つの指標になります。それは感染症や尿毒症、もしくは白血病を疑うことができます。健康診断で指摘された場合は要注意です。

血小板

血液を凝固させる働きがあります。怪我をしてしまった時、血液が凝固し、かさぶたができるのはこの細胞のおかげです。体を守る仕組みといえるでしょう。

血漿

水分や栄養素、ホルモン等を運搬する役割があります。また、不必要な老廃物を回収・運搬する役割もあります。体を循環し、流動性をもたせています。血漿の90%は水分でその他が血漿蛋白と呼ばれる成分です。

血清とは血漿から凝固因子を取り除いたもの

血液には様々な成分が含まれ、役割を果たしています。私たちが生きることができるのも、適切に栄養が運ばれたり、外敵と戦ってくれているからです。

血清はこのような血液の中の血漿から凝固因子を取り除いた成分です。凝固因子とは血液を固まらせようとする成分です。血清は凝固因子を持たないため、固まりません。

血清には先に述べたアルブミンやグロブリンが含まれています。これら量に多い少ない等の異常があると、病気を疑うことができます。では、具体的にどのような病気があるのでしょうか?

血清成分からわかる病気

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血清にはアルブミンとグロブリンが含まれている、ということをお話ししました。この2つの値を計測することで、体の中で起きていることを診察することができます。

例えばアルブミンは肝臓で産生されます。しかし、アルブミンの量が少なかったり、反対に多い場合、肝臓に何かしらの異常が起きていることが推察されます。

グロブリンも同様のことがいえます。グロブリンは感染症に対して対抗する細胞です。値が高ければ、何かしらの感染症にかかっていることが推察されるでしょう。

では、これら2つの成分の数値に異常があるとき、どのような病気の疑いがあるのでしょうか?

インフルエンザ

冬場のシーズンに爆発的に感染・発症者を増やすインフルエンザ。誰しも一度はかかったことがあるかもしれません。高熱を始め、嘔吐や腹痛、倦怠感、頭痛といった症状を発症します。

肺炎

高齢者の死亡原因として多いのが肺炎です。嚥下障害によって起こることもありますが、外部からウィルスや細菌に感染することで発症することもあります。

肺炎では強い咳き込みや炎症のほか、呼吸困難や嚥下障害を発症します。抵抗力の弱い高齢者であれば、命の危険もあるため、十分な注意が必要でしょう。

感染性胃腸炎

その名の通り、何かしらのウィルスや細菌に感染し、消化器官に炎症を発症する病気です。症状は腹痛、吐き気、下痢、発熱などがみられます。特に腹痛はとても辛い症状です。

病気の原因として考えられるのは経口感染が主です。賞味期限が長くすぎたものを食べたり、細菌やウィルスに汚染された食べ物を食べてしまうなどがあります。

悪性腫瘍

アルブミン・グロブリンの値に異常があるとき、感染症ではなく、悪性腫瘍の可能性があります。感染症と大きく違うところは、自覚症状がないところでしょう。

悪性腫瘍は気がつかないうちに体の中に病巣を作り、進行していきます。発熱や嘔吐といったわかりやすい症状はありませんから、健康診断で指摘された時は注意が必要でしょう。

甲状腺機能の異常

甲状腺は喉にある臓器です。ここからは甲状腺ホルモンというホルモンが分泌され、代謝や体温を調節する役割を担っています。この部分に異常が起こると、血液成分にも異常がみられます。

例えば甲状腺機能が過剰に働いてしまう「甲状腺機能亢進症」では体の火照りや食べても食べてもお腹がすくといった症状がみられます。

一方、働きが鈍くなる「甲状腺機能低下症」では、倦怠感や皮膚の乾燥、便秘といった症状がみられます。どちらの病気にしても、なかなか気づきにくいですから、血液成分を指標にして判断する必要があるでしょう。

血清成分の数値が示す、より怖い病気

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アルブミンやグロブリンなどの血清成分が病気の指標になるお話はしました。この成分の多い少ないが病気発見に大きく役立ち、早期治療を可能にします。

病気の中には生活を脅かしたり、日常生活を困難にするほどのものもあります。もしかしたら、長期的に症状が続き、心身ともに疲れ果ててしまうなんてこともあります。では、それら病気についてみていきましょう。

肝硬変

その名の通り、肝臓が硬く変化してします病気です。もっとも特徴的な症状として黄疸があげられます。皮膚の一部が黄色くなる症状です。そのほか、食欲不振、過度な疲労感などがみられます。

肝硬変の原因として肝炎ウィルスの感染、アルコールの過剰摂取、肥満なのどがあります。ウィルスを除き、生活習慣をきっかけとしているので注意が必要です。

肝硬変が進行している時、アルブミン値は下がります。適正値は3.8〜5.3 g / dlですが、2.0台まで下がることがあり、病気の進行を知る目安となります。

肝硬変については、肝硬変の自覚症状を見逃さないように!注意すべき症状は?を参考にしてください!

関節リウマチ

女性に多い病気であるリウマチは自己免疫疾患の一つです。免疫システムに異常が起こり、関節を主とする細胞を攻撃してしまうことで起こります。発病原因は現在も不明です。

リウマチを発症すると、アルブミン値は低下し、反対にグロブリン値は増加します。血液検査をする以前に、関節に異常を自覚しますので、きちんとした治療を開始するために病院へ行くようにしましょう。

リウマチについては、リウマチの初期症状をチェックしよう!指のしびれに要注意!を読んでおきましょう。

ネフローゼ症候群

尿の中に大量のタンパク質が流出し、血液中のタンパク質量が減少する病気です。特にアルブミン量が減少し、伴って様々な症状を発症します。

血液は腎臓によって濾過されています。この際、タンパク質は分子の大きさが大きいため、濾過されることはありません。しかし、なんらかの原因によってタンパク質が濾過され、尿中に溶け出してしまうと病気を発症します。

排尿によって1日3.0g以上のタンパク質の喪失、かつ血液中のアルブミン濃度が3.0g / dl以下でネフローゼ症候群と診断されます。

ネフローゼ症候群では尿の泡立ちやむくみ、急激な体重の増加などがみられます。これは腎機能が低下しているために起こります。

詳しくは、ネフローゼ症候群とは?原因や症状、治療方法を知っておこう!を参考にしてください!

血清と毒の関係

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さて、冒頭で述べたように血清は解毒する薬の1つであると思っている人も多いでしょう。蛇に噛まれたとき、血清を打つことで症状を解消することができます。では、この血清が解毒するメカニズムはどのようになっているのでしょうか?

解毒する作用は「抗原抗体反応」と呼ばれる反応を利用しています。抗原とは蛇の毒のことであり、これに対し抗体を作ることで、体を守ります。

通常、私たちの体は異物が体内に侵入した時、それに対抗するため抗体を作ります。これを一度作っておけば、その後、同じ異物が体内に入っても症状を悪化させることなく対応できます。

ただ、蛇に初めて噛まれて、抗体がない場合、体は抗体を作る暇もなく毒が体内を侵食します。長時間の放置はもちろん命に関わることですから、早急な対応が必要です。

この時、血清が活躍します。あらかじめ蛇の毒の抗体を作っておき、これを注射することで、毒を無毒化することができるのですね。これにより、毒によって命を落とすことを防ぐことができます。

蛇の毒は蛇の種類によって異なります。このため、噛まれた際には血清を打つ前に、きちんと蛇の種類を医師に伝える必要があります。本州にはマムシとヤマカガシの2種類の蛇しかいません。判断も用意なので、血清を打つまで時間はかからないでしょう。

一方、沖縄地方ではハブといった本州にはいない種類の蛇も生息しています。沖縄に行った際はこれら蛇の区別をすること、そして蛇が生息していそうな地域には入らないことが大切でしょう。

抗毒血清の作り方

もしもの時に必要な抗毒血清。これはどのようにして作られるのでしょうか。以下の4ステップを踏んで作られます。

1:毒を採取する

必要とする蛇を確保し、毒を採取します。この毒がのちの抗毒血清生成の重要な元となります。蛇の口を大きく開け、牙を採取容器の端にひっかけることで毒を採取できます。

2:冷凍する

採取した毒を冷凍する事で濃縮することができます。

3:大型動物に注射する

採取した毒を少量、時間をかけて大型動物に注射します。馬や羊が血清作成の際、利用されるようです。これら動物の中では、毒に対する抗体が生成されます。

4:血液を採取し、血清に分離する

抗体を注射した動物から血液を採取し、分離します。血清には抗体成分が含まれているので、蛇の毒を無毒化することができます。

健康診断の数値を知る

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血清成分には体の状態を知る大きな手がかりがあることがわかったかと思います。特に肝臓や腎臓といった、とても大切な臓器の状態を知ることができます。

ただ、これら臓器は悪い生活習慣によって最も影響を受けやすいといえます。例えば肝機能が低下するのは喫煙やアルコールの過剰摂取などがあります。お酒もタバコも好きという人は注意が必要です。

腎臓は塩分の過剰摂取によって機能が低下します。また、糖尿病を発病すれば、腎臓に負担がかかりますから、透析といった生活に負担をかける治療をする可能性もあるかもしれませんよね。

ただ、今の生活の中で塩分量を制限するためには、正しい知識と食事に対する毅然とした態度が必要です。欲望のまま食べることは、これら臓器の機能を低下させることに繋がります。

健康診断の書類にはたくさんのアルファベットや数値が書いてあります。それら一つ一つの意味を理解することは難しいでしょう。ただ、医師に指摘されたとき、どう受け止めるかが今後の健康を決めます。

アルブミンやグロブリンといった値に異常がある。そんなときは、まず肝臓や腎臓を疑ってみてください。そして、健康になるための行動をしてみてください。

それは今の生活習慣を振り返ること。そして改善することです。病気は悪い食生活によって発症することがほとんどです。アルコールや過剰な塩分、糖分をとっているのであれば、注意するようにしましょう。

まとめ

体を流れる血液は当然ですがなくてはならないものです。血液に異常があれば、何かしらの病気にかかっている可能性があり、改善しなければ病気はどんどん進行していくでしょう。

毎年行われる健康診断は、体の状態を知るために重要なことです。ただ受けてそのまま、では体はいつまで経っても変わりませんし、いつ病気を発病するかもわかりませんよね。

血清成分であるアルブミンとグロブリン。まずは、これら2つの成分を今度の健康診断ではよく見てみてください。多くても少なくても、それは体に悪いことが起こっているでしょう。

生活を維持するために大切なのは仕事ではありません。健康あってこその生活なのです。病気は静かに忍び寄り、一気に体を蝕んでいきます。特に肝臓や腎臓の病気はほとんど自覚症状なく進行します。

節目節目で体の健康状態を把握し、悪ければ生活を改善していく。長く健康でいるためには、重要なことだと思います。ぜひ、このことを理解し、日々の行動に実践してみてください。

  
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