子供たちに「お弁当の具の中で、好きなものは何?」と尋ねると、必ず上位に挙がるのがソーセージでしょう。あのプリっとした食感とジューシーな味は、多くの人をトリコにしています。
ところが、2015年10月、WHO(世界保健機関)の専門組織から、衝撃的な報告がなされました。それは、「ソーセージには、発がん性のリスクがある」というものです。
一方で、この発表に疑問を投げかける声もあるようです。
いくらソーセージがおいしいとはいえ、発がん性があるというのが本当なら、困ってしまいますよね?
そこでここでは、ソーセージをはじめとする加工肉の発がん性について、ご紹介いたします。
◆ソーセージとは?
ソーセージとは、豚や牛の腸に、塩や香辛料で味付けをしたひき肉を詰め、煮たり、燻製にしたりして作った加工肉です。
他にも、鶏肉を使ったソーセージや、魚肉ソーセージなども売られています。
ソーセージの語源は、ラテン語の「salsus」(塩漬けした)という言葉のようです。そういえば、英語でも、塩のことを「salt」と言いますね。
○ソーセージとウインナーの違いは何?
ところで、このソーセージと、スーパーなどでよく見掛ける「ウインナー」との違いは何なのでしょうか?
一見すると、どうも名前が違うだけで、同じように見えますね。
そもそもソーセージは、腸詰めにした加工肉一般を言いますが、ウインナーは、そのソーセージの中の一つの種類です。
ウインナーとは、本来は、「ウインナー・ソーセージ」の略で、「ウィーン風ソーセージ」という意味で、ソーセージには他にも、フランクフルトソーセージや、ボロニアソーセージなど、いろんな種類があります。
そういえば、昔、喫茶店などで、「ウィンナ・コーヒー」というメニューを見て、「えっ!?コーヒーにウインナーが入ってるの?」と驚いたことがありましたが、注文して出てきたのは、ホイップクリームがたっぷり乗っかったコーヒーでした。これも、「ウィーン風のコーヒー」という意味なのですね。
ちなみに余談ですが、ウィーンには、この「ウィンナ・コーヒー」という名前のコーヒーは存在しないようで、私達がイメージするウィンナ・コーヒーと近いものは、「アインシュペナー」というそうです。
日本では、JASでそれぞれの規格を定めており、ウインナーは「羊の腸を使ったもので、太さが2センチ未満のもの」、フランクフルトは「豚の腸を使ったもので、太さが2センチ以上3.6センチ未満のもの」、ボロニアソーセージは、「牛の腸を使ったもので、太さが3.6センチ以上のもの」となっています。
◆がんとは?
次に、がんとはそもそも、どういうものをいうのでしょうか?
私たちの体は、約60兆個の細胞から成り立っています。それらの細胞は、いろいろな損傷をいつも受けるため、その傷を治す働きが備わっています。
ところが、細胞の遺伝子に異常があると、細胞分裂が無限に続くようになってしまいます。
このようにがん化した細胞の増殖を防ぐため、体には免疫機能があり、常に発生するがん細胞を退治しています。
この働きが、ストレスやタバコののみすぎ、加齢などで弱まっていくと、がんの発生するスピードと、退治するスピードのバランスが崩れ、増殖が進んで生命を脅かしてしまうのです。
日本では、1981年以降、がんは、主要な死因の第1位で全死亡数の30%を占めており、年間36万人以上ががんによって亡くなっているといわれます。
中でも、肺がん、前立腺がんなどと並んで増えてきているのが、大腸がんです。
◆WHOの報告
今回、WHOの専門組織が発表したのは、「毎日50グラムの加工肉(ソーセージなら3本、ハムなら5枚、薄切りのベーコンなら3枚程度)を食べると、大腸がんのリスクが18%増加する」というものでした。
ソーセージなどの加工肉を食べることによる発がん性のリスクは5段階評価で最も高いレベルで、なんとタバコやアスベストと同じだというから、驚きです。
「ソーセージを食べ過ぎないように」との注意を促したのは、WHOの外部機構として1965年に設立されたIARC(International Agency for Research on Cancer・国際がん研究機関)です。
IARCは発がんのメカニズムを解明したり、原因の特定による発がん頻度の抑制という目的を果たすため、化学物質、放射線、ウイルスなどの、発がん性のリスクを評価、公表している組織です。
例えば、身近なものではアルコール飲料やタバコ、車の排ガスなどの評価を行っています。
今回の発表は、「The LANCET Oncology」というがんの専門医学誌に発表されたもので、22人のがんの専門家が、800件近い研究結果を分析した結果から公表しています。
○ソーセージの何がいけないの?
では、どうしてソーセージを食べると発がんリスクが高まってしまうのでしょうか?
これについては、IARCからは明確な説明がなく、あくまで統計的な数字として公表された報告です。
そのため、この調査報告に対して、「ソーセージ大国」ドイツの食肉業界からは、強い反発が起こっているといいます。
一方でIARCは、ソーセージなどの加工肉には、栄養価があることも認めており、「利点と危険のバランスを取った食事が大切だ」とも述べているので、決して、食べてはいけないと言っているわけではないようです。
ちなみに、日本人がソーセージやハムなどの加工肉を摂取する量は、1日平均18g程度と言われており、IARCが公表している50gと比較した場合には約3分の1です。
ただ、あくまで平均摂取量であり、ホットドックを1本食べれば50gは超えてしまいます。
◆危険なのは、食品添加物?
このように、ハムやソーセージ、ベーコンには栄養価があるため、一概に食べてはいけない、というものではないようですが、それらに含まれる添加物には確かに注意が必要です。
○亜硝酸ナトリウム
例えば、ソーセージなどには、亜硝酸ナトリウムという食品添加物が多く使用されています。
亜硝酸ナトリウムは発色剤の一種で、食品が黒ずむのを防ぐために使用される食品添加物です。また、自然界の中でも最強の毒性を持ち、中毒になると30%が死に至ると言われる「ボツリヌス菌」を抑える働きもあるため、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉のほか、いくらや明太子といった魚卵に添加されています。
亜硝酸ナトリウムは、食品添加物の中では特に毒性が強く、ソーセージの原料に含まれる「アミン」という物質と結びついて、発がん性物質であるニトロソアミンに変化してしまうことが分かっています。
ニトロソアミンは強力な発がん性物質であり、嘔吐やチアノーゼ、動悸、血圧降下などを引き起こす危険性もある毒性の強い成分です。さらには、このニトロソアミンが日本人の胃がんの原因になっていると指摘する声もあります。
動物実験では、発がん性がすでに認められており、ラットのエサに、このニトロソアミンをほんの少しずつ混ぜて長期間与えると、高い確率で肝臓がんや腎臓がんになることが確認されているのです。
ボツリヌス菌の危険性に比べれば、亜硝酸ナトリウムを少しぐらい摂取しても、そちらのほうが安全だ、という理由で使われているのですが、そもそも、亜硝酸ナトリウムの致死量は0.18g~2.5gで、猛毒と言われ刑事ドラマでもよく登場する青酸カリの致死量、0.15gに匹敵します。
一つ一つの食品に使われる量はわずかな量でも、この亜硝酸ナトリウムを定期的に摂り続けると発がん性のリスクが高まるため、最もアブナイ食品添加物の一つに分類されています。
○タール色素
子供に人気のタコさんソーセージは、真っ赤な色を指定ますよね?あの、ウインナーソーセージの赤い色は、「タール色素」という食品添加物で付けられています。
着色剤として用いられているタール色素の中でもよく使われれているのは「赤3(赤色3号)」「赤102(赤色102号)」というものですが、実は、その化学構造を見ると、発がん性の疑いがあり、事実、動物実験でも発がん性が確認されていると言われます。
また、これらの着色剤は、子供のじん麻しんの原因になっているとも言われており、皮膚科の間では注意が呼びかけられています。
◆安心なソーセージはどれ?
それでは、添加物の入っていないソーセージを選びたい場合、店頭に並んでいるどのソーセージを食べたらよいのでしょうか?
上に挙げたような添加物を極力摂取しないようにしたい方にオススメしたいのが、グリーンマーク付きの信州ハムのソーセージです。
グリーンマークが付いた商品は、先に述べたような添加物である発色剤や着色料、保存料などを使わずに作られており、若干割高ですが、安全・安心という理由から、健康志向の方に人気です。
またイオントップバリュのプライベート・ブランドである、グリーンアイのソーセージなども、亜硝酸ナトリウムを使用していません。
信州ハムよりもお得で、イオンで手に入りやすいので、こちらのソーセージを選んでも良いでしょう。
他にも、無添加のソーセージはいろいろなところから発売されていますので、自分にあったものを探してみてくださいね!
◆まとめ
いかがでしたか?
ソーセージなどの加工肉は皆に人気の食べ物ですが、健康を害してしまっては元も子もありません。WHOでは詳しい調査がなされているそうですので、もう少し具体的な発表を待ちたいと思います。
いずれにしても、添加物は危険性が高いので、購入するときには食品表示をよく見て、できるだけ添加物を避けた食生活を心がけたいですね!
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