フォルクマン拘縮とはどんな病気?症状や原因は?治療方法や診断方法を知っておこう!

フォルクマン拘縮という名前の病気を聞いたことがあるでしょうか?なかなか聞いたことがない病気だと思いますが、腕の骨折が原因で大きな血管が傷ついたり、ギプスによって圧迫されすぎること発症する病気だといわれており、その発症経路は非常に身近なものだといわれています。

この記事では、そんなフォルクマン拘縮とはどのような病気なのか、そしてその対処法などについてご紹介します。

フォルクマン拘縮ってどんな病気なの?

男性 頭に指

フォルクマン拘縮の発症部分は主に腕や手です。骨折後の阻血性拘縮が原因で、神経障害をきたす後遺症にまで発展するといわれています。

それでは、そもそもの原因となるフォルクマン拘縮の発症はじめ、またその後悪化していくとどのようになるのかをご説明していきます。

骨折後の阻血性拘縮によって発症する

フォルクマン拘縮は主に骨折が原因で発症する病気です。肘を曲げたときに飛び出る肘の骨の少し上の部分を上腕骨の顆上部と呼ぶのですが、その部分の骨折をすると、ギプスで固め、しばらくは動かせないように固めます。

その為前腕の曲げる部分の筋肉が治療中に使われないため、痩せて硬くなってしまったり、手首の手のひら側にまげる指の付け根部分にある関節がそり、硬く固まってしまうという症状がおこります。これがきっかけでフォルクマン拘縮は発症します。

それ以外にも、最近では前腕とひじ関節の周りにある骨の骨折によって筋肉や関節自体が固まることもフォルクマン拘縮とよんでいるようです。この症状がひどくなると、後遺症にまで発展します。

神経障害を起こす後遺症

筋肉や関節が固まると日常生活にも支障をきたすようになりますがその拘縮がひどくなると神経系に麻痺がおこるようになります。

正中神経麻痺、尺骨神経麻痺がおこるほか、手のひら部分の触覚などが障害を起こし、神経障害を発症するようになります。これがひどくなると以前のような正常には戻ることなく、後遺症にまでなってしまうといわれています。

フォルクマン拘縮は何が原因で発症するの?

男性 考える

フォルクマン拘縮を大まかにいうと、腕や指などに通っている神経系が害される運動障害だといえます。この運動障害は主に3つの原因から発症するといわれています。

上腕動脈の循環障害により、血流が遮断されるため

フォルクマン拘縮の原因の1つに、上腕動脈の血流が圧迫されるなどして循環障害がおこり、神経系に血流がいかなくなることで麻痺が発症するといわれています。これは、肘のやや上に上腕動脈という腕の大きな血管が通っています。

その為、骨折することで動いた骨がこの大きな血管を圧迫することがあるので圧迫された部位から先が血流を遮断されやすくなっています。その為、上腕骨の顆上骨折などの肘の骨折などでよく発症するといわれています。

前腕のコンパーメント症候群が原因のため。

コンパーメントとは、筋膜と呼ばれている膜や骨でしきられた筋肉の1区間のことをいいます。このコンパーメント内で出血が起こると、圧力が一時的に上がってしまい血行が滞ります。筋肉内で圧迫された血流により、血液が行き渡らなくなった組織は酸素が得られないためひどい時には壊死することがあります。これをコンパーメント症候群といいます。

骨折などでギプスをはめていると強く圧迫するため、コンパーメント症候群をおこしやすくなります。特に、通常の骨折などの痛みとは違って激烈に痛みを感じ、とくに圧力が強くなっている部分を伸ばすと一層痛みを感じるうようです。

コンパーメント症候群を起こしやすいといわれている上腕骨顆上骨折は、子供がよく起こす骨折部位の一つです。とくにイスなどから落ちて手をついたときに起こりやすいので、肘の周辺の骨折が起こった時にはしびれを起こしていないか、皮膚の色や脈拍がいつもと変わりないかなどをよく観察することが必要です。

フォルクマン拘縮にかかるとどんな症状が起きる?

憂鬱

次にフォルクマン拘縮の症状についてみていきましょう。実は、フォルクマン拘縮はその症状の進捗状況により症状が異なるため、期間によって自分がいまどのくらい進行しているかを判断することができます。

急性期:最初の症状

フォルクマン拘縮の最初の症状は、急性期と呼ばれています。この部分の一番の特徴は発症源である骨折のせいで肘や腕で大きく腫れ、さらに腫れ上がることだといわれています。

目に見える症状なので、発症した部位がすぐにわかります。その為、比較的発症してから治療に結び付きやすいといわれています。

進行期:さらに進行した状況

初期段階から治療されないまま症状が悪化していくと、進行期と呼ばれている段階に変わります。圧迫され、腫れていった患部がさらに圧力があがり、血流が悪くなっていきます。

それに伴い指がしびれ、手や腕を固定してもだんだん症状が進行していくという段階になっていきます。様々な症状が発症し、手や指が自由に動きずらくなっていきます。

慢性期:最終段階

進行期がさらに放置されると、症状は慢性期という時期になります。麻痺していった手や指は麻痺した状態のまま、曲がり、固まってしまいます。

この状態がさらに悪化すると麻痺して固まった状態のまま元に戻らなくなってしまうといわれています。

フォルクマン拘縮の検査方法や診断方法は?

顕微鏡

フォルクマン拘縮の診断方法にはいくつか種類があります。まず、フォルクマン拘縮といった血流が滞ることによって発生する症状には特徴的な症状がいくつかあるといわれています。この特徴的な症状が特に5徴候(5P)と呼ばれています。

1つ目は疼痛といって、血流がうまく通らないため指を伸ばすと痛みを感じる症状です。この際にひどい痛みを感じるときもあるといわれています。2つ目は顔色が悪くなり、血流の悪くなった肌は青白くなるといわれています。

3つ目は血流の影響で脈拍が悪くなり、拍動がなくなってしまう症状がでてくるといわれています。4,5つ目としては血流がなくなり末端組織に酸素がいきとどかず、触っている感覚がなくなっていく知覚障害がおこり、さらに筋肉がうまく動かず力が入りずらくなるといいます。

これら5つの症状がでたらすぐに医師に受診することが重要です。医師の診断の際にはこれらの5Pが発症しているかどうかを検査します。また、それによって肘当たりの骨折の可能性が考えられる場合にはレントゲンなどによって骨折状態やそれに加えて症状の進行状態を確認します。この骨折によってずれている骨がある場合血流を圧迫し、血行が邪魔される可能性があるため、フォルクマン拘縮が起こる場合があります。

フォルクマン拘縮の診断は基本的に問診などを中心にして行われます。しかし、患部は体内のため、なかなか診断が難しい場合があるといわれています。その際にはコンパーメント内圧測定をおこない、診断をおこないます。このコンパーメント内圧は、筋膜内に針を刺し、圧力を測定することによって行います。ある程度の数値以上がでると、フォルクマン拘縮の診断をされます。

フォルクマン拘縮の治療法にはどのようなものがあるの?

病院へ行く

フォルクマン拘縮は骨折をした際に骨の状態が上手に修復されず、血流を邪魔されたり、それによって起こった腫れや、骨折の治療によってつけられたギプスや包帯などの固定で強く圧迫されたりした際に血行が悪くなったことで起こるといわれています。

先述した5P徴候は、1晩で発症し、一生残ってしまうといわれています。その為、症状が現れればすぐに医師の診断をうけることが重要です。

実は、筋膜内の圧が上昇しすぎて血行が悪くなり、圧力がこのまま改善されるのが難しいと考えられた場合には、筋膜切開手術をされることがあります。これは、圧力がたまっている筋膜を切開することで内部のガスをにがし、圧を減らすというものです。

また、血行がかよわなくなることで完全に組織に血が通わなくなる状態が、4時間以上続くと、筋肉はもとに戻らなくなるといわれています。さらに8時間以上経過すると筋肉の機能の回復は完全にみこめないといわれているので、早期治療が非常に重要です。神経の場合は時間の経過につれて回復の可能性はどんどん低くなっていくため、神経への血流がうまくいっていない場合はその場で緊急手術も行われる場合もあります。

ほかにもフォルクマン拘縮は、指や手首などの重要な関節が固まってしまう症状があります。それによって関節の動きは制限されるほか、神経が麻痺することで筋力が低下してしまいます。

これらの症状は進行しすぎると機能の回復は不可能なのですが、進行を遅らせながらまだ動かせる筋力を鍛えたり、関節をこまめに意識的にうごかし、固まっていくのを防止するなどのリハビリを取り入れた運動療法によって改善していくケースもあります。

まとめ

そばかす

フォルクマン拘縮は、発症してから12時間がタイムリミットだといわれています。そのタイムリミットを超えた場合、元に戻らない一生ものの後遺症が残ってしまうため、骨折した際にフォルクマン拘縮の症状が見られた場合にはすぐに医師の診断をうけることが非常に重要になっていきます。

フォルクマン拘縮の場合骨折だけではなく、骨折に対しての治療であるギプスの固定であったり、座礁などさまざまな原因から発症するといわれています。また、それにともなう症状も普通に感じる痛みと勘違いしやすいため、注意が必要です。患部にひどい痛みを感じたときはもちろん、神経障害であったり知覚障害を感じる場合はほかの病気であってもかなり危険なので、すぐに病院に行って早期治療をうけることをおすすめします。

この病気の場合とにかくすぐに発見することが治療の一番になります。それにより後遺症のうむであったり、症状の進行が変わってくるため、なにか不具合を感じた場合は悩むことなく、診断をうけることが重要です。

  
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