イタリア料理でよく使われるバジル、私達にもなじみ深いものになっていますが、ある栄養価については野菜界トップクラスという栄養豊富な野菜です。
まだ知られていない健康への効果がどれほどのものなのか紹介致します。
この記事の目次
バジルの基礎知識
バジルはご存知の通りハーブの一種です。意外な事にシソ科の植物で、インドや熱帯アジアを原産地としています。暖かい場所を好む一方寒さには弱く、日本では冬を越す事ができません。17世紀頃にインドからヨーロッパに伝えられ、神に捧げるハーブとしても利用されました。
広い意味でバジルと呼ばれているハーブの栽培品種は150種類にも登りますが、イタリア料理によく使われる品種はスイートバジル、バジリコ、ジェノベーゼバジルといった品種のものです。
バジルの葉に含まれる栄養素①βカロテン
バジルの葉の成分は多くが水分で、その割合は91.5%にもなります。また、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、亜鉛、食物繊維を含みます。
ざっと並べただけでも非常に多数の栄養素を含んでいる事がわかりますが、バジルの特徴として上げられるのは、βカロテン、カルシウム、ビタミンKが豊富な事です。以下これらの栄養素の含有量、効果についてご紹介致します。
抗酸化作用を持つβカロテン
・含有量
バジルの葉…6300μg/100g
にんじん…8200μg/100g
ほうれん草…4200μg/100g
(一日の所要量…1800μg)
βカロテンは、にんじんの橙色の元となっている栄養素です。という訳でさすがににんじんほどのβカロテンをバジルが含むとまでは行きませんが、色の濃いほうれん草よりも多いという結果となっています。
バジルは野菜の中でもトップクラスのβカロテンを含んでいます。
・βカロテンの効能
βカロテンは体内でビタミンAに変化し効能を発揮します。
βカロテンは強力な抗酸化作用を持っています。抗酸化作用と言えばアンチエイジングの強い味方である事はおなじみですが、動脈硬化やガンなどの予防にも役立つ作用です。
また、ビタミンAは目の網膜にある物質を作り、胃腸や気管支などの粘膜を性状に保事ができます。つまり、βカロテンを摂取する事でアンチエイジングと粘膜の健康を維持できるのです。
バジルの葉に含まれる栄養素②カルシウム
次は、バジルに含まれるカルシウムについて紹介します。
◆骨粗鬆症対策に効果的なカルシウム
・含有量
バジルの葉…240mg/100g
牛乳…110mg/100g
(一日の所要量500~600mg)
カルシウムといえば牛乳というのが一般的なイメージですが、意外な事にバジルの葉に含まれるカルシウムは(同じ重さで見ればですが)非常に多いです。βカロテンに引き続き、野菜の中でも非常に高い値を示しています。
・カルシウムの効能
カルシウムは、日本人に一番不足しているミネラルです。
日本の土壌はもともとカルシウム含有量が少なく、水にもカルシウムを含んでいません。にも関わらずそのまま西洋風の食事にシフトしてしまったためカルシウムが慢性的に不足する事態になっています。
カルシウムが不足するとイライラしてストレスが溜まる上、骨粗鬆症になり、流出したカルシウムが血管壁に付着して高血圧を引き起こします。これらを防止するためカルシウムの摂取は不可欠です。
バジルの葉に含まれる栄養素③ビタミンK
次は、ビタミンKについて紹介します。
◆骨と動脈の健康に役立つビタミンK
・含有量
バジルの葉…440μg/100g
納豆…600μg/100g
(一日の所要量 65~75μg)
納豆に含まれる栄養として知られています。野菜ジャンルでビタミンKを多く含むのは、あしたば(500μg/100g)、春菊(460μg/100g)がありますが、これらと比べてもバジルの葉に含まれるビタミンKの量は劣っておらず、やはり野菜の中では含有量上位にあります。
・ビタミンKの効能
ビタミンKは、出血時に血液を固める因子を活性化させます。また、骨の健康維持に重要な役割を持ち、骨の中のたんぱく質を活性化させ、骨にカルシウムが沈着するのを助けることで骨の形成を促します。また、動脈の石灰化を防止する働きがあります。
ビタミンKは普通に暮らしていて不足する事はあまりない栄養素ですが、肝臓が悪い場合は不足する事があるため積極的に摂取するとよいでしょう。
栄養を効率よく摂取する食べ合わせ
前段で述べた通り、(1)抗酸化作用のあるβカロテン、(2)骨粗鬆症対策に役立つカルシウム、(3)カルシウムの定着を助けるビタミンKを含み、巡り巡って血管や粘膜の健康にも役立つ、という栄養価の高いバジルですが、単品で食べる事はあまりないだろうという事で、より栄養素の働きを良くする組み合わせを紹介致します。
トマトを追加して抗酸化作用アップ
バジルといえばトマトが思い浮かびます。
とにかく味で合わせるならトマトを置いて他にはないといえますが、トマトに含まれる栄養素であるリコピンは、βカロテンと同じカロテノイドの仲間です。そのため、抗酸化作用をより高める組み合わせと言えます。
オイルを追加して栄養の吸収率を上げる
イタリア料理の定番、オリーブオイルとの相性も非常に良いです。バジルに含まれるβカロテンは、脂質と共に摂取すると効率よく吸収することがます。
また、ビタミンKは油脂に溶けるビタミンなので、こちらも摂取しやすくなります。
チーズと合わせてカルシウムを補給
こちらもイタリア料理の定番ですが、チーズとの組み合わせは理にかなっています。
チーズに含まれるカルシウムは非常に多い(700mg/100g)ので、カルシウムの定着を助けるビタミンKがバジルに含まれていることを合わせると、非常に効率よく骨粗鬆症対策が可能となります。
豆腐と組み合わせて胃にやさしく
出典:http://yakkodaisuki.net
栄養素としては見えづらい点ですが、バジルには胃腸の機能を整える効果があるため、同じ様に胃の働きを良くし、消化吸収が抜群な豆腐と組み合わせる事で胃もたれの改善が期待できます。
バジルの栄養を活かすレシピ
では、バジルを上手く取り入れるためにはどのような方法が良いか紹介します。
洋風にするならやはりイタリアン
洋風にすると、やはりカプレーゼかマルゲリータがベストマッチです。栄養素の相乗効果も期待でき、味もぴったり合います。伝統的な料理にはやはりそれだけの理由があるといえます。
トマト・チーズにちょっとバジルを散らすというのが一般的ですが、しっかりバジルを散らしたい所です。また、ニンニクを刻んで加えるとコクがでます。全ての具材を細かく切って冷製パスタのソースにするのもおすすめです。
和風にするなら豆類ベースで
出典:http://dt125kazuo.blog22.fc2.com
バジルはシソ科のハーブなので、和の食材と合わせても意外としっくり来ます。中でもやはり先ほどご紹介したような豆腐との組み合わせがおすすめです。
カプレーゼのチーズを豆腐にチェンジして、オリーブオイルや粉チーズを掛ける事であっさりめのカプレーゼとして楽しめます。
また、さっぱりとした香りが特徴のハーブなので、納豆に合わせるとさわやかになります。納豆といえばビタミンKという事で、骨に自信が無い方におすすめです。
お茶として
出典:http://blogs.yahoo.co.jp
バジルはハーブティーのように飲む事もできます。乾燥したバジルの場合は小さじ1杯くらい、生のバジルの場合は5枚程度をティーカップに入れ、熱湯を注いで少し蒸らすと完成です。
色は薄くてお湯のようですが、香りが高いハーブなのですっきりとします。ハーブティーがお好きな方は簡単にバジルの力を取り入れる事ができます。
まとめ
イタリアンの味付けには欠かせないバジルですが、その栄養素は他の野菜と比べてもトップクラスで、骨の健康、血管の健康や、抗酸化作用による免疫力増加に役立つ力を秘めています。
バジル単品でむしゃむしゃ食べる、という訳にはなかなかいきませんが、他の食品と組み合わせる事で栄養素の底上げや吸収率の上昇を見込む事が可能です。また、ハーブ特有のよい香りは食欲の増進や胃腸の健康にも役立ちます。まだまだ奥深いバジルの効能をぜひ体感してみて下さい。
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