亜鉛というと、亜鉛不足が話題となることが多いですね。この亜鉛は性質上摂取しにくいため、どうしても不足してしまうことがあります。亜鉛サプリメントなども市場では流通しており、そのサプリメントで補って亜鉛を摂取する人も多いです。
しかしこの亜鉛、不足してもいけないのはもちろん、大量に摂取してもいけないのです。亜鉛不足が多く叫ばれる中、過剰摂取の危険性を耳にすることは多くありません。
今回は、亜鉛の過剰摂取による副作用をご紹介します。
亜鉛ってなに?
まずは亜鉛がどういった成分を持つのか、見て行きましょう。
亜鉛は金属元素の一つです。人の健康を守るために重要な役割を担うミネラル成分のひとつです。主に生殖機能を正常に作用させる力を持ち、また細胞分裂においても活躍します。
体内の骨や歯、筋肉などに亜鉛は含まれています。
亜鉛の働き
亜鉛が体内で行う役割を見て見ましょう。
- タンパク質と合成する。
- 免疫力を強化させる。
- 酵素を活性化させる。
- 細胞分裂や新陳代謝を活性化させる。
- 活性酸素を取り除く。
- アルコールを分解する。
- 胎児の成長を促進する。
- 血糖値を下げる。
- 精子をつくる。
- 味覚を正常な状態に保つ。
- 視覚を正常な状態に保つ。
- 髪の毛を育てる。
- 生殖機能を向上させる(男性の場合は精子の数を増加させる・EDの改善を促す、女性の場合は生理不順を改善する・卵子の老化を予防するなどがあります)。
などが挙げられます。
生殖機能にも大きくかかわっている成分であり、EDの改善にも役立ちます。またテストステロン(男性ホルモン)を作る成分も含んでいますので、精力剤としても活用されています。
詳しくは、亜鉛の効果について!不足する原因や多く含む食べ物を紹介!を参考にして下さい!
亜鉛の特徴
亜鉛は、骨や歯や筋肉などに含まれています。この亜鉛は体内でつくられることがないという特徴があります。体内での亜鉛生成ができないため、バランスの取れた食事や亜鉛のサプリメントを摂取することで亜鉛を補っていくのが一般的です。
亜鉛の毒性はとても低く、容量を守って摂取する分には体に害はありません。亜鉛は牡蠣やレバー、肉や卵などの食物に多く含まれています。
過剰摂取の副作用
それでは、亜鉛を過剰に摂取すると発生する副作用について見て行きましょう。主な副作用は次の通りになります。
- 頭痛がする。
- 熱が出る。
- 吐き気を催す。
- 倦怠感が出て来る。
- 銅の吸収が弱まり、貧血気味になる。
- 脱水症状を起こす。
- 腎臓障害につながる。
- 神経障害を引き起こす。
- 抜け毛が増える。
- 免疫力が弱体する。
- 下痢になる。
- 肌の老化が進む。
などの症状が出ます。
これらさまざまな症状の他、亜鉛の摂取容量を超えることで、急性亜鉛中毒を起こすこともあります。
急性亜鉛中毒は、その名の通り亜鉛を摂り過ぎたことが原因で発生する中毒です。吐き気、めまい、腹痛、脱水症状、発熱、倦怠感などは、この急性亜鉛中毒の主な症状とされています。
摂りすぎの原因は?
さて、不足しがちと言われる亜鉛はどうして過剰に摂取されてしまうのでしょうか。その主な原因は、サプリメントによる摂取といわれています。
亜鉛というのは、体内で生成されることがないため、食事かサプリメントで補うことが必要であると先ほど触れましたね。
実はこのサプリメントが大きな落とし穴になっているのです。
まず亜鉛ですが、これは一日に摂取する基準というのが設けられています。成人男性は一日の摂取量が12ミリグラム、上限は40~45ミリグラムです。成人女性の場合は一日の摂取量が9ミリグラム、上限は35ミリグラムというのが基準としてさだめられています。
この摂取量を越えたサプリメントを摂取するため、過剰摂取になりやすいのです。日本のサプリメントであれば、摂取量の上限を越える亜鉛が含まれていることはまれです。しかしアメリカなどの海外製のサプリメントは、100ミリグラムの亜鉛が含まれている場合もあるため、日本製のサプリメントよりもさらに過剰摂取になりやすいのです。
では日本製のサプリメントであれば安心か?と言えば一概に問題ないとも言えません。一日の摂取量を越えるほどサプリメントを一気に摂取してしまえば、過剰摂取につながります。サプリメントから亜鉛を過剰摂取してしまうと、早い場合はその日のうちに副作用の症状が出ることがあります。吐き気、頭痛、めまい、抜け毛や貧血などが症状として現れたら、過剰摂取をしているというサインの可能性があります。
また、亜鉛の過剰摂取には、もう一つの原因として亜鉛メッキが挙げられています。亜鉛メッキというのは、鉄材の表面を溶かした亜鉛で塗る工法です。
この亜鉛メッキは鉄材の参加を守る役割があります。鉄材の表面の亜鉛が代わりに酸化して腐敗することで鉄材の酸化を防いでいます。この腐敗して剥がれ落ちた亜鉛を、本人も気付かないうちに体内へ取り込んでしまい、結果として亜鉛を上限よりも多く摂取してしまうのです。
また容器から溶け出した亜鉛が食物に付着し、その食物を食べることでもいつの間にか知らないうちに亜鉛を摂取していた、という事例もあります。
このように、不足するからこそ多く摂ろう、とサプリメントを服用したり、自分に落ち度がないにも関わらず気づかないうちに亜鉛を摂取してしまうというわけですね。
亜鉛不足もご注意を
過剰に摂取しすぎては、かえって体に悪影響を与えてしまう亜鉛。もちろん亜鉛は不足しても身体の調子を崩してしまいます。
亜鉛不足で引き起こる症状は、次の通りです。
- 味覚障害が起きる。
- 免疫力が弱体する。
- お肌のトラブルが増える(シミ、シワ、乾燥などなど)。
- 抜け毛が増える。
- 爪に異常が見られる。
- 食欲が減退する。
- 成長障害が起きる。
- 性腺発育障害を起こす。
- 慢性的な下痢を生じる。
- 精神障害につながる。
など、一部は過剰摂取と同じ症状も生じます。こうした亜鉛不足は偏った食生活やダイエット、便通が多いことで発生します。
また妊娠中は胎児の成長を促進するために細胞が多く分裂し、このために亜鉛を大量に消費します。ですので、妊婦さんも亜鉛不足に陥りやすいといえますね。妊婦さんの亜鉛摂取量の基準は、目安と上限が成人女性より+2ミリグラムとされています。
効果的な亜鉛の摂り方
不足はもちろん、摂り過ぎるのも避けたい亜鉛ですが、ちょうどバランスの良い量を摂取するには、どのように心がければ良いでしょうか?
食物から摂取する
亜鉛を大量に含んでいる食物として、牡蠣やレバー、ビーフジャーキー、肉類などが挙げられます。また少量ではありますが、魚や豆、卵にも亜鉛が含まれています。
通常、食事が原因で摂取する亜鉛の上限を越えるということはまずありません。しかし炭水化物や加工食品などには亜鉛がほとんど含まれていないため、偏った食生活を続けていると亜鉛不足に繋がります。かといって亜鉛がたっぷりの牡蠣やレバーを一度にたくさん食べると、過剰摂取になってしまいます。偏りのない、バランスの良い食生活を心がけることが大切です。
サプリメントの容量を確認する
一日の亜鉛摂取量というものがあるのは先ほど触れましたね。これを越えるほどのサプリメントを服用すると、急性亜鉛中毒を引き起こすおそれがあります。
継続的にサプリメントを摂取する際は、摂取量をしっかりと守りましょう。一度に大量のサプリメントを服用したり、亜鉛含有量が非常に高い海外製のサプリメントを服用するのは控えましょう。
また、サプリメントを摂取して、吐き気やめまい、頭痛などの症状が出た場合は、服用量を減らすことをおすすめします。
継続的に長期間をかけてサプリメントを服用すると、やはり過剰摂取につながりやすいので、服用の量には充分注意が必要です。
上限を超えた亜鉛を服用しても、健康を促進するどころかかえって体を壊してしまいます。人間の体というのは、不要な分の栄養素は体内に取り込まず外へ排出することからも、容量以上の服用は避けた方が良いことがわかります。
サプリメントを選ぶ時は、亜鉛がどれくらい含まれているか、ほかにどのような成分も含まれているか、信頼できるメーカーのサプリメントか、などなど、しっかりとチェックすることも重要ですね。
他の栄養素と一緒に摂取する
亜鉛そのものの吸収率は低く、他の栄養素と一緒になることで吸収が活性化します。主に動物性タンパク質やクエン酸、ビタミンCは亜鉛と合わさることで、亜鉛の吸収率を高めてくれる効果があるとされています。たとえば、亜鉛豊富な牡蠣と、ビタミンC・クエン酸を含むレモンはとても相性が良い組み合わせといえますね。
逆に亜鉛の吸収率をさらに低下させる成分としては、食物繊維、カルシウム、ポリリン酸、アルコールなどが挙げられます。ポリリン酸はスナック菓子やインスタント食品などの添加物に含まれる成分です。これらは亜鉛と合わさることで吸収率を低くしてしまう効果があります。
お酒・ストレスに注意する
亜鉛はアルコールを分解する作用があります。お酒を飲むと、アルコールの分解のために亜鉛が大量に消費されます。またストレスを感じることでも亜鉛は不足します。
バランスの取れた食事だけでなく、お酒を飲み過ぎないよう注意したり、ストレスをためこまないよう、ストレス解消を行うことも重要です。
まとめ
亜鉛とはどんな物質?
- 健康な体を維持するにあたって重要なミネラル成分。
- 主に生殖機能や細胞の活性化に関わっている。
- 体内で作られることがないため不足しやすい。
亜鉛のはたらきは?
- 免疫力を強化させる。
- 酵素を活性化させる。
- 胎児の成長を促す。
- 味覚や視覚を正常に動作させる。
- 生殖機能を向上させる。
摂り過ぎるとどうなるの?
- 急性亜鉛中毒(頭痛、吐き気、めまい、腹痛など)が発症する。
- 肌の老化が進む。
- 貧血になる。
過剰摂取の原因は?
- サプリメントを大量に服用するため。
効果的な亜鉛の摂り方は?
- バランスの取れた食事を心がける
- 一日の亜鉛摂取量の上限を越えないようにサプリメントを服用する。
いかがだったでしょうか?亜鉛は不足しても摂り過ぎても体に悪影響を及ぼしてしまいます。バランスの良い食事と生活習慣を心がけ、サプリメントもきちんと容量を守って服用し、健康を維持しましょう。