ペルテス病とは?症状・原因・治療法を知ろう!似ている病気と予後も紹介!

ペルテス病という名前の病気を、知っていますか?

恐らく、聞いたことがない方が大半なのではないでしょうか。この病気は幼少期の、特に男の子に多い股関節の骨が変形する股関節疾患の名前です。別称では、変形性股関節症の1つとしても分類されます。なんとなく、「骨が変形するだけなら特に問題ないのでは?」と思うかもしれません。

ですが、これは放置しておくと、のちに手術や装具をつけて生活しなければいけなくなるくらい重症になってしまいます。是非、どんな病気なのか、どんな治療をすべきなのかをこの記事でチェックしてみましょう!

変形性股関節症ってなに?

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さて、まず本題であるペルテス病についてご説明する前に、変形性股関節症ってなんでしょう。変形性股関節症とは、なんらかの原因で関節の軟骨がすり減ってしまったり、骨の変形が生じたりする病気の事をいいます。主な症状としては、股関節やひざに痛みを生じる事が挙げられます。治療方法としては、骨を削らない保存的治療と、外科的治療である手術治療の2通りが主になります。

この変形性股関節症はまだ免疫のない乳幼児に発症する事が多いです。関節の使い過ぎ、老化現象等による関節症は、大きくわけて変形性関節症といわれる事が多く、これは比較的年を取ってからの発症となります。詳しくは、変形性股関節症の症状とは?原因や治療法を紹介!リハビリが必要なのはどんな時?を読んでおきましょう。

ある程度変形性関節症についておわかりいただけた所で、変形性関節症の1つであるペルテス病のご説明へと移りましょう。

ペルテス病とは一体なんなのか?

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ペルテス病とは、主に5-8歳頃の年齢の男の子の股関節の骨に起きる病気です。発症年齢のピークとしては6歳が多く、男女比としては6:1の割合で男の子に発症します。

この病気は、成長期の子どもの大腿骨(太ももにある、股関節から膝までの骨)の頭、大腿骨頭を侵す疾患です。股関節は股関節にはまっている、丸いボールのような大腿骨頭とその大腿骨頭がスッポリとはまる、ソケットの役割をした臼蓋骨(きゅうがいこつ)により構成されています。

なんとなくお分かりかとは思いますが、この病気は整形外科に行く事が推奨されます。

なんでペルテス病になるの?

小学校1年生(7,8歳)以降の学童期、思春期からは3方向から血液が入ってきます。それ以前の、生まれてから3.4ヶ月から4歳の乳児期、4-7歳の中間期には、大腿骨頭に栄養を運ぶ血液からしか2方向から入ってきません。更にいってしまえば、中間期では大腿骨頭の中心を担う骨端核という部分には、1方向からしか血液が入りません。

この事によって、大腿骨骨頭の血流や栄養が途絶えてしまい、骨頭が栄養不足となってしまい、壊死してしまう可能性もあります。検査等によっては、別の病気と誤診されることもすくなくありません。その結果、発見が遅れてしまうと骨頭が完全に潰れてしまい、骨頭変形が起きているという事も起こり得ます。この状態をペルテス病といいます。

治療法はどんなものがあるの?

ペルテス病の治療の方法としては、骨切りを行い、骨頭を正しい形に戻す早期治療の手術療法と時間はかかるが確実に治療をする装具療法、経過観察の3つが大きくあります。それぞれ、良い点等ありますが、詳細については後述します。

どうやってペルテス病と判断するのか?

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さて、このペルテス病はどうやって診断するのでしょうか。勿論最初は、患者が症状を訴え始めてからですね。主に患者が症状として訴えるのは、股関節痛、跛行(足を引きずるように歩く状態)、膝関節痛が多いです。

膝や大腿部、股関節を痛がる場合で子どもであればペルテス病である可能性を考え、検査を行います。痛みは軽い場合もありますが、繰り返したり、突然激痛が走ったりするため痛みがあるのであれば、検査へ連れて行きましょう。

具体的な診断方法は?

一番最初に、ペルテス病か否かとして分別するためにする事は「股関節の動きを左右で比較する」という事になります。

片方と異なる動き、或いは跛行をしていたら、ペルテスを疑ってよいでしょう。初期症状から、約一ヶ月も経つとレントゲンやMRIを撮ると左右で起こる変色や骨頭のすり減り等が見受けられます。これは骨頭の栄養が途絶える事により虚血状態となり、大腿骨頭は脆く、変形する事が多いです。

また、骨シンチグラフィを使用した検査により、骨壊死を察知する検査もあります。このようなしっかりとした検査を行いたいのであれば、ペルテス病に対して治療成績のある整形外科、小児科を選ぶ事を推奨します。

ペルテス病、類似した病気に注意!

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さて、ペルテス病の診断法についてご説明しました。

しかし、この検査をしても、似た病気と誤診されてしまう可能性は0ではありません。そこで、ペルテス病と見分けるべき疾患を3つ、ご紹介します。

単純性股関節炎

この病気は跛行を主に症状として発症し、基本的には自然治癒し後遺症が残る事も少ないです。

発症年齢が4-6歳という事で、ペルテス病と発症年齢が被る事から、見分ける必要性が出てきます。これはX線写真を撮る事で、骨に異常が見受けられるペルテス病とは分別する事が出来ます。

化膿性股関節炎

これはいつまでも、本当にペルテス病なのか?それとも化膿性股関節炎なのか?という所は疑わなければいけません。この病気は細菌が股関節内部に入り込む事により生じる病気です。そのため、処置がペルテス病とは異なる為、ペルテス病との分別は不可欠となります。

発症年齢としては乳幼児が多い事もペルテス病と発症年齢が被りますね。風邪など、特別な原因がないのに発熱したりしている際はこの病気が疑われます。そのため、症状としては股関節痛、発熱等が見受けられます。超音波断層像検査等を行うと、濁った水腫が見受けられたり、MRIで病巣が確認されたりと有用な検査があります。診断の過程で疑いがあればすぐさま検査を行う事が求められます。

若年性慢性関節リウマチ

この病気も確かに、発症年齢はペルテス病とかぶりますが、症状が異なる事が多いため、分別がつきやすいです。症状は、リウマチの分類に基づいて変わります。大まかにいうと、1関節以上の関節炎と2週間以上発熱が持続する事があり、他にもリンパ節の晴れや紅斑等が起こります。

このような3つの病気は、ペルテス病に類似している事から誤診とまでいかなくても、診断に躊躇されてしまう事もあります。是非正確な早期診断を受け、治療へ取り組みましょう。

ペルテス病は何故起こるのか?

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このペルテス病は、一体何故起こるのでしょうか?その確かな原因はいまだに解明がされていません。

しかし、乳幼児に頻発に発症する事から胎児として子宮内にいる際に受けた、小さな外傷の繰り返しによる血行障害、幼少期の遊びの延長での怪我、感染症、内分泌障害、両親何れか、或いはそれ以外の喫煙の影響(受動喫煙)等、原因については諸説があります。

また、大腿骨頭がうまく成長しない事によっても発症してしまうため、適度な運動が幼少期に不可欠であるという事が言えるのではないでしょうか。

ペルテス病はどんな治療を行うのか?

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さて、ここまでペルテス病の概要、原因、診断方法等についてご説明しました。先述にあった、治療方法について具体的にご説明しようと思います。

治療方法としては、主に二つ。保存的療法と外科的治療の2つです。どちらの治療方法を選ぶとしても、治療の目的が大腿骨頭の歪んだ形を球形態に近づけ、成人期に変形性関節症にならないようにする事です。

治療方針について、しっかりと話し合っておこう!

また、治療概略を説明された後に、治療方針についてもはなしあっておく必要があります。手術的治療を行うと、どうしても入院やリハビリ期間があるため、子どもが学校に通えなくなり、友人や勉強と離れてしまう、成績が酷く落ちてしまう事もあるため、装具治療を選ぶ方もいます。

しかし、子からしたら「生活環境が変わった」「ママの言い方が怖い」「装具つけてる事でいじめられた」等不安要素により、ストレスを抱えてしまう事もあります。患者本人である子どもと保護者の方、そして医師でしっかりとどういう方針で治療を行うかを決めておきましょう。

経過観察

これは5歳未満で発症した場合に行われる事が多く、大抵は股関節の可動域を保ちながら見守る手法が採用されます。多くの場合はこの方法で最終成績としては良好、つまり丸い骨頭になってくれます。

しかし、思春期を迎えると子どもは、特に男の子であれば運動部に所属する事に多いですね。運動をする上で股関節を使用しないという事はありません。そのため、再発や股関節部分に変形性関節症を発症してしまう事も起こり得ます。

保存的療法(装具療法)

この療法は、装具を着用させる事によって、下肢を特別な位置に保ち、骨を変形矯正する事により、身体に対して負担のないように治療する療法の事を言います。

5歳以降8歳未満の発症である際には、どれだけの骨壊死があるのか、どれだけ大腿骨頭が潰れてしまっているのかによって選択する療法が変わってきます。8歳未満、という定義についてはある調査結果による結果です。8歳代の発症では装具療法を行った症例を検討すると最終成績としては不良である事が増加する傾向にあるため、8歳以降であれば手術的治療を推奨されます。

しかし、発見が早く軽症な状態であったり、ほとんど骨頭が潰れていなければ装具療法であっても良好な成績が得られる事もあります。

装具療法を行う上で大切な事とは?

しかし、重要なのは装具療法を使う上で、患者である子ども自身も含め、患者家族に対して、長期的療法である装具療法を継続できる情熱があるかという点です。

また、この治療技術は、ペルテス病に精通した小児整形外科専門医師の元で行わなければなりません。長期間の療養の中で、保護者が装具着用に対してつきっきりにならないといけない、装具や可動域のチェックや、安静にしていなければいない等活発な時期である子どもをコントロールしていく点でも難しい点があります。

学校に通学する際にも、長期欠席を避ける為に装具療法を選んだとして、関節可動位が制限される事や、友人による非難により子どもがストレスを受けてしまう可能性も捨てきれません。装具療法を選択する際には、様々な事を考えて選択すべきであると言えます。

手術的治療

基本的に8,9歳以降の発症であれば、保存的治療の成績が低下するという事が研究で明らかになっています。また、壊死の状態、装具療法を行えない患者に対しても手術的治療を行います。

手術的治療はその治療方針から、大きく二つに分ける事が出来ます。1つは骨頭を臼蓋に深く包み込んで、骨頭の球体形を積極的に取り戻させようとする事。2つ目は骨頭の変形していない部分を新たに関節として機能させようとする方針の2つが手術的治療としては挙げられます。しかし、後者(手術名としては、大腿骨頸部外反骨切り術、大腿骨頭回転骨切り術等)は骨変化が完成してしまい、壊死も進行しすぎてこれ以上の期待をする事が出来ないと判断された場合に行うため、今回は取扱いません。

患者の年齢発症、骨頭壊死範囲、血液検査や超音波検査等の結果を元にいずれか片方、或いは両方を組み合わせた手術を行います。手術的治療の良いところは、出血が少なく済む事、術後に骨切り部が癒合したら、装具を装着しないでも歩行が出来るようになる事です。約3か月で骨切り部は癒合し、退院して学校への通学も可能となります。

手術を行う上で考えておくべきこととは?

一方、非常に細かい手術を、まだ身体が未発達な幼児に行うという点から、手術が可能な病院も限られてしまうという現実があります。しかし、医師に紹介をしてもらえば、手術を行ってもらえる事が多いため、手術自体は受ける事が可能なのではないでしょうか。

また、手術となると高額な医療費がどうしてもかかってしまいます。しかし、ペルテス病は治療を行わなければ将来的に障害が残ると認定される、「自立支援医療」の対象となっているため、医療費の一部を給付してもらう事が可能です。

診断を受けたら、自立支援医療を受けたいという旨を主治医に伝えましょう。必要書類の中には、医師が用意する診断書等もあります。必要書類について確認するついでに、お住まいの市町村への申請準備を始めてみましょう。

1大腿骨切り術

正式名称を大腿骨頸部内反切り術といいます。これは大腿骨の股関節に近いところで人工的に骨折を起こします。これにより、大腿骨頭の向きを変え、臼蓋の奥に骨頭を埋める事を目的としています。

この術式は大腿骨の骨切り術を行うため、血流改善、虚血状態の改善を招く為骨の修復を加速しているとも言われています。一方で、下肢短縮という脚長差や大転子の変形が残りうることです。が起きてしまうという欠点はあります。

2臼蓋骨切り術(骨盤骨切り術)

これは骨盤骨の1つである腸骨を人工的に骨折させます。その骨折により、臼蓋の向きを変えて骨頭を包み込む手術です。これは先程の手術で挙げた下肢短縮が起きない代わりに、骨の再生速度が遅いという点が欠点として挙げられます。

また、骨盤骨を広範囲にわたり剥離する事、臼蓋を回転させる時に細かい技を使う為、この手術を出来る医者が少ないという点があります。

ペルテス病治療の予後と後遺症

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さて、治療が終わった後はどういう予後を過ごすのでしょうか。実は、子どもの骨は大体15歳位まで成長をしています。そのため、壊死した骨は身体の修復反応により吸収され、新しい骨が再生されます。

しかし、後遺症による股関節の変形や、病気等を防ぐことは難しいです。もう治ったとはいえ、痛みを感じた事を脳は覚えているため、心因性関節炎や血行障害を発症してしまう事はあります。また、女の子であれば骨盤の骨手術を行った影響で子宮頸がんに将来かかる可能性も少なからず存在します。

そのため、後遺症の事を考えた治療概略、治療方針を医師と相談しておくことは不可欠です。

まとめ

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ここまで、ペルテス病について様々な事をご説明しましたね。まとめてみましょう。

ペルテス病とは、変形性股関節症に分類される病気ですね。乳幼児に発症しやすく、特に男の子に起こりやすい病気とされています。この病気は、大腿骨の付け根からある大腿骨頭に血液が上手く回らない事により、最終的には大腿骨頭が壊死してしまう病気です。症状としては、股関節痛、膝関節痛、跛行等が挙げられます。骨に対して異常がないかを診断するために、レントゲンやMRIを使用し、骨の状態を見て診断する事が主となります。

治療する方法としては、「経過観察」と「保存的療法(装具療法)」「手術的治療」が挙げられます。ペルテス病の進行度、年齢、検査結果に基づいてどの方法で治療するかが選択できます。しかし、重症度によっては手術のみの治療になるという事も起こり得ます。予後に関しては良好な事が多いです。

さて、いかがでしたでしょうか。ペルテス病について、ある程度、放置してはいけない病気であるという事がお分かりいただけたのではないでしょうか。もし子どもが膝や股関節の痛みを訴えた際には成長痛等と思わず、小児科や整形外科へ連れて行き、適切な処置を行いましょう。

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