ダイエットに取り組むと、誰もが直面することがあります。それは、ダイエットにおける食事制限からきた反動で、「とにかくお腹いっぱいに食べたい」という自分自身の食欲との戦いです。
そのようなダイエット中にも、自身の食欲を満たしてくれて、なおかつ太らない食べ物・太りにくい食べ物があれば、ダイエットという自分との戦いにも勝利ができそうな気になってきます。
そこで今回は、ダイエットの基本的なメカニズムを確認した上で、太らない食べ物・太りにくい食べ物について、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
ダイエットの基本的なメカニズム
ダイエットというと、どうしても食事制限が必須だと考えがちですが、本当にそうなのでしょうか?
そこで、太らない食べ物・太りにくい食べ物について説明する前に、まずはダイエットの基本的なメカニズムについて再確認しておきたいと思います。
ダイエットの基本的なメカニズム
ダイエットの基本的なメカニズムは、食事によるエネルギー摂取量(カロリー摂取量)を上回るエネルギー量(カロリー量)を消費する、という非常に単純な仕組みです。
もう少し詳しく説明すると、エネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回ることで、身体を機能させるエネルギーの不足分を食事以外から補わなくてならず、そのエネルギー不足分を補うエネルギー源となるのが身体に蓄積した体脂肪なのです。
そして、この体脂肪が酵素による分解を経て再び血液中に溶けることによって、血液中の脂質がエネルギー源として利用されエネルギー不足分を補うのです。その結果として、体脂肪が分解・燃焼し、身体に蓄積した体脂肪の量が減少して、その分だけ体重も減るのです。
ダイエット方法について
美容や健康を意識する人が増えていることを反映して、様々なダイエット法が発表されては、魅力的なダイエット効果を謳い注目を浴びています。
しかしながら、前述したようにダイエットの基本的なメカニズムは、食事によるエネルギー摂取量を上回るエネルギー量を消費する、という単純な仕組みです。そして、これを実現するには、エネルギー消費量を増やすか、エネルギー摂取量を減らすしかありません。
この点、エネルギー消費量を増やすならば、日々の生活の中で運動量を多くして活動代謝量を増やすか、筋肉トレーニングによって筋肉量を多くすることで基礎代謝量を増やすことになります。いわゆる、運動系のダイエット法が、エネルギー消費量を増やして痩せようとするタイプです。
一方で、エネルギー摂取量を減らすならば、日々の食事の一部を市販のダイエット食品に置き換えたり、カロリー量の少ないダイエット食材を料理に用いたりします。いわゆる主食である炭水化物などの糖質摂取を減らす糖質制限ダイエットも、一種のエネルギー摂取量を減らして痩せようとするタイプのダイエット法です。
ですから、運動系ダイエットでは必ずしも食事制限が必要というわけでもありませんが、早期にダイエット効果をみせるために、多くの場合は運動と緩やかな食事制限を組み合わせています。
太りにくい食べ物の共通要素
このようなダイエットの基本的なメカニズムを踏まえると、ダイエットをするには運動をするか、食事の見直しをする必要があります。
とはいえ、運動をすれば空腹感が生じますし、食事の見直しをして食事量を減らしても空腹感が生じます。つまり、ダイエットは、どうしても自分自身の食欲と戦う必要が出てきます。
この点、太らない食べ物・太りにくい食べ物があれば、ダイエットという自分との戦いにも勝てそうな気になってきます。そこで、太りにくい食べ物の共通要素について、ご紹介したいと思います。
太らない食べ物は存在するのか?
そもそも絶対に太らない食べ物は、存在するのでしょうか?その答えは、NOです。
太りにくい食べ物は存在しても、絶対に太らないと断言できる食べ物は存在しないのです。どういうことかというと、例えばエネルギー量(カロリー量)が限りなくゼロに近い寒天(100g当たり3.1kcal)でも、過剰に食べ過ぎれば一時的に体重は増えるでしょう。
また、別の観点から見ると、エネルギー量が限りなくゼロに近い食べ物は総じて味が無いに等しいので、そのような食べ物を継続して食べ続けることは困難だとも言えます。もちろん、エネルギー量が限りなくゼロに近いと含まれる栄養素も少なく、生命維持の面からも問題があると言えるでしょう。
ですから、太りにくい食べ物は存在しますが、絶対に太らない食べ物は事実上存在しないのです。
太りにくい食べ物の共通要素
それでは、太りにくい食べ物を見分けるにあたり、太りにくい食べ物の共通要素はあるのでしょうか?太りにくい食べ物の共通要素として、次のような三つの要素が挙げられます。
- 含まれる糖質が少ない
- 含まれる脂質が少ない
- 食物繊維を豊富に含む
含まれる糖質が少ない
糖質を含む食べ物と言えば、お菓子などのスイーツであったり、白米やパンなどの炭水化物が代表的です。
そもそもスイーツや炭水化物などの糖質摂取が増えると、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が高くなります。血糖値が高くなると、高くなった血糖値を抑制するために膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
そして、このインスリンには血糖値抑制作用のほかに脂肪合成作用があるので、インスリンは別名「太らせるホルモン」とも呼ばれるのです。インスリンが多く分泌されると、血液中の糖質がインスリンによって中性脂肪に変換されて、結果として体脂肪として体内に蓄積していくのです。
このように太る理由の多くは、糖質の取り過ぎにあるのです。そのため逆から見れば、太りにくい食べ物には、含まれる糖質が少ないことが必要条件となるのです。
ちなみに、血糖値の上下動が激しくなると、空腹感が生じやすくなるとされています。食後血糖値を緩やかにする度合いを示す指標をGI値と言い、低GI食品は総じて太りにくい食べ物の共通要素を有しています。
含まれる脂質が少ない
脂質を含む食べ物は、概ねエネルギー量(カロリー量)が高いとされています。糖質ほど直接的に太る要因となるわけではありませんが、脂質の摂取し過ぎもダイエットの大敵となります。
というのも、脂質を摂取し過ぎると糖質の代謝・燃焼を妨げる可能性があるとされ、代謝・燃焼されなかった糖質は前述のようにインスリンによって体脂肪化されるからです。また、肉類などの脂質を多く含む食べ物は、総じて白米やパンなどの炭水化物を同時に摂取させるように促します。
ですから、脂質が多く含まれる食べ物は太る原因となるので、太りにくい食べ物には脂質が少ないことが条件となるのです。
食物繊維を豊富に含む
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類でき、いずれも消化されにくいのが特徴です。そして、不溶性食物繊維は水に溶けない性質のため、不溶性食物繊維を含む食べ物は栄養素が吸収された後に、食物残渣(しょくもつざんさ)として便の材料になります。一方で、水溶性食物繊維は水に溶ける性質のため、水溶性食物繊維を含む食べ物は栄養素が吸収された後に、水溶性食物繊維が水を吸収してゲル状に変化して保水することにより、便を適度な軟らかさに保つ働きがあります。
このように食物繊維には便通を良くする効果があるほか、胃腸で栄養素が吸収される段階で中性脂肪・コレステロールなどの脂質や炭水化物などの糖質の吸収を抑制する働きがあるのです。
そして、食物繊維を豊富に含む食べ物は、総じてエネルギー量(カロリー量)が低い傾向があります。ですから、太りにくい食べ物は、食物繊維を豊富に含むのです。
具体的な太りにくい食べ物
このように太りにくい食べ物は、糖質や脂質の含有量が少なく、食物繊維を豊富に含む食べ物だと言えます。
それでは、具体的にどのような食べ物が、糖質や脂質の含有量が少なく、食物繊維を豊富に含む食べ物なのでしょうか?そこで、太りにくい食べ物を具体的に、ご紹介したいと思います。
大豆製品
おから・豆腐・納豆といった大豆製品は、非常に栄養価が高いにもかかわらず、低カロリーな食品として定評があります。大豆製品は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランス良く含んでいて、糖質・炭水化物の含有量が少なく、肉類と同様に良質なタンパク質を含むものの肉類とは異なり脂質含有量は少ない、という太りにくい食べ物の共通要素を満たす食品です。
なおかつ、大豆製品に含まれる大豆サポニンと呼ばれる栄養成分は、小腸での栄養吸収の際に脂質の吸収抑制作用、血液中の余分なコレステロールや中性脂肪などの脂質を分解・減少させる作用、抗酸化作用なども有しています。ちなみに、肌の新陳代謝に必要不可欠のビタミンB類も大豆には多く含まれるので、大豆サポニンの抗酸化作用とビタミンB類が肌の老化予防に役立ちます。このような美容効果は、女性にとっては嬉しい限りです。
さらに、大豆製品に含まれる大豆レシチンと呼ばれる栄養成分は、大豆サポニンとは別に血液中の悪玉コレステロールを減らす働きをすることが判明しています。
ですから、大豆製品は栄養価に優れつつ、太りにくい食べ物であることから、とても理想的なダイエット食材と言えるのではないでしょうか。
海藻類
海藻類は、水溶性食物繊維を多く含む代表的な食べ物とされていますが、それに負けないくらい不溶性食物繊維も豊富に含まれています。加えて、海藻類は、糖質と脂質の含有量が少ないので、太りにくい食べ物の共通要素を満たす食品です。
海藻類は、ビタミンやミネラルが豊富で、低カロリーでもあります。また、近年の研究によって、海藻由来のフコキサンチンという成分には、抗肥満作用(脂肪燃焼作用)・抗酸化作用・抗炎症作用があることが判明して注目されています。このような働きを有する海藻類は、具体的にワカメ・コンブ(昆布)・ヒジキ・モズクなどが挙げられます。
また、海藻の天草(テングサ)から作られる寒天や心太(ところてん)も、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を多く含みながら、カロリーがほぼゼロであることからダイエット食材として有名です。ただし、寒天や心太はミネラル分は残るものの、他の栄養素の含有量は極めて低いので、低カロリーだからといって寒天や心太ばかり食べることには注意が必要です。そのうえ、砂糖を添加した寒天ゼリーや心太の黒蜜による味付けなどによっても栄養成分は変化しますので注意しましょう。
このように海藻類、海藻由来の寒天・心太は、太りにくい食べ物であると言えるでしょう。ちなみに、糸寒天・乾燥ワカメなどの乾物は家庭でも保存しやすいので重宝します。
こんにゃく・しらたき
こんにゃくは、非常に低カロリーな食品で、すでにダイエット食材としても有名です。こんにゃくには、水溶性食物繊維の一種であるグルコマンナンという成分が多く含まれており、その一方で糖質や脂質といったエネルギー源となる栄養成分はほとんど含まれませんので、こんにゃくは太りにくい食べ物の共通要素を十分に満たす食品なのです。
グルコマンナンは、水溶性食物繊維なので腸内で水分を吸収して便を保水したり、中性脂肪・コレステロールなどの脂質や炭水化物などの糖質の吸収を抑制する働きを有しています。そのほか、グルコマンナンには体内の余分な塩分を排出させる働きもあり、血圧を低下させる効果も発揮します。
ただし、寒天・心太と同様に、他の栄養素の含有量は極めて低いので、低カロリーだからといってこんにゃく・しらたきばかり食べることには注意が必要です。
緑黄色野菜類
葉物野菜に代表される緑黄色野菜も、比較的多く食物繊維を含み低カロリーな上に、糖質や脂質の含有量も少なく、太りにくい食べ物の共通要素を満たす食品です。この点、ゴボウなどの根菜類は食物繊維が豊富ではありますが、全般的に糖質が他の野菜類に比べて多い傾向があります。
緑黄色野菜類は、ビタミンCをはじめとしたビタミン類を多く含んでいます。ビタミン類は体内に貯蔵することができないので、日々の食事で補充し続ける必要があります。そのため、日頃から食事メニューの一つにサラダを取り入れることを習慣づけると良いのではないでしょうか。
ただし、野菜類だけでは身体を動かすエネルギー源を賄いきれません。また、調理方法やドレッシングの使い方によっては、糖質・脂質の摂取量が多くなる場合もあるので、レシピやドレッシングの材料を確認する必要があるかもしれません。
太りにくい食べ物をダイエットに利用する際の注意点
それでは、食物繊維がたっぷりで低カロリーかつ糖質・脂質の含有量が少ないという理由で、このような太りにくい食べ物を無制限に食べても良いのでしょうか?
そこで、太りにくい食べ物をダイエットに利用する際の注意点を、ご紹介したいと思います。
太りにくい食べ物をダイエットに利用する際の注意点
太りにくい食べ物を利用した過剰な食事制限は、たしかに一時的に体重を減少させるなどの効果を得られるかもしれません。
しかしながら、太りにくい食べ物ばかりでは栄養に偏りが生じて、栄養不足・エネルギー不足からくる筋力低下によりリバウンドしやすい身体となってしまいます。そして、筋力不足とは基礎代謝量の低下とイコールですから、むしろ太りやすい身体に変化していると言っても過言ではありません。
ですから、ダイエットをするには、筋トレ・運動などでエネルギー消費量を増やす一方で、疲労回復・筋肉形成に必要な栄養バランスに優れた食事をすることが大前提となります。この大前提を実践する中で、食事の一部を太りにくい食べ物に置き換えるといった補助的な利用方法が最も適していると言えるでしょう。
食事で満腹感・満足感を得るには?
ダイエットでは「とにかくお腹いっぱいに食べたい」という自分自身の食欲に対して、打ち勝つ必要があります。
この点、食事の一部を太りにくい食べ物に置き換えるといった補助的な利用をした場合、食物繊維が胃腸で水分を吸収して膨張することにより消化に時間がかかることで、満腹感が生じやすくなります。
また、こんにゃく・寒天などは歯応え・食感がありますので、意識的に咀嚼する回数を増やすことで満腹中枢が刺激されて、満腹感だけでなく満足感も得られます。
さらには、食物繊維が含まれた食べ物や味噌汁などのスープ類から食べると、血糖値の上下動が緩やかになり、腹持ちが良くなるとされています。
どうしても甘い物が欲しい時は?
ダイエット中には、どうしても甘い物が食べたい時が生じます。そのような際には、食物繊維が豊富なドライフルーツを少量摂取すると良いかもしれません。
これらのドライフルーツに含まれる甘味成分は、たしかに糖質なのですが、糖質の中でも果糖と呼ばれるフルーツ全般に含まれる糖質です。果糖は精製された白砂糖や清涼飲料水に含まれるブドウ糖溶液と異なり、血糖値を急激に上下動させませんので空腹感を生じにくい食べ物なのです。
といっても、果糖も糖質には違いありませんので、食べ過ぎれば肥満・体重増加につながりますので、ご注意ください。
まとめ
いかがでしたか?ダイエットの基本的なメカニズムと、太らない食べ物・太りにくい食べ物について、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、ダイエットに取り組むと、とにかく「お腹いっぱいに食べたい」という自分自身の食欲に打ち勝つ必要があります。
しかしながら、太りにくい食べ物を上手く活用することで、ダイエット中に生じがちな空腹感を抑制することが可能になります。
ただし、太りにくい食べ物ばかりを食べていると、栄養不足になる危険性があったり、栄養不足から筋力が低下して逆に太りやすい体質になってしまう可能性もあるので、十分な注意が必要です。
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