うっ血性心不全の症状とは?原因や治療方法も紹介!

人の臓器はどれも重要で、どの臓器が不全に陥っても、健康を害します。しかし心臓の不全は別格で、一気に全身を害することになります。

それは、人をつくっている数十兆個の細胞は、血液に含まれる栄養と酸素によって生きているからです。心臓が動かなくなると、血液がすべての細胞に届かず、死んでしまうのです。うっ血性心不全は、命に関わる病気なのです。

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うっ血性心不って?

心不全は「うっ血性心不全」とも呼ばれます。それでは「うっ血性」の意味についてみてみましょう。

漢字で書くと「鬱血(うっけつ)」となります。「鬱」には「ふさぐ」という意味があります。「鬱病」は気持ちがふさがる病気ですし、「鬱憤」は憤りが心をふさぐ状態です。

なので、うっ血は、血がふさがった状態を意味します。手の指の根元を輪ゴムでぐるぐる巻きにすると、しばらくすると指が紫色になると思います。それがうっ血状態です。

輪ゴムではなく、心筋梗塞や不整脈でも、血がふさがってしまうので、心筋梗塞や不整脈などによって「心不全」が引き起こされることを、わざわざ「うっ血性心不全」と呼ぶわけです。

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心不全の症状

心筋梗塞前兆

うっ血性心不全は、単に「心不全」といわれることが多いので、以降は「心不全」を用います。「うっ血性」の意味については、後半に解説をしていますので参考にしてください。

さて、その心不全ですが、とても苦しい症状を引き起こします。

疲れやすい①食べ物不足のせい

疲れ

人は食べ物を食べないとパワーが出ません。細胞も同じです。細胞の食べ物は、栄養と酸素です。ところが細胞というものはそこのとどまっていて、数十兆個の細胞はひとつとして「持ち場」を動くことはできません。そこで栄養と酸素を、すべての細胞にくまなく届ける「配達人」が必要になります。その配達人こそが血液なのです。

血液は液体です。液体が自ら動くことはできません。液体である血液を動かしているのが、心臓なのです。心臓は空洞と壁でできています。壁が広がると空洞が大きくなり、血液が引き寄せられます。逆に壁が縮まると空洞が小さくなり、空洞内の血液が勢いよく心臓の外に押し出されます

この、引き寄せられる力と、押し出される力によって、血液が流れ、栄養と酸素がすべての細胞に届けられるのです。心不全になると、血液が引き寄せられる力も、血液が押し出される力も弱くなるので、栄養と酸素が細胞に届かなくなります。細胞は十分な食べ物を得られず、疲れてしまうのです。

疲れやすい②「細胞のうんち」のせい

心不全になると疲れやすくなるもうひとつの理由は、「細胞のうんち」が体内にとどまってしまうからです。

細胞は活動すると、二酸化炭素と老廃物を吐き出します。この2つを「細胞のうんち」と呼びましょう。細胞は、この「うんち」を、血管内に捨てます。血液に「うんち」を「ゴミ処理場」に運搬してもらうためです。そうなのです、血液は、細胞に「食事」を届ける一方で、細胞の「うんち」を運び出してくれるのです。「食事」を運ぶ血管を大動脈といい、「うんち」を運ぶ大血管を静脈といいます。

二酸化炭素の「ゴミ処理場」は肺です。血液に乗った「うんち」のうち、二酸化炭素は肺に捨てられ、肺から口や鼻を伝わって体の外に出ます。老廃物の「ゴミ処理場」は、腎臓や肝臓です。老廃物は、腎臓によって尿として外に出されたり、肝臓で解毒されたりします。肺にも腎臓にも肝臓にも、太い血管が通っているはそのためです。

なので、心不全になると、二酸化炭素や老廃物が体の外に排出されないことになります。二酸化炭素と老廃物が貯まると、最終的には死に至るのですが、その前に「疲れ」という症状が出てくるのです。

息切れ

息を止めてみてください。しばらく止めて苦しくなったら、息をしてみてください。そのとき、息が荒くなっていると思います。これが息切れです。息を止めるということは、体内に酸素を入れないということです。酸素がないと、息切れがするのです。

激しく息をして、肺に大量の酸素を送り込んでも、酸欠状態になるときがあります。それは心不全のときです。酸素は血液によって細胞に運ばれるのですが、その血液を動かしている心臓が心不全になっていては、酸素の運搬が滞ります。全身の細胞が酸欠状態になるので、もっと多くの酸素を求めて、息切れするのです。

なので心不全の人は、軽い運動を短時間行っても、激しい息切れを起こします。

呼吸困難

心不全では、夜中に突如、呼吸困難に陥ることがあります。睡眠中に呼吸が止まってしまうのです。また逆に、眠っているのに急に呼吸が速くなることもあります。

心不全の患者の5割程度が、こうした睡眠時の呼吸障害を発症するといわれています。

むくみ

おしっこ

血液はもうひとつ重要なものを運んでいます。それは水です。体内の水分は一定に保たれなければなりません。水分量を調整するのは尿です。体内に余計な水が貯まれば、脳が「血液中の水を尿として排出しろ」と命令します。脳の命令を受けた腎臓は、尿をどんどん作ります。

心不全になると、血液が水を腎臓に送ることができず、尿が出なくなります。体内に水がたまった状態が「むくみ」です。むくみは特に足、さらに膝から下に現れることが多いです。

そのほかの症状

運動

心不全の症状はまだあります。心不全は、兆候が現れたらすぐに治療をする必要があるので、おさえておく必要があります。一目で理解できるように、箇条書きにしました。

・食欲の低下

・運動能力が落ちる

・突然、体重が増える

・咳

・ピンクの泡状の痰

・動悸

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心不全の原因

死が人生の「終着駅」だとすると、心不全は「終着駅のひとつ前の駅」です。「心不全の次は死」という意味です。

そして実は「終着駅の2つ前の駅」も「3つ前の駅」もあります。つまり心不全という病気は、突然に心不全になるのではなく、心不全の「原因」となるいくつかの心臓の病気を経て、心不全になるのです。代表的な「心不全の原因」を紹介します。

心筋梗塞

心不全

「心臓は、全身の細胞に栄養と酸素を運んでいる血液を動かす」とお話ししました。しかし心臓も細胞でできているので、栄養と酸素が必要です。つまり、心臓が送り出した血液の一部は、心臓に流れて心臓を作っている細胞に栄養と酸素を届けているのです。心臓に栄養と酸素を送る血管を「冠動脈」といいます。

血管はその名の通り「管(くだ)」です。管に異物が入り込むと詰まります。管の中を通っている液体は、それより先に進むことができません。血管が詰まっても同じことです。血液は、詰まった先に進むことができず、その状態が長く続くと、その先で栄養と酸素を待つ細胞は死んでしまいます。

心筋梗塞は、冠動脈という血管が詰まり、詰まった先にある「心臓を作っている細胞」が死んでしまう病気です。心筋梗塞は、救急医療の技術の進歩によって「死ぬ病気」ではなくなってきています。しかし、心筋梗塞は「心不全の前の駅」です。つまり、心筋梗塞を悪化させると、確実に心不全になり、死に近づいてしまうのです。

高血圧

水道に取り付けたホースで、庭に水をまくとき、水を遠くに飛ばす方法は2つあります。ひとつは、ホースの口を指でつまんで、ホースを「細くする」ことです。もうひとつの方法は、水道の栓をひねり、水の供給量を「多くする」ことです。ホースを細くしても、水を多くしても、同じ結果が得られるのは、いずれも「水圧を上げる」効果があるからです。

ホースが「血管」だとすると、水は「血液」になります。「水圧」を上げる方法が2つあったように、「血圧」が上がってしまう原因も2つあります。

血圧の原因の1つ目は、血管内にコレステロールなどが詰まり、血管の内径が細くなってしまうことです。2つ目の理由は、体内に余計な水がたまり、その水が血液になり、血液の量が増えてしまうことです。

ではなぜ、高血圧が心不全の原因になるのでしょうか。それは、血管が細くなっても、血液の量が増えても、心臓の負担が増えるからです。細くなった血管に、細くなる前と同じ量の血液を流すには、力を込めて流さなければなりません。力を込めるのは、心臓です。また、少ない量の血液を動かすより、多い量の血液を動かす方が大変です。大変になるのは、やはり心臓です。

高血圧はこのように心臓を過度に働かせることになり、心臓を疲れさせてしまうのです。心不全に確実に一歩近づいてしまうのです。

心臓弁膜症

扉

心臓には「弁」が4つあります。弁はいわば「扉」です。流したい方向に血液が流れているときは、「扉」は開きます。血液の流れを邪魔しません。しかし、血液が逆流しようとすると「扉」は閉まります。血液は1方向にしか流れてはいけないので、逆流をさせないシステムは重要です。ちなみに心臓の用語では、「弁」は正しくは「弁膜」と呼ばれています。

心臓弁膜症は、弁膜の「扉」の機能が壊れることで、血液の正しい流れを阻害したり、逆流を防げなかったりする病気です。この病気も心臓に大きな負担をかけることになり、心不全につながるのです。

不整脈

心臓が血液を集めたり送り出したりするリズムは、一定です。心臓のリズミカルな運動を「脈を打つ」と表現します。脈は、電気信号の刺激によって、打ちます。よって、電気信号が乱れると、脈のリズムが整わなくなります。この病気を「不整脈」といいます。

不整脈には、異常に速くなる「頻脈」と、異常に遅くなる「徐脈」があります。「頻脈」は、心臓が激しく動いているさまを想像できるので、心臓に負担がかかっていることは明白です。

しかし「徐脈」も、一見すると心臓がゆっくり動いて楽そうなのですが、そうではなく心臓に負担がかかるのです。それは、心臓を出入りする血液の量が少なくなるからです。体を巡る血液の量が減ると、細胞は少ない栄養と酸素で働かなければならず、疲れるのです。それは心臓の細胞も同じです。不整脈については、不整脈の原因とは?症状や治療方法も合わせて紹介!の記事を読んでおきましょう。

糖尿病

「糖尿病の合併症は、足の切断、失明、腎不全の3つと教わった」と言われるかもしれません。しかし糖尿病も、心不全につながるのです。それは、糖尿病は、血管を破壊する病気だからです。

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心不全の治療

心不全はゆっくり悪くなる病気です。若い人が心不全になる確率は、高齢者より低いのですが、しかし、若いときの生活が、高齢になったときの心不全の原因になっているのです。

治療法①生活と食事

野菜

心不全と診断されると、医師から禁煙と節酒が指導されます。さらに運動不足や睡眠不足の人には、それらの早期の改善が求められます。肥満の人はダイエットをしなければなりません。

食事で気を付けなければならないのは、野菜を多く摂ることです。食生活の乱れは、多くは野菜不足です。

次に重要なのが、塩分の摂りすぎです。医師によっては、塩をふりかけることを禁止することもあります。それは、現代の食べ物には、製造段階ですでに多くの塩を使っているので、それだけで必要な塩分を摂れているからです。

ここは重要なポイントなので繰り返します。

禁酒、節酒、運動、睡眠、ダイエット、塩分、これらは心不全の治療で最も重要ですので、必ず医師の指導に従ってください。

治療法②薬「アンギオテンシン変換酵素阻害薬」

薬

心不全のもうひとつの治療法は、薬を飲むことです。アンギオテンシン変換阻害薬は、血管を拡張する働きがあります。血管が広がると、血液がスムーズに流れるので、心臓はそれほど強く血液を押し出す必要がなくなります。つまり、心臓の負担が減るのです。この薬は血圧を下げることから、降圧剤とも呼ばれています。

治療法③薬「ジゴキシン」

この薬は、心臓の力を増やすことで、脈を遅くすることができます。1回の脈で、心臓が力強く血液を押すことができるので、大量の血液が流れることになり、脈が遅くても、全身の細胞に届く酸素と栄養は減らないのです。脈が遅くなると心臓の負担が減ります。

治療法④薬「βブロッカー」

この薬も、心不全の患者さんを長生きさせる効果があります。これも降圧剤の1つです。心不全は交感神経が活発になって心臓にストレスを与えてしまうのですが、この薬は交感神経の働きを抑える作用もあります。心不全の原因となる不整脈のリスクを低くすることが期待できます。

治療法⑤薬「利尿薬」

心不全になると、体内の水分が外に排出されなくなります。利尿薬は、尿を多く作り、水分を体外に出す薬です。肺の水が正常に排出されると、呼吸が楽になります。また、心不全患者の足のむくみは、水がたまって生じるので、利尿薬によってその症状が軽減されます。この薬を使うと「足が軽くなった」と感じる患者さんもいます。

治療法⑥ペースメーカー

ペースメーカー

「ペースメーカー」の名前は、「正常なペースを作る」という意味です。心不全の原因となる不整脈は、脈のペースに狂いが生じる病気です。ペース―メーカーという機械は、その脈のペースを正常に戻します

ペースメーカーは、手のひらにすっぽり収まるくらい、小さな機械です。これを、局所麻酔による手術で、胸の中に埋め込みます。その機械から導線が伸びていて、その導線を心臓の中に入れます。機械は電気信号を発生させます。その電気信号は導線を流れ、心臓を刺激します。心臓はその電気信号のペースで脈を打つようになるのです。

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まとめ

血管

心不全の特徴は「突然ならない」「自宅で予防できる」ことです。心不全や、その手前の心筋梗塞や不整脈、さらのその前の症状の高血圧は、ほとんどが生活の仕方が原因になっています。つまり、健康的な生活を送るだけで、心不全を予防できるということです。

しかもその進行はゆっくりなので、「きょうから節制しよう」と決めれば、それで予防になるのです。心不全の治療は「医師」と「意思」のようですね。

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