すぐにイライラしてしまう人、怒りっぽいと言われた事がある人、瞑想を始めてみてはいかがでしょうか。瞑想というと宗教を思い浮かべる人も多いと思いますが、近年では信仰していなくても瞑想を日常生活に取り入れる人が増えてきています。瞑想をすると集中力や記憶力を高め、ストレス解消、心を穏やかにするなど様々な効果があり、科学的にも証明されています。
ここでは、瞑想とは何か、また瞑想の効果や瞑想のやり方について詳しく記事にしていきたいと思います。
瞑想について
近年、ヨガと同様に多くの人から注目されている瞑想。
仏教の修行で行うような宗教的なものを想像する人も多いと思いますが、今そういった考えを持つのは古いです。瞑想とは何か、瞑想は難しくないのかについてここではご紹介します。
瞑想とは?
瞑想とは、心を沈めて無心になる事です。瞑想には身心ともに幅広く効果が期待できるので、人によって始める目的は異なります。スピリチュアルな体験をしたい人もいれば、何らかの波動を出したいという考えの人、リラックスしたい、思考を開放したいなど様々な目的があります。
瞑想をする事で得られる一番大きな効果は、自律神経を整わせてストレスを緩和させる事ができることです。現代の社会でストレスを感じない人はいないので、ストレス解消の1つの手段に取り入れる人が増えてきています。
現在、世界中で瞑想に対する注目度が集まり、イチロー選手や長嶋茂雄さん、スティーブ・ジョブズ、ソニー創業者の井深大氏、ビル・ゲイツ、マドンナなどの成功者たちも瞑想の実演者として知られています。他にも、米Google、ゴールドマンサックス、Yahoo!などのマインドフルネス研修と呼ばれる、瞑想を行う研修内容が取り入れられたり、一般アスリートの方も実践しています。
瞑想は心神的なイメージがあり、怪しいと思っている人もいるかと思いますが、今ではエリート企業の研修や成功者が実践している内容ともあり、怪しいという考えは若干時代遅れになってきました。ボーッとしているだけでも脳はエネルギーを使うので、脳を休めるには睡眠か瞑想しか方法がないと言われています。
瞑想が「最高の休息である」という科学的根拠も多く挙がっていることが、多くの人が取り入れ始めた理由になっています。
瞑想と睡眠の違い
私たちは日中活動している間は、絶え間なく思考を繰り返し、脳が休まずに常に動いています。その思考の数は1日でなんと5万回以上と言われています。脳は酸素の3割を消費し、身体が消費するエネルギーの2割を使うとも言われているので、思考を続けることで酸素やエネルギーを大量に消費することになります。
この思考を止めて精神をリフレッシュさせる方法の1つが瞑想です。この瞑想を行う事で、日常生活のストレス軽減したり、思考がハッキリするようになったり、不安がなくなります。精神面以外にも、血流がよくなり、肩こりなどの改善も期待することが出来ます。
これらの効果だけであれば、睡眠の効果と何ら変わらないように思えますが、瞑想と睡眠には大きな違いがあります。それは、瞑想を習慣的に取り入れてると、通常アクセスする事ができない深い潜在意識の部分にアクセスする事ができるようになる事です。
この潜在意識の部分とは自分の本当にやりたい事や魂の部分に当たるもの。頭を空っぽにして、潜在意識と対話することで、自分のやりたい事や重要な事を見つめなおすことができ、何が本当に必要なもので何が不要なのものかを明確にする事ができます。
また、人間は脳の機能の25%ほどしか使っていないと言われ、残りの75%を瞑想により活性化することができるという事が最近の研究結果でも報告されています。他にも15分の瞑想は2時間の睡眠の効果があるとも言われており、深い休息ができることは間違いありません。
瞑想は難しい?
瞑想と聞くと「床に座って行い、雑念が入ると修行僧から棒でビシッと叩かれるイメージ」が浮かぶと思います。このようなイメージから、瞑想は仏教の修行の1つ、厳しいもの、難しいものと捉えがちですが、コツを掴めば誰でも出来るようになります。
始めは雑念が現れて難しいと感じますが、雑念が出てきたら流してしまえばいいのです。これを何度も繰り返しているうちに感覚を掴み、できるようになると言われています。瞑想は究極のリラクゼーションでもあるので、眠気が襲ってくる場合もあります。寝てしまってもリラックス状態に入れるので問題はありませんが、慣れてくると眠らないようになります。
瞑想の種類について
瞑想と一言で言ってもその種類はたくさんあります。瞑想の種類によってやり方は微妙に異なりますが、どれも心を無にする事は共通しており、得られる効果もほとんど変わりありません。ここでは、有名な瞑想の種類についてご紹介します。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネスとは、意味を表現しにくいですが「集中した覚醒状態」のことを指しています。日本マインドフル・リーダーシップ協会では下記のように説明しています。
マインドフルネスは、「今という瞬間、瞬間への、一切の評価、判断を挟まない、気づきの状態(アウェアネス)」です。
マインドフルネス瞑想は、マインドフルネスを養うための修練です。
マインドフルネス瞑想には、座る、歩く、立つなどの形式的な瞑想と日常生活の中で取り入れる瞑想があります。どちらの場合も意識を向ける対象を決めるのが特徴です。一般的に意識を向ける対象にしているのが呼吸で、ヨガもこのマインドフルネス瞑想の中の1つです。
呼吸に意識を向けることで、集中力を高める脳のトレーニング方法のようなものです。何かに意識を傾ける事で、集中力を工場させることが可能になります。最初に選ぶ瞑想方法としてオススメです。
超越瞑想(ちょうえつめいそう)
超越瞑想と聞くと怪しい感じがしますが、創始者のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーという方は4万人も超越瞑想の教師を育た方で、全世界中で600万人もの人が学んでいる有名な瞑想方法の1つです。
英語では、Transcendental Meditation(トランセンデンタル・メディテーション)と呼び、これを略してTMとも呼ばれています。超越瞑想は特に決まった座り方はなく楽な方法で座って、目を閉じてマントラと呼ばれる瞑想に適した音を心の中で繰り返します。
このマントラは特に意味を持っているわけではなく、瞑想に入りやすくする為の音と言われています。この音は3文字~4文字のもので教師が経典の中から適した音を選んでくれます。瞑想時間は15分~20分程度。内容は簡単なものですが、具体的な方法はマンツーマン指導を通して学ばないと正しい効果は得られないと言われています。
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想は、世界中で最も行われている瞑想の1つで、仏教系の瞑想です。このヴィパッサナーとは「ものごとをありのままに見る」という意味合いがあり、インドの古い瞑想方法の1つ。
元々はヨガの呼吸瞑想法で、後に仏教の創始者のブッダが修行中に行っていたと言われ、それが世界に広がったものが、ヴィパッサナー瞑想です。
瞑想時間は30分~45分程度。まずは、楽な体制で座って自分の呼吸を意識して瞑想します。この瞑想は「今に気付く」事を目的とします。瞑想していると、雑念が浮かんできますが、そうした場合は呼吸に意識を戻して雑念を流すことで、自然とコツを掴んでくるようになります。
座位での瞑想が終わると次に歩く瞑想を行います。ゆっくりと立ち上がり15分~30分間、ゆっくりと歩き、一歩一歩噛み締めるように瞑想を行います。
サマタ瞑想
サマタ瞑想はヴィパッサナー瞑想と並んで有名な瞑想方法で、こちらも仏教の瞑想の1つ。サマタ瞑想は、何か一点に集中して心の動きを止めることを目的としています。サマタ瞑想のやり方は、まずは落ち着ける静かな場所で楽な姿勢で座ります。
呼吸法は、腹式呼吸で鼻から吸って鼻から出す鼻呼吸、もしくは鼻から吸って口から出す方法を取り入れます。腹式呼吸に慣れてきたら呼吸をする度に頭の中で「いーち」「にー」「さーん」と数を数えます。呼吸の数を数えることに意識する事で雑念を取り払います。
数を数えなくても呼吸に意識するなど、何か1つに集中すれば問題ありません。時間に特に制限はなく、集中力がきれたら止めます。
誘導瞑想
瞑想を始めると雑念が出てきたり、考え事をしてしまったり、思考が止まらない場合もあります。このように、瞑想状態になかなか入ることができない人にオススメなのが、誘導瞑想です。
誘導瞑想は瞑想しやすい状態にする事で、CDや瞑想経験のある第三者に瞑想の誘導をしてもらいながら行う方法です。「引き寄せの法則 瞑想CDブック」などはインターネットでも気軽に購入することができます。
意識をどこに持っていくべきか音声が指示を出すので、考えすぎることがなくなり、瞑想に入りやすくなります。また、瞑想での理想的な脳波をシータ波と呼んでいます。このシータ波は入眠前に出る脳波と同じで、シータ波の音楽をきくことで瞑想にすんなりと入りやすくなります。瞑想に入りやすくしたいと考えている方は、誘導瞑想やシータ波誘導が合わさっているCDを試してみるのがオススメです。
瞑想の効果について
脳を休めるには睡眠と瞑想の2択しかないと言われ、様々な科学的根拠も挙がっています。睡眠は意識がない状態脳を休める事で瞑想は意識がある状態で脳を休める方法です。
意識がないのとあるのでは大きく異なる為、得られる効果も異なります。ここでは、瞑想をすることで、どんな効果が期待できるのかご紹介します。
精神的ストレスの軽減
瞑想で一番大きな効果が得られるのが、不安やストレス解消です。力を発揮しなければいけない場面ではとても緊張します。しかし、瞑想を日々の生活に取り入れることで、自分で心をコントロールできるようになり、スッキリすることができます。
また、ストレスのほとんどは人間関係が関わっていると言われています。思い込みや固定観念などにとらわれた思考をスッキリさせることで人間関係の悩みも解消でき、更に精神的なストレスから引き起こされるうつ病や摂食障害などの治療にも効果を発揮し、気持ちも前向きになると言われています。
超越瞑想の研究結果ではストレスを感じた時に分泌されるホルモンが、瞑想を行った時に大幅に減少したという研究結果があります。また、米UCLAの研究チームは44名の被験者を集めて瞑想に関する実験を行いました。44名のうち半分は瞑想の習慣があり、他半分は瞑想の習慣がない人たちです。
彼らの脳をMRIで検査したところ、瞑想の習慣のある人たちの脳は「海馬」と「眼窩前頭皮質」という部分に大きな発達が見られました。海馬は記憶を司る部分。眼窩前頭皮質はストレスに強い耐性になると言われており、これらの実験結果からも瞑想をすることでストレスに強い耐性ができると言えます。他にも、多くの研究雑誌で不安やストレスが減少したと報告されています。
幸福度UP・イライラ解消
瞑想をするとストレスなどの刺激に対して感情的にならなくなり、イライラしなくなったり、穏やかな性格になるとも言われています。
社会人に瞑想を1日40分ずつ2ヶ月~1年ほど行ってもらい、脳の変化をみたところ、脳が幸福感を感じる部分が0.1〜0.2mm厚くなっていたことが報告されています。瞑想には人生の幸福度を増加される効果があり、イライラをなくしたり、短気を解消できると発表されています。
明晰な思考・判断力UP
瞑想をすることで、判断力を阻害する思い込みや余計な思考、偏見などを取り払い、物事の進め方を急に行っている自分に気付くことで、感情に左右されない冷静な思考をすることが可能になると言われています。
また、瞑想により頭の中がキレイに整理されている状態を作れば、理解力や洞察力も優れると言われ、物事の本質を見抜いて判断する事ができるようになります。
集中力UP
会議中に今日のお昼何食べようかなと考えていたり、仕事に取り掛かろうとしたのに数分後にスマホを見ていたりなど、心ここにあらずの状態で物事に集中出来ない事は、誰にでもあることです。瞑想は呼吸や何か1つの対象の物に意識を集中させる訓練をする為、自然と集中力が身に付きます。
私達は、常に時間に追われている為、同時に複数の事をこなそうとする傾向にありますが、なにが重要なことか見極め1つのタスクに意識を向けて集中することで、パフォーマンスが上がり、結果的に生産性を上げることができます。
創造力・発想力UP
余計な思考、思いこみ、固定概念などを取り払うことで、自由な思考が養われ創造的な思考をすることができるようになります。しかし、このような創造的な思考はいきなりパッと現れるわけではなく、自身の経験やインプットしてきたものが自分の感情などと複雑に絡み合うことで、新しいものを思いつくことができます。
頭の中が整理されていればされているほど、クリエイティブな思考になりやすいと言われています。また、リラックスしている時こそ、発見を生みやすいとも言われている為、瞑想を習慣づけることで発想力を養うことにも繋がります。
睡眠の質が向上する
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類あります。レム睡眠は浅い眠りのことで、体は眠っていても、脳は動いている状態。一方ノンレム睡眠は深い眠りのことで、体も脳も休んでいる状態です。
まず、眠りに着くとノンレム睡眠に入り、1時間後にレム睡眠に入り、またノンレム睡眠に入るといったように交互に行います。私達はこの2つの睡眠状態を起きるまでに3~5回ほど交互に繰り返します。
浅い眠りのレム睡眠の時は脳が動き、情報整理を行います。このレム睡眠と同じ状態を作れるのが瞑想です。その為、瞑想を毎日定期的に行っていると、夜寝ている時に情報整理しなければいけない量が減り、睡眠の質が高まると言われています。
記憶力が伸びる
記憶力とは「物事を忘れずに覚えておくこと」と「過去を経験を思い出すこと」の2つの意味合いがあります。つまり、記憶力とは覚えておく力と思い出す力が必要だということです。一説によると、脳内には生まれた時から現在までの記憶は全て脳の中にあるけれど、思い出すことができないだけだと言われています。
これによると、情報が脳の中にあるにも関わらず、そこにアクセスできない状態を作っていることになります。そして、瞑想をするとこの部分にアクセスできるようになると言われています。また、瞑想することで頭の情報がスッキリと整理されるので、必要な情報を見つけ出しやすくなります。
瞑想の効果により、自分が必要としているものがハッキリとし、情報が整理されます。その為、頭の中では必要な情報がキレイに並び情報を取り出しやすい状況にしてくれるのです。これらの理由により、記憶力が上がると言われています。
また前述した実験内容で、瞑想の習慣のある人たちの脳には記憶を司る「海馬」の部分に大きく発達が見られていた為、記憶力が向上すると言うことは脳科学の研究でも証明されています。
免疫力UP
アメリカで被験者48名に行われた実験では、瞑想で免疫力がUPすると報告しています。これによると、全員にインフルエンザワクチンを摂取させて、その人たちを2つのグループにわけ、1つのグループに毎日瞑想させる事を8週間ほど続けさせました。
血液検査を行ったところ、毎日瞑想を行った人は体内のインフルエンザの抗体の数が遥かに多く、病気にかかりにくい状態を作れていた事が判明しました。また、左前頭葉が右前頭葉に比べると活発に活動しており、右前頭葉が活発に動いているほど免疫力が高いと言えるそうです。
他にも、高血圧の人を対象に行った研究では、瞑想を行っていた人が統計学的に血圧の低下を確認することができています。高血圧症や高血圧状態の治療法としても新しい可能性が出てきました。これらの研究結果から免疫力が高まり、病気にかかりにくい体になると考えられています。
ダイエット
メンタル面の改善だけでなく、ダイエットにも効果的だと言われています。ダイエットの敵となるのが食欲。この食欲はストレスが原因で増します。ストレス社会と言われている現代なので、ストレスを感じない人はいません。
ストレスを感じた時にストレス解消するのに手っ取り早いものが食です。この食欲を満たすことで、ストレスは押えられたとしても、太ってしまったら更にストレスの元になります。
瞑想により、ストレスを落ち着かせることで食に対する願望を押えることができるので、ダイエットに効果的だと考えられています。食欲が止まらない人は一度瞑想をして見ることをオススメします。
瞑想を行うポイントについて
瞑想の効果は、何十年間も修行を積まなくても短時間で得られると言われています。続ければ続けるほど効果は継続していくので、毎日数分でも行うのがオススメです。
ここでは、瞑想のやり方についてご紹介します。
瞑想する時間
瞑想に決まった時間はありません。上記で紹介したような瞑想の種類によって時間も異なりますが、基本的にはこれくらいやると心が静まるという時間を目安に行うのがいいと言われています。目安はだいたい15分ほどと言われていますが、個人差があるので出来る限り長く行い自分のタイミングで止めましょう。
瞑想をする時間は、朝起きた時に1回、夜寝る前に1回するのが最適だと言われています。しかし、1日のうちに1回しか出来る時間がないようであれば、寝る前に行うのがオススメです。寝る前に行うことで、頭を整理することができ、睡眠の質を上げることができます。
呼吸法
瞑想の中で一番大切なのは呼吸だと言われています。私達は常に無意識で呼吸を行っていますが、頭の中に考えていることがいっぱいになると、呼吸が浅くなり、脳が酸欠状態を起し判断力が低下します。
瞑想はゆっくり深く呼吸することを意識するので、緊張状態や焦っている時に心を静めてくれます。呼吸の仕方は、20秒くらいかけてゆっくりとお腹から息を吐き出し、ゆっくりと息を吸います。このように深くゆっくり行う事を意識することがポイントです。
姿勢
瞑想の種類によっては、座って楽な格好をしていいというところもありますが、出来るだけ姿勢をよくすることがポイントです。姿勢を良くする事でエネルギーの流れもよくなり、より効果が期待出来ます。姿勢が悪いとエネルギーの流れが止まってしまいます。
椅子に座るかもしくは座禅を組むなど、足を楽にしながらも姿勢を伸ばして行えるものを選びましょう。横になって瞑想する方法もありますが、初心者の場合はほとんどの人が寝てしまうので、座って行うのがオススメです。
おわりに
瞑想を怪しいと感じる時代はもう古いです。ストレス解消方法は人それぞれですが、瞑想はどこでも簡単にできるストレス解消法の1つ。始めは雑念が入ってしまい無の状態を作るのは難しいかもしれませんが、毎日行うことでコツを掴み出来るようになります。
初心者の方はヨガもしくはCDなどの誘導瞑想が簡単だと言われているので、これらから始めるのがオススメです。イライラ解消や免疫力向上など様々なメリットがあるので、身心の健康のためにも日々の生活に取り入れてみてください。
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