膝に水がたまる原因は?治療法や予防法を紹介!

加齢に伴い膝や腰が痛くなり、水が溜まるという一般的なイメージがありますが、膝の水は誰にでも存在しており、若い人でも無理がたたれば水が溜まってしまう事があります。

全体中を2本の足で支えており、特に横からの力に対しては膝が大きな役割を持っているため繰り返し力が加わる事で痛んでしまいます。放っておいても治るものではないので、きちんと治療を受けるようにして下さい。

膝に水が溜まる原因についてまとめました。

膝の作り

ひざ

膝は、大きな骨である大腿骨と脛骨がつながって出来ている部分で、二つの大きな骨を繋ぐたくさんの靱帯、クッションとなる関節軟骨、関節部分に蓋をするような形になっている膝蓋骨などから構成されています。

立っている状態だと体重は膝に垂直にかかっている事になるので、膝への負担はそれほど大きくありません。しかし、歩く時などに大腿骨が脛骨の上を滑るような動きをする場合には膝に剪断力(横方向からかかる力)がかかるため大きな負担を受ける事になります。

膝に水がたまる現象とは

健康な膝

膝に水がたまると、膝が腫れて熱を持つ事があります。階段を昇る・膝を曲げるなどの運動時に強い痛みを感じる場合や、関節の可動域が小さくなる場合もあります。

膝に水が溜まっているかどうかは関節を触って判断する事も可能です。片方の手で膝の上の方を挟むように持ち、少し膝側に押します。もう一方で膝のお皿を上から押した時にぶよぶよした感覚があれば水がたまっている可能性が高いでしょう。

関節水腫

関節部分に水がたまるような症状は、関節水腫と呼ばれます。関節内には普段、関節液と呼ばれる液体が存在しています。大腿骨と臑の骨を包むように膜があってそのなかに関節液があり、関節がスムーズに動くのを助ける働きをしています。普段、関節液の量は増えたり吸収されたりを繰り返しており、その量は一定に保たれていますが、何らかの刺激により水が増えると、水がたまっているような症状が起こります。関節包は膝のお皿の少し上のほうにあるので、水がたまるのも皿のちょっと上側になります。

関節水腫の直接の原因は関節の炎症です。関節の炎症が起こって水がたまると、関節内圧が上昇して関節が不安定になります。また、痛みで筋肉が緊張して血行が悪化したり、関節内の異物の排出も遅れていきます。これら関節の炎症によって起こった症状が、また炎症の原因となるという悪循環に陥ってしまうのです。

悪化するとどうなるか

膝の水を抜かずに放置していると、関節の袋や周りの軟骨に長期的に力が加わる事となり悪影響を及ぼします。

また、そもそもの原因である病気が悪化してしまう恐れもあるので、自然治癒を待たずに病院に行った方がよいでしょう。

膝に水がたまる理由

ボウル

膝の関節部分で炎症が起こるもともとの理由は、膝関節の軟骨や骨がすり減ったかすのようなものや、骨の表面から落ちたごみが関節包を刺激する事だといわれています。炎症が起こると「サイトカイン」という免疫システムの細胞から分泌される蛋白質が発生し、痛みを感じるようになります。

炎症の理由として考えられるのは以下のようなものです。

加齢

膝にある軟骨部分は加齢によってすり減って行きます。

摩耗したゴムパッキンを想像していただくと分かりやすいかと思いますが、劣化したゴムが硬くなるのと同様に軟骨も加齢に伴い硬くなるため、ちょっとした刺激ですり減る事があります。

関節の異常

リウマチ

免疫システムの異常によって自分の関節を異物と勘違いして攻撃し、炎症が起こる自己免疫疾患です。関節リウマチの場合、免疫システムが攻撃するのは関節包の内側にある滑膜という組織で、この膜が炎症を起こして水がたまる原因となります。

溜まった水は白く濁っており(膝の水は濁っているほど炎症が強い事を示します)両膝に同じような症状が出るのが特徴といえます。

リウマチについては、リウマチの初期症状をチェックしよう!指のしびれに要注意!を参考にしてください。

変形膝関節症

加齢に加えて肥満や遺伝が関わる関節の変形です。骨そのものが変形する事によって関節のすきまが小さくなったり、骨が棘のような形に鳴る事で関節包を刺激し炎症を起こします。膝に溜まった水は透明な黄色です。

痛風

痛風は、血液中の尿酸濃度が高くなることで関節に腫れや炎症が起こる病気です。尿酸の結晶ができる事により関節の周りや皮膚の下に結節ができます。特に下半身に症状が出る事が多く、足の指や膝関節などに変形や炎症が見られます。放置すると腎臓病や尿路結石などの合併症が出るので注意したい病気です。

溜まった水はやや黄色がかった透明のものです。

スポーツ障害

スポーツで膝をいためる「スポーツ障害」の場合、若い人でも膝に水が溜まる事は多いにあり得ます。

スポーツによる膝の損傷は、大きく分けると(1)ジャンプや急な方向転換による靱帯損傷や半月板損傷、膝蓋骨の脱臼と、(2)長時間に渡るランニングやジャンプなどにより、関節の障害が起こるものに分ける事ができます。

ランナー膝(腸脛靱帯炎)

大腿部から脛骨をつなぐ腸脛靱帯が炎症を起こす病気です。長距離ランナーに出やすい症状です。膝の外側に痛みがある場合この症状の可能性が高いといえます。

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

膝を伸ばす動作を繰り返す事で、膝蓋骨の上下に炎症を起こして痛みが生じるものを指します。靱帯には問題はありませんが、炎症を起こす事により膝に水がたまり運動中に痛みが出ます。動いているうちに症状が和らぐ事がありますが、ここで無理をすると再発しやすいので注意が必要です。

オスグッド・シュラッター病

成長期に激しいスポーツを行う事でおきる障害です。骨の軟骨が炎症を起こし、運動時に膝蓋骨の下側が痛みます。成長期ではまだ軟骨が出来上がっていないため弱く、炎症を引き起こしやすいのです。

関節ネズミ(離断性骨軟骨炎)

上記と同様に成長期の子供に起こりやすい症状です。軟骨が骨と一緒にはがれ落ちてしまうもので、強い痛みが起こります。外傷により骨の端まえ栄養が行かなくなってしまい骨が壊死したような状態になるため、悪化しないように注意したい症状です。

半月板の損傷

関節の間にクッションのように挟まっている板状の物質が半月板です。厚さ4mmくらいで少し固めの消しゴム位の固さがありますが、膝にねじりが加わった場合などに損傷してしまう事があります。

半月板自体には痛みを感じる神経はないので、痛みがある場合どこか他に触っているためと考えられますが、関節がうまくうごかなくなるため、水を増やして対応しようという働きが起こり膝に水や血液が溜まります。

靱帯損傷

膝には内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯という大きな4つの靱帯があります。関節を支えるためにあるものですが、無理な力がかかると断裂してしまう事があります。

特に内側側副靱帯と前十字靱帯は損傷しやすいものです。膝の周りで炎症が起こるので、これに伴い水や血液が溜まります。

血友病

遺伝子の異常によって出血時に血液が固まる機能が失われる病気です。ちょっとしたけがでも出血しやすく、出血すると止まるのが困難なので、関節内に刺激が加わると出血して血が溜まります。

色素性絨毛結節性滑膜炎

膝関節の内側にある滑膜の組織が異常に増殖する病気です。原因は不明ですが、良性のものなので他への転移はありません。膝の骨が変形してしまうため早めの治療が必要です。

膝水の治療

ひざ2

膝に水がたまった場合、まずは水を抜いてからその後の治療が行われます。

水を抜く

膝に水がたまったら針でそれを抜くという話をきいた事があるかと思います。そこまでひどくないのにと思っても、取った水を見る事が診断に大きく役立ちます。

そもそもどのような理由があるのかが分からないとなかなか完治は難しいので、怖くても思い切って抜いてしまった方が良いようです。膝の水を抜く事で圧迫されていた血流が元に戻り、痛みの改善にも大きな効果を上げます。

手術

関節が明らかに変形してしまって周りに刺激を与えている場合などは、手術を行います。骨同士がぶつかってしまう場合などは、関節にかかる負担を小さくするため骨きり術という手術が行われます。また、人工関節を使う場合もあります。

投薬

痛みがあまりにもひどい場合、炎症を和らげ関節を再生する薬を使う事があります。また、通風やリウマチなどの場合は膝だけでなくそちらの病気の治療のために投薬が行われる事があります。

水がたまらないようにするには

ランニング

膝に水がたまるのを予防するためには、関節液を増やしすぎない事が重要といえます。何か原因となる病気がある場合はそちらの治療が最優先ですが、そうでない場合は膝の軟骨がすり減ったり炎症を起こさないように心がけるだけでも予防になります。

たとえば、摩耗した靴で走らないといった運動時の注意や、膝が弱い高齢者の場合はあらかじめ膝サポーターを着用する事で膝にかかる剪断力から骨を守る事ができるでしょう。さらに、肥満体型の解消も膝にとっては予防となります。

尚、膝に刺激をあたえないようにしたいからといってあまりにも動かないのも良くないと言われています。ある程度足の筋肉がないと、骨や関節への力の加わり方が大きくなり、リンパの流れも悪くなるので注意して下さい。

まとめ

膝の骨への無理な力は、膝関節の炎症の原因となります。一度炎症を起こしてしまうと関節が不安定になりまた炎症を起こすという悪循環にはまってしまうので、はじめから炎症を起こさないよう心がけたいものです。適度な運動は足の筋肉を鍛えダイエットにもつながるのでおすすめです。また、原因となる病気を突き詰めるためにも早めの医療機関受診が大切です。

膝の水が高齢者に多い症状である事は確かですが、逆に小さなお子さんの場合にも起こる事があります。子供の骨はまだ出来上がっていない部分があるので、無理な力がかかる事で変形しやすく、将来的な困難が生じる恐れもあります。無理な運動をしないよう大人が気をつけてあげるようにしましょう。

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