間欠性跛行とは?原因や症状、治療方法を知ろう!予防するにはどうする?

間欠性跛行(かんけつせいはこう)とは、しばらく歩いているうちに、足が痛くなったり痺れたりして、歩けなくなりますが、少し休むと、また歩けるようになる歩行障害です。「バス停1区間、地下鉄1駅間を休み休みしなければ歩けない」、「団体旅行でメンバー達と一緒に歩くのが難しい」というような状態です。

「間欠性」というのは、その症状が現れたり消えたりすることです。「間欠泉」は、湧出と停止を交互に繰り返す温泉のことですから、同じようなことだと思ってください。「跛行」とは、足を引きずったりして、うまく歩けない状態です。

間欠性跛行は、その原因となる病気によって、治療法や予防法が異なります。いずれにしても、放っておくと、「下肢切断」などという大変な事態を招くことがあります。

間欠性跛行の症状、原因となる病気と治療法、予防法についてお伝えしますね。

間欠性跛行の症状や原因とは?

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間欠性跛行は、中高年に多く発症します。女性より男性に多いようです。「間欠性」という病名の通り、症状が現れたり、消えたりします。

間欠性跛行の原因となる疾患は、3つあります。原因となる疾患により、受診する病院や治療法、予防法も違います。何が原因で間欠性跛行が生じたのか、見極めることが重要です。

[間欠性跛行の原因]

「跛行」とは歩行障害のことです。足が痺れたり、痛んだりして、うまく歩けない状態になることです。「間欠性」ですから、ある程度の期間をおいて、跛行が出たり、消えたりします。

間欠性跛行の原因となる疾患は、主として3つあります。

➀腰部脊柱管狭窄症

腰椎の内部には、神経が通っている脊柱管があります。この脊柱管が、加齢や重労働による負荷、脊椎の病気などにより狭くなると、神経を圧迫します。

詳しくは、腰部脊柱管狭窄症の治療には手術が必要?症状・原因・予防法を理解しよう!を参考にしてください!

②閉塞性動脈硬化症

動脈硬化により血管が狭くなったり、詰まったりして、血液の流れが悪くなると、細胞が酸素不足になります。特に足の血管が動脈硬化によって血流が悪くなり、酸素不足になると、痛みや痺れを生じます。間欠性跛行が起きます。

この場合、動脈硬化は全身の血管に生じますから、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳血管障害(いわゆる脳卒中 脳梗塞や脳出血など)を、間欠性跛行と併発することが少なくありません。

③閉塞性血栓血管炎

Buerger病(バージャー病・ビュルガー病)という難病の症状が間欠性跛行です。

原因は不明ですが、手足の抹消動脈が細くなったり、血栓ができたりして、血液の流れが妨げられ、細胞が酸素不足になります。足の抹消動脈が細くなったり血栓ができたりすると、足に痛みや痺れが生じます。

バージャー病については、バージャー病とは?症状や原因を知ろう!治療方法や診断方法も紹介!を参考にしてください!

[間欠性跛行の症状]

どの病気が原因となっていても、症状は共通しています。

➀歩くと足が痛くなる

立ち続けたり、歩いたりしているうちに、足が重くなり、痛みが生じます。歩き始めは、たいした痛みではありませんが、だんだん痛みが増してきて、歩けなくなります。

しゃがんだり、腰をかけたりして休むと、痛みが軽減されて、また歩けるようになります。

症状が進むにつれて、歩ける距離や時間が短くなります。50m歩いただけで痛むようになったり、5分も立っているのが辛くなります。

腰部脊柱管狭窄症のように神経が圧迫されている場合は、前屈みなると、脊柱管が少し広くなるので、痛みが軽くなります。

動脈硬化や血栓など、血管系の疾患が原因の場合は、歩いている時に、血液の流れが悪いので、足が冷たく感じることがあります。病気が進行するにつれて、安静にしている時でも足が痛むなどの症状が出るようになります。

いずれにしても、だんだん歩けなくなり、下肢の筋肉が萎縮したり衰えたりして、慢性的な歩行障害に陥ります。

②痺れ(しびれ)が生じる

立ち続けたり、歩いたりするうちに、足に強張りや痺れが生じます。しゃがんだり、

座ったりして少し休むと、痺れや強張りが軽くなります。

③こむら返りを起こす

歩いたり、足の運動を行ったりしているうちに、足がだるくなり、疲れたように感じます。ふくらはぎに、こむら返りを起こしやすくなります。時には、お尻や太腿にも起きます。

「こむら返り」とは、ふくらはぎの筋肉が急に収縮して、激しい痛みを起こす状態です。いわゆる「足がつる」ことです。ふくらはぎでよく起きますが、足の裏や指、太腿、首、肩などの筋肉にも起きます。動いている時だけでなく、就眠中にも起きます。

こむら返りが起きた時は、ふくらはぎの筋肉が収縮しているので、足を伸ばすようにすると、解消できます。ふくらはぎとアキレス腱のストレッチを行います。足を伸ばして、つま先を脛(すね)の方に曲げるようにします。

こむら返りは、普通一過性のもので、あまり心配は要りませんが、頻繁に起きる時は、間欠性跛行など重大な疾患と関係していることが多いようです。

④原因となる疾患によって、独特の症状が出る

腰椎脊柱管狭窄症のように神経を圧迫されて間欠性跛行が起きる場合は、馬尾(ばび)神経の圧迫により、会陰部に痛み・痺れ・灼熱感を生じることがあります。また、男性の場合は、疼痛を生じる間欠性の陰茎勃起が起きることもあります。

また、立っているだけで痛みや痺れが出ますが、自転車に乗ったり、手押し車(シルバーカー)を使用して歩いたりすると、間欠性跛行の症状が出にくくなります。

閉塞性動脈硬化症のように血管系疾患により酸素不足を起こして間欠性跛行が生じる場合は、血管が詰まった部分から先の動脈の拍動が感じられなくなります。

靴擦れのような些細なことから、足に潰瘍ができて壊死することがあります。壊死が進行すると、足を切断する場合もあります。

間欠性跛行の治療法

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間欠性跛行の治療法は、原因となる疾患により異なります。間欠性跛行の原因となる疾患を治療しなければ、根本的解決にはなりません。

[腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行の治療法]

脊柱管が狭くなって神経を圧迫しているので、整形外科を受診して治療してもらうことになります。治療は、大きく分けると、保存療法と手術です。70%の場合、保存療法で症状が改善しますが、安静時にも麻痺や痛みが出るほど重症となると、手術が必要になります。

1, 日常生活を工夫して、症状を軽減する

背中を反らせるような姿勢をとると、脊柱管が狭くなるので、歩く時や立つ時は、前屈みの姿勢をとるようにします。

杖・手押し車(シルバーカー)・自転車を使って、腰の負担を軽くします。腰部にコルセットや固定ベルトをして、腰椎の伸展位を防ぎます。

痛みが出る前に休むようにします。短距離でも,休み、休み歩くようにします。

2, 運動療法

歩くと痛いので、つい安静にしていることが多くなりますが、筋肉が衰えると、余計腰に負担がかかります。ウォーキングや筋力トレーニングで、腹筋・背筋・大腿四頭筋を鍛えると、症状が緩和されます。

3, 薬物療法

神経の血流を促進する血流を改善する薬や、消炎鎮痛薬を服用します。

4, 神経ブロック

痛みが激しい時は、局所麻酔剤などを神経の周囲に注入して、「硬膜外ブロック」や「神経根ブロック」の神経ブロックを行います。神経ブロックを数回繰り返すと、痛みがかなり緩和されます。

5, 理学(物理)療法

温熱療法や電気刺激療法、牽引などを行います。

牽引は、腰を中心に身体を強制的に伸ばす療法ですが、人によっては、症状が改善されるどころか悪化することもあります。牽引で痛みが生じた場合は、すぐに中止して、整形外科医とよく相談してください。

6, 手術

手術の基本は、狭くなっている脊柱管を広げて、神経の圧迫を取り除くことです。圧迫されている神経の部位や範囲によって、手術法が違います。「開窓術」「椎弓切除術」「脊柱管拡大術」などです。

最近では、内視鏡下腰椎椎弓切除術が、よく行われるようです。内視鏡下手術は、傷口が小さく、回復に時間がかかりません。

[閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行の治療]

閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行の場合の治療法は、基本的には血液の流れを良くして、酸素が十分細胞に行き渡るようにすることです。

動脈硬化を起こしたり、促進したりする危険因子を取り除くようにします。高血圧・糖尿病・高脂血症(脂質異常症)・高尿酸血症・肥満・ストレス・運動不足などが、危険因子です。遺伝的な素因もあります。

循環器科や心臓血管外科の診療を受けてください。

1, 日常生活習慣の改善

まず、タバコをやめます。喫煙習慣は、動脈硬化症に悪影響を与えます。その他、食習慣や生活習慣を改善して、血液の流れを良くします。肥満やストレスを解消するようにします。

足が冷えると、血管が収縮して血液の流れがさらに悪くなります。足や足先が冷えないように靴下などで保温します。入浴は全身を温め、血行改善に効果があります。

2, 理学療法

運動療法は、心拍数を上げて血液の流れを増量します。特にウォーキングは、足の側副血行路が発達して血流を良くします。痛みが出ないように休みながら歩くようにします。

炭酸泉療法も血流改善に効果があります。炭酸ガスには血管を広げる作用があります。お湯の中に炭酸ガス発生装置を設置して、15分ほど足を浸します。

3, 薬物療法

血管を広げる「血管拡張剤」や、血液が固まったり詰まったりするのを防ぐ「抗血小板薬」を服用します。間欠性跛行には、「シロスタゾール」という薬が効くようです。

4, 血行再建術

血管の狭くなっているところへ、カテーテルという管やステントという金網の筒を挿入して、血管を広げて血流を改善します。

5, バイパス手術

血管が狭くなっている部分の前後に、人工血管や自分の他の部位の血管を使って、バイパス手術を行います。ただし、患者さんの身体の負担は、かなり大きくなります。

6, 最新療法

最新療法には、血管新生療法と血漿交換療法があります。

血管新生療法では、患者自身の骨髄の造血幹細胞を利用して新しく血管をつくりだし、足の血流を良くします。

血漿交換療法は、血管を狭くする悪玉コレステロールを除去します。1回の治療に3時間程度かかり、2週間に1回、続けて治療を受けます。

[閉塞性血栓血管炎による間欠性跛行の治療]

病気の原因が不明なので、根本治療ができません。血行を良くして壊死を防ぐような対症療法にとどまります。

循環器科や心臓血管外科を受診してください。

1, 日常生活習慣の改善

まず禁煙します。喫煙を続けると、足指の切断、下肢切断の可能性が高くなります。

足を冷やさないようにし、清潔に保ちます。ストレスは血管を収縮させるので、さらに血行が悪くなりますから、ストレス解消に努めます。

歯周病治療や口腔内を清潔に保つことも効果があります。

2, 理学療法

温浴・マッサージ・運動療法(特に歩行)を行い血流を良くします。

血行が悪いと傷の治りが遅くなるので、転んですりむいたり、靴擦れを作ったりしないように注意して、運動してください。些細なことから、足が壊死して切断することがあります。

3, 薬物療法

血管が狭くなっているので、血液が詰まったり固まったりしないように、「抗血小板薬」や「抗凝固薬」を服用します。

血管を広げる「血管拡張薬」を服用します。

4, 高圧酸素療法

高圧の酸素を吸入させて、血液中の酸素不足を補います。

5, ブロック療法

血管を収縮させる働きのある交感神経をブロックします。

6, バイパス手術

自分の血管や人工血管を用いて、バイパス手術を行います。

カテーテルやステントを挿入する血行再建術は、患部が抹消なので難しいようです。

7,血管再生

自分の骨髄の造血幹細胞を利用する血管再生術が、最近、注目されています。

間欠性跛行の予防法と対処法

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間欠性跛行の予防法は、血管性の場合も神経性の場合も、加齢が大きく関係しています。加齢を止めることはできませんが、ちょっとした日常生活習慣の改善が、病気を防いでくれますし、進行を妨げます。

[間欠性跛行の予防法]

血管性の疾患が原因となる間欠性跛行を予防するには、とにかく動脈硬化にならないようにすることです。高血圧や糖尿病、高脂血症などの成人病は動脈硬化を起こし、促進しますから、日常の食事・生活習慣に気をつけるようにします。

特に、50代60代の男性が動脈硬化による間欠性跛行を発症しやすいと言われます。

喫煙は悪玉コレステロールを増やして、動脈硬化を促進します。脂っこい高カロリーの食事は肥満や糖尿病を招きますし、塩分の取りすぎは高血圧になります。バランスのいい食事を腹八分目に摂るようにします。

運動不足・睡眠不足・ストレス過多も、動脈硬化に悪影響を及ぼします。適度な運動、良質の睡眠、ゆっくり入浴などで、血行を良くするようにします。

神経性の間欠性跛行は、加齢が大きな原因です。脊柱管が生まれつき狭い人や椎弓や椎間関節の形状が生まれつき異常な人は、間欠性跛行になりやすいようです。すべり変性といわれるものは、女性に多く見られます。

腹筋や背筋を鍛えたり、ウォーキングやスロージョギングで血行を良くしたりするようにして、予防に努めてください。

[間欠性跛行が発症したら・・・]

間欠性跛行が発症すると、歩くのが困難になりますから、つい家にじっとしていたり、自動車に乗ったりすることが多くなります。でも、血管性の疾患が原因でも、神経の圧迫が原因でも、じっとしているのは、良くありません。安静にしているのは、症状を悪化させることになります。

ウォーキングは足の血行を良くして酸素不足にならないようにしますし、足の筋肉が萎縮したり衰えたりするのを防いでくれます。

背筋や腹筋を鍛えることで、神経圧迫による間欠性跛行の進行を防ぐことができますし、心拍数を上げて、流れる血液量を増やすこともできます。血液量が増えれば、酸素量も増えます。

身体を冷やさないように注意します。お風呂にゆったり入って、身体を温め、血行を良くします。温浴はストレス解消にもなります。

タバコは厳禁です。血管性でも神経圧迫でも、喫煙は間欠性跛行を悪化させるだけです。

血管性の間欠性跛行の場合は、全身に動脈硬化が進んでいると思われますから、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血にも注意するようにしてください。

まとめ 歩くと足が痛い時は、すぐ整形外科へ

歩いていると、足が痛くなる。少し休めば、また歩けるようになる・・・こんな症状が出たら、すぐに整形外科へ行くことをオススメします。間欠性跛行かもしれません。

間欠性跛行は、原因となる疾患によって治療法が異なるので、受診する病院や科が違います。腰部脊柱管狭窄症のように神経を圧迫されている場合は、整形外科で治療します。閉塞性動脈硬化症や閉塞性血栓血管炎のように血管疾患の場合は、循環器科か心臓外科で診てもらいます。しかし、素人では、何が原因なのか、わかりません。とりあえず、整形外科を受診して、検査してもらうと、いいですよ。一般外科を受診してもOKです。

とにかく、症状に気づいたら、すぐに病院に行くことです。

間欠性跛行は放っておいても自然に治ることはありません。症状が進行すると、寝ていても、痛みや痺れに悩まされるようになり、自分で歩けないようになります。

血管性の間欠性跛行は、下肢が酸素不足ですから、壊死が起きやすくなります。進行すると、手術で血行を改善することも難しくなり、ついに、下肢切断・足指切断という最悪の事態になります。

早期に治療すれば、症状を改善したり、軽減したりできます。

また、生活習慣を改善することで、間欠性跛行を予防したり、進行を止めたりすることができます。

  
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