肩甲骨を回すとゴリゴリと音がする。人によってその音の大きさは違うと思いますが、音が鳴るとなんだか驚いてしまいますよね。何かの異常があるのかと思ってしまうこともあるでしょう。
肩甲骨のあたりがゴリゴリと鳴るのは、関節や筋肉に普段から負担がかかっていて、疲弊していることが考えられます。放置しておくと、さらなる症状を招くことがあり、注意が必要です。
では、この肩甲骨の異常の原因。そして症状を改善する方法についてみていくことにしましょう。最近、肩甲骨がどうも痛かったり、変な音が鳴るという人は注意してくださいね。
肩甲骨がゴリゴリと鳴る理由は?
肩甲骨は肋骨の上に位置する骨で、上腕骨と接続されています。肩甲骨と肋骨の間には様々な筋肉があり、上腕の動き、肩甲骨の稼働を広げる役割を持っています。私たちが肩を縦横・左右と広い範囲で動かせるのは自由な関節構造と筋肉のおかげです。
肩甲骨が鳴る原因
さて、ゴリゴリと鳴ってしまう原因は大きく2つ。1つ目は肩甲骨周辺の筋肉が凝り固まっているケースです。筋肉が凝る、とはつまり硬くなるということ。硬くなった筋肉同士が擦れることでゴリゴリと音がなるのです。
この場合、ゴリゴリと何回か擦り合わせていくと、気持ち良さを感じると共に音は小さくなっていきます。これは擦り合わせによって筋肉の凝りがほぐされ、血行が良くなったことが考えられます。
2つ目は肋骨と擦れてしまうことが考えられます。肩甲骨の周りには様々な筋肉がありますが、当然、背骨周囲との筋肉とも繋がっています。この筋肉は凝り固まると肩甲骨を肋骨に押し付けるという性質があります。つまり、背中を抑えられるような感じになるのですね。
その結果、肩甲骨と肋骨が擦れるようになり、ゴリゴリと音が鳴ってしまうのです。このケースでは背中を触った時、筋肉が硬くなっていることがわかります。
ちなみに肩甲骨についている筋肉の中でも特に凝るのが棘上筋と菱形筋と呼ばれる部位です。その他、棘下筋、円筋というのもあります。肩は様々な筋肉によって支えられているのです。
ゴリゴリと伴って起こる症状
肩甲骨がゴリゴリと音を立てる理由を2つ述べましたが、どちらにも共通するのは肩甲骨周辺の筋肉の凝りです。肩の慢性的な凝りがある人は、ゴリゴリとなりやすいといえるのです。そしてこういった人には以下のような症状もよく見られます。
- 肩こり
- 首こり
- 頭痛
- 腰痛
- めまい
- 集中力の低下
肩こりや首こりは肩周辺の血行が悪いため、同時に起こります。そして、頭痛は肩こり・首こりによって肩周辺から血液が十分に送られて来ないので、脳内の血圧をあげるために起こります。腰痛は姿勢が悪い人に多く、猫背であるほど腰痛がひどくなります。
めまいや集中力の低下は脳への血流が不足することが原因です。仕事のパフォーマンスが低下したり、日中眠くなる、あくびをする、睡眠が浅いなどの症状も起こるでしょう。ひどいケースでは吐き気を伴うこともあるので注意が必要です。
生活習慣に隠れたゴリゴリの原因
肩甲骨のゴリゴリの原因は筋肉にありました。では、そもそもどうして筋肉が凝ってしまうのでしょうか。それは日常生活の中に原因があるのです。
具体的には以下のことが考えられるでしょう。
長時間のデスクワーク
現代の仕事のほとんどはデスクワークかもしれません。身体を運動させることなく、1日中パソコンと向き合い、仕事をする。実はこのときすでに、肩周辺の筋肉に負担がかかり、凝り始めているのです。
デスクの上にあるパソコンは少し奥に置いてあります。その画面を見るためには自然と前傾姿勢になります。頭は前方向に、体は後ろにという姿勢になってしまうのですね。
頭が前方向へ行くとそれを支えるために肩の筋肉が働きます。常に緊張している状態ですね。そんな姿勢が何時間も続くと、筋肉はどんどん凝っていってしまうのです。
また、このような長時間同じ姿勢でいることは体の歪みも引き起こします。筋肉には不自然な力が加わり負担をかけ、骨のゆがみを生むことがあるのですね。健康の基礎を築く上で姿勢を良くすることはとても重要なポイントです。
歩いている時の姿勢が悪い
デスクワークでなくとも前傾姿勢であることがあります。それは歩いている時。頭が前になり、背筋が曲がっている。このような時も肩に負担がかかり、凝りの原因になります。
また、この姿勢は腰痛の原因にもなります。上半身の体重が腰に集中するためですね。デスクワークをしているときの姿勢と合わせて、歩行時の姿勢も悪いという人は肩と腰、両方の筋肉が凝ってしまっているので注意が必要でしょう。
スマホの長時間使用
最近ではデスクワークをしない中高生にも肩のゴリゴリが起こるといいます。原因はスマホ。スマホを使う時は、無意識のうちに前傾姿勢となりますが、これが凝りを作ってしまうのです。
胸が内側に入る姿勢は肩甲骨の周辺筋肉のほか、胸筋をも凝らせてしまいます。ずっと同じ姿勢をしているわけですから、筋肉が固まってしまうのですね。慢性的に姿勢が悪い人は体の前後の筋肉が凝っているのです。
また、スマホ以外にも姿勢意識の低下が理由としてあげられます。つまり、外で遊ばなくなり、家に閉じこもりがちになる。その結果、筋肉が使われず、常に緊張している状態が続いているのです。
生活様式が変わり、家に閉じこもり、電子機器を触る時間が増えました。それは良いことのように思えますが、体には負担がかかっていることがあるのです。若いからといって肩こりにならないとは限らないのです。
ストレスによる緊張
人間の体はストレスを受けると筋肉が緊張するようになっています。それは外的刺激に対して、対処しようとする人間に備わった危険対応機能です。体の当たり前の反応です。
しかし、長期的なストレスは体を常に緊張状態にしてしまいます。その結果、筋肉が硬直し、ゴリゴリと音を鳴らしてしまうことがあるのです。自覚もなく凝ってしまうので注意が必要です。
体の緊張は血行を悪くする一方で血圧を上げてしまいます。それは循環器系の病気を招くことがあり、注意が必要です。
姿勢の悪さが招く弊害
肩甲骨のゴリゴリの原因は姿勢に起因していることがあります。普段から猫背だと、体の様々な部分に不調をきたすことがあり、注意が必要です。
姿勢が悪いことは思っている以上に体に負担を与えることがあります。例えば呼吸。猫背の状態では肩が胸の内側に入り込み、肺が十分に膨らむことができず、呼吸が浅くなります。
呼吸が浅くなるということは、脳の活動が低下するということ。日中の集中力の低下、眠気、あくびが出るなどのことが起こります。睡眠不足と思ってしまうかもしれませんが、実は姿勢が関わっていることもあるのです。
また、各関節にかかる負荷が偏ってしまうことがあります。歩行の際、どちらか一方の関節に力が加わり続ければ、そちらだけが悪くなってしまいます。そして、どんどん体の姿勢が悪くなっていくのです。たがか姿勢、されど姿勢。体の状態を決める土台は姿勢にあるのです。
肩甲骨のゴリゴリを放置すると…
肩甲骨の筋肉が凝り固まり、ゴリゴリと音が鳴る。では、その症状を放置し続けるとどのような症状が起こるのでしょうか。実は日常生活に支障をきたすある症状を招くことがあるのです。
四十肩・五十肩の原因に!
肩甲骨のゴリゴリを放置すると、四十肩・五十肩の原因になるといわれています。どちらも肩に異常をきたす症状です。
悪化してしまうと、肩や腕を動かすのが難しくなってしまうことがあります。四十肩・五十肩の主な症状は以下の通りです。
- 肩周辺の激しい痛み
- 肩が上がらなくなる
- 肩が回らなくなる
- 就寝中に痛みが強くなる
初期の段階では肩の激しい痛みを発症します。少し動かしただけで痛みを感じるので、日常生活にかなり負担がかかります。普段の動作をするだけでも一苦労でしょう。
また、就寝中にも痛みが襲ってくるので、十分な睡眠が取れなくなるなります。睡眠不足になりがちで、仕事にも影響を及ぼすこともあるかもしれません。注意が必要です。
四十肩・五十肩は痛みが出る急性期から、痛みが和らぐ時期に移行していきます。この移行期では痛みの代わりに肩が上がらない・回らないといった症状を発症します。関節の可動域が狭くなるので、生活に不自由を感じます。
どうして四十肩・五十肩になる?
四十肩・五十肩で起こる肩の痛みは慢性的な凝りが引き起こす炎症によるものです。筋肉が柔軟性を失い、どんどん硬くなっていく過程で炎症を起こしてしまうのですね。
そして、その背景には先ほどご紹介した日常生活の過ごし方があります。肩を動かさなかったり、凝りがひどくなるような姿勢を続けているとどうしても筋肉が硬くなってしまうのです。
四十肩・五十肩は加齢によるものと考えられがちですが、それに至るまでの普段の姿勢が大きく関係しているといってもいいでしょう。あまりに肩を動かさなかった結果なのです。
詳しくは、四十肩の原因とは?治療法やストレッチの方法を紹介!と五十肩の治療方法は?原因や症状、間違った治し方を知っておこう!を参考にしてください。
慢性的な症状は生活の質の低下に…
肩甲骨は腕を動かす時にとても重要です。肩甲骨に異常があれば、肩を上げることもできませんよね。ものを持ったり何かをするにも辛いものです。症状が進行するとしびれや痛みが激しくなることもあるでしょう。また、肩だけではなく指先にしびれを感じることもあります。
症状を仕方のないことだといって諦めることは簡単です。しかし、生活の質が低下してしまうと何にしてもやる気がなくなってしまうかもしれません。これはなるべく避けたほうがいいでしょう。
肩が痛くて仕方がない。だけど、どうしたら良いのかわからない。そういったときは自分でできるストレッチ法を毎日やってみたり、病院に行くというのも選択肢だと思いますよ。
すぐにできる対処法
四十肩・五十肩を発症し、痛みが起きている時は患部を冷やすことで痛みを軽減できます。炎症症状なので、冷やしてあげることが大事なので。症状で言えばやけどに近いでしょう。
ただ、いつまでも痛みが続いていたり、治る兆しがないようであればきちんと整体院・整骨院で施術してもらったり、医者に診てもらうことが大事です。自分で対処しても悪化する可能性があるので、注意してくださいね。
肩甲骨のゴリゴリとストレッチ法
では、肩甲骨のゴリゴリ症状が起こっているとき、その解消法はどのようなものがあるのでしょうか。
自宅でもできる、シンプルなストレッチ方法やマッサージ方法についてご紹介します。
肩甲骨を回すストレッチ
肩をそのまま回すのも効果的ですが、より筋肉の凝りをほぐす簡単ストレッチについてご紹介します。凝りの具体的な解消方法は以下の通りです。
- 背筋を伸ばします。
- 体の後ろで両手を組みます。
- そのまま両手をあげます。この時、肘は曲げないようにしましょう。
- その状態で肩を回します。10回ほど回しましょう。
- 今度は反対回りで10回回します。
回す時、回すのと一緒に胸を張ったり、反対に肩を胸に入れたりをしてみてください。肩の回りを最大限にするよう意識しましょう。ちょうどSL列車の車輪の動きをイメージしてみてください。ストレッチ効果が高まります。
テニスボールを使ったマッサージ
テニスボールなどの硬い球を使うことでも肩甲骨の筋肉をほぐすことができます。自分ではなかなか手が届かない背中ですが、次のようなことをしてみてマッサージをしてみてください。
- テニスボールを床に置きます。
- その上に背中を向けて寝転がります。
- 肩甲骨が当たる部分にきたら、そのままゴリゴリとマッサージをします。
テニスボールから押される力を調整したいときは、タオルや座布団などを乗せてみてください。またテニスボールだけではなく、ゴルフボールなんかもマッサージとして良い効果を与えてくれるでしょう。
タオルを使ったストレッチ
ちょっと難易度の高いストレッチ法で、凝りが強い人にはあまり適さないかもしれません。ですが、行ってみるととても気持ちいいのでおすすめです。方法は次の通りです。
- タオルを肩幅大に両手で握ります。
- 握ったままタオルを頭上→背中側へ持っていきます。
- その後、背中→頭上→前方へ。これを10回繰り返します。
肩が硬いとタオルの幅を変えずに移動することが困難です。ちょっときついというときは手の距離を離してみてください。あまりやると肩を悪くしてしまうこともあるので、無理をしないようにしてくださいね。
肩甲骨の上げ下げストレッチ
座ったままでもできる、肩甲骨ストレッチをご紹介します。方法は以下の通りです。
- 体の前に両手を出します。
- 肘を曲げ、腕を天井に向けます。
- その状態から肩甲骨を上下に動かします。
肩甲骨全体が動いていることを感じながら1回1回行うようにしてください。きちんと行っていけば、コリをほぐしてくれるでしょう。
入浴をしながらマッサージをしてみる
入浴は体の筋肉の緊張をほぐし、血行をよくする効果的な方法です。入浴しながら肩甲骨をマッサージしてあげれば、より効果が期待できるでしょう。
仕事で疲れていたり、自宅にいる時間が短い人はどうしてもシャワーだけで済ましてしまうということがあるかもしれません。ですが、週に数回でも意識して入浴してみることをおすすめします。
凝らないうちに対処するのも大切
デスクワークをしていて、肩が痛いと思うことがありますよね。その時にご紹介したストレッチやマッサージをすれば、症状はそれほど悪くなることはありません。悪く鳴る前に対処するからです。
反対に痛みを感じても、ずっとそのままにしてしまうと症状は悪化し続けてしまいます。それが何年、何十年と経つことで四十肩・五十肩となってしまうのです。とても辛いですよね。
小さな積み重ねから体の不調は起こります。痛いと思った瞬間に対処する。つまり、ストレッチをすれば不調は未然に防ぐことができるのです。痛みは体からのサインですから、きちんと対処するようにしてくださいね。
肩甲骨とダイエットの効果
余談になりますが、肩甲骨を意識して動かしたり、マッサージをすることはダイエット効果があります。肩甲骨周囲には褐色脂肪細胞と呼ばれる脂肪燃焼を促進する細胞が存在しています。
マッサージ等でこの細胞を刺激することができれば、運動などのことをそれほど気にしなくても、脂肪が燃えやすい体を作ることができます。ぜひ、意識してマッサージをしてみてくださいね。
まとめ
肩甲骨がゴリゴリと鳴るのは自然なことではありません。筋肉なり人なり、異常があることを教えてくれています。音と加えて痛みも感じるようであれば、きちんと治療を受ける必要があるでしょう。
肩コリというのは現代病とも言える症状です。多くの人が肩の重みや痛みを感じ、悩んでいるのです。ただ、その根本は生活環境にあるのです。痛みを解消するためにも体の姿勢や無意識の体勢に気をつけながら、姿勢を良くしていってみてくださいね。
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