アルカローシスの症状とは?種類や治療法、予防法を知ろう!アシドーシスとの違いは?

身体に関することにおいてだけではなく、何事においても、バランスというのは非常に大切です。どちらか一方に偏りが生じると、必ず、それらをどこかで元に戻そうとする力が働きます。

よく思い出してみると、日常生活においても、私たちは無意識のうちにできるだけバランスのとれた状態にしようとしていることが、多々あるのではないでしょうか。

寒ければ、温めようとし、暑ければ、涼しくなるように工夫するのも、その一つと言えるでしょう。そして、私たちの体内でも、バランスを保とうと、それぞれの機能が働いています。例えば、塩分を摂りすぎると喉が渇くのは、塩分濃度を薄めようと身体が働きかけるためです。

さらに体内を深く観察すると、血液中でも、これと同じような現象が起こります。血中のバランスが極端に偏ると「アルカローシス」と呼ばれる状態になり、何とか元に戻そうとする際に、様々な現象が“症状”として現れてくるのです。

そこで、ここでは、アルカローシスとは、どのような状態なのか、その症状や原因についてなどをご紹介いたします。

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アルカローシスとは?

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全身の隅々にまで届いている血液は、正常な状態だと、常に中性に保たれています。このバランスがとれた状態は、「酸塩基平衡」と呼ばれています。

そして、これらの血中のバランスは、pH(ペーハー)値と呼ばれる値で示すことができ、血液検査などの検査結果を見ると、この文字が並んでいることに気づくことでしょう。

ところが、何らかの原因によって、このバランスが崩れることがあるのです。それによって、血液がアルカリ性に傾いた状態のことを「アルカローシス」と言い、また逆に、酸性に傾いた状態を「アシドーシス」と言います。

pH値

pH値とは、人間の体液の水素イオン濃度を示すもので、その値によってアルカリ性・酸性の度合い(強さ)を知ることができます。通常、体液の水素イオン濃度は、7.4±0.05すなわち7.35~7.45に保たれています。

アルカローシスの状態(血液がアルカリ性に傾いた状態)になると、pH値は通常の範囲を超え、7.45以上を示します。

また、反対にpH値が7.35以下になると、血液が酸性に傾いているアシドーシスの状態になっていると判断できます。

血液ガス

これらのpH値の変化で、何が大きく関わっているのかというと、「血液ガス」です。「血液ガスって何?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単にご説明しておきましょう。

<血液ガスとは?>

本来、血液には酸素や二酸化炭素、窒素などの様々な気体、つまり「ガス」が溶けています。このように、血液中に溶けている気体を総称して「血液ガス」と呼んでいます。

私たちの健康状態を調べる際の「血液ガス分析」では、血中に溶けている気体の「酸素」と「二酸化炭素」の量を調べるために行われるのです。

<血液ガス分析が示す酸素と二酸化炭素の含有量>

血液ガス検査の結果をみると、「PaO2」や「PaCO2」といった文字が出てきます。これは、

  • PaO2:P=圧力(分圧)、O2=酸素。すなわち、血中の酸素の量
  • PaCO2:P=圧力(分圧)、CO2=二酸化炭素。すなわち、血中の二酸化炭素の量

を示しているのです。ちなみに、「a」は、動脈「artery」の頭文字を表します。

これらから、なぜ水素イオン濃度がわかるのかについては、化学式を介して見てみるとわかりやすいでしょう。

通常、これらの気体は、血漿(赤血球や白血球、血小板以外の血液中の成分。約9割が水分)に溶けた状態で存在しています。血漿はほぼ水分ですので、H2Oで表します。

血液ガスの状態を化学式で表すと、以下のように示すことができます。

CO2+H2O→H2CO2(炭酸)→H+(水素イオン)+HCO3

二酸化炭素は、血液中で水素イオンを放出するため、酸性に傾きます。また、「HCO3」は重炭酸イオンのことを示しますが、重炭酸イオンは、水素イオンを中和させて、体液を中性に保つよう働く、重要な存在です。

この化学式で示した作用が、右から左へ進むと、アルカローシスの状態を招くのです。つまり、

  • 重炭酸イオンが体内に溜まりすぎたとき
  • 水素イオンが極端に失われたとき
  • 二酸化炭素が極端に減少したとき

にアルカリ性に傾き、アルカローシスの状態になるということです。

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アルカローシスの種類について

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ここまでご覧いただくと、アルカローシスを生じる際には、いくつかのパターンがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。アルカローシスは、重炭酸イオンや水素イオンなど、体液に含まれる成分と、二酸化炭素などの呼吸によって大きく影響される成分の異常値によって起こります。

そのため、アルカローシスは、「代謝性アルカローシス」と「呼吸性アルカローシス」、そして、何らかの原因で、代謝性アルカローシスと呼吸性アルカローシスが同時に起こる「混合性アルカローシス」の3つに分類されます。

ここでは、それぞれのアルカローシスの原因などをご紹介いたします。

代謝性アルカローシス

代謝性アルカローシスが起こるのは、先に述べた3つの要因のうち、

  • 重炭酸イオンが体内に溜まりすぎたとき
  • 水素イオンが極端に失われたとき

の2つが起因して生じます。それぞれ、どのようなときに、このような状態になるのかを見ていきましょう。

<重炭酸イオンが体内に溜まりすぎるケース>

重炭酸イオンが過剰に体内に溜まる原因は、「体内に入ること」によって生じる場合と、「排出されないこと」の2つが原因と考えられます。

まず、体内に重炭酸イオンが過剰に侵入する理由としてあげられるのは、やはり、何らかの治療などで意図的に外から注入された場合と考えるのが自然です。

  • 点滴などで、重炭酸イオンを多く含む補液が一定以上投与された場合
  • 重炭酸イオンを含む薬を、多量に内服した場合
  • 大量に輸血をした場合

などが原因として考えられます。3つ目にあげた輸血が、なぜ重炭酸イオン過多を招くのかというと、輸血で使用される抗凝固剤に含まれるクエン酸ナトリウムの量がポイントになります。

この、クエン酸ナトリウムといのは、体内に入ると重炭酸イオンに代謝されてしまうのです。すなわち、血中でのクエン酸ナトリウム濃度が上がると、重炭酸イオン過多になり、アルカローシスを招くというわけです。

次に、「排出されない(蓄積される)」原因としては、

  • 動脈血流量が減少した場合
  • 腎機能の低下
  • 副甲状腺機能低下症
  • 利尿剤の副作用

などがあげられます。2つ目にあげた腎機能の低下が生じると、重炭酸イオンの排出が低下するため、結果的に体内に蓄積することになり、アルカローシスが生じます。

また、利尿剤の副作用が原因となる場合、利尿剤にもいろいろな種類がありますが、なかでも重炭酸イオンを再吸収してしまう副作用を持つ、ループ利尿剤と呼ばれる薬を使用することで、アルカローシスが生じるケースがあるようです。

<水素イオンが極端に失われるケース>

水素イオンが極端に失われるときというのは、イコール、酸が過剰に排出されてしまったときです。酸が過剰に排出される状態といえば…そう、嘔吐です。反復性嘔吐などによって嘔吐を繰り返すと、水素イオンが極端に減少して、アルカローシスを引き起こします。

低カリウム血症の場合も、同様です。低カリウム血症になると、体内を中性に保つため、失われたカリウムの代わりに、水素イオンが排出されやすくなってしまうのです。

それらに加え、原発性アルドステロン症という腎臓疾患が起因して、腎臓からの酸の損出を招き、代謝性アルカローシスが生じるケースもあるようです。これは、副腎の腫瘍がアルドステロンというホルモンを過剰に分泌させることが大きな原因となっています。

呼吸性アルカローシス

血中の二酸化炭素量が減少することによって起こるのが、この呼吸性アルカローシスです。文字通り、これには呼吸が大きく関係し、取り入れる酸素と体内の二酸化炭素の量が影響します。

何らかの原因で、呼吸を取り入れ過ぎる(酸素を取り込む)と、体内の二酸化炭素の量は減少します。すると、それに伴って炭酸(H2CO3)の発生量も少なくなるのです。炭酸を介して水素イオンが放出されるということは、すなわち水素イオン量の減少につながります。

水素イオンの減少は、これまでにも述べたように、体内をアルカリ性に傾けるため、アルカローシスが起こるのです。

考えられる原因には、以下のようなものがあげられます。

  • 酸素を過剰に取り込む「過換気症候群」
  • 呼吸器中枢の異常を起こす「代謝性脳症」「頭蓋内出血」「脳圧亢進」などの疾患
  • 細胞レベルの低酸素状態を招く「敗血症」「ショック症状」など
  • 人工呼吸器の設定ミス

以上のようなことが、二酸化炭素過多を招く原因として考えられています。

混合性アルカローシス

混合性アルカローシスは、それぞれ別の原因によって、代謝性アルカローシスと呼吸性アルカローシスが同時に併発するケースのことを言います。

このような状態を招く原因として考えられるのは、

  • 肺水腫
  • くも膜下出血

などの疾患があげられます。

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それぞれの症状

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それでは、それぞれのアルカローシスの症状について見ていきましょう。いずれの場合においても、体内が過剰にアルカリ性に傾くことによって生じるので、症状も同じように現れると考えても間違いではりませんが、詳細に見ていくと、若干異なるようです。

代謝性アルカローシスの症状

代謝性アルカローシスの症状には、以下のようなものがあげられます。

  • 傾眠傾向(すぐに眠ってしまうが、刺激すると起きる)
  • 見当識障害(自分が置かれている場所や日時がわからなくなる)
  • テタニー(カルシウムイオン低下が起因する痙攣)
  • 不整脈

呼吸性アルカローシスの症状

呼吸性アルカローシスの場合、急性と慢性に分けられます。急性は、呼吸性アルカローシスを起こしてまもなくのことを示し、慢性の場合においては、アルカローシスの状態が継続した場合のことを示します。

急性と慢性では、それぞれ以下のような症状が現れます。

<急性アルカローシスの症状>

  • 心拍出量の低下、脳血流量低下によって生じる意識障害
  • 手や足などの身体の末端部分のしびれ
  • ミオクローヌス(急激な筋肉の収縮)
  • テタニー
  • めまい

<慢性アルカローシスの症状>

  • 動悸
  • 前胸部の不快感
  • 末梢神経のしびれ
  • めまい
  • こむら返り
  • 胸焼け
  • 筋収縮による頭痛
  • 注意力が散漫になる
  • 発汗
  • 睡眠障害
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アルカローシスの治療法について

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それでは、アルカローシスの治療にはどのような方法があるのかを見ていきましょう。アルカローシスを起こしている原因をしっかりと見極めて治療を行うことが大切です。

代謝性アルカローシスの治療方法

何らかの疾患が引き金となって、代謝性アルカローシスを引き起こしている場合は、まずはその原因となる疾患の治療を行うことが大切です。

アルカローシスの症状に対しての治療は、いろいろなものがありますが、症状の重症度によっても異なります。

<塩素反応性の場合>

嘔吐などが原因で起きる、塩素反応性の代謝性アルカローシスを起こしている場合には、静脈に0.9%の生理食塩水を点滴する治療法が行われます。尿のpH値が正常に回復するまでは、速度を上げて(50ml~100ml/時程度)注入するのが一般的だと言われています。

また、低カリウム血症などの非塩素反応性の代謝性アルカローシスの場合においては、水分、電解質、栄養素などを含む、補液の点滴が有効だと言われています。

これはナトリウムとカリウム(水分と電解質)を補うことで体内のイオンバランスを改善するための方法です。

<重症度が高い場合>

pH値が7.6を上回るような、重症度の高い代謝性アルカローシスの場合においては、早急なpH補正が必要です。

体液が過剰にある場合には、血液濾過や血液透析などで、まずはそれらを優先して改善する必要があります。その場合、体内の余分な水分を排出する作用を持つ「アセタゾラミド」という薬を使用し、約250ml~375mlを1日2回に分けて、内服あるいは注射で注入します。

これらの方法は、利尿剤の副作用などで生じるアルカローシスに効果的だと言われています。

また、そのほかにも、溶解した塩酸を静脈注射する方法も、効果的だと言われていますが、抹消静脈硬化を防ぐために、中心カテーテルの使用が必須です。その際にはABG(血液ガスの値)や電解質などをこまめに観察しながら行うことが大切です。

呼吸性アルカローシスの治療方法

呼吸性アルカローシスの場合は、それらが直結して命に関わることはほとんどないと言われています。よって、多くの場合、ゆっくりと呼吸を行うことで改善されると言われています。

この際、ペーパーバックを用いて呼吸する方法が行われることがあるようですが、現在この方法は窒息死を招く可能性があるため、非常に危険だと言われています。

まずは、以下のような方法を参考に、呼気と吸気のバランスを整えることが大切です。

  • 軽く息を止めて、口をすぼめるようにしてゆっくりと息を吐く。
  • 鼻から空気を吸い込む。

急性の呼吸性アルカローシスは、過換気症候群によるものが多いため、急性の段階で正常な呼吸を取り戻すことができれば、特別な治療を行わなくても良いケースがほとんどです。

また、過換気症候群の原因が心因性である場合においては、メンタル面での治療も合わせて行うことが根本的な治療と言えるでしょう。カウンセリングや、精神安定剤などを服用しながら、心理的不安の原因を少しずつ紐解いてきましょう。

しかし、肺塞栓症など、別の疾患が原因となって呼吸性アルカローシスを発症しているケースもありますので、それらの原因をしっかりと見極めることが大切です。

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アルカローシスの予防法

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では、最後に、アルカローシスを招かないための予防法について、簡単にご紹介いたします。まずは、アルカローシスを誘発する疾患にならないようにすることが一番ですが、そのほかにも、体内を中性に保つよう心がけておくことが大切です。

食事の見直し

栄養バランスのとれた食生活を心がけることは、万病の予防につながります。とくに、バナナやほうれん草など、カリウムを豊富に含む食事は、アルカローシスの予防に効果的です。

代謝の良い身体づくり

体内を中性に保つには、水分代謝を良くしておくことも重要です。適度な運動と、水分補給、塩分補給を心がけて、酸性、アルカリ性、どちらかに偏り過ぎないようにしましょう。

ストレスを溜めない

ストレスなどが原因で過換気症候群を招くのは、先に述べたとおりです。身体と心は密接に関係しているため、ストレスはアルカローシス以外の、いろいろな病気を引き起こす原因にもなっています。一日に必ずリラックスする時間を設けたり、ストレスを感じたときの、自分なりの解消法を探すなどして、ストレスを心身に溜め込まない生活を心がけましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。ご覧いただいたように、体内ではバランスを損なったときには、それを正常な状態に保とうと働くのです。

逆に述べると、身体に現れる様々な症状は、身体の中で何らかのバランスが崩れているというサインであるとも言えます。

普段から自分の身体の声に耳を傾け、アルカローシスのような大きな発作が起こる前に、早期の段階でケアしておきたいものですね。

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