「贅沢病」といわれてきた高尿酸血症こと、痛風。普段の生活を少し自己管理するかしないかで発症リスクはかなり低くなることがわかってきました。
この記事では高尿酸血症の症状や対策、療法などをご紹介します。
この記事の目次
高尿酸血症とはどんな病気なの?
高尿酸血症というと全く聞いたことのない病気のように思いますが、「痛風」と言い換えることで皆さんはかなり聞いたことのあるなじみ深い病気のように感じられるのではないでしょうか。
痛風とはどのような病気なのか?
高尿酸血症こと、痛風の原因は血液中に尿酸値が高くなってしまうことによって、体の節々にある間接に尿酸がたまることで発症します。
関節の中でも特に足の親指に高尿酸血症は発症しやすいといわれています。これは、足の親指というのは体の末端であるため体温が比較的体内でも低く、運動すると体温の上昇が著しいであるからだそうです。
尿酸とはなに?どのようにしてたまるものなの?
私たちは食事をすると、食べ物全般に含まれているプリン体という成分を体内に摂取すると消化・分解を通して最終的に尿酸に変化させます。また、人の体内でもプリン体は生成されています。
尿酸の8割は尿の中にとけこんで、体内に取り込まれることはありません。しかし、尿酸自身は水にとけにくいという特徴があります。
その為、プリン体を摂取しすぎると尿内に溶かし込める尿酸の限度値を超えてしまい、本来ため込んではいけない限度量を超えた量が体内に残ってしまいます。この血液中の尿酸の量が本来より高くなってしまっている状態のことを高尿酸血症といいます。
高尿酸血症はどのような場所にどのような痛みをもたらすの?
好悪尿酸血症自体の発症は特に足の親指に多くありますが、それ以外にもくるぶしやひざ関節、アキレス腱などといった体温の低い、体の端の部分に集中して発症する特徴があります。
体温が低い部分に尿酸がたまっていく事で白血球に炎症が生じます。この炎症は腫れや激しい痛みを伴い、人によっては風が吹いただけの微量の刺激にも患部に激痛を感じるほどの場合もあるといいます。この事から、痛風と呼ばれているのです。
高尿酸血症はどのような人が発症しやすいの?
日本人では、成人男性の4割以上が高尿酸血症を発症しているといわれています。又、高尿酸血症の発症患者の中でも、痛風患者は全国で約70万人以上もの数に上るといわれており、かなり身近な病気であるということができます。
男性のほうが圧倒的に患者が多い理由としては、男性は思春期から徐々に尿酸値が上がることが原因であるそうです。反対に女性は閉経するまで尿酸値は低いままなので男性に比べるとそこまで患者が多くないのが特徴であるといえます。
また、高尿酸血症発症者の中でも日本人は約6割が尿酸を上手く排出することができずに尿酸が体内にたまってしまっていることが原因であるそうです。
高尿酸血症の原因ってどのようなものなの?
高尿酸血症の原因は主に2つあります。遺伝的に受け継いでしまったため、発症する場合と、自身の生活より発症した場合。
しかし、どちらにせよ今後の生活スタイルを見直すことにより発症リスクは低くなっていくことがわかっています。その為、自身の高尿酸血症の原因をしっかりと理解し、その根本原因を解決することができるように工夫することが大切です。
遺伝的要因による高尿酸血症
高尿酸血症の発症に関係する遺伝子は影響がそこまで大きいものはありません。ABCG2, CDC42BPG, GCKR, INHBC, MAP4K2, MEN1, NRXN2, PDZK1, PYGM, RASGRP2, R3HDM2, RREB1, SF1, SLC17A1, SLC17A3, SLC2A9, SLC22A11, SLC22A12, WDR1, LRP2といった遺伝子は腎臓内での尿内物質の移動にかかわる働きを持っています。しかし、逆に言うとその働きしかもっていないため、尿酸値を大きく上下させるほどの力はないということができます。
本当にまれにですが、HPRT、PRPP、UMOD、SLC22A12、XDH、PNPといった遺伝子が変異してしまっている方もいます。これらの遺伝子は尿酸に強い影響力があるため、尿酸値を容易に上下させます。この場合遺伝病と呼ばれますが、本当に稀なので大多数の患者にはあまり関係がないということができます。
環境要因による高尿酸血症
高尿酸血症の原因として多いのは環境による発症です。
尿酸はプリン体を消化し分解したものであるということは説明したと思いますが、プリン体は食事をすることで体内に摂取します。しかし、食べ物の種類によってプリン体の量は上下します。例えば、肉や海鮮物中心の食事はプリン体を増加させるため、高尿酸血症を発症しやすくなります。反対に野菜や乳製品中心の食事は高尿酸血症の発症を抑えることがわかっています。だからといって極端な食生活はよくありません。食事を適正な量にして肥満を防止することが一番であるということができます。
次にあげられる原因は飲酒問題です。アルコールを摂取することで尿酸値は上がります。しかし、酒によってプリン体の含有量はかなり変わってきます。麦を原料とするビールはプリン体を多く含むものの、ウイスキーやブランデーといった蒸留酒の含有量はそこまで多くはありません。又、ブドウが原料なのでポリフェノールを多く含むワインに至ってはプリン体を減少させるともいわれています。どのお酒を飲むにしろ、適切な量を楽しむことができれば高尿酸血症を発症するリスクはかなり低くなると言うことができます。
他にもストレスによって尿酸値が増加することがわかっています。これは、発症する患者が会社で様々な仕事を与えられる機会が多い中高年の男性であることからも想像することができます。また、運動によっても尿酸値は一時的に上がります。その為、スポーツ選手の高尿酸血症発症も少なくはないといいます。
高尿酸血症の症状とは?
高尿酸血症を発症すると起こる症状とは?
高尿酸血症の症状は目に見ることのできるものが多いので、発症したらすぐに感知することができます。かかり始めは関節の違和感から始まります。しかし、この違和感はすぐに痛みへと変化し、遅くとも1日か2日以内に患部が激しい痛みとなります。
激しい痛み自体は長くは持続しません。2~3日継続すると、だんだん痛みはなくなっていきます。痛みが完全になくなるのは2週間程度であるといいます。
症状の一番の特徴である痛みがなくなれば完治したということなの?
痛みがなくなったからといって完治したわけではありません。根本的な原因を解決しない限り、半年から1年後にまた再発するということがわかっています。又、再発のスパンは繰り返すごとに短くなっていくという危険性があります。
患部の激痛だけではなく、発赤であったり発熱、腫れを伴う高尿酸血症をそのまま放置することで、患部の損傷のみならず、腎臓も悪化していくことが最近の研究ではわかっています。
高尿酸血症が腎臓にもたらすリスクとはどのようなものなの?
痛風腎(腎障害)
尿酸がたまりやすいのは一番は関節ですが、二番目にたまりやすいといわれているのが腎臓です。尿酸が体内で増えすぎると排出されなかった尿酸が腎臓にもだんだん溜まってきます。一定以上溜まっていくことで、関節と同様に腎臓も痛風腎といって腎臓本来の働きが鈍くなってしまう症状を発症します。
腎臓は尿を作る働きがあるため、他の体内の部分よりも尿酸値は常に高くあります。しかし、高尿酸血症になることで本来想定されている限度量よりも尿酸が蓄積しやすくなってしまいます。尿酸が増えすぎると尿に溶かし込む働きが鈍くなっていくので更に尿酸は体内に増え、腎機能は低下していくという悪循環が起こります。
慢性腎臓病(CKD)
慢性の腎臓障害(慢性腎臓病:CKD)を発症する場合もあります。この発症は腎臓に大きな影響を与え、通常の働きの3割しか機能しない腎不全を合併症として発症します。
症状としては血液のろ過機能の低下によって体内の老廃物を上手く排出できなかったり、水分調整がうまくできないというものがあります。その為この病気を発症するとむくみが激しくなったり体内に不要なものがたまりすぎてしまいます。
尿路結石
最後に紹介するのは尿路結石です。尿酸が増加するということは、尿が酸性にちかづいていくということです。尿酸が溶けにくくなると、カルシウムの結石ができやすくなります。この結石は尿が原料のため、尿の通り道にできます。その為、発症個所は腎臓や尿管、膀胱、尿道といった場所です。
これを発症すると激しい痛みが襲い、特に尿管にできた場合、腰からおなかといったかなり広範囲にわたって痛みを感じるといいます。痛みは2~3日程度続き、治療しない限り何回でも再発するといわれています。
高尿酸血症の対策方法ってどのようなものなの?
高尿酸血症を発症しないようにするには?
一番は肥満体型の方は標準体重に戻すことです。過食に注意し、プリン体を多く含む食品であるレバーやあんこうが好きな方は少し摂取するのを制限してみてはどうでしょうか?
また、糖分が高い飲み物を飲むのを控え、水やお茶などをたくさん飲むことです。水分をたくさん摂取するとそれだけ尿の量も増えるため、尿酸を輩出しやすい環境になるといえます。発症の予防には一番に食生活を適切なものに調節することが重要です。
まとめ
少し前はたくさん食べ物を食べ過ぎて肥満になり、結果的に高尿酸血症を発症する患者が多かったため、贅沢病と呼ばれていました。
しかし、今では生活習慣が変化し、食べ物が欧米的になったため、どのような人でも発症しやすくなっていくことが現状です。その為、自身の健康管理を適切に行い、健康的な範囲内で自身を管理することが大切です。