ミオナールは、筋肉をほぐし、筋肉の緊張から生じる痛みや不調を緩和する薬です。錠剤タイプと顆粒タイプの2種類があり、必要に応じて、医師からいずれかを処方されます。エペリゾン塩酸塩を主成分としており、同様の効果が見られるその他の薬の中でも、比較的副作用の少ない薬として知られています。
しかし、薬を服用する際には、医師からの説明を聞くだけではなく、自分が服用する薬がどのような薬なのかを、きちんと把握しておく必要があります。
そこで、ここでは、ミオナールについて、その効能や副作用、服用する際の注意点などを、ご紹介いたします。
この記事の目次
ミオナールについて
ミオナールは、同じような作用をする筋弛緩剤の中でも、比較的弱く作用するので、服用上の安全性も高いと言われています。錠剤タイプと顆粒タイプがあり、効能は同じですが、身体への吸収率の違いから、即効性に若干の違いが見られます。
それでは、ミオナールの概要を、早速見ていきましょう。
成分
【ミオナール錠50mg】
<有効成分>エペリゾン塩酸塩50mg
<添加物>カルナウバロウ/カルメロース/含水二酸化ケイ素/結晶セルロース/酸化チタン/ステアリン酸/ステアリン酸カルシウム/精製白糖/タルク/沈降炭酸カルシウム/トウモロコシデンプン/白色セラック/ヒドロキシプロピルセルロース/プルラン/ポビドン/マクロゴール6000
【ミオナール顆粒10%】
<有効成分>エペリゾン塩酸塩100mg
<添加物>カルメロース/軽質無水ケイ酸/タルク/トウモロコシデンプン/乳糖水和物/ポビドン/ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート/マクロゴール6000
薬理
- 神経とつながって、筋肉の収縮状態を伝える「筋紡錘」という、骨格筋の中にある受容器の感受性を高める「γ-運動ニューロン」に働きかけ、筋肉の緊張、収縮、こわばりを弛緩します。
- 筋交感神経を抑える働きによって、血管を拡張し、また、血流を増加します。
- 脊髄レベルで鎮痛・疼痛反射を抑えるよう作用します。
- 痙性麻痺の患者において、伸展および屈曲動作などの、自らの意志で行う運動(随意運動)を円滑にします。
効能
- 筋肉の緊張によって生じる、肩関節周囲炎/頸肩腕症候群/腰痛症/緊張型頭痛 の改善。
- 脳血管障害/痙性脊髄麻痺/頸部脊椎症/脳・脊髄腫瘍を含む術後後遺症/外傷後後遺症/筋委縮性側索硬化症/脳性小児麻痺/脊髄小脳変性症/スモン/その他の脳脊髄疾患による、痙性麻痺の改善
薬効成分
神経系および感覚器官用医薬品の抹消神経系用薬
販売元
エーザイ株式会社 ※その他に、複数の会社からジェネリック医薬品(後発医薬品)が出ています。
保管方法
- 乳幼児の手の届かないところで保管してください。
- 直射日光、高温多湿の環境を避け、涼しい場所で保管してください。とくに、顆粒タイプのものは、吸湿しやすいので、気を付けてください。また、錠剤タイプのものは、直射日光が当たる場所だと、変色する可能性があります。
- 薬が残った場合は、そのまま保存せず、医師または薬剤師に相談し、破棄してください。
用法・用量について
錠剤タイプと、顆粒タイプの用法・用量は以下の通りです。
【ミオナール錠50mgの場合】
1日3回:1錠ずつを食後に経口投与してください。
【ミオナール顆粒10%の場合】
1日3回:1.5gずつを食後に経口投与してください。
※上記の用量は、成人が服用する場合の用量です。
※年齢や症状によって、用量が増減します。医師の指示に従って、用法・用量を守りましょう。
※飲み忘れてしまった場合は、できるだけ早く1回分を服用してください。次回服用時との時間差が狭くなる場合は、1回分を飛ばしてください。2回分を一度に飲むのは避けましょう。
※誤って多く飲んでしまった場合は、医師または薬剤師に相談してください。
服用する際の注意点
薬を効果的に使用するためにも、正しく服用することが大切です。また、体質などによって、薬が合わない場合もありますので、以下にあげる注意点の他にも、何か気になることがあるときは、独断で服用を継続せず、その都度、医師または薬剤師に相談してください。
服用前に
- ミオナールがどのような薬で、どのような有効性があるのか、また、副作用についてなど、薬についての説明を医師から十分に受けたうえで服用してください。
- 薬の過敏症傾向にある人は、服用前に十分に医師と相談してください。
- 持病や、アレルギー疾患のある方は、必ず事前に医師に伝えてください。
- 他に服用している薬がある場合は、事前に医師に伝えてください。
- 同類の筋弛緩剤系の薬との併用は避けてください。
- 肝臓疾患および、肝機能障害のある人は、服用により肝機能を悪化させる場合がありますので、事前に医師に伝えてください。
- 妊娠中の服用についての安全性は確立されていないため、妊婦、および妊娠している可能性がある場合は、安易な使用は避け、必ず医師に相談してください。
- 授乳中の場合、母乳に影響が出る可能性がありますので、服用は控えてください。やむを得ず服用する場合は、服用期間中、および服用期間終了後しばらくは、授乳を避けてください。
- 小さな子供への服用は避けてください。
- 高齢者に使用する場合、生理機能が低下しているため、あらかじめ医師から用量を調節した処方箋が出されますが、万が一、何か異変がある場合には、直ちに服用を中断し、医師または薬剤師に相談してください。
服用するにあたって
- ミオナールの類似薬である、メトカルバモールとの併用によって眼の調節障害が出たとの報告がありますので、メトカルバモールとの併用は避けてください。
- 胃腸機能への負担を軽減するため、少なくともコップ1杯以上の、多めの水で服用し、空腹時の服用はなるべく避けてください。
- 服用中、脱力感やふらつき、眠気、めまいなどが現れる場合がありますので、服用後の自動車の運転や危険を伴う作業、激しい運動は避けてください。
- 服用中の飲酒は避けてください。
- 用法・用量を守って正しく服用してください。
一般的な副作用について
副作用が出た場合は、必ず医師に相談してください。経過観察を行いながら、薬の用量の調整が必要な場合もあります。自己判断は避けましょう。
一般的な副作用として、以下のような症状が現れる場合があります。
【肝臓】:AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇
【腎臓】:タンパク尿、BUNの上昇
【血液】:貧血
【過敏症】:発疹、痒み、水疱、多形滲出性紅斑(※過敏症の症状が出た場合には使用を中止し、すぐに医師に相談してください。)
【神経系】:眠気、不眠、頭痛、手足のしびれ・震え、身体のこわばり
【消化器】:食欲不振、吐き気、嘔吐、胃の不快感、腹痛、下痢、便秘、喉が渇く、口内炎、腹部膨満感
【泌尿器】:尿閉、尿失禁、残尿感
【その他】:脱力感、ふらつき、めまい、倦怠感、ほてり、浮腫み、発汗、動悸、しゃっくり(※動機やしゃっくりが出た場合には、使用を中止し、すぐに医師に相談してください。)
重度の副作用について
以下のような副作用が出た場合は、使用を中止し、すぐに病院で適切な処置を行ってください。命に関わる場合もあります。
【ショック、アナフィラキシー様症状】
皮膚が赤くなる、激しい痒み、蕁麻疹、顔または全身の浮腫み、呼吸困難
【中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群】
発熱、水疱、激しい痒み、目の充血、口内炎
まとめ
いかがでしたでしょうか。ミオナール(筋弛緩剤系の薬)は、正しく服用すれば、ひどい肩こりや、筋肉の緊張からくる頭痛などに非常に効果的な薬です。
しかし、間違った服用法によって、有効成分が過剰に作用すると、ひどいふらつきやめまいを引き起こし、日常生活を過ごすうえでの、危険因子となりかねません。それだけではなく、その他の副作用が起こる可能性も高くなります。
ミオナールの場合に限らず、薬を服用する際には、正しく服用し、用法・用量を守りましょう。症状の治癒および緩和や、健康維持のためにも、薬と上手な付き合い方をしたいものです。