変形性膝関節症とは?原因・症状・治療方法を理解しよう!

中高年に多くなる膝のトラブル。歩いている時や立っている時に痛みを伴ったり、膝が曲がらないなどの膝の症状は、変形性膝関節症かもしれません。実は中高年の9割以上の方が「変形性膝関節症」という症状になると言われています。

あなた自身やこれを見ているあなたの親世代の方で膝の痛みで悩んでいる方はいませんか?膝に痛みがあると、外に出かけたり動くことが嫌になり、家に引きこもったり、うつ病になったと2次障害にも繋がりかねません。

この症状が現れた場合、残念ながら完治することは出来ませんが、早めに治療を始めることで病状の進行を遅らせることができ、日常生活を快適に過ごすことが出来ます。今回、変形性膝関節症の概要、症状、原因や治療方法についてご紹介します。

変形性膝関節症について

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ここでは、変形性膝関節症の概要と症状について詳しくご紹介します。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝の関節に炎症がおきて痛みを伴う病気です。この症状は、50歳以降の中高年に発症し、男女比の割合は1:4で女性の方が多いと言われています。

膝の骨の表面は、軟骨で覆われており、この軟骨は動いた際に骨同士がすりあわないよう、クッションのような役割をしています。筋肉の衰え骨盤のゆがみなど様々な原因で膝に負担がかかり、この軟骨の部分が擦り減り、骨同士がぶつかり始めます。この骨が同士がぶつかることで、膝の関節に炎症が起きたり、関節の形が変わり痛みを伴う病気を変形性膝関節症と呼びます。

症状とは?

主な症状は、膝の痛みや膝が曲がらなくなるといった症状が起こります。しかし、痛みの加減は人によって全く異なります。X線写真で患者さんの膝を確認した際に、膝の変形が非常に進んでいるにも関わらず、痛みがほどんどない人もいれば、逆に写真では変形が見られないにも関わらず、膝がとても痛む方もいます。ここでは、具体的な症状と初期症状~末期症状までどのように進行していくかをご紹介します。

具体的な症状は、

  • 椅子から立ち上がった時に痛みがある
  • 階段を上ったり降りたちする時に傷みがある
  • 歩き始めに痛みが走る
  • 長時間歩くと痛む
  • 膝が曲がらなくなる
  • 膝に腫れ、熱感、むくみが出る

■初期症状

朝方、ベットから起き上がると膝に違和感を感じ始めます。この際に立ち上がったり、歩き始めに痛みを覚える方もいますが、すぐに痛みが良くなります。

■中期症状

初期症状を感じていたにも関わらず、何も対応をしないと病状が進行して痛みがひどくなります。膝の痛み以外にも、膝を曲げたり伸ばしたりすること、正座やしゃがみこむなどの動作、階段の上り下りが困難になり始めます。

膝の中で炎症がおきているので膝の周りに腫れ、熱感、むくみが見られます。膝に水が溜まるので、膝がだるいなと感じる方もいます。また、この段階では膝の変形が進んでいるので少しでも膝に力を入れるとコリコリという音が聞こえる場合があります。

■末期症状

この状態になると、骨の変形が非常に進んでいるので、見た目から骨の形が変わっていることに気づきます。また、膝の痛みが強い為に、日常生活に支障が出始め様々な動作が困難になってきます。歩くことや立ち上がることが困難で外に出ることが出来なくなり、これが原因となりストレスが溜まり引きこもり、うつ病、認知症などの2次障害へ発展する可能性も出てきます。

初期段階で膝の痛みが始まっても、すぐによくなったりするので軽視したり、歳だから普通のことだと諦めて病院に行かない人が多いのが現状です。この病気は完治することは難しく、治療をしないと、悪化していく一方です。日常生活を快適に過ごす為にも、早めに治療をはじめることが重要になります。

変形性膝関節症の原因とは?

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変形性膝関節症の多くは、筋肉の低下、肥満、過度なスポーツをするなど様々な原因が重なって、膝に負担をかけます。ここでは病気の原因として考えられるものをご紹介します。

過度なスポーツや肉体労働

バスケットボール、バレーボール、サッカーなど膝に負担がかかるスポーツを挙げたらきりがないですが、過度なスポーツは膝を痛める原因になります。

また、スポーツだけでなく肉体労働の仕事をされている方でも、無理な動作を続けたり、体を十分に休めることなく、膝を酷使し続けると、変形性膝関節症の原因になります。スポーツは適度に行うことが膝にとってはいいことです。また、十分に膝を休める時間を作ることも重要です。

骨盤のゆがみ

女性は妊娠すると、リラキシンと呼ばれるホルモンが出ます。このホルモンは子供を産む際に必要なホルモンで、靭帯を緩め骨盤を開き、赤ちゃんが産道を通り抜けられるように分泌されます。このホルモンが分泌されるようになると、体全体の靭帯に影響を与え、筋肉や関節に大きな影響をもたらします。

出産後には、骨盤が不安定な状態になり歪みが発生します。歪んだ状態の骨盤をそのままにしておいても、若い頃には筋肉で支えられていますが、年齢とともに筋肉が衰えて骨盤の歪みを支えきれなくなると、膝に負担をかけ始めます。

骨盤のゆがみは自分では気づきにくいですが、セルフチェック方法としては、下記の内容を確認して、当てはまる場合は、骨盤に歪みがあると言われています。

  • 脚の長さやズボンを履いた時の長さが左右で異なる
  • スカートを履くと、いつの間にか左にまがっている
  • 椅子に座るとき脚を組まないと座っていることが出来ない
  • 姿勢を正して立った時に、肩の高さが左右で異なる
  • 歩き方がぎこちないと感じる

また、骨盤のゆがみがある人は、膝の痛み以外にも、腰痛や肩こり、猫背、便秘、胃腸障害、冷え性などの症状がでると言われています。

下肢のゆがみ

内股姿勢、O脚、X脚や偏平足の方など、足の変形が見られる方は、下肢のゆがみがあると言われています。足は歩くとき、立つとき、体を支えるのにとても重要な役割をしており基盤となる部分です。

その基盤となる部分が不安定だと、足よりも上の関節に負担がかかり、膝が痛み出します。歪まないようにするのは、日常生活の癖を直すように心がけることが一番重要です。また、足に合わないハイヒールや靴を履くことも膝に負担をかけるので、やめましょう。

肥満

年齢を重ねていくと、どんどんと新陳代謝が衰え、太りやすい体質になってきます。膝は体の体重の負荷が大きくかかる部分でもあるので、年齢とともに体が衰えているにも関わらず、支えなければいけない体重が増えると、負担が大きくなり膝が痛みだす原因になります。

特に歩いている時は、片足だけで体を支えている状態になりますが、この状態の際に膝にかかる負荷は体重の3倍~4倍と言われています。また階段の上り下りは6倍~7倍といわれており、体重が60キロある方は歩いているだけで約240キロ、階段では420キロもかかっている計算になります。

その為、体重が重ければ重いほど膝にかかる負担が大きくなるので、自分自身で肥満体系だと気づいている方は減量されることが、痛みの緩和に繋がります。体重を3キロ減らしただけでも、症状が緩和されたという報告もあります。

筋肉量が少ない

この変形性膝関節症が起こる原因の1つとして、筋肉量が関係しています。特に男性に比べて女性の方が発症する理由として挙げられるのは、男性より女性の方が筋肉量が少ないからだと言われています。

病院で膝の診察を受けた際に、「筋肉量が少ないので、太ももの筋肉をつけるように運動してください。」など言われた覚えのある方もいるかと思います。足の周りの筋肉をつけることは、膝に大きな負担をかけないように支える役割をしてくれます。

変形性膝関節症の治療方法とは?

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一度擦り減ってしまった軟骨は元に戻すことは出来ません。そのため、治療に関しては、進行を遅らすことや痛みを和らげて日常生活を快適に過ごすことを目的として治療を行います。

治療方法は、症状の進行具合や痛みの度合いによって内容が異なりますが、薬物療法、温熱療法、運動療法が一般的な治療方法になります。これらの内容が全く効果を示さない場合は、外科的療法を行います。

薬物療法

痛みを緩和させる為に、薬物療法を行います。非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の外用薬・内服薬を使用して炎症を緩和させます。しかし、膝の炎症がひどい場合は、ステロイド剤を直接膝に注射し炎症を緩和させる場合もあります。

また、膝の関節機能を向上させ、痛みを緩和させる為に、膝関節内に直接ヒアルロン酸を注射する場合もあります。この注射は、膝の軟骨の擦り減りを抑制する効果も期待出来るため、病状の進行を遅らすことが出来ます。

温熱療法

温熱療法とは、ホットパックや温湿布と呼ばれる物質で患部を温める治療方法のことです。一般的な治療方法には患部を温めるという治療を用いますが、膝に熱を持っていたり、腫れが見られる場合は冷却療法が行われる場合があるので、自己判断せずに医師と相談の上行って下さい。

家で出来る簡単な温熱療法はお風呂や温湿布などがあります。患部を温めることにより血流がよくなり、痛みが緩和される他、関節の機能を回復させたり、動きを滑らかにしてくれるなどの効果が期待できます。

運動療法

運動療法は複数の効果が期待できます。まずは温熱療法の効果と同じで、運動することにより血流がよくなり、痛みが緩和され、また関節の機能を回復させたり、動きを滑らかにしてくれます。また、筋肉をつけることで、関節にかかる負担を軽減したり、肥満を予防、新陳代謝がよくなり老廃物が排出され膝にたまった水も排出されるなどの様々な効果が期待できます。

膝に負担をかけずに運動する方法として代表的なのはプールでのウォーキングです。プールが近所にない方は家の回りをウォーキングやジムで足周りの筋肉を鍛えるなどして普段の生活に運動を取り入れてみてください。しかし、無理をしすぎると膝を酷使して症状を悪化する場合があるので、必ず医師と相談の上、行ってください。

外科的療法

上記のような治療を行っても効果が見られなかった場合は、手術を検討します。手術を行うことで、痛みがなくなったり動けるようになりますが、患者さんの年齢や症状、体力などを考慮して検討する必要があります。

手術方法は、原因によって異なりますが、高位頚骨骨切り術、人工膝関節置換術、関節鏡視下郭清術などの手術方法があります。手術内容によっては回復までに半年かかるものや、手術後に正座が出来なくなるなどのデメリットもある為、手術を行うことのメリット、デメリットをよく把握して検討されることをおススメします。

まとめ

変形性膝関節症は中高年の特に女性がかかりやすい、膝の病気です。加齢や肥満、筋肉の低下など様々な要因で、膝にある軟骨が擦り減り、骨同士がぶつかりあうことで、痛みを伴います。

一度この症状にかかってしまうと、軟骨を元の状態に戻すことはできません。しかし、症状が現れてから早くに治療に取り組むことで進行を防いだり、痛みを緩和させることが出来ます。歳だからしょうがないと諦めることなく、日常生活を快適に過ごす為にも早めに治療に取り組むことがとても重要です。

  
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