らっきょうを食べ過ぎると危険?その悪影響や適切な量を知ろう!

カレーライスは、いまや国民食と呼ばれるほど、多くの日本人に食べられている食べ物の一つです。そんなカレーライスの付け合わせと言えば、らっきょうか福神漬けですよね。

特にらっきょうについては、血液サラサラ効果やダイエット効果など様々な効能を有していることが世に広まり、近年は静かなブームとなっているようです。カレー好きの人の中には、一度に沢山のらっきょうを食べている人もいるみたいですね。

しかしながら、そんな健康に良い食べ物であるはずのらっきょうも、食べ過ぎてしまうと様々な悪影響が生じる可能性があることは、案外知られていません。そこで今回は、らっきょう摂取による健康効果、らっきょうの食べ過ぎによる悪影響などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

そもそも「らっきょう」とは?

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そもそも「らっきょう」という食べ物について、どれくらい知っているでしょうか?カレーライスを食べる時の付け合わせ、というくらいの知識しかない人もいるかもしれません。

そこで、まずは、らっきょう摂取による健康効果や、らっきょうの食べ過ぎによる悪影響などについて説明する前に、念のため「らっきょう」という食べ物について、基本的な知識を再確認しておきましょう。

らっきょうとは?

らっきょうは、ネギ亜科ネギ属に分類される多年草であり、鱗茎(りんけい)と呼ばれる白色の球根部分が食用の野菜とされる植物です。

らっきょうは、ヒマラヤ地方が原産とされ、特徴的な匂いがあり、食べると辛味を感じます。らっきょうは、日本では基本的に塩漬け・しょう油漬け・甘酢漬けといった漬け物にして食べることが一般的で、その中でも特に甘酢漬けにされることが最も多くなっています。らっきょうの甘酢漬けは、カレーライスの付け合わせ・薬味として、福神漬けと双璧をなす存在です。

ちなみに、らっきょうは漢字で「辣韭」と書かれ、「オオニラ」や「サトニラ」という別名で呼ばれることもあります。また、鱗茎部分が薤白(がいはく)と呼ばれる漢方薬として利用されることから、らっきょうは薬用植物の側面も持っています。

鱗茎とは?

鱗茎とは、いわゆる球根の一つとされますが、実は厳密には地下茎(ちかけい)です。地下茎は、植物の茎(くき)のうち地中に隠れている部分のことです。

その地中に隠れた茎の周りに、養分を貯えようとして葉が厚くなり、厚くなった葉が層状に何層も重なることにより球状となったものが鱗茎です。鱗茎の典型例が、タマネギです。

ネギ属の植物と特徴的な匂い

ネギ亜科ネギ属に分類される植物には、らっきょうの他にもネギ・タマネギ・エシャロット・ニラ・ニンニク(大蒜・にんにく)などがあります。

ネギ属に属する植物の最大の特徴は、いわゆる「ネギ臭さ」や「ニンニク臭さ」と表現される独特の匂い・香りを放つ点にあります。この独特の匂い・香りの元となるのが、ネギ属の植物全般に含まれる硫化アリル(アリル硫化物)という物質です。

ですから、らっきょうが放つ独特な匂いも、この硫化アリルによるものなのです。

らっきょうに含まれる成分

らっきょうの食用部分に含まれる栄養成分は、らっきょう100gあたりで約20gの水溶性食物繊維が含まれるのが特徴的なくらいで、それ以外はとりたてて栄養価的に優れた食べ物であるわけではありません。

たしかに、ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン類、カリウム・マグネシウム・亜鉛などのミネラル類などの栄養素も幅広く含まれていますが、いずれも微量で、大半は水分が占めていますからエネルギー量(カロリー量)に優れているわけでもありません。

このようにらっきょうは決して栄養満点な食材であるわけではないのにもかかわらず、らっきょうが健康的で様々な効果効能を有するとされる要因は、実は独特の匂いの元となっている硫化アリルの存在にあるのです。

らっきょう摂取による健康効果

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それでは、前述のような独特の匂いの元となっている硫化アリルの存在によって、らっきょうが有するとされる健康的な効果効能には、どのようなものがあるのでしょうか?

そこで、らっきょう摂取によって得られる健康効果や健康的な作用について、ご紹介したいと思います。

血液サラサラ効果に伴う動脈硬化の予防効果

近年になって、らっきょうが健康的な食べ物として広く世の中に知られる要因となったのは、硫化アリルによる血液サラサラ効果と言っても過言ではないでしょう。

硫化アリルには、血液が固まることを防ぐ働きがあり、つまりは血管の中に血栓が生成されるのを予防する働きがあるのです。しかも、硫化アリルには、血液中のコレステロールが増加することを抑制する働きもあります。このような硫化アリルによる血栓の生成抑制作用と血中コレステロールの増加抑制作用から、血液がサラサラとして凝固しにくい効果が得られるのです。

そして、この硫化アリルによる血液サラサラ効果に伴って、血栓の生成に端を発する動脈硬化の予防効果も期待できるわけです。動脈硬化は、脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こす原因となる可能性があります。

このようにらっきょうを摂取することによって、血液サラサラ効果と動脈硬化をはじめとする循環器系疾患の予防効果を得ることが期待できるのです。

生活習慣病予防効果

らっきょうの摂取には、生活習慣病の予防効果も期待できるとされています。

生活習慣病は、偏った食生活・運動不足・喫煙・飲酒などの生活習慣が原因となって引き起こされる病気の総称です。具体的な生活習慣病としては、糖尿病・高血圧症・脂質異常症などが挙げられます。

前述のように、らっきょうに含まれる硫化アリルには、血液中のコレステロールが増加することを抑制する働きがあります。また、らっきょうに含まれる水溶性食物繊維のフルクタンには、腸内でコレステロールの吸収を阻害して体外に排出させる機能があります。それゆえ、らっきょうを食べると、高コレステロール血症などの脂質異常症を予防する効果が期待できるわけです。

加えて、らっきょうに含まれる水溶性食物繊維は、腸での糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑制する働きもありますので、糖尿病の予防効果も期待できます。

このようにらっきょうを摂取することによって、生活習慣病の予防効果も期待できるのです。

殺菌効果と免疫力の向上

らっきょうを摂取すると、殺菌作用とともに免疫力の向上も期待できるとされています。

そもそも一口に硫化アリル(アリル硫化物)と言っても様々な種類が存在するのですが、らっきょうの属するネギ属の植物に多く含まれる代表的な硫化アリルの成分がアリインです。このアリインが体内に入って分解されると、アリシンという強い殺菌作用を有する物質に変化するのです。アリシンの強い殺菌作用は、サルモネラ菌・コレラ菌といった細菌類から人の身体を守るのに役立ちます。

そして、前述のように血液サラサラ効果によって血流が良くなれば、アリシンやリンパ球などの免疫細胞も身体の隅々まで素早く行き渡ることになります。つまり、体内に細菌類などの異物が侵入しても、それに即応する免疫力が向上するのです。

ですから、らっきょうを摂取することによって、アリシンの殺菌効果と免疫力の向上が期待できるわけです。

疲労回復効果

らっきょうを摂取すると、疲労回復につながることも期待できます。

人の身体が疲労を感じるのは、身体を動かすためのエネルギー不足が最大の要因です。それゆえ、疲労回復にはエネルギー産生が必要であり、主に糖質をエネルギーに変える代謝が重要となります。この糖質をエネルギーに変える際に大きな役割を果たすのがビタミンB1であり、そのビタミンB1の吸収を促進するのがアリシンなのです。

加えて、アリシンはビタミンB1と結合することによりアリチアミンという物質に変化し、このアリチアミンは血液中に長くとどまることができます。そもそもビタミンB1を含むビタミン類は基本的に体内に貯蔵することができず、必要に応じて食べ物から摂取しなければならない栄養素です。

それゆえ、アリシンとビタミンB1が結合してアリチアミンになることで、ビタミンB1単独で摂取するよりも長時間にわたって身体にビタミンB1成分を供給することができるようになり、エネルギー産生をサポートすることができるのです。

このようにらっきょうを摂取することによって、アリシンという硫化アリルを通じて疲労回復が期待できるのです。そして、疲労回復効果と免疫力の向上によって、風邪などの病気にもかかりにくくなる効果もあるのです。

がん予防の働き

近年の研究では、らっきょうに含まれる硫化アリルの成分によって、がん予防につながる可能性も指摘されています。

らっきょうに含まれるアリインは体内で分解されアリシンに変化し、そのアリシンが更に分解されるとジアリルジスルフィド(二硫化アリル)になります。このジアリルジスルフィドには大腸がんの予防に効果があるという研究報告もなされています。

また、前述のアリシンの殺菌作用は、ピロリ菌にも効果を示します。ピロリ菌は胃粘膜を傷付けて胃炎・胃潰瘍・胃がんといった病気を引き起こす可能性がありますから、アリシンは胃がんの予防にもつながります。

ただし、このような硫化アリルは、がんの予防対策方法としての効果はあるものの、発生したがんを治す作用まではありませんので、誤解のないように注意が必要です。

その他のらっきょう摂取による健康効果

ここまで紹介した硫化アリルを通じた健康効果の他にも、らっきょう摂取によって期待できる健康効果が存在します。

らっきょうは水溶性食物繊維が比較的豊富に含まれるので、腸内環境を悪玉菌よりも善玉菌を優位にして整える整腸作用・整腸効果が期待できます。それゆえ便秘症状があれば、らっきょうを食べることによって便秘解消につながる可能性があるのです。

また、前述のように水溶性食物繊維はコレステロールなど余分な脂質の吸収を妨げますので、ダイエット効果も期待できるでしょう。

さらには、近年の研究で腸内環境と免疫システムには強い関連性があることが分かってきています。腸内環境を整えると、免疫システムの過剰反応とされるアレルギー反応が緩和するとされます。つまり、水溶性食物繊維の豊富ならっきょうを摂取すると、花粉症などのアレルギー症状を緩和・改善させるアレルギー抑制作用が期待できるのです。

らっきょうの食べ過ぎによる悪影響

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このようにらっきょうを摂取すると、様々な健康効果が期待できるわけですから、積極的に沢山らっきょうを食べると良いだろうと思ってしまいがちです。

しかしながら、そんな健康に良い食べ物であるはずのらっきょうも、食べ過ぎてしまうと様々な悪影響が生じる可能性があるのです。そこで、らっきょうの食べ過ぎによる悪影響について、ご紹介したいと思います。

腹痛や下痢を引き起こす可能性がある

らっきょうを食べ過ぎると、腹痛や下痢などといった消化器系の症状が現れる可能性があります。

らっきょうに含まれる硫化アリルは、様々な健康効果をもたらす大きな要因となる一方で、刺激性を有する物質でもあるため過剰摂取すると胃粘膜を刺激してしまい、お腹の痛みを発生させる可能性があります。

ちなみに、タマネギを包丁で切っていると涙が出るのも、硫化アリルが蒸発して目や鼻の粘膜を刺激するからです。それゆえ、らっきょうに限らず、ネギ属に属するネギ・タマネギ・ニンニクなどを一度に大量に食べると、腹痛を招いてしまう可能性があるのです。

また、前述のようにらっきょうには水溶性食物繊維が豊富に含まれていますので、過剰摂取をすると下痢になりやすくなります。というのも、水溶性食物繊維は大腸の中で水分を含んでゲル状になることにより、便を柔らかくする働きを有しているからです。この便を柔らかく保つ水溶性食物繊維の機能が便秘解消につながる一方で、水溶性食物繊維が過剰となれば便が緩くなりすぎて下痢になってしまうのです。

このように、らっきょうの過剰摂取は腹痛や下痢といった症状を招いてしまう可能性があるので注意が必要です。

臭いおならが出やすくなる

らっきょうを食べ過ぎると、くさい匂いを発するおならが出やすくなる可能性があります。

らっきょうに含まれる水溶性食物繊維は、その水分保持力で便秘解消につながったり、腸内環境を整える整腸作用を有するなど、基本的に健康に良い栄養成分です。しかしながら、大腸内で腸内細菌のエサとなって分解されると、水素ガスやメタンガスが発生してしまい、そのガスがおならとなって排出されるのです。

とはいえ、水素ガスもメタンガスも本来は無臭の気体です。おならが臭くなるのは、らっきょうに含まれる硫化アリルが腸内で分解される過程で、硫化水素が生まれるからです。硫化水素は腐った卵のような匂いのする気体ですから、おならも腐った卵のような匂いがするわけですね。

ですから、らっきょうの過剰摂取は、水溶性食物繊維の影響でガスが生じやすくなり、そこに硫化アリルの分解を通じて生成される硫化水素が加わって、臭いおならを発しやすくするのです。

口臭や体臭も臭くなる

らっきょうを食べ過ぎると、おならが臭くなるだけでなく、口臭や体臭も臭くなる可能性があります。

便秘になると腸内の便が腐敗して、その腐敗臭の成分が腸から吸収されて血流によって全身に運ばれ、口臭や体臭の原因となることは良く知られています。これと同様に、硫化アリルの分解を通じて生成される硫化水素の成分が腸から吸収されて血流によって肺に運ばれると、肺のガス交換によって二酸化炭素とともに匂いが吐き出され、口臭となる可能性があります。また、血流によって汗などとともに皮膚から匂いが排出されれば、それは体臭となる可能性があります。

ですから、らっきょうの過剰摂取は、おならだけでなく、口臭や体臭をも臭くさせる可能性があるのですね。

食物アレルギーを引き起こす可能性も

らっきょうを食べ過ぎると、稀ではありますが含まれる硫化アリルによって食物アレルギーを引き起こす可能性があります。

食物アレルギーを引き起こしやすい食材といえば、卵・小麦・そばなどが有名ですが、硫化アリルを含む食材も極めて稀ですが食物アレルギーを引き起こすことがあるとされています。

ですから、ネギ・タマネギ・ニンニクなどに加えて、らっきょうの過剰摂取によっても食物アレルギーが起きる可能性があるのです。

らっきょうの適切な摂取量

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このようにらっきょうの過剰摂取には、いくつかの悪影響やデメリットも存在するのです。とはいえ、らっきょうの健康効果と悪影響を比較すると、はるかに健康効果のほうが勝りますよね。それでは、悪影響が大きくならない範囲で、らっきょうの健康効果を享受するには、どれくらいの量が摂取の目安となるのでしょうか?そこで、らっきょう摂取の適量について、ご紹介したいと思います。

目安は1日3~5個

らっきょう摂取の適量は、摂取者の普段の食生活や体質、らっきょうの食べ方などによっても左右されますが、一般的な市販されている甘酢漬けで言えば1日3~5個が目安と言えるでしょう。

実は、市販されている甘酢漬けには、思いのほか糖分と塩分が含まれていますので、硫化アリルの摂りすぎと言うよりも、糖分や塩分の摂りすぎに配慮しなければなりません。一般的な市販されている甘酢漬けの甘酢には、概ね100mlあたり50~60gの砂糖と5~6gの塩が添加されています。もちろん、らっきょうのしょう油漬けであれば、より塩分量が多くなるでしょう。

ですから、普段から糖分や塩分の多い食生活の人は目安よりも少なめにしなければなりませんし、子供と大人では糖分・塩分の摂取量の目安も自ずと異なりますから上手く調整する必要があるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?らっきょう摂取による健康効果、らっきょうの食べ過ぎによる悪影響などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、らっきょうは血液サラサラ効果や生活習慣病の予防効果など様々な健康効果を有していますので、積極的に食べると良いと思いがちです。しかしながら、そんな健康効果のあるらっきょうも、食べ過ぎてしまうと身体に悪影響が生じてしまう可能性が存在します。

ですから、いくら健康効果が高いからといって、らっきょうを一度に多く摂取するのではなく、適量を継続して摂取していくことが大切なのです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という諺(ことわざ)は、らっきょうの摂取にも当てはまるのですね。

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