偏頭痛にはコーヒーがいいという話を聞きますが、コーヒーは飲まないほうがいいという説もあります。本当はどちらがいいのでしょうか?
偏頭痛の原因やコーヒーの特徴を理解して、どのように付き合っていけばいいか考えていきましょう。
偏頭痛とは
頭の痛みの一つで、ズキンズキンと脈に連動した痛みや、吐き気、嘔吐を伴う症状です。頭の片側が痛むことから「片頭痛」とも言いますが、症状がひどくなると、頭全体が痛むこともあります。
偏頭痛の特徴
偏頭痛の特徴には次のようなものがあります。
偏頭痛の原因
偏頭痛のきっかけとなる要素はさまざまあります。
ストレス、生活習慣(喫煙、睡眠、環境)、光、音、匂い、ホルモン、食品・アルコールなどです。明らかな原因がなく起きることもあります。
偏頭痛のメカニズム
頭痛発生のメカニズムはまだ解明されていませんが、2つの説をご紹介します。
・三叉神経の異常
例えば強いストレスにさらされると、脳の機能の一部が抑圧されます。その状態は顔の感覚を司る三叉神経を刺激し、炎症を起こします。この炎症が脳の神経などを刺激して頭痛が発生すると考えるものです。
・血管の収縮や拡張
ストレスなどによって脳の血管が収縮や拡張することで、周辺の神経を刺激して頭痛が発生すると考えられています。
偏頭痛の症状
きっかけは様々ですが、慢性的に痛みが発生し、数時間続くのが一般的です。吐き気や嘔吐を伴い、日常生活に支障をきたす人もいます。
運動したり、頭を動かすとよりひどい頭痛を引き起こします。マッサージや入浴も症状を悪化させます。女性に発症することが多いのは、生理中や妊娠中、更年期など女性ホルモンの変動が原因になるからと考えられています。遺伝性があります。偏頭痛による医療費と社会的な生産性損失(偏頭痛による欠勤のせいで損失した生産性はどれほどのものか)を研究したデータなどもあります。
・偏頭痛はどんな痛み?
「ズキンズキン」「ドクンドクン」「ガンガン」「頭が割れそう」「頭に心臓があるみたい」などと表現されます。
・偏頭痛の場所
こめかみから上のあたりがズキズキと痛みはじめます。片側だけ、両側、全体が痛いなど同じ人でも症状によりさまざまです。症状が進むと、拍動と関係なく痛みが続きます。
偏頭痛以外の頭痛
頭痛には偏頭痛の他に次の二つのタイプがあります。
緊張型頭痛
日本人に一番多いタイプの頭痛です。体の緊張や凝りなどのストレスや精神的なストレスが原因となり、偏頭痛よりも長い期間痛みます。
肩や背中の張りや緊張、頭を支える首の筋肉が弱いことなどが体にストレスをかけ、頭痛が現れます。血行が悪くなっている状態です。後頭部の鈍痛、締め付けられる感じ、頭が重たいといった感じがします。マッサージや入浴でこりをほぐすことで症状が軽快します。
群発性頭痛
いつも同じような時間帯に激しい痛みがあらわれ、涙、鼻水、発汗などを伴います。詳しい原因はわかっていませんが、これもストレスが関係していると考えられています。
偏頭痛とコーヒー
偏頭痛がある人はコーヒーを飲むといいとか、悪いとか、そんな話を見かけます。実際のところはどうなのでしょうか。
コーヒーの効果
コーヒーにはカフェインが含まれています。カフェインは血管収縮作用、覚醒作用、利尿作用などがあることは有名です。医薬品として、風邪の総合感冒薬や鎮痛薬に利用されています。
またカフェインが偏頭痛の薬として効果があるのか臨床研究が進められています。
デメリット・副作用
カフェインには中毒性や依存性があり、摂取をやめると頭痛や疲労感、集中力の欠如などの離脱症状が出ます。
また、利尿作用による脱水症状に注意が必要です。飲み過ぎると覚醒作用によって睡眠を妨げます。
偏頭痛とコーヒーの相性
一般的なコーヒー(カフェイン)の効果と副作用から考えると、以下のようなことが言えるのではないでしょうか。
・血管拡張による偏頭痛には、カフェインの血管収縮作用が効果を発揮する。
・カフェインが入っていればコーヒーじゃなくてもいい。
・コーヒーの香りでリラックスし、緊張をほぐす役割も期待できる。
・頭痛の予防にはならない。
・血管拡張型の偏頭痛以外には効果がない。
・緊張型の頭痛は血行不良が原因なので、血管がさらに収縮すると症状が悪化する。
・ドリップコーヒー?インスタントコーヒー?
カフェインが摂取できるなら、どちらでも構いません。紅茶や緑茶などでもカフェインは摂取できます。コーヒーの研究は現在も進んでいて、いろいろな説があります。いずれにしろたくさん飲めばいいというものではありませんから、飲み過ぎに注意しましょう。
偏頭痛の緊急対策
偏頭痛を今すぐ抑えたい、ガマンできないというときのための対策です。
頭痛薬を飲む
自分の頭痛のタイプにあったものを服用します。痛くなりそうな感じがしたらすぐに飲むと、強い痛みを感じなくて済みます。しかし飲み過ぎは良くないので、用法用量を必ず守りましょう。
こめかみを冷やす
血管の拡張による頭痛の場合は、ズキズキしているこめかみのあたりを冷やして炎症をおさえ、光のない静かな場所で安静にします。ジェルシートなどがあると便利ですが、冷やしすぎも注意です。ただし、頭痛の種類によっては、症状を悪化させる場合もあるので、なぜこめかみが痛いんだ!原因と頭痛の解消方法について♪の記事を読んでからにしましょう。
ゆっくり長く深呼吸する
深く長い呼吸を繰り返すと、副交感神経が優位になって緊張がほぐれます。腹式呼吸で意識してゆっくりと吸ったり吐いたりを繰り返します。リラックスしましょう。
コーヒーを適量飲む
さきほども書いた通りです。頭痛が落ち着く程度にコーヒーを飲むことで、血管を収縮し、リラックス効果を促進します。
偏頭痛の予防方法
偏頭痛を引き起こさない生活を送ることが一番大切です。日頃から気をつけて快適に過ごしましょう。
質の良い睡眠をとる
睡眠不足も寝すぎもいけません。規則正しい生活を心がけましょう。心も体もゆっくり休めて、疲れを回復しましょう。睡眠については、眠りが浅い人へ!快眠できない原因と快眠する方法についての記事を参考にして下さい。
食品、アルコール
チョコレート、チーズ、柑橘類、ナッツ、ワインなどは偏頭痛を引き起こすといわれています。特に、ワインは血管を拡張させる作用があるようです。日本人は体質的に食品による影響は少ないとする説もあります。
人ごみを避ける
いわゆる「人酔い」といって、人がたくさんいるところに行くと、頭痛がしたり具合が悪くなることがあります。
イライラする、疲れる、目が回るなどを感じることもあるようです。ストレスを感じすぎて脳が休息を必要としているサインです。
強い光
・直射日光
海水浴やキャンプなどに行って直射日光に長時間あたると、その後頭痛がすることがあります。目から入る日光の強い刺激が頭痛を引き起こすようです。サングラスが効果的です。
・明るい場所
屋外や照明の明るい場所やまぶしいと感じる環境で長時間を過ごすと、頭痛がすることがあります。ゲームやパソコンなどにも注意しましょう。
ストレス発散
イライラ、不安、怒りなどの感情もストレスになります。「頭に血がのぼる」というように怒ると頭の血管が拡張し、血流が活発になります。リラックスして安らかな時間を過ごしましょう。
姿勢を良くする
スマホやパソコンをしているときは姿勢が悪くなりがちです。首や肩が張って、コリや体調不良を引き起こします。パソコンやスマホをする時間を減らすか良い姿勢をキープするように心がけましょう。肩こりがひどくなる前にストレッチをして血行を促し、筋肉をほぐしておくことが大切です。
偏頭痛の予兆
偏頭痛の前兆のある人は少なく、全体の2割程度といわれていますが、このようなサインがあったら偏頭痛に備えておくといいでしょう。
・肩こり、あくび、空腹
・ぼーっとする
・星が飛ぶ、目がチカチカする、視野が欠ける
・手足のしびれ
・音や匂いが気になる、不快に感じる
偏頭痛は何科を受診する?
最近増えている頭痛外来は頭痛専門医がいる外来です。神経内科、脳神経外科、原因によっては心療内科もあります。かかりつけのお医者さんに専門医を紹介してもらうこともできます。
体質改善を考えているなら漢方薬局で相談するのがいいでしょう。
まとめ
偏頭痛についておさらいしておきましょう。
頭痛は日常のさまざまなきっかけが脳を刺激しておこる。
脳の血管が拡張することでこめかみのあたりにズキズキとした痛みがあるのが偏頭痛。
適量のコーヒー(カフェイン)は血管の拡張を抑える作用がある。
偏頭痛があるときは強い光や大きな音のないところで安静にする。
頭痛専門医がいる頭痛外来が増えています。
偏頭痛を繰り返していると、脳卒中や心臓発作のリスクが高まるともいわれています。痛みを抑えるだけの鎮痛剤では原因から治すことはできないので、医療機関で検査や診察を受けておくと安心です。頭痛についてはまだわからないことも多いですが、研究や薬の開発が進み、偏頭痛の治療も日々進歩しています。いい治療方法が発見されて頭痛から解放される日がくるといいですね。
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