ドラッグストアのデンタルケアコーナーには手軽にホワイトニングできる専用の歯磨きなどたくさんの種類が売られていて歯を綺麗に保つ意識はますます高まってきていますが、歯茎に関しては歯磨きをしっかりしているから大丈夫と安心していませんか。
歯磨きだけでは避けられない黒ずみの原因を知り、正しい対処方法を見つけることが大切です。しっかりお手入れしているのになぜ歯茎の色が変わってしまうのでしょうか。
ここでは歯茎が黒くなってしまう原因と対処方法についてご紹介します。
ご自分の歯茎の色が気になっている人は、改善方法を試してキレイなピンク色の歯茎を取り戻していきましょう。
歯茎が黒くなる原因
健康な歯茎は通常綺麗なピンク色ですよね。あなたの歯茎は何色ですか?大丈夫でしょうか、黒く色がくすんでいないでしょうか。
黒ずんでしまう原因は多岐にわたるため、いつあなたの身に起きるかわかりません。もし自分の身に起きてしまったら?そうなる前に少しでもお役に立てるよう原因をまとめていきます。
それではどのような時に黒くなってしまうのか見ていきましょう。
①血行不良
目の下のクマや唇などと同様、血行不良によって歯茎の黒ずみが発生します。
血行不良の原因として寝不足や運動不足が挙げられますが、生活習慣も要因の1つです。食生活が乱れることで、筋肉や血流の改善に必要な栄養素が不足し、血液の流れが滞ってしまいます。これにより、歯茎まで十分な血液が届かなくなり黒ずんでしまうのです。貧血気味の人もこれに当てはまります。
また、ストレスも血行不良の原因の1つです。ストレスにより筋肉が緊張し内臓への血液供給量が抑えられてしまうために、血液が全身に行き渡らなくなるのです。そして交感神経が必要以上に緊張状態になると活性酸素が増えてしまいます。そうなると血液の流れを滞らせてしまうため、血行不良を悪化させてしまうのです。
②喫煙による色素沈着
煙草に含まれているニコチンやタールなどの成分が沈着して黒くなるほか、喫煙の刺激から歯茎を守ろうとメラニン色素細胞が活性化することで、色素の沈着が発生します。
ビタミンCにはメラニン色素を抑制する働きがありますが、喫煙によりビタミンCが破壊されてしまいます。そうなることで、メラニン色素が抑制できなくなることも黒ずみの原因となります。さらに血管収縮作用により血行が悪くなり歯茎が黒ずむのです。
さらに、喫煙しない人でも受動喫煙による黒ずみが発生します。親御さんの喫煙が原因でお子さんの歯茎が黒くなってしまうこともあります。
③差し歯や被せ物
インプラント差し歯の土台に使われる金属部分が透けて黒く見えたり、金属片の削りかすが歯茎に入り込んで中から色がついてしまった黒ずみ、神経を抜いた歯の変色によるものなどがあります。
金属など製品は口内の唾液により溶けてしまうことがあります。それによって溶けてしまった成分が歯茎を覆うことで色の黒ずみが引き起こります。虫歯治療の銀歯でも同様の問題が引き起こる可能性があります。
セラミックのものではこの様な問題は起こることが少ないですが、稀にセラミックのものの場合でもこの様な黒ずみなどの問題に繋がる場合もあります。中にはセラミックのものでも成分の中に金属の成分が含まれたものがあり、プラスチックのセラミックであれば問題はないと思われますが、それ以外の金属のセラミックではこの様な変色の問題が起こる可能性がります。
④神経が死んでいる
虫歯の治療や、虫歯の進行により歯茎内に存在する歯や歯茎の神経が死んでいる場合その箇所が黒く色がくすむ場合がります。
歯の神経が死んでしまうと、歯の根元の部分は黒くなってしまいます。歯茎が薄くなっている場合、この中の歯の黒い部分が透けて見えてしまうことで歯茎が黒く見えてしまうのです。
神経が死んでしまっている場合黒く見えることもありますが、青紫っぽい色になることもあります。
⑤遺伝
肌の色が黒い事や、髪質が遺伝するように初めから遺伝の影響により歯茎の色がキレイなピンク色ではなく黒ずんでいる事もあります。
遺伝的にメラニン色素が多い人や、影響を受け易い人などは色が変わりやすい傾向があります。メラニン色素の影響が大きい人は、タバコの影響を受けやすい傾向がります。
元々歯ぐきの色が黒くなっている場合はもとの色を変えることは難しいので、治療は困難になると思われます。
⑥病気の可能性
歯周病など問題の可能性があります。通常歯周病では歯茎がうっ血し赤く腫れてきますが、進行すると黒ずんだ色になります。
また、歯茎が下がって黒ずむことがあります。下がった歯茎は元に戻らないので注意が必要です。加齢や間違った歯磨きでも、歯茎が下がることがあります。
歯茎が変色する病気
歯茎が黒くなっている場合痛みがない場合でも、何かしらの病気に発展する事を考えてしまうのではないでしょうか。歯茎の色が変色した場合の病気にはいくつか例が挙げられます。
自分の歯茎が変色してしまった場合痛みは無くても以下の様な病気の可能性が挙げられます。
自分に当てはまっていないか確認してみましょう。もし当てはまる場合は早めに病院での診察をおすすめします。
歯周病
慢性的な歯周病が引き起こっている場合、歯茎の奥の方から黒い色の色素変化が起こります。軽度や中度の症状の場合はそこまで黒ずみは目立たないことが多いです。
歯茎全体が腫れ上がり赤くもしくはその一部が黒く内出血のような状態になっている場合は歯茎の奥の方にまで炎症が進み、高度に骨を吸収してしまっている可能性が考えられます。
軽度の歯周病であれば、周囲の歯石除去することで進行を食い止め症状を緩和することが出来ますが、色が変わってしまった場合は歯周外科治療を行い進行を食い止める必要があります。
もし歯茎の黒ずみの他に歯茎に痛みがある、冷たいものがしみる、口臭が気になる、歯と歯の間が広がってきた、歯茎が下がってきている、歯がぐらついている、歯茎が腫れている、歯磨きをしたら血が出るなどの症状がある場合は早めに歯医者に行って診察を受けるようにしましょう。
歯肉炎
普段よりも歯茎の色が赤紫色に変化し、腫れてきている場合歯肉炎の可能性があります。歯肉炎は実は歯周病の初期段階の症状です。症状が進行し、さらに悪化が確認された場合に歯周病に繋がるものです。
歯肉炎の症状としては歯茎のむず痒さ、歯茎が赤紫色に変色する、歯茎が腫れる、歯磨きをした時に血が滲むなどの症状があります。
歯肉炎の段階では痛みは感じることはありません。歯磨きの時に歯茎への刺激が強く感じられる程度です。もし痛みを感じている場合はもう既に歯肉炎に近づいている事が考えられます。
歯肉炎や歯周病は歯に溜まった歯垢(細菌の作った汚れの固まり)が歯と歯茎の境目に溜まることでその歯垢の中に潜む菌が歯茎に炎症を起こすことで発症します。細菌が生み出す毒素で歯茎の細胞が破壊され歯と歯茎の間に刺繍ポケットという隙間が発生します。さらにそこから菌が侵入しさらに内部にまで侵食し歯の根っこの部分にまで菌が及び内部の細胞を破壊していくのです。
毎日の歯磨きがキチンと行われていないために引き起こるものなので、注意しましょう。
歯茎が黒くなったときの対処法
どうすれば黒くなった歯茎を健康なピンク色に戻せるのでしょうか。体質だとあきらめないで対処することが大切です。
それでは対処方法を見ていきましょう。
①血行不良による黒ずみの対処方法
血行不良の改善には、指で歯茎のマッサージを行うことが効果的です。毎日の歯磨きに歯茎のマッサージをプラスすると、それだけで劇的に改善されるのです。歯磨きも歯茎に負担をかけないよう優しく丁寧に磨くことが大切です。
正しい歯磨きと歯茎のマッサージ方法
①歯ブラシは普通~柔らかめを選びましょう。泡が立たないよう歯ブラシは濡らさずに歯磨き粉をつけます。
②ごしごし擦ると歯の表面や歯茎を傷つけるので、ペンを持つように握り優しく磨きます。
③フッ素成分を残すために、すすぎは2回程度にします。
④人差し指で歯茎全体を優しく撫でます。
⑤歯と歯茎の境目をマッサージ上下とも優しく行いましょう。
⑥歯茎と唇の境目をマッサージします。ここにはたくさんのツボがあるので、体全体のリラックス効果を得ることができます。
マッサージ以外に、普段の生活習慣を見直して十分な睡眠を取ることや運動不足の解消に階段の上り下りや寝る前にストレッチをするなど、なるべく体を動かして体全体の血行促進に努めれば改善率はもっと高くなります。
筋肉の緊張をほぐすことがストレスの軽減にも繋がるので、毎日少しずつでも取り入れるようにしたいですね。
②歯周病による黒ずみの対処方法
歯周病は放置すると、歯周組織が破壊され最終的には歯が抜け落ちてしまうとても怖い病気です。自分で治せるものではありませんので、必ず歯科医院で治療をしてもらいましょう。「自分は大丈夫」と安心せずに普段から定期的に歯科医院でクリーニングや歯周病のチェックをしてもらうことが大切です。
正しい歯磨きで歯垢を落とし、歯周病菌を無くし口内を清潔に保つことが歯周病の予防に繋がります。同じ歯ブラシを使い続けると磨き残しがでてきますので、できれば歯ブラシは1ヶ月で新しいものに交換したほうが良いでしょう。その他にも、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して歯ブラシの届かない部分を綺麗にすることも忘れないでくださいね。
また、喫煙は歯周病の危険因子の1つと言われています。禁煙することで歯周病予防、治癒が促進されることがわかっています。歯周病治療を行っても喫煙していると抗菌剤の効果も出にくく治癒力が低下しますので、治療をきっかけに禁煙することをお勧めします。
③色素沈着による黒ずみの対処方法
こちらの要因も喫煙にありますので禁煙することが一番ですが、長年喫煙してきた人にはそう簡単にはいきませんよね。たばこの黒ずみは日焼け同様、メラニン色素の沈着によって黒く見えているだけなので病気ではないのです。
禁煙することで少しずつ沈着した色素が抜けていきますが、個人差もありますしとても時間がかかります。
この場合、保険適用外になりますがガムピーリングと呼ばれる手法により、歯茎の表面を再生させメラニンの除去を行うことで、ピンク色の歯茎に戻すことができます。ガムピーリングにはレーザーを用いる方法と、フェノールアルコールという専用の薬剤を用いる方法の2つがあります。
お手軽なのはフェノールアルコール法です。ピーリングと聞くとヒリヒリするイメージがありますが、痛みも刺激もなく薬剤を塗って放置しておくだけなのでとても簡単です。料金もレーザー法より安いのでこれは試す価値がありますね。
ただ、せっかく綺麗な歯茎に戻っても喫煙し続けていれば色素の沈着はまた起こります。やはり禁煙が一番の対処方法になるでしょう。
④差し歯や被せ物による黒ずみの対処方法
差し歯や被せ物の金属片が歯茎に入り込んでしまった場合には、歯茎の移植が必要になる場合があります。その他に、差し歯をオールセラミックにするなど対処方法もありますが価格は跳ね上がってしまいますので、どうしても気になる場合には歯科医院に相談してみましょう。
もし治療を行う場合は基本的には金属部分ごと歯茎を切除し正常な歯茎を移植したり、歯茎の再生治療を行うしかありません。見ため的に問題がある以外はその他の問題があるわけではありません。病気ではないのでほくろやシミに近い症状でもあります。患者の身体的な負担がかかることもありますので、よく検討し治療を行いましょう。
⑤神経がなくなったことによる黒ずみ
歯周病やタバコによる問題以外で歯茎が黒くなってしまう問題の多くは、歯科での治療による物が大変多くなっています。その中の一つがこの神経がなくなったことにより歯が黒くなり歯茎から透けて見えて黒い色が見えてしまう問題です。
外科手術で歯茎を厚くすることや神経のない歯の洗浄、漂白を行い色を取る方法などがあります。これらの治療法は全ての病院で行っているわけではないので、事前にその病院ではどの様な治療法を行っているか調べる必要があります。
電話やメールでの無料カウンセリングを行っている病院などもありますので一度相談してみてはいかがでしょうか。基本的には歯科クリニックでこのような治療を行っています。
⑥歯医者での治療
ガムピーリングという治療方法を先程も紹介しましたが、歯医者では歯を白くする以外にも、口内の環境の改善治療を受けることが出来ます。
その中の一つがレーザーガムピーリングと呼ばれる方法です。多少チクチクする治療ですが30分程の治療で済み副作用もなく治療を受けられます。価格は上下合わせて行って1万〜6万円ほどの価格になります。自由治療での保険適用外の治療なので値段も若干張りますし、病院によっても価格の開きがあります。
その他にもケミカルガムピーリングやフェノールアルコール法やガムブリーチと呼ばれる方法もあります。特別な薬剤を歯茎に塗るだけで終了する治療で時間は10分ほどで終わります。
この治療は症状の程度によって数回に渡って行われ一回1万円程の価格で行われています。1〜2週間程の時間をかけて色が徐々にピンク色になっていきます。
これらの方法は歯周病であったり、金属イオンなどの物が原因になって黒ずみが起こっている場合は行っても効果を期待することは出来ません。
まとめ
歯茎が黒くなる原因
- 血行不良
- 歯周病
- 喫煙による色素沈着
- 差し歯や被せ物
- 遺伝
歯ぐきの色が変色する病気
- 歯周病
- 歯肉炎
歯茎が黒くなった場合の対処方法
- 睡眠不足や運動不足の解消など生活習慣の改善
- 禁煙
- 毎日の歯磨きと歯茎のマッサージ
- 歯科医院でのクリーニングや歯周病のチェック
- ガムピーリングによる施術
以上がまとめになります。
定期的に通える歯科医院を見つけて、いつでも相談できる環境を整えることも大切ですが、それ以上に生活習慣の見直しによって改善される部分が多くみられますね。
生活習慣をちょっとだけ見直して自分の体を健康に保つ工夫をしてみてはいかがでしょうか。
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