鶏のから揚げやエビフライなどを作ったときに使った油・・・いつまでお使いでしょうか?古くなった油を使って料理を家族に出すのは、妻として、母親として気が進まないものですよね?そんなみなさんに、正しい安全な油の使い方をご紹介いたします。
生活習慣病の原因となる使い古した油
使い回して古くなった油は酸素と結合して酸化します。また、高い湿度の中でも酸化は進みます。特に、食用油のような不飽和脂肪酸は酸化しやすく、体内に蓄積されやすくなります。酸化した油は、酸化臭があり、茶色で粘り気があります。
このようにして、体内に蓄積された古い油は、皮膚にはシミやシワ、くすみの原因となり、消化器系では胃もたれや嘔吐を引き起こし、血管には内部に付着して動脈硬化や血栓の原因となるのです。
使い古した油は、すっかり定着した生活習慣病であるメタボリックシンドロームの典型的な要因の一つなのです。忙しい現代人は、食生活に気を配ることがなかなかできませんが、そんな多忙な中でも、自分の、あるいはご家族の健康に気をつけてはみませんか?
酸化した油の引き起こす身体への影響
それでは、酸化した油は、身体に一体どのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
下痢
古い油は、胃腸などの消化器系臓器に負担をかけます。胃は食べ物を消化できずに小腸へ食べ物を送り、小腸は栄養を吸収できずに大腸へ食べ物を送ってしまい、大腸は食べ物を一刻も体外へ排出しようとします。
そのために、胃腸は消化不良を引き起こし、その結果、下痢の症状を誘発してしまうのです。
下痢の症状が続くと、消化器系臓器にはさらに負担がかかります。そこで、酸化した油を摂取し続けると、下痢の症状は続くことになり、胃腸にはますます負担がかかっていきます。
このような悪循環が継続すると、消化器系臓器の損傷を招いて消化器系疾患の原因となる可能性があります。
脂肪肝
脂肪肝は、30代〜40代を中心に増加傾向にあります。昔に比べて外食が多くなった現代社会では、脂質の多い食事を摂る機会がますます増えてきています。そのような食生活の変遷がこの脂肪肝を増加させている要因の一つです。
その結果、中性脂肪やコレステロールが体内に蓄積されていき、肝臓が肥満状態となります。脂肪肝を放置していると、後述する肝機能障害や肝硬変など、さらなる病気へと悪化する可能性があります。
ただ、身体にはもちろん脂質が必要なので、できる限り、肉類など動物系脂質を避けて魚類などで脂質を摂るように心がけましょう。
脂質のうち肉類などは、中性脂肪やコレステロールの蓄積を促進して、動脈硬化や血栓、心臓疾患の原因となる可能性があります。なるべく、魚類や食物繊維を多く含む食べ物ー例えば、玄米や大豆、あずき、野菜などを多めにとるようにしましょう。
皮膚の劣化
酸化した油が皮膚の表面に現れると、シミやシワ、くすみの原因となります。女性はもちろんのこと、男性でもシミやシワは気になりますよね。かといって、脂質をまったく摂取せずに、乾燥肌となって皮膚のかゆみに耐えられなくなるのも困りものです。
摂取する食べ物に気を配って、そのような症状を避けるようにしましょう。万が一、そのような症状が現れたら、早めに医師や栄養士に相談して栄養相談を受けましょう。
年齢的な側面は否めませんが、きれいな肌でありたいと願う女性の気持ちは、みなさん同じですよね。「美肌は一日にしてならず」です。
まずは食べ物から始めてはみませんか?
肝機能障害
脂肪肝となった肝臓に追いうちをかけるように酸化した油を摂取し続けると、肝機能障害の原因となります。肝臓は、アルコールを分解する大切な臓器ですが、そのような機能にも悪い影響を及ぼします。
問題は、肝機能障害は当初のうちには自覚症状がほとんどなく、本人の知らないうちに病状が進行してしまうという「ステルス性」の病気だということです。「気づいた時には時すでに遅し」とならないように、日頃から健康診断を受診して定期的に自分の身体を検査しておきましょう。
お酒好きの方にとって、肝機能障害による禁酒は辛いですよね。
ですが、せっかくの楽しみなのです。自分の身体をいたわりつつお酒を楽しめるように、日々酸化した油の摂取を避けましょう。
肝硬変
脂肪肝や肝機能を放置していると、肝臓だけではなくその他の臓器にも悪影響を与えることもあります。また、肝機能の障害が進行すると、肝硬変などの病気が発症してしまう時もあります。
肝硬変は、幹細胞が壊死と再生を繰り返して硬くなり、その結果肝臓が小さくなってしまう病気です。肝機能が低下するのはもちろんのこと、倦怠感や疲労感、食欲不振、黄坦などの症状が現れることもあり、そのままだと肝癌となる可能性もあります。
免疫性や細菌性もありますが、アルコール性肝硬変を引き起こす大きな要因ともなります。日本では、ウィルス性肝硬変の次に、アルコール性肝硬変の発症が多いとも言われています。
正しい油の使い方
このように、酸化した油を料理に使い続けることは、あなたやあなたのご家族の身体の健康を蝕んでいく可能性があるのです。ご家族の健康を守るためにも正しい油の使い方を実践しましょう。
酸化に強い油を使う
なるべく酸化しにくいビタミンが豊富な油を使用するようにしましょう。
例えば、大豆油やコーン油、綿実油、菜種油などが身体に優しいようです。また、比較的身近な油には、オリーブオイルやごま油などがあります。オリーブオイルであれば、良質のエキストラバージンオイルなどを少量ずつ買って、油の酸化を避けながら使用するのも良い方法です。
詳しくは、体にいい油と悪い油について!理想の摂取量は?の記事を参考にしてください。
油の再利用
一度しか使用していない油をそのまま捨てるのは、日々節約を心がけている主婦として抵抗がありますよね。でも、酸化した油は使いたくないというのもまた、そんな主婦の本音だと思います。
そんなときは、油を正しく再利用しましょう。
オイルポットや漉し器付オイルポットを使用して、使い終わった油をすぐに保存してを酸化を防ぎます。
- 使い終わった油を漉し器できれいに漉します。
- きれいになった油を冷ましてから、密閉して保存します。
酸化を避けるため、きれいにした油は空気に触れないようにしましょう。
油を再利用する場合は、茶色になったり、酸化臭がするようになる前に廃棄して新しい油を使用するようにしましょう。油の廃棄に困った場合は、油を固形化して捨てる、あるいは近所のスーパーなどで引き取ってもらうなどの方法があります。
ご不明な場合は、お住いの自治体に問い合わせましょう。
良質なタンパク質の摂取
良質なタンパク質を摂取しましょう。
良質なタンパク質とは、ビタミンが豊富で低カロリーです。身体に必要な必須アミノ酸を多く含み、アミノ酸合成の際に身体が必要とします。
脂質を避けながらの良質なタンパク質摂取は、食べ物が限定される恐れがありますが、鶏むね肉など肉類でも問題ない場合もあります。
また、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールを含む肉類やバター、鶏卵、魚卵などはなるべく少なめに摂取しましょう。善玉コレステロール値を上げるためには、緑黄色野菜や淡色野菜をバランスよく摂取して、サンマやさば、いわしなどの魚類や豆乳などを摂取して、ご家族の栄養バランスに気を配ることが大切です。
まとめ
酸化した油を使用し続ける危険性をご理解いただけましたでしょうか?
このように、酸化した油を使い続けることは、あなただけではなく、あなたの大切な家族の健康を損なう可能性があり、様々な病気の原因となるかもしれないのです。「後悔先立たず」ご家族の病気が発症してからあわてて食事療法を学ぶのでは遅いのです。
ご家族の病気が発症してから後悔するよりも、今から少しずつあなたの大切なご主人や子供のために栄養に関する正しい知識を学び、その調理方法や工夫する方法を学び、ご家族が楽しく美味しく食事を楽しめるようになると食卓に笑顔が絶えなくなるかもしれません。