尿酸値とコーヒーの関係とは?成分や効果を紹介!

「コーヒーが尿酸値を下げるらしい」こんな話が、健康関連サイトで熱い話題になっています。コーヒーは長年、嗜好品だけど体に悪いモノと誤解されてきました。ところが近年、「コーヒーは健康飲料」という認識が広まっています。

「コーヒーと尿酸値下げ」の関係は、単なる都市伝説なのか、それとも科学的医学的な根拠があるのか探ってみました。

コーヒーは尿酸値を下げる

コーヒー

結論からいいますと、コーヒーには尿酸値を下げる効果があります。九州大学医学部の古野純典教授(予防医学分野)がそのように述べています。

コーヒーが尿酸値を下げる仕組み

赤ワイン

古野教授によると、コーヒーを習慣的に飲むことで尿酸値の上昇を予防できたという研究が、アメリカとカナダで相次いで発表されました。

コーヒーに含まれるポリフェノールという成分が、インスリンの感受性を改善し、それによって尿酸値が低下すると推測しています。

それでは「ポリフェノール」と「インスリン感受性」と、そして「尿酸値」についてみてみましょう。

ポリフェノールとは

健康食品に興味を持ったことがある人なら誰でも、ポリフェノールという言葉を聞いたことがあると思います。しかしほとんどの人は「健康にいい成分でしょ」「赤ワインに入っているんだよね」ぐらいしか知らないのではないでしょうか。

ポリフェノールとは、イソフラボンやタンニン、アントシアニンなど、植物だけが持つ生体防御成分の総称です。ポリフェノールは数千種類もあります。植物は動けないので、ポリフェノールを持つことで、外敵から身を守るのです。それが「生体防御」の由来です。

人は動物なので体内でポリフェノールを作ることができません。それでポリフェノールを含む植物を食べることで、体内に「生体防御」機能を蓄えるのです。

ポリフェノールを取り込むと、活性酸素の働きが抑制されます。活性酸素は、適量であればがん細胞やばい菌を退治しれくる「味方」なのですが、増えすぎると健康な細胞まで壊してしまう「敵」になってしまいます。そこで、活性酸素を完全に除去するのではなく、活性酸素のいきすぎた働きを抑制するポリフェノールが活躍するのです。

ポリフェノールを多く含む食品は次の通りです。食品100グラム当たりに含まれる量で、単位はミリグラムです。

  • コーヒー:200
  • 緑茶:115
  • 紅茶:96
  • 赤ワイン:230
  • ブロッコリー:35

いかがでしょうか。赤ワインとコーヒーの含有量がダントツです。赤ワインはアルコールが入っているので、日中や仕事中は飲めませんが、コーヒーはいつでもどこでも飲むことができます。これが「コーヒーは健康飲料」説の根拠となっています。

インスリン感受性とは

インスリンは、細胞が血液中のブドウ糖を取り込む手伝いをする物質です。ブドウ糖は細胞の「食料ですから、ブドウ糖はインスリンの手伝いがあって初めて「食事」をすることができるのです。

インスリンは膵臓で作られます。糖尿病は膵臓の機能が弱まり、インスリンが分泌されず、細胞がブドウ糖を取り込むことができなくなった状態です。ブドウ糖はずっと血液中を漂うことになるので、血液中のブドウ糖の量「血糖値」が高くなってしまうのです。

しかしインスリンの量が十分でも、糖尿病になる人がいます。それは「そこにあるインスリンが働かない」からです。この状態のことを医者たちは「インスリン感受性が弱い」と表現しているのです。

つまり、ポリフェノールは「インスリン感受性を高める」ことができ、つまり「インスリンをよく働かせる」ことができるのです。

尿酸値を下げる

それでは次に、インスリンと糖尿病と尿酸値の関係についてみてみましょう。インスリンの量が減ったり、インスリンの働きが悪くなると、糖尿病になります。ここまではよく知られていることです。しかし次が少しややこしいのです。

糖尿病の初期では尿酸値が高くなり、糖尿病が悪化すると尿酸値が低くなり、糖尿病がもっと悪化して腎臓まで壊すようになると、尿酸値がまた高くなるのです。

糖尿病の患者は「尿酸値が乱高下する」のです。これは腎臓、尿、ナトリウムなどの機能が複雑にからみあってくるためです。

いずれにしましても、尿酸値が高い状態も糖尿病も「健康に悪い」ことには変わりありません。そして、尿酸値が高い状態も糖尿病も、コーヒーに多く含まれているポリフェノールによって改善が期待できるのです。

高尿酸血症について

ウニ

尿酸値が高い状態は、それ自体で「高尿酸血症」という病気になります。尿酸それ自体は、常に体の中にあります。体の中で作られる量と、体の外に排出される量が同じであれば、尿酸は「悪さ」をしません。

尿酸がたくさん作られたり、尿酸が体外に排出されにくくなると、高尿酸血症になります。

プリン体

尿酸は「プリン体」を代謝した後に生じる老廃物です。「プリン体=食べ物」「尿酸=うんち」という関係です。

プリン体は、牛のレバーなどの動物の内臓や、タラコやイクラなどの魚卵、そしてビールに多く含まれています。尿酸値が「7mg/dl」より高くなると高尿酸血症と診断されます。

結晶

高尿酸血症が長く続くと、尿酸が結晶を形成し始めます。「結晶」は単なる「かたまり」ではありません。「とげとげ」した形をしています。

例えていうなら「ウニの中心がない形」です。針だけが集まっている状態です。この「とげとげ」が、体内のあらゆる場所に付着するのです。

痛風

尿酸の結晶が体内のあらゆる場所に付着して、その「とげとげ」によって激痛が走る病気を痛風といいます。「風が吹いただけで痛みが走る」が名称の由来です。

尿酸の結晶は、足の先の関節に付着することが多いです。その次に耳や手の甲、ひじにもできます。さらに腎臓に尿酸の結晶が付着すると腎臓の機能がやられてしまいます。

ここで思い出してほしいのです。先ほど「糖尿病が悪化して腎臓が壊れると、尿酸値がまた高くなる」と解説しました。つまり、腎臓が悪化すると尿酸が増え、尿酸が増えると腎臓が壊れるのです。典型的な悪循環に陥ってしまうのです。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療方法について紹介します。

コーヒー効果を立証

コーヒーが痛風予防になることを立証したのは、カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究班です。約4600人に対し、12年間の追跡調査を行いました。痛風になった人をコーヒーの消費量別に分けて、その中から痛風に関係する要因を取り除き、「痛風とコーヒー」の関係性を分析したのです。

その結果、コーヒーを1日4~5杯飲む人は、コーヒーを飲まない人と比較すると、痛風になるリスクが4割も少なかったのです。1日6杯以上飲んでいる人は、なんとリスクが6割も少なくなったのです。

治療の目的

高尿酸血症や痛風の治療の目的は、痛みの除去だけではありません。放置するともっと恐ろしい病気に進化してしまうからです。痛風が悪化すると、尿路結石ができます。これも激痛が走ります。また、尿酸の結晶が付着した関節が破壊されます。腎臓が壊されると、人工透析が必要になります。

つまり高尿酸血症は、生活の質=QOLを著しく低下させる病気なのです。

薬物療法

高尿酸血症と痛風の治療は薬物療法が中心になります。「アロプリノール」と「フェブキソスタット」は、尿酸が作られるのを抑制する薬です。

「ベンズブロマロン」「プロベネシド」「ブコローム」は、尿酸の体外排出を促します。以上は飲み薬です。

もっとも強い薬は「ラスブリカーゼ」といい、がんの治療でも使われています。尿酸を分解する酵素を投与する治療法です。「ラスブリカーゼ」のみ点滴です。

まとめ

高尿酸血症の人がこの記事を読んで「コーヒーを飲めば大丈夫なのか」と思ってしまうことが心配です。それは間違いです。尿酸値が高くなるのは、乱れた生活習慣が最大の原因です。コーヒーは尿酸値を下げる「効果が認められた」だけです。高尿酸血症の治療薬ではありません。

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