歩いている時、突然土踏まずが痛くなったことはありませんか?”つった”だけで、痛みが治まれば忘れてしまうことも多いかと思います。
しかし繰り返し痛みが起こる場合、体が何かしらのサインを出しているのかも知れません。そこで今回は土踏まずが痛い時に考えられる原因や症状、改善策についてまとめました。
足の裏は第二の心臓と言われているくらい、重要な役割のある場所です。
また、神経が集中している為痛みを感じやすく、痛いを繰り返す場合は非常に苦痛を味わうことになってしまいます。痛みを軽く流してしまわずに、しっかりチェックしていきましょう。
土踏まずが痛い原因
土踏まずが痛くなる原因を探ってみましょう。
足底筋膜炎
土踏まずが痛い場合に最も考えられるのが「足底筋膜炎」です。
以下が痛みの特徴となります。
- 起床後の一歩目が痛い
- ゆっくり歩く時に痛い
- 長時間立っていると痛い
- 長時間座っていて立つ時に痛い
- 何度もつっている感覚がある
- しびれ等の違和感がある
- 指で押したり、体重をかけると痛い
- 親指を前に反らすと痛い
- 親指の付け根、土踏まず、かかとの三か所を押すと痛い
このように痛みは様々ですが、幾つか当てはまるもの、特に下の二つが当てはまる場合は「足底筋膜炎」である可能性が高いです。
足底筋膜炎は、運動不足で筋力が低下している人が、急に運動負荷をかけることで筋肉が耐えられず、足裏全体にある足底筋膜がダメージを受けて炎症を起こす病気です。
また、特に女性に多い”偏平足”や”開張足””外反母趾”等によって足の裏のアーチ部分が弱り柔軟に動かせない人に起こりやすいとも言われています。
この足底筋膜は足に掛かる重圧を和らげるクッションの役割を果たしています。特に運動不足の人の急激な運動もそうですが、肥満体型で体重が重い人もこの炎症を引き起こす可能性が高くなります。同様に足底腱膜炎や足底筋腱膜炎なども引き起こしやすいので注意しましょう。
整形外科や整形外科の中でも靴外来という部門があるのでそちらを受診すると回復が早まりますが、後にご紹介する自分でできるストレッチやマッサージ等を並行して行い、改善と予防をしていきましょう。
足底線維腫
土踏まずが痛くなる病気で足底筋膜炎と同じくらい多いのが「足底線維腫」です。
聞きなれない病名かと思いますが、その名の通り、足の裏または土踏まずにある足底腱膜という部分を中心に生じる良性の腫瘍のことを言います。
腫瘍というと癌ではないかと怖くなりますが、良性ですので癌化する心配はまずありませんが、稀に悪性化して悪性腫瘍に変異する場合もありますので注意しましょう。
足底線維腫が出来ると、土踏まずにしこりがあることが分かります。立っているだけでも、何かコリコリしたものがあるような違和感があります。そして立った時や歩く時にこのしこりが押し込まれる為、痛みを生じるようになります。
初期段階では皮膚が盛り上がった程度で目立ちませんが、進行と共にどんどん大きくなり、相当な膨れ方をしてきます。ここまで来ると立ったり歩いたりしなくても痛みを感じるようになり、歩行困難になってしまいます。
原因は足裏や足底腱膜への負担や刺激が続いたり、感染によって腫瘍が出来るのではと言われていますが、はっきりとした原因はまだ明らかとなっていません。
腫れがひどい場合は腫瘍の切除手術を行いますが、そこまでひどくない場合は経過観察や靴にパットを入れる等の対応をする等、特に治療は行わない場合が多いです。
とはいえ腫瘍の検査は必要ですので、必ず病院を受診して下さい。痛みが強い場合は薬物治療で痛みを和らげることもできます。
胃腸障害
足裏のツボ押し健康法等、足の裏と言えばたくさんの「ツボ」が集まっていることはご存知かと思います。
ツボは押して健康を促進するだけでなく、体の弱っている箇所が分かるということがあります。
土踏まずの反射区(ツボ)は胃や腸、十二指腸といった消化器官にあたる為、土踏まずが痛い時は胃腸が弱り、消化機能が低下している可能性も考えられます。
土踏まずの痛み以外に胃痛や下痢等の症状がある場合は、暴飲暴食を避け、消化の良い食事を摂るようにしたり、胃を温める等をして胃腸を休ませてあげると良いでしょう。
その他に、デスクワーク等で上半身をかがませる姿勢を長時間続けている場合にも胃腸に負担がかかることがあります。なるべく定期的に伸びやストレッチを行って、負担を和らげることも効果的です。
痛風
痛風の前兆症状としても土踏まずの痛みが生じます。
痛風とは血中の尿酸値が高くなることで血流が悪くなり、結晶化して炎症を起こすことで発生する病気です。
そして痛風の発作の始まりは足の親指の付け根から痛みや違和感を感じることが最も多いのですが、土踏まずから痛みが始まるケースもあるのです。
健康診断で尿酸値が高いという判定が出ていたり、暴飲暴食を繰り返している人は要注意です。
痛風が悪化すると、大人でも耐えられないくらいの激痛に襲われますし、放置して尿酸値を高いままにしておくと、腎障害や尿路結石といった合併症も引き起こしてしまいます。
病院での治療の他、アルコールを控えバランスの良い食事を摂るようにし、適度な運動で肥満やストレスを解消させる等の生活習慣を改善させることが回復への鍵となります。
土踏まずが痛い原因が痛風によるものである可能性を見逃す人が多く居ます。なかなか関連づかないために気づきづらいという事は考えられますね。体型が肥満気味の人や生活習慣が悪い人、何をやっても症状が改善しない人は痛風の可能性を疑ってみたほうが良いかもしれません。
痛風に関する詳しい情報は痛風の症状の前触れって?再発が起きる前に対処しよう!こちらを御覧ください。
糖尿病
少し意外かも知れませんが、土踏まずの痛みは糖尿病による場合があります。
それは糖尿病の合併症として神経障害がある為です。
血糖値が高くなることで血液循環が悪くなり、末梢神経の神経線維にある膜に栄養が行き届かなくなります。そうなると神経伝達機能も悪くなり、痛みやしびれ等の症状が起こります。その他にも喉が渇くや体の怠さなど症状は様々です。
神経障害は頭部から離れている程現れやすいと言われており、その為足裏や土踏まずに症状が現れやすいのです。
なかなか土踏まずが痛い時に自分で糖尿病を疑うのは難しいかと思いますが、総合病院内の整形外科であれば、土踏まずの痛みと共に内臓の検査もスムーズに行うことが出来ますのでお勧めです。
モートン病
モートン病という名前を聞いたことはありますか?
実は女性に多い病気で、ハイヒールや幅の狭い靴を履き続けることで神経が圧迫され発症する神経障害の一種です。
モートン病の痛みは特に足の中指と薬指の付け根が腫れ、指先にかけて”ビリビリ”とした痛みや焼けるような痛み、しびれがあることが主な症状ですが、土踏まずから足裏の上部にかけて痛む場合もあります。
モートン病は合わない靴によって発症する病気ですので、原因となっている靴を履かないようにすることが最も重要な治療方法です。
その他に靴に足底挿板というパットのようなものを貼ったりする保存療法でほとんどの場合回復していきますが、痛みが酷い場合は痛み止めのブロック注射を行ったり、手術を行う場合もあります。
モートン病は酷くなると歩行困難となってしまいますので、早めの治療が大切です。
土踏まずの痛みの解消法
それでは土踏まずの痛みがある場合の治療法や解消法、対処法、また、予防としても使える方法を幾つかご紹介していきましょう。
靴選び
足に負担をかけない為に最も重要なのは靴選びと言えるでしょう。第二の心臓と呼ばれる足裏に負担をかけるということは、多くの神経を圧迫し、様々な病気を引き起こしてしまいます。
デザイン重視で選んでしまう気持ちも分かりますが、やはり実際に履いてみて心地よく歩ける靴かどうかを重視して選ぶことをお勧めします。
特に土踏まずの位置や、足幅がピッタリ合うかどうかはしっかり見るようにして下さい。
せっかく素敵なデザインの靴を購入しても、靴擦れや歩きにくい、痛い等で美しく歩けないのは勿体ないですよね。
インソールを敷く
立ちっぱなしや長く歩くことが続くと、土踏まずに負担がかかります。そんな時は土踏まずのアーチをサポートする為のインソール(中敷き)を靴に敷きましょう。
靴屋さんやドラッグストア、スポーツ用品店等に行くと、様々なインソールが売られています。
幾つか試してみて自分に合う形が見つかると、足の疲れや負担が激減するのを体感できると思います。また、靴底が厚くなることで、歩行の際に生じる衝撃も軽減させる効果も期待できます。ハイヒールや底の薄い靴を履く場合は負担がかかることが多いので、この方法は特にお勧めです。
足底アーチを綺麗に保つことは足の健康のために非常に重要ですので覚えておきましょう。
サポーターを使う
足底筋膜炎等の土踏まずの痛みを軽減するサポーターが販売されています。
幾つか種類がありますが、保温効果があり、土踏まず部分に適度な圧がかかっているものがお勧めです。
冷えてしまうと筋肉が硬くなってしまいますので、保温効果のあるものだと筋肉が柔らかくなり痛みが和らぎます。
また、土踏まずに圧がかかることで動きをサポートとし、歩きやすく疲れにくくなるでしょう。
ただし、サポーターはあくまでサポートする為のものであり、四六時中長期間つけ続けていると動きが固定されてしまい逆に筋肉を傷めてしまう場合もあります。
その為一日中使うのではなく、靴を脱いで家で過ごしている際に装着すると良いでしょう。靴を履いている時は、サポーターではなく上記で挙げたインソールを使用することがお勧めです。
ストレッチ
足裏ストレッチを行うと、痛みの緩和だけでなく疲労回復や炎症の予防にもなります。
即効性もあるので、痛みがある時に是非お試し下さい。
- 椅子に腰を掛ける
- 片足のかかとを地面につけたまま、つま先を上にあげる
- 足の裏を丸める
- そのまま内側に傾ける
- そのままかかとを腰側に引き寄せる
- そのまま上体を足を丸めている側にひねって10秒静止して脱力。
- 反対側も行う
痛ければ無理をせず、気持ち良く筋肉が伸ばせる状態で行いましょう。
整形外科、鍼灸院
自分でストレッチやマッサージを行うことが難しかったり上手くいかないこともありますよね。
整形外科で治療を行うのはもちろん、鍼灸院等でマッサージや鍼を受けることで、悪化する前に痛みや疲れを改善させることができます。
また、土踏まずは体の歪みによって痛む場合がありますので、整体等で歪みの矯正を受けるのも良いでしょう。歪みを矯正すると全身が整えられ血流が良くなりますから、土踏まずの痛みだけでなく、首や肩の凝り、冷え性等の様々な症状を改善させることができます。
併発の可能性のある足裏の症状
主に足底筋膜炎や足底腱膜炎によって足の土踏まずが痛いことで、歩き方が変になったり、別の箇所に負担が集中することによって別の部分に痛みが発生する場合もあります。
足裏のトラブルでどんどん骨や骨盤は歪み全身の不調に発展しかねません。具体的にどのような症状を併発してしまうのかを紹介します。
偏平足
土踏まずの痛みと相互的に関係している症状です。産まれた時はみな土踏まずのない状態で産まれてきます。そこから、歩行が始まり大体8歳頃に土踏まずは整形されていきます。
基本的に8歳を過ぎても土踏まずが形成されない場合は偏平足と診断されます。また中には先天的に遺伝によって偏平足になってしまう人も居ます。その他にも加齢によって筋肉が弱まることでだんだん偏平足になってしまうケースもあります。
このような足の裏の形をしている人は特に足の裏のトラブルを引き起こしやすく、逆に足の痛みによって運動不足に繋がることで偏平足になってしまい、症状が悪化するケースもあります。
歩くのが億劫なら、足のじゃんけんや、足の指で物をつかむ訓練などをすることでリハビリを行うことが出来ます。
開張足
土踏まずのアーチ部分の機能の低下に伴い、同じように五本の足の指を横一列に渡って架かっている横アーチの部分のアーチ機能が弱まり、前足部がのっぺらになり、横に平べったく広がっている状態のことです。
基本的には足はかかと、親指の付け根、小指の付け根の三点で体重を支えています。その三点を緩やかなアーチ状で支えることでそのアーチ部分がクッションの役割を果たしています。この一箇所でもバランスを崩すと他の部分への負担が増え、全体に不良が現れます。
また、土踏まずの以上により、この部分に異常に負荷がかかることにより足の指や付け根の部分に体重が乗り、魚の目やタコが出来てしまう可能性もあります。
変形性指関節症
外反母趾や内反小指という風にも呼ばれる症状のことです。この症状も土踏まずの機能の低下により、親指や小指に負荷がかかる事によって、外反母趾や内反小指が引き起こります。
外反母趾や内反小指はそれ単体だけでも、症状によっては激しい痛みを発し、歩けなくなってしまう程に進行する場合もあります。
特にこの症状はこの二つが併発してしまうこともあり、気をつけて欲しい症状でもあります。また、足でバランスが上手く取れないために、それを補おうとして姿勢が歪み、肩こり、腰痛、頭痛の様な症状も引き起こしてしまいます。
特にヒールなどの靴を履く女性に多い症状で、長時間の足への異常な負荷が原因になっています。
この症状の治療には土踏まずが痛い場合と同じように足のグーパー運動やインソールの使用やテーピングや靴の種類などを変えるという対策が必要でしょう。
足骨骨頭痛
頭痛ではありません。足骨骨頭痛(ちゅうそっこつこっとうつう)と読みます。開張足に痛みの症状が加わった状態がこの症状になります。丁度、足の指の付け根の中央あたりに、痛みが発生している形になります。
この症状もヒールを履く女性に多い症状になっています。特に10cm以上のヒールを履いている人は要注意です。
最初の治療の際は、平べったい靴を履くよりか低めのヒールを履いたほうが緩やかなアーチを形成しやすいため、向いています。しかし症状がひどくなると、低いヒールを履いても痛みが発生するようになります。特に30代40代が分岐点で、足が限界を迎えるケースが多く、この場合はスニーカーを履いて足への負担を軽減したほうが良いでしょう。
靴底が薄すぎるものは負担が大きくなるため、なるべくクッション性に優れているものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
合わない靴を無理に履き続けたり、運動不足、あるいは筋肉を酷使することによって土踏まずに負担がかかり、それを放置することで土踏まずに痛みを伴う病気を引き起こすことが分かりました。また、痛風や糖尿病といった疾患が原因となっている場合もあるようです。
悪化すると歩行困難となり、日常生活に大きな支障が出てしまう可能性があります。早期治療によって問題なく回復できるケースが多い為、痛みを繰り返している場合は放置せずに早めに病院を受診し、痛みがない場合も日頃から歩きやすい靴を履いたり、その日のうちに疲れをとるように心がけましょう。
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