タウリンがTVのCMで一躍有名になりました。しかしタウリンに関して、疲労回復をうたっている宣伝文句に、懐疑的な見方をする専門家も少なくありません。
実際にタウリンには疲労回復する効果や、肝臓を再生する効果があるのでしょうか?本当にタウリンの医学的根拠があるのでしょうか?
タウリンについて見てみたいと思います。
タウリンとは
タウリンとは私たちが生きていくうえで大切な臓器、心臓・脳・筋肉・肺・目の網膜・脾臓・骨髄・肝臓などに含まれていて、体内の全タウリン量は50~80%が筋肉に存在しています。
タウリンとは、含流(がんりゅう)アミノ酸の一種です。人間の生命活動に無くてはならない栄養素の一つとなっています。
タウリンは含流アミノ酸である、メチオニンとシステインから合成されて、体内で生成していますが、しかし生きていくために、人間の体内で作られる量はわずかなので、食物から摂取して補っています。
タウリンは食品添加物として、粉ミルクにも添加されています。
人間はタンパク質やアミノ酸を十分に取っていれば、あえてタウリンだけを摂取する、必要はなくなるわけです。
タウリン成分の効果・効能
タウリンは胆汁酸と結合して、消化作用を助けたり、また神経伝達物質として作用したりします。
また筋肉の収縮作用がある為、タウリンは心筋の収縮機能が強化されます。
動脈硬化の予防効果・効能
心筋梗塞や心不全、脳梗塞の高まる動脈硬化ですが、動脈硬化は血液中のコレステロールや中性脂肪が増える事で、血管にコレステロールが付着したり、血管が詰まったりして、血管が硬くなり弾力性がなくなります。
その様な弾力性のなくなった状態の血管を、動脈硬化といいます。動脈硬化になると様々な病気を発症します。
タウリンを摂取するとコレステロールを抑制するので、動脈硬化の予防になります。タウリンを摂取することで、血流の流れが良くなり、血液循環がスムーズに行われます。
高血圧の予防効果・効能
タウリンには身体を一定に保とうとする力、ホメオスタシスという体のもつ機能や、身体を作っている細胞を、正常な状態に保って維持する働きが、タウリンにはあるのです。
動脈硬化や交感神経が刺激を受ける事で、血圧は心拍の動きを早めたり、また肝臓の働きを抑制したりします。
タウリンは高血圧でも、塩分の過剰摂取による高血圧に、効果があるとされています。腎臓の働きで塩分と水分を取り除き、血液量を正常に保って血圧は保たれています。
その腎臓の働きを抑えて、交感神経を抑制する作用があるので、血圧の上昇がが抑えられます。ですから高血圧の予防に、効果的であるといわれています。高血圧は放置すると、糖尿病や脳梗塞など動脈硬化を促進します。
視機能を改善する効果・効能
目の網膜には、外部から刺激を感知する多数の光受容体があり、感知した刺激を脳中枢に伝達していきます。
タウリンはこの網膜に存在しているのです。この光受容体にタウリンは存在し、網膜の神経を抑制することで、網膜を守っているのです。
またタウリンには、目の新陳代謝を促進する働きがある為、角膜の修復を助ける作用があり、視機能を改善する効果・効能が、タウリンにはあります。
浮腫みを予防・改善する効果
タウリンは筋肉の収縮にも関係があります。タウリンが不足すると、筋肉の収縮の機能低下がおこり、足などに溜まった水分を、上に押し上げる事が出来なくなります。
その為に浮腫みが起こりますが、タウリンを摂取することで、筋肉の収縮する機能が高まるために、むくみの回復に効果的です。
便秘を解消する効果
これはむくみとも同じで、筋肉の収縮効果が、タウリンを摂取することで高まりますので、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍る事による便秘のため、腸の筋肉の収縮が高まることで蠕動運動が盛んになり、便秘が解消されるといわれています。
免疫力のアップ
私たちの身体は、外敵から身を守るために、免疫機能が備わっています。感染症の細胞やウイルスなどの外敵が体内に侵入すると、白血球が私たちの身を守る為、細胞やウイルスと戦います。風邪などを引いたときに、黄色の痰や皮膚の膿は、白血球や細胞・ウイルスの死骸です。
この白血球の中には高濃度のタウリンが存在していて、病原体を認識したり、攻撃したりする働きをして、細胞を活性化させながら、免疫機能を高め免疫力を強くしています。
ストレスを軽減する効果・効能
タウリンにはコルチゾールやノルアドレナリン、ストレス反応が起こると生じる、ストレスホルモン物質を、過剰に放出するのを抑制する働きがあり、タウリンが精神状態や神経のバランスを保っていると、最近の研究結果で注目されています。
タウリンの肝臓に与える効果・効能
タウリンは肝臓を元気にしてくれる成分です。肝臓が元気になると、体のだるさや、その他身体の変調に対しても、改善できてきます。肝臓の主な働きの、解毒、代謝、胆汁の生成の3つの働きが主な働きです。
タウリンは解毒作用の働きをしています。体内に入るアルコールや薬、食品添加物、化学物質や体内で作られる、アンモニアなどを分解して無毒化します。無毒化したものを尿や便として、体外に排出する働きをしています。
タウリンを摂取することは、解毒、代謝、胆汁の生成を助ける働きをするため、肝臓の負担を少なくして、肝臓の機能を強化します。
タウリンには善玉コレステロールを増やし、血液中の悪玉コレステロールを減らす、肝機能を高める効果があります。ですから血糖値や血圧を正常な状態に、改善する働きがあると言われています。
コレステロール値の改善効果
胆汁酸は肝臓で作られる、胆汁の主な主成分です。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に溜められます。この胆汁酸はコレステロールの、分泌を促進する働きがあるために、タウリンが多く含まれる食品を摂取することは、コレステロールの消費を促進し、血液中に存在するコレステロール値を下げる事につながります。
タウリンがコレステロール値を、下げられる効果があるのは、タウリンを摂取することで、胆汁酸の必要量が増加するためです。
胆汁酸を作るには、コレステロールが必要となり、胆汁が作られるには、胆汁の主要な成分物質である、胆汁酸が必要になるからです。その為タウリンは胆汁の分泌を促進します。
肝細胞の再生の効果
タウリンは肝臓を形作っている肝細胞が弱まってくると、速やかに肝臓を再生して、肝臓機能を正常に機能改善します。
タウリンの働きは、肝臓で胆汁酸の分泌や、肝細胞の再生を促進したり、細胞膜を安定化させる働きは、機能回復の効果をもたらしてくれます。
二日酔いの症状を和らげる効果・効能
肝臓はアルコールを最初に分解し、体外に排出する器官で、アルコールを飲みすぎ二日酔いになった時などは、タウリンはアルコールを分解するときの、酵素の手助けをする働きがあるため、その分解スピードを上げるので、肝臓への負担を軽減します。
タウリンはアルコールの代謝を促進する働きがあり、肝臓への負担を軽減しています。アルコールは体内に入ると、二日酔いの原因物質の、アセトアルデヒドに肝臓内で分解されます。
アセトアルデヒドは酵素の働きにより、更に分解されて、体にとって無害な酢酸に変化していきます。酵素の働きを助け、肝臓への負担を軽くしているのがタウリンの働きです。
脂肪肝への効果・効能
脂肪肝の原因になる、過度の飲酒や脂肪食、糖分の多い食生活を続けていると、肝臓に中性脂肪がたまってしまします。中性脂肪がたまると脂肪肝になります。様々な生活習慣病を引き起こす脂肪肝は、肝臓の肝細胞の機能を弱めてしまいます。
脂肪肝の改善が期待されるタウリンは、タウリンを摂取することで、肝臓に溜まった中性脂肪を体外に出す働きがあるため、脂肪肝が改善されることになります。
タウリンの医学的根拠
巷で言われている効果に疑問を持つ方が、色々調べた結果、医学的根拠のある効果は下の2つであることが分かりました。
しかし科学は進歩していますので、このサイトが作られる間でも、色々な研究がされ結果がでていますので、これだけが医学的根拠のあるものだとは、断言できません。
タウリンの医学的根拠のある効果
うっ血性心不全に対する効果
うっ血性心不全では、医学的根拠のある結果が、RCTという信頼性ある研究で、効果が明らかにされているのは、間違いありません。但しタウリンの効果が発揮されているのかという事までは、ハッキリとした結論が出ているわけではありません。
うっ血性心不全の改善を目的として、サプリメントなどを利用する場合は、自分の判断では行わない様、必ず医師の指示の元行うようにしてください。タウリンは医薬品に用いられていますので、その点十分に注意することが必要です。
高ビリルビン血症での肝機能改善効果
高ビリルビン血症の患者が、RTCの信頼性のある高い研究で、肝機能が改善されたという事が研究の結果明らかになっています。
こちらもサプリメントなど高ビリルビン血症で服用するときは、医師の指示の元おこなってください。病気の治療目的で、サプリメントを利用する場合は、必ず医師の指示に従うことが大切です。
医学的根拠がないものが、効果をうたっているものが多いので、サプリメントなどの摂取は控えた方が良いか、医師に相談してから行われたほうが良いでしょう。
タウリンは必要なものですので、食事から摂る事を心がける事が大切です。
医学的根拠がない効果について
脂肪肝に効果があるというのは、研究結果が「単純性肥満の児童」の限定的な効果で、成人の肥満に関しての研究結果はありません。
また高血圧についても、2件研究結果がありましたが、余り信頼のおけるものでもなく、またラットでの効果はあるとの研究結果が出ていますが、ラットと人間とは違うので、高血圧の改善に、タウリン効果を期待することは難しいそうです。
コレステロール値の低下は動物実験の効果はありましたが、人での信頼おける研究結果は見当たらなかったとのことです。
またダイエットについても、信頼性のある研究結果は見当たらないとのことです。
エナジードリンク
タウリンに疲労回復効果があるといわれていますが、研究結果はなく反対に疲労の回復効果がなかったという、研究発表が存在しました。
栄養ドリンクのエナジードリンクで疲労回復効果の研究で、効果があるとのことですが、タウリンに疲労回復効果があると、断定はできないのは、タウリン以外の成分が入っているからです。
タウリン配合のドリンク剤とエナジードリンクの違い
昔ながらのタウリン配合のドリンク剤とエナジードリンクの違いは、ドリンク剤は指定医薬品部外品という、医薬品に準ずる位置づけです。
エナジードリンクは清涼飲料水になっています。清涼飲料水はタウリンを配合することはできません。またドリンク剤は効能効果を追求できますが、エナジードリンクは直接効果効能を追求することはできません。
タウリンの配合を求めるなら、効果効能は旧来のドリンク剤の方が確かです。
タウリンを多く含む食品
野菜の様な植物以外の殆どの生物に存在していますが、とりわけ貝類・イカ・タコ・魚の血合いなどに特に多く含まれていて、牡蠣は100g中1,130mg・ハマグリは1080mgと特に多く含まれています。
- 真蛸・・・・・900mg~1670mg
- サザエ・・・・1500mg
- ミル貝・・・・730mg
- ヤリイカ・・・700mg
- ホタテ・・・・670~110mg
- ホッキ貝・・・606mg
- ハマグリ・・・550mg
- ズワイガニ・・490mg
- 赤貝・・・・・430mg
- スルメイカ・・360mg
- アジ・・・・・263mg
- イワシ・・・・235mg
- ホッケ・・・・220mg
- アサリ・・・・210~420mg
- ブリ・・・・・180~670mg
- カツオ・・・・160~830mg
- カキ・・・・・70~1180mg
タウリンの食品成分の摂取量
タウリンの一日の摂取量は、一日500mgが必要となります。しかし私たちが普段食事に摂取している量は100~300mg程度と言われていて、とても足りていません。
一日に摂取する量の目安として、牡蠣なら3個、イカ・タコなら90g、エビ3尾、ホタテ3個ほどになります。
しかしタウリンは水に溶けだす性質があるので、料理などで出たスープも一緒に取らないと、必要量に可なり足りなくなります。ですからスープなども一緒に取る事が必要となります。
タウリンは焼くと3割、煮ると5割減りますので、溶け出した煮汁も飲まないとタウリンの成分を必要量取る事が難しくなります。
副作用
タウリンは食事から摂取する分には問題がないようです。しかしサプリメントなど研究の中で副作用が報告されています。
吐き気、下痢、便秘、発疹などの報告がされていますので、特に妊娠・授乳の方、双極性障害(うつ病)の方は特に注意してください。
また1日に14gという、とても量の多い摂取量で、脳症というとても危険な病気との関係が報告されていることもある様ですので、サプリメントや健康食品などでタウリンを摂取するときは、とても注意が必要となります。
タウリンの過剰摂取と欠乏
タウリンは過剰摂取しても良いといわれていますが、副作用も実際出ていますので、やはり生活の中での食事からとる分は心配いりませんが、サプリメントなどは副作用の可能性もありますので、注意が必要です。
タウリンの過剰摂取
タウリンを過剰摂取すると、不要なものは尿などと一緒に排泄されます。しかし魚介類の中にはコレステロール値の高いものが多いので、食べすぎてコレステロール過多になる事もありますので、注意して適量を取る事に心がけましょう。
またタウリンは胃酸の分泌を盛んにします。ですから牛乳などと一緒に取ることで、潰瘍への予防策となりますので、牛乳や他の食品と一緒に摂取することが、より効果をもたらします。
サプリメントなどで過剰摂取する場合は良くありませんので、配合されている他の成分を良く見て一日の摂取量を必ず守ってください。
また解熱や鎮痛剤として、アスピリンを服用している方は、タウリンの摂取を控えてください。
タウリンは摂取すると、代謝が比較的早い段階で行われるので、過剰摂取は余り心配する必要はないようです。サプリメントなどの摂取方法には気を付けてください。
タウリンの欠乏
タウリンが欠乏すると、生活習慣病のリスクが高くなり、動脈硬化や高血圧などの心配をしないといけなくなります。
脂質の消化や吸収がうまくできなくなる、肝機能低下が考えられる危険性がでてきます。タウリンは目の網膜を守る働きがあり、タウリンが欠乏すると、目の網膜の機能障害が起こる可能性が出てきます。
まとめ
如何でしたでしょうか?エナジードリンクが出てからCMの宣伝が良いため、タウリンの効果が必要以上に強調され、販売に繋がっていますが、タウリンの実際の効果効能は、まだはっきりとしたことが分かっていません。
食べ物から摂取することは必要ですが、くれぐれもサプリメントの摂取には注意してくださいね。
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