ALSの初期症状とは?痛みやしびれが現れたら要注意!

ALSは筋萎縮性側索硬化症の英語名、amyotrophic lateral sclerosisを略したものです。少し前に頭から氷水を被るアイスバケツチャレンジが行われていたのは記憶に新しい所ですが、あれがALSについての認識の向上や研究支援のためのチャリティーだったようです。

とはいうものの、日本語名を見てもどのような病気かはなかなか分かりづらいので、まずはどのような病気かを確認しましょう。似ている病気についてもまとめました。

またALSの症状はどのように発症し、どのような進行経路を辿っていくのでしょうか?初期症状からその後の症状の経過や遺伝などの問題が引き起こってしまうのか、ALSの検査方法などについても紹介していきます。

ALSに関する正しい知識を持って認識を高めていきましょう。

ALSの仕組みと症状「ALSに関する基礎知識」

神経

ALSがどういったものかを紹介します。まずは基本となる神経と筋肉の関係性や主な症状進行での症状の変化などについて紹介していきます。

更に主な原因や治療方法についても紹介していきます。またALSに関する疑問についてもその質問や疑問に関する回答を紹介していきたいと思います。

筋肉と神経の種類

人間が手足を動かす時や、表情、物を飲み込むときやまばたきなど、あらゆる運動には筋肉の働きがあります。筋肉には、自分の思い通り、例えば何かを掴もうとして手を動かすような時に働いている「随意筋」と、心臓や胃腸など、自分が動かそうと考えなくても動いている不随意筋に分かれます。

次に、神経はまず、体性神経と自律神経に分類されています。簡単に分けると、

・体性神経…刺激を受け取る神経、体の動きをコントロールする神経

・自律神経…体内環境をコントロールする神経

とされています。

筋肉との関連で見ると、随意筋を動かしている運動神経細胞が運動ニューロン、不随意筋を動かしているのが自律神経です。

例えば、痛みを感じた時を例にすると、知覚神経が痛みを感じ、手を引っ込めたいなという信号が筋肉に届き、実際に手を引っ込める動作につながるという仕組みになっています。

主な症状

ALSは、脳や末梢神経から出た命令を筋肉に伝えるための運動ニューロンが侵される病気です。筋肉そのものの病気ではなく、筋肉に脳の命令を伝える働きをする機能が低下する病気ですが、動かせなくなるため筋肉がだんだん痩せ細ってしまうという問題が起きます。発症のピークは55~65歳、男性の発症が多く見られています(男性1.5に対して女性1)。

手足の先などの先端から筋力低下が起こり、それが徐々に全身に拡大するものがALSで、随意筋が動かせなくなるので、手足の動き、嚥下、発語などに障害が出るようになります。

患者さんの数は日本全国で見て7000人程度と言われており、稀な病気であるため難病に指定されています。

進行に伴う変化

進行の速さには個人差がありますが、基本的には少しずつ状態が悪くなってしまうというのが現状です。歩けなくなった場合は車いすを使用し、嚥下が難しくなった時点で誤嚥を防止するため吸引が必要となる場合もあります。症状が進行し、呼吸がしづらくなった場合は人工呼吸器で機能を補います。

発症から人工呼吸器をつけなくてはいけない段階まで病状が進行するには大体2〜10年、適切な医療処置を加えた場合発症から10~20年生き続ける事ができます。

原因と治療

ALSは現在根本的な治療法のない病気です。そもそも原因がはっきりしておらず、ある物質が過剰なせい、遺伝子の変異、遺伝、運動神経栄養因子が足りない…など様々な研究が続けられている所です。

またその他にも興奮性のアミノ酸の代謝に関する問題などのことについても関係があるとする説やフリーラジカルが関係しているなどの意見もあります。実情としてはまだ不明点の多い問題であります。

そのため、病気になってしまった場合は治療というよりかは主に進行を遅らせる対策を行います。また、動きにくくなった部分の症状を軽くするためにリハビリを行い、栄養を充分に取ることが治療の一貫として行われています。

ALSは完治することは出来るの?

ALSは基本的にゆっくりとしたスピードで進行していく病気ですが病気自体を治療することは現段階では出来ない病気となります。

病気の進行スピードを食い止めることは出来ても、治療を行うことは出来ない物となっております。薬としては神経細胞への生涯を抑える薬が投与されますが症状ごとに細かく、その症状は異なります。

薬の副作用で吐き気や肝機能障害や倦怠感、食欲不振などの問題も引き起こります。

症状の進行具合には大きく個人差があるとともに、リハビリでの効果が大きいものとなります。

ALSの生存率

生存率として基準として、人工呼吸器を使用しない場合での平均的な生存率は3年ほどとなっております。個人差が非常に大きいものとなり、初期の症状の感じ方でも大きく傾向が分けられます。特に話しづらさや飲食のしづらさなどの問題を感じてから症状を発症した経緯を追った人は、症状の進行が早く短期に末期症状に前達する場合が多くなります。

人工呼吸器を使用しない場合でも10年以上生存し続ける人も存在します。

発症確率は10万人に10人程の割合で発症し、発症後の基本的な生存期間は3〜5年になります。現時点で治療薬は開発段階ですが、近い未来に新薬が開発される可能性も高いでしょう。アイスバケツチャレンジなどで認知度が高まってことでも新薬の開発に更に力が入れられるきっかけにもなっています。

ALSの遺伝する?

遺伝は殆どの場合では行われません。ALSの遺伝については90%の確率で遺伝しないことが明らかになっています。しかし、残念ながら5〜10%程の確率で遺伝してしまう事がある事も明らかになっています。

現段階ではALSに関与すると明らかになっている遺伝子の30%が解明されています。残りの70%に関する遺伝子の関係性も次々に明らかになっていることから今後この遺伝の関係性については更に数値が上昇していく可能性もあります。

しかし遺伝がそこまで強く関係している病気では無いことから、普段からの生活習慣や食生活などからしっかり予防を行うことが可能になります。寧ろ、遺伝以外の病気や健康に関する意識が重要になるので生活習慣や食生活などを意識して病気につながらないように意識することが必要になります。

以下の欄でALSの予防方法についても紹介していますので、そちらの項目も合わせて参考にしてみてください。

病院での検査方法について

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の詳しい検査をするためには針筋電図検査を行う必要があります。もし行きつけの病院での検査で信頼できる結果が得られなかった場合、この検査が可能な病院をネットで探して病院を受診するようにしましょう。

「針筋電図検査 病院」などのキーワードで検索すれば、都道府県から近くでこの検査が受けられる病院を探すことが出来ます。

この検査は採血を行う注射針よりも細い検査針を筋肉に刺して、筋肉を動かしその電気信号を図に起こし検査を行うもので、痛みを伴います。症状が起きている部分以外の筋肉でも検査を行い、多くの部分でこの検査を行うので、痛みも重なり負担の大きな検査でもあります。

初期に現れる症状

橈骨神経麻痺

どの運動ニューロンが初めに侵されたかによって筋肉が弱る部位は異なります。そのため、初期症状として現れるのは大きく分けて以下の3種類に分類されます。

ALSの初期症状についての傾向を知っておき、早めに対処していきましょう。早期に症状を発見することで早期に症状を遅らせる処置が行なえ、そのことで大きく生存期間は変わってきます。

初期症状に関する情報を知っておきいち早く対処していきましょう。

手足の麻痺

手足の力の入りにくさが初期症状としてもっとも多いもので、患者さんの75%はこちらの症状がまず出るタイプに分類されています。手に出るものを上肢型、足に出るものを下肢型と分類する事もあります。

代表的な症状としては、

・箸やペンを握りにくくなる

・腕が上がらなくなる

・脚の力が弱くなり、突っ張りがある

・歩きにくくなる

・手足の筋肉の表面が小さく痙攣する

といったものがあり、これらの症状が段々強くなる場合ALSが疑われます。特に老化の問題でも発生しやすい関節症状や関節病などの問題によく似ているため、なかなか病気の発見が遅れてしまいやすい点も生存率が低くなっている問題の一つです。

球麻痺

舌やのどの筋肉が弱くなる事を球麻痺といいます。患者さんの大体25%がこちらの症状を初期症状として示します。

・言葉が不明瞭になる

・嚥下障害

・むせやすくなる

等がそれにあたり、こちらも症状が段々と強くなるのがALSの特徴といえます。特にこの症状の発症から症状が進行していくタイプの人は更に生存期間が短くなる傾向があります。

特に問題となる呼吸器官への問題につながりやすくなるため、短期間で死に到達してしまうことが多くなります。

この症状を感じた場合は早めに専門の医療機関を受診するようにしましょう。

呼吸筋麻痺

非常に珍しいケースとして、手足の筋力低下よりも呼吸困難が先に現れる患者さんが全体の2%程存在します。

この症状が最も危険な症状になります。発生確率は非常に低いですが先に呼吸器官に問題が発生してしまった場合、リハビリなどでの改善や症状の食い止めは困難になります。

呼吸補助のための人口呼吸器を早速使用していく必要がある場合もあります。非常に稀なケースなため処置法もその場での緊急的な前例のない処置になりますので、生存率が非常に低くなってしまうことに繋がることも予測されます。

呼吸器官からの問題が発生してしまった場合は親族等にもある程度の覚悟が必要になってくるでしょう。とにかく、呼吸器官からの症状の発生は危険なので大きめの病院に急いでつれていきましょう。

似た症状のある病気

神経

ALSの症状と似たような症状が現れる病気を紹介します。ALSと同様危険性の高い病気が多いため、とにかく病院での定期的な検査が重要になります。

脳の疾患(脳梗塞・脳出血・脳腫瘍)

筋力低下をきたす疾患として一般的なのが脳梗塞と脳腫瘍です。ある日突如として筋力が低下するという点がALSとは異なります。

脳腫瘍は徐々に筋力が低下する症状が出る事があり、段々と症状が出るという点ではALSと同じですが、右手と右足、又は左手と左足というように半身で症状がでます。

脳疾患に関する記事はこちらでも詳しく紹介しています。合わせて参考にしてみてください。

脳梗塞の初期症状とは?めまいや上手く喋れない状態に注意!

脳出血の前兆とは?頭痛やしびれなどの症状に注意!

脳腫瘍の初期症状について!吐き気や頭痛に要注意!

頸椎症性脊髄症

頸椎が変形する病気で、変形した骨によって脊随が圧迫されて四肢の筋力低下を起こす病気です。ALSと異なる点は、しびれなど感覚の障害が同時に起こる事、尿や便が出にくくなる等の点があります。また、呼吸や嚥下には一般的に障害が起こりません。

手術で治療が可能な病気です。

球脊髄性筋萎縮症

ALSと非常によく似た病気で、全身に進行性の筋力低下が起こります。障害を起こすニューロンが異なるため呼吸には障害が出づらく、ALSよりもゆっくり進行します。難病に指定されており、根治治療は確立されていません。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

全身の末梢神経の障害により、ALSと同様の筋力低下が起こります。ALSと違い感覚の障害を伴う事が多く、しびれが出る事がある一方で呼吸器、嚥下の障害は少ないのが特徴です。こちらも難病に指定されています。

その他

疲労が溜まって筋肉がぴくぴくと収縮するような症状が出る事があります。また、自律神経の乱れやうつ状態を原因として、あごや舌に痙攣が出たり、手足の痩せ、呼吸しづらさが出る場合もあります。ALSを心配するあまり余計に症状が悪くなってしまう場合もあります。

予防対策について

ビタミンC2

前述の通りALSについてはまだ分かっていない事が多く、これといった確実性のある予防策がある訳ではないのが現状です。

しかし、いくつかの予防として有効とされているものも発見されておりまうのでそちらを紹介していきます。

予防として有効とされている食事・栄養

近年の研究でALSの進行は酸化ストレスを原因としている事が明らかになり、ビタミンEの摂取により罹患リスクが減少するという報告がされています。

同様に、抗酸化作用を持っているβカロチンやルテインの効果が高いという研究結果が発表されている事から考えると、緑黄色野菜、ブルーベリーなどを摂取する事が効果的なのではと予測する事ができるでしょう。

検査を怠らない

罹ってしまった場合は一日でも早く医療機関を受診する事が必要です。残念ながら現在は治る病気ではないようですが、リハビリや薬物療法、理学療法により進行を送らせる事ができるかもしれません。ALSの診断は神経内科で行われます。

珍しい病気のため、一般の病院や専門外の医院の場合なかなか確定が難しい場合があるので、セカンドオピニオンについても考慮しておくとよいでしょう。関節や筋肉などの部分に症状が起きやすいので、ついつい行きつけの整骨院などの病院での相談などで安心してしまったり、様子を見てしまう事をしてしまいがちですが、その問題で症状の発見が遅れてしまうことも問題に繋がります。

まずはこの病気に関する認知度が低いことも問題になりますので、もし身内にこの病気の症状に関係する問題が発生した場合は速やかに病院での検査を行っていきましょう。

まとめ

ALSは治療の方法が確率されていない非常に怖い病気です。しかし、ALSかどうかの判断をする事は専門家でも難しく、ALSと診断されるのが怖いからといって放置しておくと別の治るはずだった病気を見過ごす事にもつながってしまいます。

治療や経過を遅らせる方法などは、日々進歩を続けています。また、ALSである場合も、少しでも早い診断を受ける事で今後の生活に対する準備などが可能となります。

ALSとの闘病には周りの方の協力が不可欠です。また、少しでも早い治療法の確立が待たれます。私達も自分の体調に気を配るのと同時に、ALSへの理解を深め、できる事があれば支援するよう心がけたいところです。

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