ケトン体と聞くと、まず思い浮かべるのが、ココナッツオイルではないでしょうか?またダイエット経験者なら、ケトン体についてご存知の方も、多いかもしれません。
ケトン体の名前は知っているけど、いまいちそれが何なのかというところまで、詳しく分かる人は、数少ないのでは無いでしょうか?
今回ケトン体について詳しく見てみましたので、一緒に見ていきましょう。
ケトン体とは
ケトン体とは、体の中でブドウ糖が枯渇した時に、肝臓でできる物質です。ケトン体はアセトン、アセト酢酸、βーヒドロキシ酪酸の総称ですが、これは肝細胞で作られます。
肝細胞では脂肪酸が分解されてできた、アセチルCoAの一部がアセト酢酸として作られます。脱炭酸によってアセトンとなり、アセトンに還元され、βーヒドロキシ酪酸が作られます。
肝細胞はケトン体を作り出します。自分で消費することはできませんが、体のあらゆる細胞で、消費することができます。
ケトン体はエネルギー源として生成
ケトン体とは、身体の中で脂肪を分解してできる物質で、体内のエネルギー代謝の過程で作り出される、遊離脂肪酸という物質です。これは脂肪を分解するときに生成されます。その代謝産物質がケトン体です。
体内のブドウ糖がなくなり、肝臓でケトン体が作られるために、体の脂肪が燃焼されて、エネルギー源として使われます。
脳はブドウ糖しかエネルギー源として使われないため、ケトン体はブドウ糖の代わりに脳で使われるといわれています。
脳の他に様々な臓器においても使われます。ケトン体は水溶性で細胞膜や、血液脳関門を簡単に通ることができます。肝臓と細胞のない赤血球以外の、心臓や、腎臓、脳、骨格などの臓器に使われています。そしてこれらの細胞のミトコンドリアで代謝されます。
ブドウ糖に変わるエネルギー源として利用され、特に脳ではブドウ糖が枯渇した時の、唯一のエネルギー源となります。
TCA回路
通常は細胞が必要とするエネルギーは、代謝の経路である解糖系がグルコースをピルビン酸や乳酸に分解し、アセチルCoAを経て、クエン酸回路のTCA回路へと代謝されます。
脂肪酸からエネルギーが作り出される場合、脂肪酸が分解され、アセチルCoAとなり、これがミトコンドリアのTCA回路で代謝されます。
このアセチルCoAはブドウ糖が少ない状況では、TCA回路は十分に回らないために、過剰なアセチルCoAは肝臓でケトン体の合成に回されます。
ケトン体は健康な人にとっては、とても安全なエネルギー源です。インスリンが正常に働くのであれば、肝細胞とミトコンドリアがない、赤血球以外の細胞で消費され、しかも日常的に作りだされているのです。
人間の体の中のケトン体
人間の体は栄養が体内に入ってこないと、栄養分を代わりにエネルギーを、消費するようになります。
まず最初はグリコーゲンと呼ばれる糖質を、エネルギーとして使用しますが、これは1日でなくなります。次は筋肉に蓄えられた蛋白質を、糖質に変換してエネルギーに変えます。これがなくなると体は飢餓状態になり、ケトーシスになるのです。
現代は食料に困らなくなった日本ですが、宗教上の理由で断食をする人や、つわりで食事がとれなくなった人などが、ケトーシスになる人もいるようです。
脳はケトン体でも大丈夫?
脳のエネルギー源でもあるブドウ糖をたっても、ケトン体があるので脳は働きます。マウスを使った実験の結果、ケトン体誘導の餌をマウスに与えたら、脳の認知能力が20%伸びたという実験結果が出ています。
ココナツオイルはケトン体の、血中濃度を上昇させます。米国の医学界ではブドウ糖よりも、アルツハイマー病患者に、ココナツオイルを毎日摂取させる研究で、脳の認知機能の改善が著しかったため、ケトン体の方が脳にとって優れたエネルギーであると、みんなが認めるようになってきています。
糖質
糖を過剰摂取すると、脳が糖質の依存症になって、脳が徐々に蝕まれ、糖質中毒に陥ります。糖質を摂ると血糖値が急上昇します。
インスリンは血液中の、ブドウ糖を除去しようとして、大量のインスリンが分泌されます。そうすると血糖値が低下して正常よりも、可なり低い状態になります。
そうする事で脳のエネルギー源となる、ブドウ糖が足りなくなり、脳がガス欠して脳がぼんやりします。
血糖値が急激に下がって、神経伝達物質が作れなくなり、脳がガス欠麻痺をおこすのは、脳の働きに必要なアミノ酸が枯渇するからです。昼食後眠たくなるのは、昼食に炭水化物を摂った結果脳が麻痺して、眠たくなるのです。
ケトン体の効果
皆さんがケトン体の効果を実感したいのであれば、今日の夕食で炭水化物を抜いてみては如何でしょう。明日の朝はスッキリとした朝が迎えられ、顔のむくみもなく、朝一時間ほど早く目覚めるかもしれません。
ケトン体を作り出すには、5時間糖質不足を続けると、5時間ほどで発生しますので、少なくとも24時間以内に、ケトン体の効果が現れるはずで、その効果を実感できるでしょう。
ケトン食は糖質の豊富な白いご飯やパン、麺類、芋類などは取らないようにします。また果糖の多いパイナップルやバナナなども食べてはいけません。あとは何を食べても良いというものです。
旬の野菜と旬の果物・柑橘類を朝食のジュースにして、ケトン体の回路を働かせる事で、ケトン体の分泌が増え安定してきます。
ジューサーでは繊維質が捨てられることになります。ですからミキサーでジュースを作った方が良いですし、皮を含む成分が摂取できる無農薬の果物を選ぶと、抗酸化成分のフィトケミカルを摂取できます。
ケトン体ダイエット
ケトン体ダイエットは考案者のアメリカのロバート・アトキンス氏の名前をとって、アトキンス式ダイエットともいわれています。
筋肉量を落とさないでダイエットできるのは、食事にアミノ酸を沢山含んだ、食べ物を摂取すると、優先してアミノ酸を使用します。
脂肪分解されケトーシスの状態で、主なエネルギー源としてケトン体が、使われるようになるので、ダイエット効果が高くなります。
脂肪も食事中から使用するのではなく、肝臓からもともとあった脂肪を使用する方が早いので、肝臓脂肪が使用されます。
ケトン体ダイエット方法
まず最初に炭水化物の量をダイエット開始から二週間極端に減らします。炭水化物の摂取量を摂取カロリーの5%に抑えます。
この状態を続けて、体調や体重の増減を見ながら、炭水化物の量を最高20%ぐらいまでふやします。
身体をケトーシスの状態にすることで、肝臓の脂肪を分解しエネルギーに使えるようにする、ケトン体ダイエットは、健康体の人なら効果の高いダイエット方法です。
ケトーシスになると、余り空腹感が感じられなくなり、食欲が抑制され、動脈硬化などの予防にもなると期待されています。
ケトン体ダイエットは標準値を超えた、ケトーシスの状態を作り出し、そして脂肪が分解されることで、主なエネルギー源として、ケトン体が使われるためダイエット効果が高くなります。またケトーシスの状態になると、空腹感がなくなってきます。
糖新生とケトン体
炭水化物から作られたブドウ糖が、体細胞のエネルギー源として使われ、これが枯渇した時にブドウ糖は体内にある中性脂肪から作られます。
肝臓で中性脂肪が分解され、グリセロールができこれがブドウ糖の、原料となりグリセロールから、ブドウ糖になる仕組みを糖新生といいます。この他にアミノ酸や乳酸からも、ブドウ糖が作られます。
ケトン体は中性脂肪を分解した後に作られ、ブドウ糖が途絶えた時に、ケトン体が脳のエネルギーとして使われます。
糖尿病の場合インスリンの作用不足により、体内の細胞に血糖が取り込まれなくなります。エネルギー源として血糖の利用ができず、脂肪を分解しその時にできる血糖(糖新生)を利用しますが、この時にケトン体が生成されます。
肝臓で生成されたケトン体は、筋肉や腎臓で再利用されて、筋肉や腎臓で処理能力を超えると、血中や尿中にケトン体が出てしまうのです。
ダイエットの副作用
ケトン体ダイエットの副作用として、ケトーシスの状態になるまで、炭水化物を極限まで減らしますので、体がだるくなったり、頭がボートしたりすることもあります。
ケトン体濃度が血中に高くなると、ケトン体を水分と一緒に体外に排出しようとするので、脱水症状が起こります。さらにケトン体のアセトンが原因で、口臭や体臭が甘酸っぱいにおいがするようになりダイエット臭がでてきます。
血液や体液が酸性になる、ケトアシドーシスを起こす可能性があるのは、酸性のケトン体が増えすぎるからです。
健康な人なら心配はないですが、インスリンが体内で正常に機能しない、糖尿病の方は注意が必要です。
ケトーシス
ケトーシスとは血液の中で増加したケトン指数が、標準値を超えている状態をケトーシスといいます。
ケトーシスというのは、飢餓状態になって何も食べられなくても、ある程度生きていられる、人間の非常手段の最後の数値というものでもあります。
危険度
人間は普通は弱酸性ですが、ケトン体が血液の中で増えてくると、酸性になってしまいます。身体が酸性の状態になると、ケトアシドーシスになります。
ケトアシドーシスとはケトン体が、エネルギーとして使用されず、体に溜まっていく状態のことをいいます。ケトアシドーシスになると、脱水症状や、悪心、嘔吐、腹痛などの症状がでます。
ケトン体ダイエットと糖質ダイエットの違い
ケトン体ダイエットは糖質の量を調味料までも含めて、摂取カロリーの5%と決めています。糖質ダイエット(炭水化物ダイエット)に比べると、その制限はとても厳しいものがあります。
ケトン体ダイエットはとても極端なダイエットを行うため、専門家の中でも意見が分かれています。健康に不安のある人が、試される場合は必ず医師や、専門家のアドバイスを得ながらやる事が大切です。
糖尿病とケトン体
糖尿病の人は中性脂肪が多い状態で、脂肪が多いほどケトン体の数も増えてきます。ケトン体ダイエットをしている時、代謝機能が弱まって、高血糖の状態になる為に危険になります。
ケトアシドーシスは腎臓が糖を水分と共に、体外に排泄しようとする働きが増えるため、尿の量が異常に増えて、重度の脱水症状になります。
脱水症状になると血液量が減少するため、高血糖が悪化することになります。インスリンが正常に機能している人であれば、ケトアシドーシスにはなりませんが、何らかの病気を持った人は注意が必要です。
糖尿病とケトン体の関係
特に糖尿病性ケトアシドーシスは、嘔吐などを引き起こし進行すると、意識障害から死に至る事もあるとされています。
この時に吐く息はアセトンが含まれ、知らぬ間に糖尿病になっていることもあります。過度のダイエットを行うことで、危険性が考えられますので、過度のダイエットは慎みましょう。
糖尿病になると尿量も多くなります。多尿になります。そしてのどが渇くので水分も沢山取ります。糖尿病は生活習慣病でもあります。
糖尿病はインスリンが生成されない場合、体内のブドウ糖をエネルギー代謝として使われなくなります。
人は本来ブドウ糖をエネルギーに使っていますが、糖尿病患者はブドウ糖をエネルギーにできないので、脂肪が燃やされます。
脂肪を燃やした燃えカスがケトン体です。この時にもケトン体が作られるため、ケトン体は糖尿病の指標となっています。ケトン体は酸性なのでケトン体が多くなると、血液が酸性になって体調が悪くなります。
尿糖とは血糖が異常に増加し、限界を超えると血液中の糖が尿中に排泄された糖で、血糖値が160~180mg/dLを超えると、尿糖が尿に検出されます。
ケトン体をコントロールするには
ケトン体をコントロールするには、脂肪がありすぎるのも、ケトン体を増やしますが、糖質制限しすぎると、またこれもケトン体を増やしすぎます。
ですからケトン体の数値を確認しなければいけません。その為には血糖値の検査だけでなく、糖質検査などして、ケトン体の量や血液が酸性になっていないか、定期的に調べる事が必要となります。
糖尿病の予防には
糖尿病の予防は生活習慣の、見直しから始めないといけません。まず食事から毎日三食を腹八分目に食べ、ゆっくりと噛んで野菜から食べるようにします。
糖尿病の予防は血糖値を急上昇させない事で、食物繊維などのお野菜や海藻類、キノコなどは積極的に食べる方が良いでしょう。
また運動することで血糖値を、下げる事が出来ますので、ウォーキングなどの有酸素運動を、15分から30分で良いのでやると良いです。血糖値の上昇を抑えるには、食後1時間ぐらいたってから運動すると効果が挙げられます。
糖尿病になって人工透析にならない前に、糖尿病の予防の為に毎年1回の健康診断はきちんと受ける事が予防に繋がります。
糖尿病の検査
糖尿病の検査には血液検査と尿検査があります。血液検査は血糖値の検査です。ケトン体は糖尿病の検査などにも使われてます。
一般の健康診断では見られませんが、糖尿病の検査項目に入っている、ケトン体の血液検査があります。
尿検査はタンパク尿が降りてないか調べ、タンパク尿検査が有効で、陽性になったら体が浮腫みます。早期の腎臓異常検査を調べるには、微量の蛋白尿でも高感度の検査法で見つけ出します。
血液検査
ケトン体血液検査は
- 定量法・・・・精密な生化学分析機で測定し、正確な定量値を検査する
- 定性法・・・・簡単な血清定性試験紙を用いて検査する、検査紙を用いる方法です。
ケトン体とココナッツオイル
ケトン体とココナッツオイルは、気っても切り離せません。まずココナッツオイルは、飽和脂肪酸に分類されますが、しかしココナッツオイルの約70%は「中鎖脂肪酸」と「短鎖脂肪酸」で残りが不飽和長鎖脂肪酸です。
中鎖脂肪酸はバターやラードなどの長鎖脂肪酸よりも、消化吸収が4倍速く、代謝は10倍の早さ分解・脂肪燃焼され、短鎖脂肪酸は腸の働きを活性化させます。
ココナッツオイルを摂取しても、直接肝臓に運ばれて速やかに分解されるため、体に脂肪がつきにくいとされています。
また中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸の酸化燃焼を助けるので、体脂肪も一緒に燃やす働きがあります。ココナッツオイルには、中鎖脂肪酸という、ケトン体を産生してエネルギー源になるという特徴があるため、ココナッツオイルを食べるだけで、ダイエットできるのです。
まとめ
如何でしたでしょうか?ケトン体について見てきましたが、糖尿病の人はケトン体ダイエットをすることで死亡にもつながりますので、ケトン体とインスリンの関係を良く知って、無理なダイエットは専門家の、アドバイスを受けながらやってくださいね。
ケトン体ダイエットについては、専門家の中でも意見が割れているようですので、行う時は慎重に行うことが大切です。
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