舌小帯短縮症とは?症状や治療方法、手術についてを紹介!

舌小帯短縮症という病気をご存知でしょうか?普段、聞きなれない病気ですよね。舌小帯短縮症は先天的な病気で、お子様をお持ちの方は特に注意が必要です。

  • 「滑舌が悪い」
  • 「舌がもつれる」
  • 「食べ物がうまく飲み込めない」

といった症状は舌小帯短縮症の可能性があります。

今回は、舌小帯短縮症の症状と検診・治療方法についてご紹介致します。

舌小帯って?

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舌小帯短縮症のお話の前に、舌小帯についてご説明致します。舌小帯とは、舌を突き出した時に裏側についているヒモ状のヒダのことです。

この舌小帯は、生まれつき短かったり、先端に近い場所についていたり、個人差があります。
舌小帯が短く、付着異常を起こしている状態を舌小帯短縮症といい、様々な悪影響を身体に及ぼすのです。

舌小帯短縮症の概要

舌小帯短縮症とは、前述したように舌小帯が短く、付着異常を起こしている状態を指します。舌強直症、舌癒着症、舌小帯癒着症、短舌症と呼ばれることもあります。

舌小帯が短い為に、舌を前に突き出したときに、舌がハート型になるのが特徴です。先天的なものといわれていますが、その詳細については未だ不透明です。

舌小帯短縮症の症状

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舌小帯短縮症は舌をどの程度自由に動かせるのか、舌運動の制限の度合いによって、軽度・中等度・重度に分けられます。その付着異常の度合いについて、症状も変化します。

簡単な診断方法をご紹介致します。口を大きく開けて、舌を上顎の方向に持ち上げます。
その際に、舌を1/2以上持ち上げることが出来れば軽度。1/2以上持ち上げることが出来ない場合は中等度。全く持ち上げる事が出来なければ重度です。

症状の程度によって、手術等の治療の有無が決められます。それぞれの症状について、詳しくご紹介致します。

軽度の場合

軽度の場合、舌小帯が通常よりも細いが、舌運動は比較的自由に行うことが出来ます。日常生活に支障はありませんが、ラ行を発音する際に舌がもつれるような違和感を覚える場合があります。

嚥下と呼ばれる、食べ物を飲み下す行為に支障が無ければ治療の必要性はありません。また、軽度の場合は舌運動の訓練で治る場合が多く、手術を要することが無い場合が殆どです。

中等度の場合

中等度の場合、自分の唇を舌で舐めることが出来ないほどに、舌運動が厳しく制限されます。
舌小帯が非常に短い為に、舌を突き出した時に、舌の先端が引っ張られハート型になるのが特徴的です。

ラ行が発音しづらく、早く喋ろうとすると舌がもつれる感じを覚えます。また、ソフトクリームや飴を舐めることが出来ない、という中等度患者の声もあるそうです。

重度の場合

重度の場合は、舌を持ち上げることが困難となります。その為、舌小帯が舌の裏側に隠れて確認することが出来ません。

重度になると、発音障害だけでなく、「食べ物がうまく飲み込めない」といった嚥下障害として認められることが多く、治療による改善が必要です。

舌小帯短縮症の治療方法

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舌小帯短縮症の治療は、前述したように舌小帯短縮症の程度によって有無が決まります。治療方法には、手術と舌運動の機能訓練(トレーニング)によるものの二つに分けられます。

機能訓練による治療

口腔筋機能療法を用いて、舌運動の機能訓練(トレーニング)を行います。口腔筋機能療法は、歯科では噛み合わせの矯正治療としても用いられていて、MFT(Myofunctional therapy)とも呼ばれています。舌、口、頬の筋肉を動かし、正しく使えるように矯正することによって、舌小帯を伸ばします。

症状が軽度の場合は、機能訓練による治療を勧められる場合が多いです。また、手術を要した治療を行う場合も、術後のリハビリとして用いられます。

手術による治療

舌小帯伸展術と呼ばれる、舌小帯を切り、矯正する手術を行います。日本歯科医師会では舌小帯伸展術を推奨しており、保険診療で手術が可能です。

舌小帯伸展術は、局部的な麻酔を用いて舌小帯を切り、ひし形状に広がった傷口を縫い合わせて、舌小帯を伸ばすという方法です。この方法で2~3mm程度伸ばすことが出来ます。
出血の少なく、短時間で施術可能なレーザーによる治療方法もあるようです。

しかし、レーザーによる治療は傷口を焼いただけの治療方法なので、舌小帯の伸び幅が短く、舌小帯を切る治療方法がおすすめです。前述したように保険が利く手術ですので、かかる費用は相場で3000~5000円程度です。

舌小帯短縮症の早期発見

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先天的なものであり、ある日突然、舌小帯が短くなるわけでもないので、軽度の場合は気がつかない場合が多いです。

しかし、治療せずに放っておくと、成熟して行くに連れて歯並び・発音などに影響が出る場合があります。少しでも違和感を感じたり、気になる方は医師への相談をおすすめします。

舌小帯短縮症は遺伝によって決まる?

舌小帯は優性遺伝であり、親のどちらかが舌小帯に付着異常を持っている場合、必ず遺伝するといわれています。

軽度のものを含めると、日本人の8割が持っているとされていますが、そのほとんどが日常生活に支障がなく、治療の必要がありません。医師による過剰診断により、幼少期に舌小帯伸展術による手術をすることも多く、それを非難する声も上がっています。

舌小帯を切除する時期

舌小帯短縮症は必ずしも治療の必要があるとは限りません。医師により、手術を必要とする程度や年齢は異なります。

医師との相談よりも、家族と話し合い、本当に手術が必要かどうかの有無を決めることが大切です。信頼の置ける医師や、評判の良い医師にお願いすることが先決であると言えます。

それぞれの医者が主張する、手術が必要な時期と、その主張についてご紹介致します。

乳児期という考え方

乳児期(生まれてまもない)場合は、舌小帯も薄く、手術する際に麻酔や縫合の必要性がないためです。以前は、舌小帯が短い赤ちゃんが生まれた場合、授乳困難や呼吸困難を招く危険性があるとして、舌小帯の切除が行われていたそうです。

しかし、近年の医学者の報告書により、その緊急性の有無についての言及がなされ、行われることはほとんど無くなりました。

幼児期という考え方

ある程度成熟し、歯が生え揃った段階で行うことにより、歯並びや噛み合わせが良くなると主張する意見もあります。年齢的に、物心も付き、手術に対して恐怖心を抱く時期でもあります。恐怖心を抱かない為に、安心感を与えるような心のケアも大切です。

大人になってからの手術

舌小帯の切除は、年齢を問わず行うことが出来ます。ですが、成人になって行う場合、発音障害を治すことは難しいとされています。

その理由は、成人になる過程で、どのように舌を使って発声するのか身についているためです。成人の場合は、術後の機能訓練によるリハビリが重要です。医師とのマンツーマンで機能訓練を行うことが出来る病院もあるので、医師とのカウンセリングを行いながら治療を行うことが効果的です。

治療に関する3つのQ&A

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舌小帯短縮症は、普段聞きなれない病名ですので、治療に際してもいくつかの疑問が出てくると思います。医師の説明が専門用語ばかりで分かりづらかったり・・・ 周りに相談出来る相手がいなかったり・・・ 不安な気持ちを抱いたまま、治療に挑みたくないですよね。

Q1:手術を行う場合、入院は必要?

医師によって、入院の有無は様々です。局所麻酔を用いて手術を行う場合、入院は不要です。
局部麻酔での治療が難しい場合、全身麻酔での手術を行うことになります。その場合は入院が必要です。

Q2:手術後に痛みは感じるの?

局所麻酔を行って手術を行う場合、麻酔を打つときに痛みを感じますが、術中に痛みを感じることはありません。手術が終わり、麻酔が切れると突発的な痛みを感じることもあります。

時間が経つに連れて、痛みは引いていきます。それでも痛みが引かない場合は、医師に相談し、痛み止め等を処方して貰いましょう。

Q3:手術後の通院は必要?

通院には個人差がありますが、最低でも、術後に2~3回程度通院する必要があります。舌小帯伸展術による治療を行った際には、約一週間後、縫い合わせた部分の抜糸を行わなければいけません。

成人になってからの治療など、術後の機能訓練(リハビリ)を、医師による指導下で必要とする際も通院が必要となります。

Q4:手術をすると、発音が良くなるの?

手術を行うことによって、舌運動の範囲は広くなります。しかし、必ずしも発音障害が改善されるとは限りません。発音障害の場合は、手術よりも舌運動の機能訓練が大切とされています。

Q5:術後の機能訓練の目安は?

術後、糸抜をした後に舌運動を行う機能訓練を行います。個人差はありますが、1ヶ月に1~2回、術後3ヶ月間の機能訓練が必要です。

まとめ

舌小帯短縮症は先天的なものであり、軽度の場合は気が付かないことが多いです。日常生活に支障が無い場合は、治療の必要性はありません。摂食・発音に問題がある場合、機能訓練で治る場合や、手術が必要な場合もあります。

お子様をお持ちの方は、自身の子供が舌小帯短縮症でないかどうか、気が付いてあげることも大切です。早めの治療を行うことで、歯並びや滑舌の改善を行うことができます。また、症状としては歯科的な問題であるので、少しでも不安な場合は、歯科医に相談しましょう。

舌小帯短縮症は医師によって主張が様々ですので、医師との相談が最も大切です。治療は果たして適切であるのか、医師の過剰な認識による手術ではないのか等、ちゃんとした話し合いの結果、手術による治療を行うようにしましょう。

手術に際しては、「値段が安い」などの安易な理由で決定するのではなく、信頼の置ける医師や評判の良い医師にお願いするようにしましょう。友人・知人などのコミュニティを使って、情報収集を行うことも大切です。

  
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