ひまわりの種が体にとてもよいってご存知でしたか?夏の花の代表とも言えるひまわりですが、種はリスやハムスターのえさ、またはひまわり油に使う、というイメージが大きいかもしれません。ところがひまわりの種、おいしく食べられる上、栄養がすごいのです。
サンフラワーシードとも呼ばれ、ダイエットや生活習慣病に、さらにはアンチエイジング効果や美容効果もあると言われています。具体的な栄養やその効能や効果、食べ方などをご紹介します。
ひまわりの種の栄養と効果
夏の代名詞といえる花、ひまわりは漢字では「向日葵」と書き、キク科の一年草です。夏から秋にかけて高さ2メートルほどになり直径30センチほどの大きな花を咲かせます。ひまわりの種は一輪ごとにだいたい500から3000個つきます。花が大きければ大きいほど種の数も増えます。
種を食べるのは食用ひまわりで、収穫した種は塩で茹でたり煎ったりして食べることができます。
どんな栄養が含まれる?
ひまわりの種はナッツの一種です。
ひまわりの種に含まれる主な栄養素は「葉酸」「鉄分」「亜鉛」「マグネシウム」「カリウム」「ビオチン」「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ビタミンB6」「ビタミンE」「パントテン酸」「トリプトファン」「リノール酸」などが挙げられます。その他食物繊維が豊富であることも特徴です。
ひまわりの種の栄養効果
ひまわりの種に含まれる栄養の効能や効果について、代表的なものをいくつか取り上げて説明します。
葉酸
葉酸はビタミンB群の一種で、水に溶ける水溶性ビタミンです。葉酸という名称はほうれん草からこのビタミンが発見されたことが由来ですがレバーなど動物性食品にも含まれています。
ひまわりの種にはこの葉酸が豊富に含まれています。葉酸は体にとって大切な栄養の一種で、特に妊娠期の女性には欠かせないビタミンと言われています。葉酸は深く代謝に関わり、タンパク質や核酸の合成に働きます。細胞分裂や細胞増殖など、細胞が新しく作られる時に必須のビタミンなのです。またビタミン12と共に働いて、赤血球の生産を助けます。巨赤芽球性貧血という悪性の貧血の予防にもなります。
ビタミンE
ひまわりの種に豊富に含まれるビタミンEは脂溶性ビタミンで、抗酸化作用があります。脂でできている細胞膜にあり、細胞膜を活性酸素から守る働きをしてくれます。老化の要因となる「過酸化脂質」の生成を抑えてくれるので老化防止作用が期待できます。肌の代謝を促すところから美肌効果、さらには美髪効果が期待できます。
そして抗酸化作用が血中にある悪玉コレステロールの酸化防止となるため動脈硬化の予防になります。動脈硬化の予防は心筋梗塞や脳卒中などの病気の予防にもつながります。
また毛細血管を拡張させ、血行を良くする作用もあるため冷え性の改善にも役立ちます。
ビタミンEにはホルモンのバランスを調整する働きがあります。そのため生理痛や生理不順、更年期障害などの症状を緩和すると言われています。女性には特にうれしいビタミンと言えます。
カリウム
カリウムは細胞内液に存在するミネラルで、細胞外液に存在するナトリウムとともにバランスをとりながら体の調節をしています。細胞内液の浸透圧を一定に保つように働いているのです。細胞は血圧の調整にも関わっており、カリウムは血圧を下げる働きをしています。ちなみにナトリウムが多くなると高血圧の原因となります。その際、カリウムはナトリウムを排出させる働きがあるのです。
またカリウムは筋肉でのエネルギーを作るのにも必要です。夏バテなどでカリウムが汗とともに多く排出されてしまうと、ぐったりしたり、足がつったり食欲が落ちたりしてしまうのです。
カリウムの過剰摂取は普通の人は尿とともに排出されるので問題ありませんが、腎臓が悪い人は高カリウム血症になってしまう恐れがあるので気をつけましょう。カリウムの過剰摂取については、カリウムを過剰摂取した時の症状は?予防方法も紹介!を参考にしてください!
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムとともに骨や歯の形成に関わっている大事なミネラルです。マグネシウムは骨や歯に全体の6割が存在しています。
その他血圧の安定や精神の安定、心機能の維持などにも関わっています。これだけ重要なミネラルですが、日本人はマグネシウムの摂取量が少ないと言われています。さらにストレスなどでマグネシウムは減ってしまいますので、積極的に摂りたいミネラルです。
リノール酸とオレイン酸
「リノール酸」や「オレイン酸」は不飽和脂肪酸の1つで必須脂肪酸です。効果としてまず挙げられるのが血中コレステロールを下げる働きです。それにより動脈硬化予防となります。また血圧を下げる働きもあります。さらに皮膚の保湿、髪のツヤの維持、抗炎症作用などのスキンケア効果が期待できます。ひまわりの種は両方の不飽和脂肪酸が含まれていますがリノール酸の方がやや多く含まれています。
不飽和脂肪酸とは常温では固まりにくい油分のことで、リノール酸やオレイン酸など不飽和結合を持つ脂肪酸のことを指します。不飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ9脂肪酸に分けることができます。オメガ3脂肪酸はマグロやイワシなどの魚の油、亜麻仁油などに含まれます。オメガ6脂肪酸は大豆油やごま油など、オメガ9脂肪酸はオリーブオイルなどに含まれます。ちなみに飽和脂肪酸とは常温で固まりやすいバターやラードなどの動物性の脂質のことを指します。
トリプトファン
トリプトファンは人の体に欠かせない必須アミノ酸9つのうちの1つで、ビタミンB16とともにセロトニンを増やしてくれます。セロトニンは心のバランスに関わる伝達物質で不足するとうつ病や不眠症の原因となると言われています。こうしたことからトリプトファンの摂取でリラックス効果が期待できるといえます。
またトリプトファンは睡眠に関わるホルモンのメラトニン、脂肪分解作用を持つナイアシンなどの原料となっています。トリプトファンを摂取することで、セロトニンによる抗ストレス、メラトニンが関わる睡眠、ナイアシンによる肥満予防につながるのです。
亜鉛
亜鉛は骨の発育やたんぱく質の合成に欠かすことができない大変重要な必須ミネラルです。その他免疫の活性化や新陳代謝、抗酸化、アルコール分解などの働きもあると言われています。亜鉛は体重70キロの男性だと大体2.5グラム程度体内に存在していますが、貯蔵ができないため食べ物で摂取しなければなりません。
亜鉛が不足すると「味覚異常」を招くと言われています。口の中で味を感じる「味蕾」は、大変新陳代謝が活発な細胞です。亜鉛が不足すると細胞の代謝に支障をきたすことが原因で味覚異常につながるということなのです。亜鉛が人に重要なミネラルということがよくわかります。
食物繊維
ひまわりの種には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維が腸壁を刺激するため腸の動きが活発になり、便秘の解消につながります。
また、先に挙げたマグネシウムが体内で水分を吸収する働きをしてくれるので、便に水分が多く含まれるようになります。このためさらにお通じが良くなるのです。お通じが良くなれば、結果美肌にもつながることが期待できます。
ひまわりの種の食べ方
ひまわりの種はスーパーに売っている場合もありますが、確実なのは健康食品売り場やナッツ専門ページのサイトで手に入れるのがいいでしょう。ひまわりの種がかぼちゃの種やカシューナッツなどとミックスになって売られているものもあります。いろいろと試してみてください。
また、殻付きのままのもの、炒って塩味をつけてあるもの、炒ってあるが塩味のついていないものなどがあります。殻は食べられないので、剥く必要があります。
ひまわりの種にはいろいろな食べ方があります。いくつかご紹介します。
そのまま食べる
まずは炒ったひまわりの種を買ってきてそのまま食べるという方法。ナッツ感覚で食べられます。
アメリカのメジャーリーガーがベンチで食べているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。中国でもおやつでそのまま食べるそうです。お酒のおつまみなどにも適していますね。
ひまわりの種を取り入れた料理
お料理に使って食べるのもオススメです。いろいろなレシピがあり、自分のライフスタイルや好みで取り入れてみたいですね。
凝ったものでなくても、トッピングに使うだけでも良いので気楽に作れそうですね。
自家製パンに入れる
自家製パンを焼くとき、炒ったひまわりの種を入れると食べ応えのある美味しいパンが焼けます。粉は一般的な強力粉でも美味しく焼けますが、全粒粉を使い他の具材としてかぼちゃの種や黒ゴマなどの雑穀を一緒に入れると、香ばしく噛み応えのあるパンが焼きあがります。
ドイツパンにはひまわりの種を入れて焼いたパンがあり、はちみつやチーズと相性が良いようです。朝やお昼のサンドイッチに合いそうなヘルシーなパンです。
手作りスイーツに
ひまわりの種やその他のナッツ類、レーズンなどを入れてパウンドケーキを焼くのも手軽にひまわりの種を取ることができます。
また、クランベリーやレーズンと一緒にスコーンにしても美味しく食べられます。甘さを自分で調節できるので、好みで加減ができるのが良いですね。パウンドケーキなら小さな子供でも食べやすく気軽にひまわりの種を食べることができそうです。
サラダのトッピングに
そのままひまわりの種を食べるだけではなんとなく物足りない、だけどパンを焼いたりケーキを焼くのは大変、という人には好きなサラダにトッピングして食べるのがおすすめです。
炒ったひまわりの種は香ばしく、どんな野菜とも相性が良くサラダに深みを持たせることができます。オリーブオイルやビネガーをかけるなど、シンプルな味付けのサラダに向いているようです。
スムージーに
いろいろな野菜、果物で作るスムージーにひまわりの種を入れても美味しく食べることができます。ひまわりの種は水に一晩程度浸しておいてからスムージーに入れます。
普段のスムージーがさらに一歩進んだヘルシーなものになります。お通じが気になる人に特におすすめできる食べ方です。朝食にひまわりの種が入ったスムージーを取り入れるといいですね。
パスタのトッピング
いつものパスタに、炒ったひまわりの種をトッピングするだけ。
トマトソースのパスタや、ジェノベーゼのパスタにトッピングすると香ばしくアクセントになり、味にも深みが出ます。また自家製のジェノベーゼを作る時に松の実と一緒にひまわりの種を入れるとさらに味に深みが出ておいしくなります。
自家製グラノーラ
自分でグラノーラを作る時にひまわりの種も一緒に入れて作ります。作り方はいろいろありますが、フライパンで簡単にできる作り方がおすすめです。自分の好きなナッツやドライフルーツで作れるのがいいですね。
オートミールやひまわりの種、その他好みのナッツをフライバンで乾煎りします。そして粗熱をとったらドライフルーツを混ぜます。これらをメープルシロップ、砂糖、蜂蜜、バターなどを煮立たせたところに入れ、よく混ぜて絡ませるだけで出来上がりです。
牛乳をかけて食べたり、ヨーグルトに入れたりそのまま食べたりすることができます。噛み応えがあるので「しっかり噛んで食べる」ということができます。
ひまわりの種は自分で栽培もできる!
自分で育てることもできる食用ひまわり。種を収穫するところまでチャレンジしてみては。栽培するところからやると、いろいろと手間がかかってしまいます。
しかし食べる時の感慨も深く自分で管理しているので安心して食べられるのが良いですね。
栽培してみましょう
食用ひまわりの種が売っているので、自分で植え付け育てることができます。栽培をして花を咲かせ、種の採取、料理までできるのは楽しいもの。
虫害や鳥害などの対策をする必要があるので多少手間はかかりますが、花を楽しめるのも自分で栽培する醍醐味が味わえそうです。栽培そのものは日当たりがよく水はけの良い土があれば意外と簡単にできるようです。鉢植えだと大きく育たないので、地植えが適しています。
種の取り方は?
花が咲き終わり、すっかり下を向いてしまったら茎ごと切り取って日陰で乾燥させます。下を向いた時に種が乾燥している方が、あとで種を取りやすいようです。指で触ってみてポロポロと取れるようなら、種の採取時期と言えるようです。素手では指先などに傷がつくので軍手などをして種を取ります。種は鳥などに食べられないようにしましょう。
そしてさらにその種を天日でしっかり乾燥させます。この時も鳥などに食べられないように注意が必要です。乾燥させたら密閉容器で冷暗所に保存します。あとは殻をむいて自分の好きなように食べてみましょう。
ひまねりの種は食べ過ぎには注意!
こんなに体に良いひまわりの種も、食べ過ぎはやはり良くありません。適度な量を食べるようにしましょう。では食べすぎることの何が問題なのでしょうか。摂りすぎに気をつけたい点を紹介します。
カロリーが高い
代謝によくダイエットにも良いとされるひまわりの種ですが、実はひまわりの種は大変カロリーが高いのです。ですから食べすぎることは問題です。
1粒あたりの重さは大体0.2グラムでカロリーは1.2キロカロリーです。ひまわりの種は小さいのですが、油も豊富でカロリーが高めな食品と覚えておきましょう。適切な量は1日あたり大さじ1杯分と言われています。
リノール酸の過剰摂取
ひまわりの種に多く含まれ体に良い効果があるリノール酸も過剰に摂ってしまうと弊害が出ます。リノール酸の過剰摂取は、善玉コレステロールを減少させてしまいます。そして生活習慣病の恐れが増えてしまうのです。また摂りすぎることで動脈硬化や高血圧の原因となってしまう恐れがあるのです。
最近の研究では、リノール酸の過剰摂取がアトピーを引き起こしてしまうのではないかというデータも出ています。他の不飽和脂肪酸とバランス良くとりいれるようにしましょう。
ビタミンEの過剰摂取
ビタミンEの摂取量は成人男性では7ミリグラム、女性で6.5ミリグラム程度と言われています。普通に食事を取っている程度では過剰摂取にはなりませんが、サプリメントでビタミンEを飲んでいて、さらにひまわりの種をたくさん食べるなどが加わることで過剰摂取になる危険性があります。
ビタミンEの過剰摂取は胃の不快感や頭痛、むくみを生じさせる危険性があります。最近の研究では骨粗鬆症のリスクをあげるという報告もあります。摂りすぎには注意が必要です。
まとめ
ひまわりの種はピーナッツやアーモンドなど他のナッツ類に比べてまだあまり知られていません。しかし、ひまわりの種には人間の体に良いとされる栄養素がたくさん含まれており、様々な効果が期待できます。そのままでもおいしく食べられるのはもちろん、様々な料理に取り入れやすいのも良いところです。これからは積極的に食べたい食品といえます。
また種を買うだけでなく自分でも栽培にチャレンジして、花を楽しむことができ種を採ることができます。
良いことづくしのひまわりの種ですが、やはり食べ過ぎは禁物。せっかくの栄養素も摂りすぎでマイナスに働いてしまったらもったいないですよね。日々の食生活にうまく取り入れて、ひまわりの種の効果を実感したいものです。
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