腎臓嚢胞とは?種類や原因となる危険因子を知ろう!検査法や治療法は?

腎臓嚢胞という病気をご存知でしょうか?腎臓に嚢胞ができる病気ですが、無害なものと腎臓機能低下に発展するものとあります。原因はまだはっきりと分かっていませんが、誰にでもかかるもので、加齢になると特にかかり易くなります。

50歳を過ぎてから腎嚢胞にかかるのは一般的な事で、55歳から60歳を過ぎると腎臓嚢胞にかかる可能性は高くなってきます。

腎臓嚢胞について詳しく見てみたいと思います。

腎臓嚢胞とは

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腎臓嚢胞は腎臓にできる、液体を含んだ球状の袋で、多くの腎臓嚢胞は、症状もなく体に無害ですが、中には腎臓嚢胞が多発することで、腎機能が低下したり、悪性腫瘍を伴っている、腎臓嚢胞もあります。

CTやMRIなどの検査の時に、偶然発見されるケースが多く、年齢と共に増加しています。腎臓嚢胞も腎疾患ですが、腎疾患には急性腎炎、慢性腎炎、腎盂炎、ネフローゼ症候群、腎不全、尿毒症などがあります。

腎臓嚢胞の種類

腎臓嚢胞の種類には、単純性腎嚢胞と多発性のう胞腎、多房性腎嚢胞があります。多発性のう胞腎については、家族性遺伝性の事もあり、難治性に移行することもありますので、後で詳しく説明して、まず単純性腎嚢胞と、多房性腎嚢胞について見ていきたいと思います。

単純性腎嚢胞

片側に1~5個までの嚢胞ができる病気で、症状が何も出ていない場合は問題がありません。時に嚢胞による圧迫などが起こった場合は、のう胞に穿刺して、アルコールなどの固定を行ったりする外科的手術を行いますが、高血圧や、水腎症、血尿などの症状が出てない場合は、治療をしなくても大丈夫です。

多房性腎嚢胞

多房性腎嚢胞は頻繁に観察される腎のう胞でもなく、それほど稀な疾患でもありません。多房性腎のう胞は、腎臓内の腎皮質に隔壁を作って、悪性腫瘍に移行する事もある、腎のう胞です。

超音波検査ではこの隔壁が詳細に解るので、多房性腎嚢胞を見つけた時は、隔壁が観察されたことを確認し、病変の有無を詳細に観察することが必要となります。

腎臓嚢胞に関係する疾病

結節性硬化症の腎病変では、腎のう胞、腎血管筋脂肪腫、腎脂肪癌があります

水腎症

腎臓嚢胞が腎臓の中心部に発症して、尿の流れを悪くして尿路を圧迫することがあり、その為に腎盂が腫れて、水腎症を発症することがあります。

水腎症の場合腎臓が腫れて腎腫大になって、他の臓器を圧迫し圧迫症状がでてきます。その為に水腎症を発症すると、腰痛の原因となることもあります。

詳しくは、水腎症とは?症状・原因・治療法・予防法を紹介!を参考にしてください。

悪性腫瘍

腎のう胞の中に悪性腫瘍が発生する場合があります。出血した場合、あるいは腎のう胞に隔壁が存在したり、石灰化した場合は悪性腫瘍が疑われます。

腎細胞がん

腎臓にできるがんに、腎細胞がんと腎盂がんが主にあり成人に発生し、腎の尿細管の細胞が癌に進行したものです。

腎細胞がんは腎癌ともいいます。腎がんの好発年齢は50歳~60歳代が多く男女比は3:1で男性の方が多いです。

がんが腎静脈や大静脈に広がっていても、腎臓から離れた部位に進行していない場合は、手術で治る事もありますので、医師と良く相談の上治療してください。

腎不全

遺伝的原因が大きい疾病ですが、腎の中に腎のう胞が多発することがあります。腎嚢胞が多発することで、腎機能低下して腎臓機能障害を起こし、腎不全になることがあります。これを多発性のう胞腎といいます。

末期腎不全になると、腎臓を維持することが出来なくなる為、腎臓透析か、腎臓移植が必要となります。どちらかをやらないと死に至ります。

詳しくは、腎不全とは?原因や症状、治療方法を知っておこう!を読んでおきましょう。

腎杯憩室

腎杯憩室とは、腎杯が腎皮質に憩室のように飛び出したものです。これはのう胞内に結石ができやすく、腎臓内の石灰化が見られます。

傍腎盂嚢胞(ぼうじんうのうほう)

傍腎盂嚢胞は単純性腎のう胞ほどは、見つかる事はありませんが、比較的頻度が高く傍腎盂嚢胞の嚢胞の主座が腎杯や腎盂にあり、腎盂の傍にできる嚢胞のことです。

ちなみに単純性嚢胞は、腎皮質にできる嚢胞です。腎盂とは尿管の最上部にあって、腎臓と膀胱を繋いでいる長い管で、腎盂から尿道までを尿路と呼びます。

腎盂腎炎

慢性腎盂腎炎とは、腎盂炎のことで、細菌の感染が腎盂までいき、炎症を起こしたものです。膀胱炎と似ている症状ですが、トイレを我慢していると、起こることがあります。

腎臓嚢胞の原因

腎臓病 原因

腎臓嚢胞の原因は未だ不明です。遺伝性要因もあるようですが、実際のところはっきりと分かっていません。

単純性腎嚢胞の直接の原因は解っていませんが、腎虚血、尿細管の閉鎖、または尿細管の閉鎖、髄質の間質線維化が原因ではないかと、現在研究がすすめられ、30代以前ではほとんど発症はなく、60代で急増することから、加齢との関係もあるのではないかと言われています。

嚢胞の原因となる危険因子

感染

細菌が腎臓嚢胞に感染し、熱を出す場合がありますが、抗生剤の投与で治る場合もあります。しかし中には腎臓嚢胞に穿刺(せんし)して、中の液体を体外出す必要があるときもあります。

破裂

あまり起こらない事ですが、大きな嚢胞が破裂することもあります。

出血

稀に腎臓嚢胞から出血する場合がありますが、この場合悪性腫瘍を疑う必要があります。出血を伴った場合、腎臓嚢胞がある方の腰痛が起こることがあります。

腎臓嚢胞の症状

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一般的に腎臓嚢胞の症状は、無症状の場合が多いですが、時に5cmぐらいの嚢胞が出現することがあり、他の内臓を圧迫することがあって、腰部の鈍い痛みを伴うことがあります。

腎臓嚢胞の場合加齢により起こる、多発性単純性腎のう胞がありますが、殆どの場合は無症状が多く、たまに腎臓が腫れたりすることがあります。

のう胞が大きくなったときに、腹部に触れると圧迫感が出る事もあり、血尿がでることもあります。

また腎盂付近に嚢胞ができると、水腎症を併発することもあり、併発した場合は肥大した腎盂によって、腎機能障害を引き起こすこともありますので、注意することが必要となります。

腎嚢胞と言われたら精密検査を受けて、異常がないか調べ、問題がなければ1年の定期検診や人間ドックで経過観察されるのが良いでしょう。

異常がある場合は注意をして、対処が必要となります。また出血性のう胞や、尿路感染症、嚢胞破裂などの合併症を引き起こす場合があります。

症状が出るのは30代以上の男性に多く、単純性腎嚢胞だけで合併症がない場合は、腎臓機能低下は起こりません。

多発性のう胞腎について

腎臓 石灰化

多発性のう胞腎とは、両方の腎臓に嚢胞が沢山でき、腎臓が大きくなって腎臓の機能が低下し、腎臓機能障害を起こして、腎臓機能低下がみられるようになります。

世界で1250万人の人が、この病気を発症し50%の人が殆ど腎臓がなくなって、腎臓透析や腎臓移植を60歳までに行っています。一生のうちに透析をしない人も、相当数います。

原因は親の片方に異常染色体をもっていると、50%の子供が遺伝します。そして症状が腎臓だけでなく、肝臓、胆管、卵巣、脾臓、膵臓に腎臓と同じ嚢胞ができます。

腎の異常な形を伴わない、両側性びまん性のう胞形成を特徴としている遺伝性腎疾患です。この多発性のう胞腎には、ADPKD(常染色体優性遺伝)ARPKD(常染色体劣性遺伝)とに分かれています。

多発性のう胞腎のADPKD

ADPKDは常染色体優性多発性嚢胞腎といいます。日本では31,000人いて、多発性のう胞腎の中でも発生率が高く4,000人1人が発症しています。

ADPKDは両側の腎臓に多数の嚢胞が、進行性に発生し増大しています。ADPKDにサムスカが適用されます。

サムスカ適応の条件は「腎容積が増大し、かつ増大速度が速いADPKD」に対して、使用されますが、両側総腎容積が750mL以上、腎容量増大速度が年5%以上あるときに適用できます。

多発性嚢胞腎

多発性のう胞腎はPKDと言います。多発性嚢胞腎の原因は、遺伝子異常が原因ですが、腎臓の尿管の細胞の尿の流れを感知する、繊毛のアンテナにあるセンサーPKD1、またはPKD2(カルシウムチャネル)による異常により起こります。

正常な尿細管細胞では、尿細管の太さ(径)が調節され、尿流を感知するセンサーPKD1から、カルシウムチャネルPKD2に信号が伝えられます。

そこで遺伝子異常により、その機能がなくなっていると、のう胞が形成され、多発性嚢胞腎を発症します。

多発性のう胞腎の症状

症状としては30~40代までは、殆ど無症状の事が多いですが、体に衝撃を受けるスポーツなどした時や、外傷を受けたときなどに、血尿が肉眼で見えたり、腹痛、腰背部痛などの症状が、認められることがあります。

また急な痛みは、のう胞感染や、尿路結石、嚢胞出血の原因となり、慢性の痛みは腎臓が大きく肥大した人に多く、腎臓が被っている膜が引き伸ばされることで起こります。

多発性のう胞腎の場合は、蛋白尿がでてきます。また多発性のう胞腎の場合は、先天性のもので、後天性のものは見られません。

多発性のう胞腎の動脈瘤

また大腸には憩室の袋状のへこみができて、これが動脈にコブをつくり動脈瘤となります。80%の患者に高血圧になるのが一般的で、腎臓には必ず嚢胞ができます。

ADPKDの患者さんの約7%に頭蓋内動脈瘤と、頭蓋内出血の既往性がみられ一般の人より2倍高い確率で見られます。

脳動脈瘤自体は小さい10mm以下のものですが、しかし破裂の危険性があり、破裂すれば生命の危険もあります。

破裂率はそれほどたかくありません。また頭蓋内動脈瘤は家族内発生が起こる事があります。多発性のう胞腎の患者さんの中に30%の割合で、脳動脈瘤が見られます。

多発性のう胞腎の家族歴

多発性腎のう胞の場合、家族性の疾病によるもので、根本的な治療はなく、難病に指定されています。多発性腎嚢胞は遺伝性腎疾患で、家族歴がある疾患です。

多発性のう胞腎と腎臓容積

多発性のう胞腎と腎臓容積は腎臓機能低下と関係しています。腎容積測定は基本はMRIまたはCTによるvolumetric法で、専用のソフトが必要で、比較的大きな病院は放射線科画像処理に付随したソフト機能として可能です。MRIによる腎容積の測定を行います。

多発性のう胞腎の腎容積増大速度を仮定して、20歳から60歳までどれぐらいの腎容積を仮定することが出来ます。

ADPKDの診断基準

ADPKDの診断基準は、色々な検査をや問診と画像検査で基準が決められています。

  • 家族歴の中に腎疾患、頭蓋内出血、脳血管障害のある人はいないか確認します。
  • 既往性について脳血管障害、尿路感染症がないか調べます。
  • 自覚的症状に肉眼的血尿、腰痛、側腹部痛、腹部膨満、頭痛、浮腫み、吐き気
  • 身体所見については、血圧、腹囲、心音、腹部所見、浮腫み
  • 尿検査
  • 腎機能
  • 画像検査

家族内発生が確認されている場合の診断基準

  1. 超音波断層像で両腎に3個以上確認されているものです。
  2. CT、MRIでは両腎に嚢胞が各々5個以上確認しているものです。

家族内発生が確認されていない

  1. 15歳以下ではCT、MRIまたは超音波断層像で、両腎に各々3個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合です。
  2. 16歳以上ではCT、MRI、または超音波断層像で、両腎に各々5個以上嚢胞が確認され、イカの疾患が除外される場合です。
除外される疾患
  • 多発性単純性腎嚢胞
  • 腎尿細管性アシドーシス
  • 多嚢胞腎
  • 多房性腎嚢胞
  • 髄質嚢胞性疾患
  • 多嚢胞化萎縮腎
  • 常染色体劣性多発性のう胞

腎臓嚢胞の腎機能検査

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多発性単純性腎と、多発性のう胞腎は違いがあり、多発性単純性腎は加齢と共に生じる単純性腎のう胞というのがあり、また長期透析を行っている人の中で、腎臓に沢山の嚢胞が出来る場合がありますが、この場合はのう胞が小さくなっていくので、これは多発性のう胞腎とは違いがあります。

腎臓嚢胞の検査は、画像検査のCT検査、MRI検査、超音波検査などで、容易に診断が下されます。これらの画像検査は、この腎臓嚢胞の腫瘤が腎嚢胞か、腫瘍性による嚢胞か判断するときに役に立ちます。

悪性腫瘍を否定するためCTや超音波検査が行われ、悪性腫瘍が疑われれば、MRI、血管造影、穿刺による組織診断を行って、良性の単純性腎嚢胞と診断がつき、症状がない場合は経過観察します。

超音波検査は安全性の面からみると、最も広く使われている画像診断です。

腎臓嚢胞の治療

治療

腎臓嚢胞の治療は無症状で、合併症を伴っていない時は、放置してもかまいません。しかし合併症を伴っている大きな腎臓嚢胞で、他の臓器を圧迫しているときなどは、のう胞を穿刺して、中の液体を体外に出す必要があります。

嚢胞腎の患者に腎移植を行うと、7年で心疾患での死亡率が3倍以上高くなります。

腎臓嚢胞の治療法

治療の方法はエコーのもと細い針で穿刺して、のう胞内の液体を吸引し、その後再発しない様にエタノールを注入する場合があります。

エタノールを注入してもすぐ液体が貯留し大きくなる場合、手術で腎のう胞を切除し電気メスで焼く、腎のう胞開窓術を行うこともありますが、症状により異なります。

孤立性腎のう胞

孤立性腎嚢胞については単純でも複数でも、良質性疾患とみて症状の出てないものは、放置してもかまいません。

その他の合併症の場合の治療

しかし嚢胞が肥大していたり、圧迫による水腎杯の場合は結石の発生原因となって、血尿や腎機能の低下の原因となります。

のう胞自体が大きいと腹部の圧迫や鈍痛、外部からの自然破裂によることもありますので、積極的に外科的手術で腎部分切除し取り除く必要性があるでしょう。

経皮的穿刺

経皮的穿刺とは超音波を見ながらのう胞に細い針を刺して、中に溜まっている液を吸引し、吸引だけだと再発が速いので、抗生物質やアルコールを潰したのう胞内に入れて、合併症も起こらない安全な方法が、近代の医療技術の進歩により治療が行われるようになりました。

予防法として血圧の管理と、食事・栄養指導を早期に開催するほど、有効性があると思われています。

根治的腎摘除術

根治的腎摘除には、経腹膜的到達法、経胸腹的到達法、経腰的到達法の3つがあり、経腹膜的到達法は最も標準的な手術方法です。

経胸腹的到達法は大きながんの腎上極に、位置するものの場合に行われます。経腰的到達法は手術時間も短く、高齢者や腸管などの癒着の激しい場合に行われます。

腎動脈塞栓療法

腎動脈塞栓療法はカテーテルを用いた治療です。カテーテルを左右どちらかの大腿大動脈に穿刺します。その中にガイドワイヤを入れ、それをかぶせるように径約2mmのカテーテルを大腿動脈から大動脈に入れていきます。

動脈塞栓術にはスポンジ製剤とマイクロコイルを使用して、腎動脈を造影し腎動脈末梢に、1mmのマイクロカテーテルを挿入撮影します。

このスポンジ製剤やマイクロコイルを用いて塞栓することで、腫瘍の圧迫症状の改善や、出血の予防ができます。この腎動塞栓術で正常な腎実質の、影響をできるだけ少なくしています。

腎臓嚢胞の重症性

腎臓嚢胞の重症度を決めるのに、検査するのにCTでは放射線、MRIではカドリニウム含有造影剤により、アレルギー反応や全身性線維症を、発症する場合があり注意が必要です。

まとめ

如何でしたでしょうか?腎臓嚢胞を見てきましたが、腎臓嚢胞は誰にでも起こる病気です。無症状の事が多く、健康検査などで見つける事が多いです。

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