ついつい癖で指をポキポキと鳴らしてしまうことってありますよね。
小さいときから指をポキポキ鳴らすことが習慣になっていたりすると、その癖を治そうとしても中々治せるものではありません。初めは関節を鳴らす時に痛みが走っていたものですが、長期間慣らし続けていると、痛みを感じなくなり寧ろ鳴らすことが指の体操のような感覚になってきますよね。
そもそも、指がポキポキと鳴るメカニズムは?体に悪影響ってあるの?と疑問に持つ方も多いと思います。
実は最近まで、この指がポキポキと鳴る原因は解明されていなかったのです。今回は指がポキポキと鳴る原因(メカニズム)と、鳴らすことによって及ぼす体への悪影響をご紹介したいと思います。
指がポキポキと鳴る原因
関節をポキポキと鋭い音で鳴らすことをクラッキングもしくはキャビテーションといいます。このクラッキング音は指だけでなく、首、顎、足首、膝などの多くの関節で可能です。
しかし、この音はどのようなメカニズムで鳴るのでしょうか?疑問ですよね。はじめに、そのメカニズムについてご紹介致します。
音の秘密は関節の隙間
そもそも、関節というのは、骨と骨が連結した部分の総称です。関節があるおかげで、我々は腕を曲げたり、歩いたり、複雑な動作をすることが出来ます。
音の原因を探るには、この関節について詳しく知る必要性があります。
関節内部は関節包と呼ばれる、袋状の細胞に包まれていて、関節包の内部は、関節の動きを円滑にする役割を担う関節液に満たされています。この関節包と関節液(潤滑液)が作用して音が鳴るのです。
関節全てに関節包と関節の潤滑液(関節液)は存在しているので基本的にはどこの関節でも同様の原理で音を鳴らすことが出来ます。
音の正体は気泡の破裂音
体を動かしていると、代謝の影響で自然と関節包の中には気泡(空気)が溜まります。
指をポキポキと鳴らす際、どちらか一方に指を曲げて鳴らしますよね。この指を曲げた際に、溜まった気泡が圧力変化に耐え切れず一気に骨と骨の間をすり抜けて移動します。この時、気泡がパチンと弾ける音が、骨に反響してポキポキという音になるのです。
ワインのコルクを開けた時や、ビンの蓋を開けた時になる「ポン」という音と、メカニズムと同じです。
潤滑液の正体
関節の潤滑液の正体はヒアルロン酸になります。ヒアルロン酸は非常に保水力に優れた成分でヒアルロン酸1gあたり6Lの水を吸収することが出来ます。
関節におけるヒアルロン酸の働きは潤滑液としての働きが主になっていて関節同士の摩擦を軽減し動きを滑らかにする働きがあります。この潤滑液の中に空気が溜まってきてしまうことで、関節の音がなりやすくなります。
しかし加齢とともに30代からこの潤滑液の量は減少するため関節の働きが弱まるとともに、空気も溜まりづらくなります。
続けて鳴らせない理由
ポキポキと鳴らして、もう一度同じ関節を鳴らそうと思っても、時間をおかないと鳴らすことが出来ません。
これは先ほど紹介した音の正体である気泡が、元の状態に戻るまでに時間を要するためとされています。音の原因を知ると、続けて鳴らせない理由も自然と理解できますね。
骨を慣らしている人たちの感覚的には1時間以上の間隔が空けばまた関節が鳴らせるようになる事が多いようです。3時間以上の感覚を開けると、ほぼ全ての指の関節で音が鳴らせる様になります。
ピークは20代
身体の関節を長期間鳴らし続けていると、徐々に身体の関節全体が鳴りやすくなっていきます。どこの関節もポキポキと気持ちよく音を鳴らして鳴るようになり、痛みも感じなくなります。逆に鳴らすことで一時的に凝りが解消される感覚になるという人も居ます。
この現象は10代から始めた人では20代にピークを迎え、以降30代から40代も同様に鳴り続けます。その後50代に差し掛かると音が鳴りにくくなってきます。
関節軟骨や椎間板などの老化により含水量が少なくなったり、靭帯などが固くなることによりだんだん関節の柔軟性が無くなり、音が鳴りにくく鳴るためです。結果一般的には老化とともに指などの関節を鳴らすことは難しくなってきます。
人体への悪影響
指をポキポキ鳴らすと「指が太くなる」というのは、誰もが聞いたことがあると思います。
しかし、本当なのか嘘なのか曖昧な情報として認識している人も多いはずです。また、指が太くなる以外に、人体への悪影響はないのでしょうか?
一日に数十回と、頻繁に鳴らしてしまう癖がある方は注意が必要です。
お次は、人体に及ぼす悪影響の具体例をご紹介致します。
指が太くなるのは事実
「超回復」という言葉をご存知でしょうか?
筋肉を成長される筋トレなどの話題でよく耳にする単語ですよね。筋肉痛の原因としても知られています。筋肉に負荷がかかると、傷ついた筋肉を修復する為に、その部分をさらに強くしようとする作用が働きます。
指をポキポキと鳴らすことによって、指の関節にこの超回復と同じ作用が働き、指が太くなるのです。
- 指をポキポキと鳴らす
- 気泡が破裂し、関節に負荷がかかる
- それを修復しようとする力が働く
- 以前よりも太く、丈夫な関節が形成される
上記のようなフローで、指が徐々に徐々に太さを増していきます。
個人差もあり、一概に全員が太くなってしまうとは言えませんが、頻繁に指を鳴らす癖がある人は注意が必要です。
指の関節を鳴らし続けている人たちが、指の関節の形状がいびつになっていると口をそろえていっているのは間違いない事実です。さらに手の形状がいびつになることだけでなく、他の問題も引き起こってしまいます。酷いケースでは、指の形がツチノコのように第二関節が異常に膨張してしまっているケースも確認されています。
個人差がある症状である事は事実ですが、太くなることとの関係は否定できないでしょう。
握力が低下する
指をポキポキと鳴らす際に、軟骨や靭帯が傷つき、握力が低下するという研究結果があります。
長期的なスパンで見た際の研究結果ですので、頻繁に鳴らす癖があったとしても、若い方には実感として感じられないかもしれません。さらに握力がもともと強い人は他の要因が絡み握力が低下しにくい、もしくは指を鳴らすだけではよっぽどの関節の問題に繋がらないでしょう。もともと力が強い人が鳴らすイメージもありますし、そういった人には当てはまらないかもしれません。
逆に握力の弱い人や関節が強くない人が長期間鳴らすと、関節炎などの症状が引き起こりやすくなって結果的に握力が落ちやすくなる可能性が高と思われます。
さらに、年を重ねるごとに握力低下だけでなく、様々な後遺症を伴う危険性があるので注意が必要です。
関節炎になる危険性
ポキポキと鳴らす行為は、少なからず関節に負荷がかかります。鳴らす際に軟骨が磨り減り、炎症を起こしてしまう危険性を生むのです。
しかし、米国の医学雑誌において「鳴らす行為と関節症の間に因果関係はない」という調査結果もあります。また、60年間自分の手を鳴らし続けて実験した研究者も実在しますが、結果的に、関節炎との関連性を見出すことはできませんでした。
両者の因果関係は、未だ不透明ですが、多くの専門家は長期的なスパンで見ると人体への悪影響につながるという見解を持っているようです。特に、関節を鳴らした際に痛みを伴う方は注意が必要です。一度、医者による診断を受けることをおすすめ致します。
整体師など殆どの専門家が口をそろえて関節を鳴らすことには警鐘を鳴らしていて、止めたほうが良いと言っています。現時点では確実な因果関係は発見されていませんが、もし止められるのであれば止めたほうが良いでしょう。
指以外の関節を鳴らした場合の悪影響
指をポキポキと鳴らすだけでなく、腰、顎、首をポキポキと鳴らす癖を持っている方もいると思います。
顎を鳴らしてしまう、もしくは鳴ってしまう癖がある人は顎関節症の危険があります。
顎関節症は生まれつきの噛み合わせの悪さや、歯ぎしりなどのいくつもの因子が積み重なって発症するといわれています。顎を鳴らす行為も、その因子のひとつです。
また、一番注意が必要なのが、首を鳴らす癖がある人です。首は、脳に近い位置にあり、脳からの命令を各部位に伝達するための神経が通る場所でもあります。
首の側面には、頸動脈と椎骨動脈という動脈がそれぞれ一対、合計で四本通っています。
首の関節をポキポキと鳴らすことによって、これらの動脈の血流・血圧に変化を及ぼしこれによって、頭痛を引き起こしたり、最悪の場合、脳卒中などに繋がる危険性もあります。
何度も首の関節を鳴らすことが癖になってしまっていた人が、急に首や下半身に違和感を感じて病院に掛かるというケースも稀に起こっています。整体について勉強したことのある人なら誰でも知っていることですが、関節を鳴らすことは非常に危険な行為です。
昔の整体院や整骨院などの治療方法でボキボキ音を鳴らす方法を行っていたところもあったようですが、脊髄損傷や下半身麻痺や手足の痺れなどの相談件数が増えてこの様な方法での治療は現在では厚労省から危険のため中止するように通達されています。
ポキポキと鳴らしてしまう理由
そもそも、何故、ポキポキと鳴らしてしまうのでしょうか?
意識の外でやっていたとしても、心理的な作用が働いている場面が多いようです。心理学的にその行動理由を見ていきましょう。
ストレッチ効果
何故、指を鳴らすかと聞かれれば、やはり気持ちいいの一言につきますよね。事実、関節をポキポキと鳴らす行為は、ストレッチ効果があるとされています。
仕事や、勉強をしている合間などに、意識せずにポキポキと鳴らしてしまう方が多いと思います。これは、どこか体の部位を動かすことによって、心をリラックスさせる、貧乏ゆすりをする時などと同じ心理作用が働いているのです。
また、何度もポキポキと鳴らす行為を続けることによって、脳がその音を「心地よい音」として認識しているケースもあります。
指をポキポキと鳴らしている最中に、なかなか鳴らない指があったりすると、不快に感じてしまったことはありませんか?それは既に、ポキポキという音を脳が「心地よい音」として認識している何よりの証拠なのです。
指を太くしたい
骨を鳴らすと指の関節が太くなると言う情報を既に知っている人であれば、この様な理由も考えられます。人によっては太くなる事がデメリットではなく寧ろメリットになる場合も考えられます。
女性ではデメリットにしかならないものですが、特に男性の場合では、細すぎる指はかえって弱々しく見えたりすることもあると思います。関節が太くてゴツゴツした手の方が男らしくて格好がつくのではないでしょうか。
指を鳴らし続けることで指の関節が太くなることを狙って指を鳴らしているひともいるかもしれません。
威嚇行動
威嚇行動として、無意識のしぐさとして指を鳴らしてしまう場合もあるようです。よくアニメなどで、主人公が悪役を倒すときに指をポキポキ鳴らすシーンがありますよね。あれと同じ心理的作用が無意識に働いているのです。
例えば、仕事が行き詰っていたり、アイディアが思い浮かばなかったり、口喧嘩などをしてイライラしていたり・・・
「言われて見ればそういう場面で鳴らしてるかも」程度だと思いますが、なんとなく納得できましたでしょうか?全ての人が当てはまっているとは言えませんが、少なくとも「無意識のうちにそういう心理作用が働いているかも」という認識を持ちましょう。
関節を鳴らす癖を治す方法
指や、その他の関節をポキポキと鳴らす行為が及ぼす、人体への悪影響の可能性は学んだことと思います。無意識にやることが多く、ついついポキポキと鳴らしてしまいますよね。
では、それを止める為にはどうしたらいいのでしょうか?最後に、その方法についてご紹介致します。
「止める」ことを意識する
この方法が一番重要で、一番難しい方法です。前述したように、鳴らす行為を無意識にやっている人が多いと思います。癖なので、意識すればするほど止められないこともあるかもしれません。
しかし、その意識を持たずして止めることはできません。矛盾するようですが、止めるという意識を持つことが何よりも近道です。それでも止められない場合は、医師に相談するのも一つの手段です。
手袋をする
手袋をすることによって、指を鳴らしづらい、いつもと違う手の感覚に違和感を覚えるはずです。無意識のうちに鳴らしてしまうのであれば、意識させればいいのです。ふいに指を鳴らそうと指に手をかけたとしても、止める意思があるならば、その手は自然と止まるはずです。
通気性の良い手袋を家に居るときだけでもつけて意識していれば確実に指を鳴らす機会は減らせるでしょう。いきなり回数を0にしようと思わず、回数を減らすことを意識して見ることから初めてはいかがでしょうか?
ストレッチ方法を変える
指を鳴らしたことのある人にならその快感やストレッチ効果がどれほどの効果があるのかは理解できると思いもいます。5本の指の第二関節と指の付け根の関節が全てパーフェクトに鳴ったときの快感はたまらないものだと思います。
連続で何回鳴るかなどの自分ルールでの遊びを行ったことのある人は多いのではないでしょうか?そんな指慣らしだからこそなかなかやめられないこととは思いますが、これをやめるためには、それにまさるストレッチ方法を生み出すしかありません。
しかも、悪影響のない形で寧ろ指の運動にプラスに働きながら改善できる方法が望ましいです。ここでおすすめしたいのは指前輪しです。普通に指をストレッチするだけでも構いませんが、物足りなさを感じると思いますので、集中力もアップできて、運動にもなって、脳の体操にもなり、器用さアップの効果も期待できる指回し。
さらに筋力アップで握力アップの効果も期待できます。指鳴らしのことなど忘れてしまうくらいに上書きしてしまいましょう。
ツボ押し
リフレッシュ効果や指の疲労感を取り除くために、指回しだけでは物足りなく感じる場合は、ツボ押しを行ってみてはいかがでしょうか?手には沢山のツボが存在します。このツボを押すことで十分なリラックス効果と疲労回復効果を得ることが期待できます。
効果の期待できるいくつかの手のツボを紹介します。
労宮(ろうきゅう)
手を握った時に丁度中指の指先が当たる辺りにある、手の丁度中心部分にあたるツボです。緊張の緩和や疲労の回復に効果があります。
合谷(ごうこく)
親指と人差指の間にあるツボで、2つの指の骨が丁度繋がるところ付近の肉の部分です。あらゆる痛みを和らげてくれる効果や、便秘にも効くと言われています。
心穴(しんけつ)
中指の第一関節の真ん中に位置するツボです。イライラやストレスを解消する効果があります。
神門(しんもん)
手の平の付け根の近くで、小指側に位置するツボです。このツボもイライラの解消やストレスの緩和に効果があります。
その他にも手のひらには全部で21個のツボが存在します。自分に効果のあるツボを探してみるのが一番いいでしょう。気持ちのいいツボをいくつか知っておいて、関節を鳴らす代わりにツボ押しをしてリラックスして行きましょう。
まとめ
指をポキポキと鳴らす行為の原因や、それによって伴う人体の悪影響について学べましたでしょうか?
指だけでなく、関節をポキポキと鳴らす行為は関節に少なからず負荷をかけます。一度、二度ならいいのですが、癖となっている場合はそれが日常的に、数回・数十回と行われることになります。塵も積もれば山となると言いますが、小さな癖の積み重ねが、大きな病に繋がる危険性もあるのです。
また、関節を鳴らす行為は他人を不快な気分にさせるケースもあります。話してる最中などに、指をポキポキとされたら、誰でも嫌な気分になっちゃいますよね。癖がある方は、自分の健康面だけでなく、周りの人間のことも考えて、癖を矯正して治しましょう。
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