偽痛風は通風と何が違うの?原因や症状、治療法を知ろう!レントゲンで検査するとわかる?

偽痛風(ぎつうふう)をご存知ですか?痛風はよく聞きますが、偽痛風は余り聞いたことがありません。偽痛風とは偽という字を書きますので、一体どのような病気なのでしょうか?

偽痛風は痛風とよく似ているようですが、痛風と違ってピロリン酸カルシウムの結晶が、関節に溜まってしまって、関節炎を起こすのです。

痛風は尿酸塩の結晶が関節に、溜まって炎症を起こしますが、偽痛風は痛風の関節に何かが溜まるところで、炎症を起こすのが似ているところから、この名前が付いたようです。この偽痛風は数年前から患者が増加しています。60歳~80歳の女性に多い疾患です。

偽痛風の症状について、詳しく調べてみましたので、一緒に見ていきましょう!

偽痛風とは

膝に水がたまる

偽痛風とはどのような病気でしょうか?痛風とどこが違うのでしょう。

偽痛風と痛風の違い

偽痛風はピロリン酸カルシウムの沈着が原因で、関節が炎症を起こします。痛風は尿酸塩の結晶が、関節に溜まって炎症を起こします。関節が炎症を起こす症状では、とても似ていますが関節に溜まるものが違うのです。

痛風は高尿酸結晶が見られますが、偽痛風は高尿酸結晶が見られないところに、この名がつけられたようです。偽痛風は軟骨に沈着するので、軟骨石灰化症とも呼ばれています。

痛風は多関節に及ぶことはありますが、足や肘に多く発症して、30歳~40歳代の男性に多く発症します。偽痛風は膝関節に多く発症して、60歳~80歳代の女性にやや多く発症します

ピロリン酸カルシウム

さて偽痛風の軟骨に溜まる、ピロリン酸カルシウムとは、どの様なものなのでしょうか?ピロリン酸カルシウムとは、ピロリン酸とカルシウムからできています。

肝臓や軟骨の細胞が、ピロリン酸を作っています。作られたピロリン酸は、軟骨でカルシウムとくっついて、ピロリン酸カルシウムとなります。ピロリン酸カルシウムが、関節に溜まることを、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着症と言う、偽痛風なのです。

偽痛風は軟骨に、関節液中に肝臓や軟骨の、細胞からできたピロリン酸と、軟骨のカルシウムが、くっついてできたピロリン酸カルシウム結晶が、沈着することで発症します。関節に蓄積した結晶は、様々な程度の炎症や、組織の破壊を起こします。

偽痛風の原因

カルシウムイオン

偽痛風の原因は一体何なのでしょうか?

偽痛風の原因はまだはっきりとは解っていません。遺伝のほかに副甲状腺機能亢進が、誘因して起こるとも言われています。ピロリン酸カルシウムの結晶が、関節の軟膏組織に沈着して、その結晶が関節内に、遊離するとそれに反応して、炎症が起こります。

何故炎症が起こるのかは、原因は不明ですが、加齢によって軟骨が痛んだ部分に、ピロリン酸カルシウムの結晶が溜まりやすいので、加齢が原因ではないかとも、思われています。また近年健康志向で、運動療法による高齢者の運動志向から、関節に過度に負担がかけられ、運動後のケアーも放置されているのではないか、とも言われているのです。

現在のところ何故ピロリン酸カルシウムの結晶が、関節に沈着するのかは、はっきりとした原因は解っておりません。

遺伝と副甲状腺機能亢進症

若者で偽痛風を起こす人がいますが、その原因は遺伝性によるものと、副甲状腺機能亢進症に続発するものとがあります。このピロリン酸カルシウムの結晶が沈着しても、発症するのは4分の1程度と言われています。

副甲状腺機能亢進の疾患は、副甲状腺そのものによる異常により、甲状腺ホルモンが、過剰に分泌されているの状態です。血液中に流れる甲状腺ホルモンが、必要以上に産生されるために、血液中のカルシウムが増加して、高カルシウム血症を起こします。これを原発性副甲状腺機能亢進と言います。

また副甲状腺以外に、腎不全などカルシウムの、バランスを崩すものがあります。そのバランスを元に戻そうと、甲状腺ホルモンが過剰に、分泌される場合があります。これを二次性副甲状腺機能亢進と言います。

甲状腺機能低下

偽痛風になりやすい人の中に、甲状腺機能低下の人がいます。この病気は血液中の甲状腺ホルモンが不足した状態をいいます。甲状腺機能低下の人の症状は、粘液水腫ともいわれて、むくんでいるのに、押して離すともとに戻るのが特徴です。朝起きたときは手や顔の、こわばった感じがあります。

酷くなると顔がむくんで、瞼がむくみ、唇が厚くなり、舌が大きくなって粘膜までも、むくむことがあります。粘膜の咽頭がむくむと、しわがれ声になって声が低くなります。

食欲がないのに、体重が増えてきます。新陳代謝の低下により、カロリーの消費低下になって、またむくみのために体重が増えてきます。また胃腸の働きが悪くなるために、便秘がちになります。

新陳代謝が低下するために、全身の熱が生産されるのが少なくなるので、寒さに弱くなり夏でも暑さをあまり感じなくなります。

心臓を包む袋の心嚢に水がたまるため、心臓が大きくなって、脈拍もゆっくりとなります。物事に対する意欲と気力がなくなり、忘れっぽくなったり、どこでもすぐ居眠りをするようになります。言葉もゆっくりした話し方で、言葉がもつれたりします。

月経の量が多くなったり、流産しやすくなります。

変形性関節炎症

変形性関節炎症の人も、偽痛風になりやすいそうです。変形性関節炎症の人は、様々な原因により、関節の痛みや腫れが起こり、しまいには関節が変形してしまう病気です。

変形性関節炎症とは、骨と骨の間にクッションの、ようなものがありますが、これがすり減って摩擦を起こすことで、生じる痛みが出るのです。クッションの役割や、滑らかな働きを、可能しているのが軟骨です。

その軟骨がすり減るのです。軟骨がすり減ると大きな摩擦が生じて、壊れた軟骨の組織などのかけらによって、関節の内側にある滑膜に、炎症が起こるのです。また関節液などの水が溜まって、腫れ上がることもあります。

変形性関節炎症は関節に、腫れや痛みが起こる病気ですが、骨にも影響を与えるようになります。軟骨の下の骨が硬くなったり、骨棘(こつきょく)という、棘のような物が出たりします。

はじめのうちは限られた時に、痛みを感じますが、放置していると関節が変形して、変形した関節は元に戻りません。早めに治療を受けることが大切です。

ピロリン酸カルシウムの結晶がたまりやすい人

  1. 低マグネシウム結晶の人などは、血液中のマグネシウムの濃度が、異常に低い人でこの低マグネシウム結晶の人は、関節に結晶が溜まりやすい人です。
  2. 副甲状腺機能亢進症の人は、副甲状腺ホルモンの過剰の人です。この副甲状腺機能亢進症の人に、結晶が溜まりやすいです。
  3. ヘロクロマトーシスの人は、血液中のカルシウム濃度が異常に高いか、組織内の鉄の濃度が異常に高い人です。このヘロクロマトーシスの人に溜まりやすいです。

偽痛風者の多くの人は、これらの病気の異状は見られません。カルシウムの結晶は、変形関節炎に侵された、関節によく沈着します。

偽痛風の症状と種類

関節痛風邪

偽痛風の症状はどのようなものがあるのでしょうか?

偽痛風の症状

痛風よりも痛みは弱いものの、関節に激烈な痛みや、発熱を伴います。痛みが発する部位は、膝関節に半数以上出ています。関節の腫れや痛み、発赤、熱感がでて、手や足関節にも出現し、発熱や体重減少などの、全身症状を伴うこともあります。

症状は人により様々です膝、手首、足、その他の比較的大きな関節に、偽痛風は痛みを伴う関節の発作が起きます。関節リウマチや変形関節症に似ているのは、腕や足の関節に長引く、慢性の痛みやこわばりがあるからです。

関節に大量のピロリン酸カルシウム結晶が沈着していても、痛みを訴えない人もいます。また発作と発作の間の痛みを、感じない人もいます。偽痛風の突然の痛みの急性発作は、通常の痛風発作よりは、酷くはありません。痛風と同様に発熱することもありますが、また痛風と異なって偽痛風の人は、尿酸結晶の硬い魂の痛風結晶は現れません。

痛みは痛みのある関節の炎症のある間で、関節の炎症が一定の時間の間を、繰り返して発作を起こします。

病原体の種類

偽痛風にはいくつかの病原体が存在しています。

A型:偽痛風発作型

急性期から症状が安定する亜急性の時期まで、関節炎を繰り返します。発生する好発部位は70%以上が膝関節ですが、時に肘、手、足関節にもできます。

B型:偽性関節リウマチ型

関節リウマチと間違うことがあります。比較的慢性的にこわばりがあり、多関節に及んで炎症の非常に強い型になっていて、朝の関節のこわばりが見られます。炎症を伴う数値に赤沈値が亢進して、CRPが陽性のこともあって、関節リウマチと間違うこともあるのです。

C型:偽性変形性関節炎型

圧倒的に膝関節に見られる型で、徐々に進行する慢性関節炎で、急性発作を伴うタイプです。

D型:偽性変形性関節炎型

C形と同じで急性増悪を伴わないタイプです。

E型:無症状

症状がないタイプで偽痛風の50%を占めます。X線上に石灰化が見られるのですが、痛みやその他の症状が無いタイプです。

F型:偽性神経障害性関節症型

高度の関節は、関節が破壊されているタイプです。

偽痛風の検査

血液検査

偽痛風の検査はどのように行われるのでしょうか?

血液検査

まず発作時の血液検査を行います。血液検査では白血球の数が増加しています。

そして赤血球の沈降速度が亢進しています。C反応性たんぱく(CRP)の陽性などが見られます。

それにより炎症が変化しているのが見て取れます。

偏光顕微鏡

このピロリン酸カルシウム結晶は、特別な偏光顕微鏡を使って、痛風の原因となる尿酸結晶と識別することができるのです。

レントゲン写真

X腺写真では関節軟膏や、膝関節の半月板に石灰化が見られます。また肩関節や股関節にも、石灰化が見られます。軟骨にCPPDが付着することで、線状、点状の石灰化像が見られます。しかし骨の破壊像は見られません。

レントゲン写真を撮って、スクリーニングをして振るい分けます。5枚の単純X腺写真で、三角靭帯、骨盤正面、恥骨結合および寛骨臼(かんこつきゅう)を見ることができます。ピロリン酸カルシウム結晶のかたまりは、尿酸結晶と異なって、レントゲンのX線上に写ります。

関節穿刺液検査

関節の炎症を起こしている関節の、関節液を針で吸引して、医師は診断を下します。この方法を関節穿刺(かんせつせんし)液検査と言います。関節の液を検査して、ピロリン酸カルシウム結晶を証明すれば、診断は確定されます。

関節液を針で吸引後に、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着症が認められます。ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着症のことを、偽痛風(CPPD)と言います。偽痛風の診断は、ピロリン酸カルシウム結晶を、関節液中に見つけることで、決定が下されます。

偽痛風の治療

リハビリ

さて偽痛風と診断されたら、どのような治療が行われるのでしょうか?

対症療法

偽痛風の治療は、対処療法が基本となります。対処療法とは関節液を、炎症を起こしている関節に、針で吸引して穿刺排液したり、関節内にステロイドを注射します。

ピロリン酸カルシウム結晶を薬で、取り除く方法は現在ではまだありませんので、炎症を起こしている局所の安静と、痛みをとることが基本として行われます。

急性期には非ステロイド性抗炎症薬の、経口投与で痛みを和らげます。症状に応じて、副腎皮質ステロイド薬や、ヒアルロン酸を関節内に注入します。発熱などの全身症状が現われた場合、副腎皮質ステロイド薬の内服を行います。

慢性化した場合でも、非ステロイド性亢進炎症薬の、内服薬の服用とともに、コルチコステロイド薬の、関節内への注射で注入した治療を行います。

痛みと炎症を軽減するために、非ステロイド性亢進薬(NSAID)が用いられます。また発作の回数を減らすために、コルヒチンの低用量を毎日、口から経口的に投与いたします。

炎症と痛みを軽減するために、関節液の過剰な分を排出させて、コルチコステロイド懸濁液を関節に注射します。

リハビリ

偽痛風がひどい場合は関節鏡で、関節内を洗浄します。また人口関節置換術などの外科的療法も行い、生活習慣の改善や、リハビリテーションなども行っています。

筋力強化訓練や、関節可動域訓練などの理学療法の治療は、関節機能を維持するために役に立ちますが、特定の効果的な長期治療ではありません。

治療のまとめ

すでに破損した関節への変化は、元に戻すことができませんが、治療によって急性発作を止めて、次の発作を予防することは可能です。

シャルコー関節と混同してしまう人が中にはいるのです。なぜなら多くの患者さんは関節に、永久的な損傷が残って、中には関節が非常にひどく、破壊されてしまうからなのです。炎症を起こした関節は、問題を起こすこともなく治癒します。

偽痛風の予防

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偽痛風の予防はあるのでしょうか?

薬による予防

予防としてシメチジン(用品名タガメット)を内服するとよいです。偽痛風の発作が抑えられるだけでなく、沈着した石灰部が溶け出して、薄くなることもあるそうです。

運動による予防

また健康のために運動をすることは良いのですが、やりすぎることで偽痛風を、起こす可能性もありますので、運動は毎日の日課にしないで、2日1度のペースでやるほうが良いです。そして2日1日だと言って、張り切って激しい運動をするのではなく、身体に優しい少し疲れたな、ぐらいの運動をするほうが良いです。

偽痛風予防のためには、運動をした後は必ず関節を冷やすアイシングを行って、熱をしっかりととることが大切です。

ピロリン酸カルシウム結晶を予防する

ピロリン酸カルシウム結晶を、体の中に作らせないためには、変形性関節炎症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下の病気にならないことです。このような病気を持っている人は、偽痛風になりやすいのです。偽痛風にならないためには、このような病気にならないようにして、なっている人はきちんと治療を受けて、これらの病気を治すことが、偽痛風の予防になります。

肥満による予防

関節が痛くなる病気は、偽痛風や痛風に限らず、肥満が大きな原因となっています。なぜ肥満がいけないかと言いますと、体重が重いと関節に負担が掛かりすぎるのです。ダイエットすることで関節の負担が減って、偽痛風の予防になります。

生活環境による予防

バランスのとれた食生活と、適度な運動、規則正しい生活を、心がけることが大切です。食生活においては、肝臓の機能を低下させない、肝臓に負担のかからない食生活を行い、高脂肪、高たんぱくの食事にならないように、食生活を気を付けることです。揚げ物や、スナック菓子、アルコールなどは、肝臓に負担をかけますので、肝臓の機能が低下します。

まとめ

皆さん偽痛風について、少しは知識が広められましたでしょうか?偽痛風は痛風と違って、ピロリン酸カルシウムの結晶が、関節に溜まることで、発症することがわかりました。

原因がまだはっきりわかっていないので、予防はできませんが、今考えられる予防方法として、調べてみましたが、お役に立てることは無かったでしょうか?最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  
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