膝の腫れが痛い!原因や治療方法を知って対処しよう!

ある日、階段を上り下りするとき、ふと膝の痛みに気づくということはありませんか?とくに下りるときの方が痛みを感じる、こういった人も多いようです。

そんなときはじめて、日ごろあまり気にしていなかった膝の存在に気づきます。膝が痛むと、その部分をよく見たり、さすってみたりします。すると、膝がなんとなく腫れている、そんな異変に気づけるのです。

若い世代は急激な運動の後に、また、中高年では加齢とともに膝の痛みや腫れに悩まされる方が多いといいます。

痛みは、不調に気づいてほしいというサインです。そのサインをしっかりキャッチして、膝のことをよく知るチャンスとして、膝のことをもっと気にかけてあげましょう。

膝が腫れるとき

バスケ

「膝の腫れ」とひとくちに言っても、人により、腫れや痛みの程度はさまざまです。

私は若い頃、スポーツでジャンプしたときに膝をひねり、そのあと膝が腫れて病院に行った経験があります。そういったスポーツ障害では、膝に急激な負荷がかかり、骨折、捻挫、損傷などにより、内出血で腫れ、血液が膝に溜まることもあります。

私の友人は、長年膝の腫れや痛みに悩まされ続け、大好きなスポーツをやめて、膝の症状を安定させ、何とか現状を維持するために、ほどほどに動くということを心がけて生活しています。それでもいつもより無理したり、日ごろの疲労が蓄積されてくると、自分の弱点である膝に真っ先に異変が起き、水が溜まって腫れてしまうそうです。

スポーツの激しい動きのあとに、また無理な負荷が膝にかかったことにより、急に膝が腫れ、痛んでくる、あるいは、主に中高年の方たちが、加齢にともなって、長い年月をかけて関節に異常をきたし、膝が腫れてきて、痛みを覚える。

「膝の腫れ」にはこのように大きく分けて二つのパターンがあります。膝の腫れの原因を探るには、膝のメカニズムを知ることが大事です。まずは膝の内部の仕組みからみていきましょう。

膝の内部の仕組み

膝の内部では、 関節包(かんせつほう)、別名 関節嚢(かんせつのう)という組織が関節を包んでいますが、この関節包の外側は、繊維膜(せんいまく)、内側は、滑膜(かつまく)と呼ばれる組織の二重構造となっており、その滑膜の中にある毛細血管から分泌される液体を 関節液 といいます。

この関節液は、関節を動かすとき、スムーズに動きやすくする潤滑油の働きがあります。また、関節にかかる圧力を分散させるという大事な役目ももっています。

二足歩行である人間にとって、膝には常日頃から大きな圧力がかかりますので、この関節液は非常に重要な役割を担っていることがわかります。

また、軟骨は血管がほとんどないため、血液が栄養分を運んでくるのではなく、関節液が代わりに 関節軟骨 に栄養分を補給しているのです。関節軟骨は、関節液から栄養分を受け取るかわりに、基礎代謝物、いわゆる老廃物を関節液の中に分泌します。

一定の量以上の関節液は、この老廃物とともにリンパ管の中に吸収されるので、関節包の中の関節液の量は、健康な膝では、つねに一定に保たれるというわけです。

では、異常の起きた膝の内部ではどうなっているのでしょうか。

異常のある膝の内部

たとえば、加齢などの原因で起こる膝の異常では、長年の膝の関節の摩擦から、関節表面の軟骨が擦り減っていくと、軟骨の表面のすべりが悪くなっていきます。

また、骨折などのケガ以外にも、骨の変形などが原因で、関節の骨や軟骨の一部が欠けたり、剥がれたりしたためにできた関節遊離体とよばれる軟骨の小片などの細かい異物が、関節内をその名のとおり遊離し、動き回ることがあり、その異物を排除しようと、大量の関節液がいっせいに流れ込みます。

健康な膝では一定量に保たれていた関節液が、炎症を抑えようと、過剰に分泌されるのです。これは異常というよりは、からだの正常な生理的防御反応です。

このように関節液が過剰に分泌されると、関節液の吸収が追いつかなくなり、関節包に関節液が溜まります。これが、よくある「膝に水が溜まった」という状態であり、この状態を関節水腫(かんせつすいしゅ)または関節水症といいます。

膝には、触ってわかるとおり、お皿のような形の骨がありますが、これを膝蓋骨(しつがいこつ)といい、その膝蓋骨の上には、膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)という空間が存在します。その空間に余分な関節液が溜まっていくのです。

膝の腫れとそれに伴う症状

ひざ

関節水腫をともなって腫れた状態の膝は、見た目でいうと、膝のお皿の上が、あるいは、膝が全体的にふくらんだように腫れ、腫れの部分を触るとぶよぶよしていたりします。膝のお皿(膝蓋骨)が浮いているように感じることもあります。足を伸ばして座ったりすると、膝に溜まった水が左右に逃げるため、膝の内側や外側に痛みが分散する場合もあります。

このように、ケガの急性期ではない膝の腫れにともなう痛みは、ここ、と場所をはっきり特定できず、膝蓋骨あたりがなんとなく全体的に痛い、しかも鈍い痛みであることが多いようです。膝の外側に突っ張った感じを訴える人や、膝になんともいえない疲労感やだるさを覚える方も多くいます。

また、ベーカー嚢腫(のうしゅ)という疾患では、膝の裏側に液がたまったしこり(嚢腫)ができ、膝を動かすとき、そのしこりの部分が痛みます。

このように色々な原因で腫れている膝は、曲げにくくなるため、立ったり、座ったりするとき、また歩く動作もしづらくなり、動かすときに痛みを伴います。膝に体重を乗せるような動きで痛むため、それで階段を上り下りするときに痛みが増すのです。

また、骨折、捻挫、靭帯の断裂などのケガの急性期では、内出血を伴うことが多く、出血が止まらずに腫れている場合もあるので、できるだけ早く処置をほどこしてもらうことが重要です。またこういったときには炎症も痛みも強く、熱をもって腫れることがあります。

腫れは炎症が軽ければ、溜まった水や血液が自然と引いていくのと同時に、腫れも引いていくのですが、ひどいときは関節液などがどんどん溜まり、膝のお皿の上がぽっこりと大きく腫れてしまいます。そのため、注射で溜まった関節液や血液を抜かなければならない場合もあります。細菌感染などで起こる場合は、発赤や熱感がみられることもあります。

膝の腫れの原因疾患と治療法

リハビリ

膝の腫れを引き起こす原因となる疾患はたくさんあります。

膝の腫れの原因

骨折、骨挫傷、打撲、靭帯損傷、半月板損傷などのスポーツ障害などによるものが挙げられます。

変形性膝関節症もスポーツ障害で起こりえますが、加齢とともに変形が進行していきます。関節性リウマチは、10代にもみられ、膝だけが炎症を起こすことも多いといわれます。化膿性関節炎などの細菌感染では、膝関節が腫れて急激に強い痛みを感じ、風邪のような症状で寒気と発熱がみられます。

痛風でも、膝の関節が赤く腫れて患部が熱をもち、特に夜中に激しい痛みが起こります。加齢にともない古傷が痛みだし腫れてくるという人もいます。また、まれに骨肉腫という骨の悪性腫瘍などで腫れることがあります。

膝の腫れや痛みがみられたら、悪化する前にすぐに整形外科に行きましょう。また、スポーツでのケガや今後もスポーツを続けたいという人は特にスポーツ障害を扱っている整形外科を探して治療やケアを続けましょう。

注射・投薬

膝に水や血液が溜まって腫れや痛みがひどい場合、穿刺(せんし)という注射器で溜まった水や血を抜きます。

「よく一度注射をすると、またすぐに溜まって、クセになる」ということを聞きますが、これは間違いです。溜まる人は注射で抜いても抜かなくても、また数日で症状がもどります。なので、注射をした人からすれば治っていないと感じるわけです。決して注射が原因で、クセになっているわけではありません。

炎症を起こした患部に直接ステロイドを注入する薬物注射もあります。また、症状が軽い人には、生体の関節液に近いとされる、ヒアルロン酸を膝関節に注射する治療法もあります。

一般的には、炎症を鎮め、痛みを和らげる「消炎鎮痛剤(痛み止め)」として内服薬が処方されますが、内服薬は、急性期に炎症をおさえるために飲み、その後は痛みが強いときだけ使う、といった飲み方がいいようです。消炎鎮痛剤には塗るタイプや座薬もあります。

患部を冷やす

突発的なケガなどでの急性期の「強い痛みや膝の腫れ、熱感」には、患部を冷やして、腫れを引かせ、炎症の広がりや内出血をおさえるのも効果的です。ケガのあと、患部を素早く氷嚢(ひょうのう)などで冷やすことにより、早く痛みも軽減されます。

ケガの急性期とは違って、血行の悪さが原因などの場合は、冷やさずに、温めたほうがよいので、間違わないようにしましょう。

サポーターや装具を使う

腫れや痛みがそれほどでもなく、注射をするまでもない方は、サポーターでの膝周りの保護が効果的で利用しやすい方法です。古傷から膝の調子が悪い人などは、冬に膝の痛みを訴える場合が多いため、その温効果は、痛みの緩和にもなります。

何よりも、サポーターによる圧で、膝へかかる負担やストレスを減らすという役目が大きく、また、関節水腫の場合、サポーターの圧が、関節液の溜まるスペースを狭くするという重要な効果をもたらします。

サポーターは付け外しも簡単で価格も手頃ですが、あまり薄いものは保温効果も薄れるので、厚手のものがいいようです。また、サイズが合わないきついものはやめて、圧を調節できる巻くタイプのものや、太もも用を膝に使うという手もあります。ただし、痛みや腫れが強い場合には、支える力が弱いので、効果があまり期待できません。あくまで、保温・保護を目的とした軽い処置となります。

装具や器具は整形外科で正しい使い方を教わりながら装着しましょう。ハードなものとソフトな固定具がありますが、どちらにしても取り外しが面倒というデメリットがあります。しかしそれだけしっかり支えることができ、痛みも緩和され、早く治すことができます。

まとめ

老夫婦

若いときは突発的なケガで、そして、中高年からは長年蓄積された原因や慢性的な疾患で、起こりやすい膝の腫れや痛み。一度膝を壊したために、長いリハビリを強いられる人もいます。

たとえ慢性化したとしても、長く楽しい生活を送るためには、老若男女を問わず、ずっと膝のケアを続け、太ももの筋肉を無理なく鍛えたり、自分に合ったトレーニングを少しずつしていくことが、膝の負担を軽減し、再発予防につながります。そしていつまでも若々しく暮らしていくことができるのです。

  
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