閉じ込め症候群とは?症状や原因、治療方法について!具体例も紹介!

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植物状態と診断を受けた場合でも、意識がある患者が中にはいます。この病気を閉じ込め症候群と呼びます。「意識があることに気づいて欲しい」そう思っても、体が動かずに訴える手段が全くありません。周りの声は聞こえ、意識がハッキリしているのにも関わらず、動くことも喋ることも、何もすることが出来ません。

医師が患者に意識があることに気づかずに、植物状態と誤診をした場合の患者の苦しみは計り知れません。周りが根気強くサポートすることで、意識を取り戻す場合もあります。ここでは、この閉じ込め症候群という奇妙な病気について詳しくご紹介します。

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閉じ込め症候群について

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ここでは、閉じ込め症候群の概要や脳幹の役割、脳死や植物状態との違いについてご紹介します。

閉じ込め症候群とは?

閉じ込め症候群(英:locked-in syndrome)とは、植物状態の人間でありながら、意識がハッキリとある疾患です。脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患が原因となり、広範囲にわたって脳幹障害が起こることで、発症します。

発症すると、自己意識に基づいた運動(随意運動)ができなくなり、周りとコミュニケーションを取る手段がなくなります。唯一動かせるのは、垂直眼球運動と瞬きのみです。その為、周りからは植物人間と間違われやすいですが、本人にはしっかりとした意識があります。

意志表示をする手段がない為、体の中に閉じ込められた状態、鍵をかけられた状態として、「閉じ込め症候群」や「かぎしめ症候群」と呼ばれています。昔はすぐに死亡すると考えられていましたが、発症から1~12週間後に神経症状の回復が見られる場合もある為、早期発見し積極的な治療が重要だと言われています。患者の中には植物状態と誤診され、10年間や23年間、27年間など長期間にわたり、誰にも意識があると気づかれなかった患者もいます。

閉じ込め症候群になってしまった場合、想像を絶するストレスが掛かり、生き地獄をイメージすることが出来ます。しかし、意外なことに実際の閉じ込め症候群にかかった患者の74%は「幸せだ」と回答したアンケート結果があります。意識があることが誰にも伝わっていない場合は、誰にも知られずに孤独を感じて、生き地獄なのかもしれません。

しかし、病名がハッキリと分かっている場合は、周りが意識のある人だと認識した上で、対応する為、接し方も異なります。閉じ込め症候群であったとしても、周りの接し方次第で、孤独を感じずに幸せな日々を送れるのだと思います。

脳幹の役割について

人の脳は、大脳、間脳、小脳、脳幹から構成されています。中でも脳幹と呼ばれる部分が、閉じ込め症候群に関係している部分の為、

ここでは、脳幹の役割についてご紹介します。脳幹には、神経のまとまりである中枢神経系が存在している為、とても重要な器官です。脳幹は大きく分けて中脳、橋、延髄の3つに分けることが出来ます。この3つの分類に分けて役割をご紹介します。

中脳の役割

中脳は間脳の内側に存在します。視覚や聴覚、体の平衡感覚、姿勢反射に関する中枢があり、これらの運動機能に関わっています。

橋の役割

橋(きょう)は小脳、大脳、脊髄を結ぶ重要な連絡路があり、それぞれに伝達できるようになります。また、三叉神経、外転神経、顔面神経、聴覚神経などの多くの脳神経核があります。

延髄の役割

延髄は、脳幹の最も尾側に位置しています。嘔吐や嚥下、唾液、呼吸、循環、消化の中枢があり、生きていくのに不可欠な自律神経の中枢です。

脳死や植物状態との違いは?

現在、脳死する事が、人の死を意味しています。人の脳は、大脳、間脳、小脳、脳幹(中脳、橋、延髄)から構成されています。これらの部分のどこが、障害を受けたり、機能しなくなったのかで、脳死判定が変わります。現在では、MRIと呼ばれる画像検査方法にて、脳の状態を確認し、これらを詳しく判定することが可能です。

脳死

脳死判定は大きくわけて2種類あります。1つ目は大脳と小脳、脳幹の全てが機能しなくなった場合の「全脳死」、2つ目は脳幹の機能を失った場合の「脳幹死」です。脳幹には人が物を考えたり、人間の生命を維持するのに重要な役割があります。

その為、この脳幹が機能しなくなることで、人の死を意味します。脳幹死の場合は、始めは大脳の機能は正常に動いていますが、やがて機能を失い全脳死になります。

植物状態

植物状態とは、脳幹や小脳の機能は残り、大脳の機能が失っている状態です。大脳の機能の一部や大脳機能の全ての機能を失うと、意識障害が起こります。

しかし、他の機能が正常の為、自分で生命活動を維持する事ができます。大脳が障害を受けた後でも、一部の方は回復して意識を取り戻す場合があります。

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閉じ込め症候群の症状と原因、治療方法

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ここでは、閉じ込め症候群の症状と原因、治療方法についてご紹介します。

症状

閉じ込め症候群が発症した場合下記のような症状が見られます。

  • 意識がハッキリとある
  • 目が開いて外の世界を認識できる
  • 四肢麻痺と球麻痺があるため、意思表示ができない
  • 唯一動かせるのが、垂直眼球運動と瞬き

患者の中には、垂直眼球運動と瞬きだけでは、応答することが難しい場合もあり、意識があることに気づかれずに植物状態として判定を受ける場合もあります。

原因について

閉じ込め症候群が発症する多くの場合は、脳梗塞や脳腫瘍などの脳幹部分の脳疾患が原因となり、脳幹部分が広範囲にわたって障害を受けることで発症します。特に脳幹の橋という部分にある脳底動脈が閉塞する、脳梗塞が原因として挙げられています。その他にも、脳幹部の橋の腫瘍、脳炎、外傷、橋出血などが原因となる場合もあります。

脳幹の橋には、三叉神経、外転神経、顔面神経、聴神経といった随意運動を支配する神経や大脳や小脳、脊髄に連絡する経路があります。その為、脳幹の橋腹側部が脳疾患により障害を受けることで、体が動かせなくなります。動眼神経や滑車神経は中脳に位置するため、この部分が障害を受けていない場合、まばたきや眼球を上下に動かす運動のみは出来ます。

治療方法

治療方法は、リハビリテーションが一般的です。リハビリを続けることで、劇的な回復を見せることがあります。目しか動かす事が出来なかった患者が一年後には、下半身麻痺が残るものの、手を動かせるようになり、大学に進学して、パソコン関係の仕事が出来るようになるまで回復した例もあります。

その他にも、リハビリを開始して1週間で足をバタバタさせられるようになった人もいます。また、言葉が話せない人でも、文字盤やコンピューターなど別の方法で意志疎通をすることも出来るようになります。全ての機能が元通りになることは難しいですが、リハビリを続けることで、出来ることが増えて、患者が自分の意志を伝える手段を持てるようになります。患者が出来ることが増える分、彼らの生活が豊かになることが期待出来ます。

リハビリはすぐに結果が出るものではなく、根気強く続ける必要があります。その為、家族を始めとする周りのサポートがとても重要になります。

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閉じ込め症候群の具体例

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ここでは、閉じ込め症候群を発症したことのある患者の例を2つご紹介します。

10年間誰にも気づかれなかった男

今から40年前に南アフリカでマーティンという少年に閉じ込め症候群が発症しました。マーティンが12歳の頃、突然激しい喉の痛みを感じた事から始まりました。日が経つにつれて、次第に食事をとることが出来ない、日中に何時間も眠りにつく、歩行時に足に激痛が走る、人の顔がぼやける、思考力や記憶力の低下など様々な症状が現れ始めました。

そして、発症してから1年後には目は開いているものの、完全に意識がなくなり、外部の呼びかけや刺激に対して反応を示すことがありませんでした。母親の介護のおかげか、発症してから3年後にようやくマーティンは意識を取り戻しました。

しかし、マーティンは体を全く動かすことが出来ない状態であり、誰も意識を取り戻したことに気づきませんでした。意識を取り戻してからは思考能力も回復し、自分の置かれた状況も把握できるようになりました。そんな中、新しい介護施設で出会った女性と出会いが彼に転機をもたらします。

人形のように扱われた続けた介護施設とは異なり、彼女は彼を友達のように接して、何度も言葉を投げかけました。彼女はそんな風に話かけている際に、彼がわずかな反応をしていることに気づき、意識があるのではないかと疑問を持ち始めるようになりました。これがきっかけとなり、再検査を受けて、彼が意識があることが判明しました。発症してから13年、意識を取り戻してから10年、ようやく誰かに気づいてもらうことが出来たのです。それ以降リハビリを開始して車椅子での移動が可能になり、大学進学、就職、結婚して幸せな生活を送っています。

23年間植物状態と診断された男

1983年11月に自動車事故にあったベルギー人の男性は、医師から植物状態だと診断を受けました。しかし、彼は奇跡的に半年後に意識を取り戻しましたが、誰も気づいてくれる人はいませんでした。意識を取り戻した時には、体が麻痺していることに気づき、周りの話している内容も全て理解しているにも関わらず、コミュニケーションを取ることが出来ませんでした。

何度も検査を受けたにも関わらず、毎回昏睡状態と診断結果が下り続け、20年経過したある日、彼の母親は最先端の脳の専門家に再検査を依頼しました。脳をスキャンして確認した結果、体は動かせないが、認知機能が正常に動いており、全てを把握することが出来ているという診断が下りました。意識があると分かってもらった瞬間は、彼は生まれ変わったような気持ちだったと話しています。

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閉じ込め症候群の一種について

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脳幹の局所性病変だけでなく、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、筋萎縮性側索硬化症などでも、意識がある状態で四肢麻痺・球麻痺状態となります。

それぞれ原因は異なりますが、これらの病気も閉じ込め症候群の1種だと言われています。

重症筋無力症

重症筋無力症とは、自己免疫疾患の1つです。神経筋接合部の筋肉側に自己抗体が作られることにより、神経から筋肉に情報伝達することが出来なくなり、体が動かなくなっていく病気です。

自己抗体が作られる標的とされやすいものは、アセチルコリン受容体です。その他には、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)が挙げられます。しかし、なぜこのような自己抗体が作られるのか、原因は明らかにされていません。一説では、胸腺の異常による合併症ではないかという声があります。

治療方法

この場合の治療方法は、症状を緩和させる対症療法と、根本治療である免疫療法の2つあります。対症療法では、コリンエステラーゼ阻害薬を投与することが一般的です。この薬品は神経から筋肉への伝達を増強する薬です。

また、根本治療として免疫療法があります。これは、原因となる抗体を作ることを防いだり、排除する治療になります。ステロイド薬や免疫制御薬を点滴や飲み薬で投与する方法が一般的です。また、抗体を排除する血液浄化療法や増えた抗体を排除する為に別の抗体を投与する大量ガンマグロブリン療法などの方法もあります。

ギラン・バレー症候群

筋肉を動かす運動神経に障害がおき発症します。原因として、ウイルスや細菌などに感染することで免疫系が刺激され、誤って運動神経を害と見なして攻撃することで障害を受けると考えられています。発病する1~2週間前には風邪や下痢などの症状を見せることが特徴として挙げられています。

発病して、2週間以内には両手足が麻痺し動かなくなり、半数以上の患者さんが顔面麻痺、目が閉じられない、呂律が回らない、食事をむせるなどの症状を見せます。また、重症化すると呼吸が出来なくなります。中には、運動神経だけでなく感覚神経にも影響を受け、手先や足先にしびれを感じる場合があります。

治療方法

この場合は、単純血漿交換療法と呼ばれる治療法が一般的に用いられています。これは、人工透析のような機械を通じて、血漿交換を行う方法です。まず、機械を通じて血液を採取して、血球と血漿成分の2つに分けます。血漿成分には原因となる自己抗体が含まれているため、捨てて、代用の血漿成分と採取した血球を体に戻す方法です。

これを、5m以上歩ける患者に対しては1日おきに2回行い、5m以上歩けない患者に対しては、1日おきに4回行うことで回復に向かうと言われています。

詳しくは、ギランバレー症候群の原因は?ウイルスや細菌についてを参考にしてください。

筋萎縮性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症は、運動神経が障害を受けることで、筋肉が痩せていき、体が動かせなくなる病気です。原因は不明ですが、運動神経が老化することが関係しているのではないかと考えられています。運動神経が障害を受けることで、筋肉に命令が届かず、手足を動かせなくなり、筋肉がやせ細っていきます。

始めは、話にくい、食べ物が飲み込みにくいといった症状が現れ始め、病状が進行すると、呼吸筋肉を含めた全ての筋肉を動かすことが出来なくなります。その為、歩けない、食べれない、喋れないといったことが発生し、呼吸もしずらくなります。筋萎縮性側索硬化症が原因となった閉じ込め症候群の場合は、病気が進行するにつれて、眼球運動や瞬きも出来なくなっていきます。その為、最終的には意識があっても目を含めて、全く体が動かせない状態になります。

治療方法

この病気は原因が解明されていない為、根本治療はできません。しかし、進行を遅らす為、症状を軽くする為の対症療法はあります。体が動かないことに関しては、リハビリテーションを行い、不眠に対しては、睡眠薬や安定剤の投与、呼吸困難に関しては鼻マスクや気管切開、人工呼吸器の装着などがあります。

一度この病気にかかると、発症してから2年~5年以内には呼吸不全になって死亡する例が多いですが、中には10年以上の間、人工呼吸器なしで生活した患者もいると報告されています。

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おわりに

今回、紹介した症状が現れている場合は、神経内科医を受診しましょう。医学の進歩により、MRIで脳の状況が詳細にわかるようになってきていてはいますが、現在でも誤診が起きると言われています。医師から植物状態と誤診されて、意識があるのにベッドの上で何年も過ごしていたり、今でもベッドの上で何とか意思疎通を取りたいと頑張っている人もいるかもしれません。

誰にも意識があることを理解してもらえない苦しみは計り知れません。このような事が起きない為にも、リハビリを続けたり、定期的に検査を受ける、積極的に声をかける、一緒に出かけるなど、家族や周りの人が諦めない気持ちでいれば、実例で紹介したマーティンやベルギー人男性のように奇跡が起こる事かもしれません。

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