体に起こる症状には、救急性の高い症状があります。症状を放置しておくと命の危険がある場合もあり、早急な対応が求められることがあります。
喀血(かっけつ)はそんな救急に対応すべき症状の1つです。喀血とは口から血を吐いてしまう症状で、その後は意識不明といった症状にまで発展することがあります。
では、喀血はどうして起こるのか。その他、どういった症状を発症するのか。発症したとき、どういった対処をすればいいのか。これらのことについて詳しくみていきましょう。
喀血とは?
喀血とは口から血液を吐いてしまう症状の1つです。他にも同様の症状がありますが、その区別は出血部位によって行います。喀血は肺や気管支などの呼吸器から出血し、血を吐いてしまう症状です。
口の奥に進むと気管支、肺の他に食道や胃があります。食道や胃は消化器官と呼ばれ、食べ物を運んだり、消化する役割がありますよね。この部位から出血し、血液を吐いてしまうことを吐血と言います。
つまり、呼吸器官から出血し血を吐いてしまうことを喀血。消化器官から出血し血を吐いてしまうことを吐血と言います。これら症状は区別されます。
吐血症状では先天的な病気が原因で起こることもあれば、生活習慣や環境が体に悪影響を及ぼし、病気を発病することで発症することがあります。
喀血の原因とは?
喀血は呼吸器官になんらかの出血がみられることで、血液を吐いてしまうことでした。では、その出血を起こしてしまう病気には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
肺がん
肺がんは喀血症状を起こす代表的な病気と言えます。肺に病巣ができ、進行していくと細胞が破壊され、伴って出血してしまいます。
肺がんは喫煙者ほどそのリスクが高まります。また、タバコを吸ってすぐに発病するわけではなく、長期間の喫煙が病気のきっかけを作っていきます。
また、喫煙者の周りにいる家族もまた肺がんのリスクを負うことになります。旦那さんがタバコを吸うという奥さんは肺がんリスクがそうでない人と倍違うという研究データもあります。
詳しくは、肺がんの初期症状をチェック!咳や背中の痛みに要注意!を参考にしてください!
気管支拡張症
なんらかの原因で気管支が通常より開き、その状態が維持されてしまう症状です。拡張した気管支には痰がたまりやすく、そこに細菌が繁殖してしまいます。
繁殖した細菌は気管支粘膜を侵食し、炎症を起こしてしまうことがあります。それが出血につながり、喀血を招いてしまうのですね。
気管支拡張症は主に感染症によって引き起こされます。伴って咳や呼吸困難等の症状がみられます。これら症状が複合的に現れるようであれば注意が必要でしょう。
肺結核
結核菌の感染によって起こる肺結核は喀血症状を招きます。今でこそ完治する病気ですが、100年前では不治の病といわれていました。
結核菌が肺に感染し、発病します。喀血症状のほか、咳、痰、微熱、倦怠感、食欲不振などがみられます。風邪とよく似た症状を発症するため、初期段階で発見が遅れることもあります。
外傷
外部から強い衝撃を受けて、肺や気管支損傷が損傷を受けてしまった時、喀血症状がみられることがあります。交通事故や暴力などの原因が考えられます。
外傷で喀血症状がみられる場合は、他の内臓に損傷がないかもきちんと検査をする必要があるでしょう。早急な対応が必要です。
喀血と合併する症状とは?
喀血症状がみられるとき、それだけに症状は治りません。他の症状も合併し、患者を苦しめることがあります。具体的には以下の症状がみられるようになります。
咳
病気によって肺が侵されると、粘液が絡んだり、呼吸がしにくくなります。そのため、ひどい咳をするようになります。1日中続くこともあり、かなり辛い症状を呈します。
呼吸困難
肺機能が低下すると呼吸そのものがしにくいということがあります。また、呼吸をする際、ヒューというような擦れる音が発生することもあります。
痰
気管支の通気性が悪くなっているため、痰が大量にできてしまいます。これが咳や呼吸困難の原因になることもあります。また、血液と混ざって血痰がみられることがあります。
微熱
感染性の肺病では微熱症状を発症します。高熱ではないため、ただの風邪と判断してしまうことがありますが、1ヶ月以上という長期間症状が続く場合は肺病を疑った方がいいでしょう。
倦怠感
呼吸そのものがしにくくなるため、体全体の倦怠感を呈します。また、動くのが辛いというように精神的にも強い負担を与えてしまうことがあります。
ポイントは「期間」と「合併」
咳や微熱は病気の初期症状です。しかし、症状は風邪と似ているために病気が見過ごされることがあります。病気の発見が遅れ、悪化するなんてこともあるでしょう。
肺の病気と風邪を区別するポイント。それは症状が続いている期間と合併症状があるかどうかです。通常の風邪であれば症状は長くても1週間程度。多少前後はするものの、大体その期間で治ります。
一方、肺の病気では咳や痰といった症状が1ヶ月以上続きます。風邪だと思っていたけど、全く症状が改善されない。このような場合は肺の病気を疑ってみるといいでしょう。
また、症状が複合的に出る場合も要注意。痰、微熱、咳、倦怠感。これら全てが一緒に出ているようであれば、単なる風邪ではないかもしれません。
喀血はかなり重症症状
長い症状に悩まされていても、症状を放置し病院へ行かないと当然ですが病気は悪化していきます。そして、ある日喀血して、ことの大きさに初めて気付くのです。
喀血症状は病気の進行の中でもかなり進んだときに発症します。強い倦怠感や食欲不振が起こり、体重がかなり減っているなんてこともあります。
そこまで放置してしまうのもなかなか難しいものですが、喀血症状がみられたときは速やかに病院へ行き、検査を受けるようにしましょう。
喀血の特徴とは?
口から血を吐いてしまう症状には喀血のほか吐血があるという話をしました。しかし、その区別は単に見ただけでは難しいものです。喀血と吐血。具体的にどのような特徴や違いがあるのでしょうか。
血液の色
まず注目してほしいのが血液の色。喀血の場合、呼吸器から出血します。口に近いため血液は他の物質を反応をすることなく排出されます。このため、比較的鮮やかな血の色をしています。また、血液は空気を含むため、泡状になっています。
一方、消化器官から出血し、吐血してしまう場合、消化液と反応するため黒に近い色をしています。コーヒーのような色と例えられることが多いです。
症状の違い
喀血では症状に至るまで日常的に咳や痰がみられます。呼吸がしにくいというのは肺に病気があるという特徴的な症状なので、病気診断の1つのポイントになります。
一方、吐血症状では咳や痰はみられません。吐血を引き起こす病気には腹痛や食欲不振、膨満感といった、食事に関する症状が日常的にみられます。
発症の違い
喀血症状は咳をしたとき、唾液に血液が混じっていたり、そのまま血液を吐いてしまうことがあります。しかし、症状が急激に悪化することはあまりなく、自力で病院へ行くことができます。
一方で消化器官から出血してしまう吐血では、症状が急激に悪くなります。突発的に吐血してしまったり、凄まじい腹痛に襲われ、自力で病院へ行くことが困難なことがあります。非常に緊急性が高いといえるでしょう。
血痰について
喀血と似たような症状に血痰があります。血痰とはその名の通り、痰に血液が混じっている状態です。血液量は少ないですが、肺に何かしらの異常が認められます。
喀血にしろ血痰にしろ、血液を吐いてしまうというのはそうそうあるものではありません。これら症状があったときは、すぐに治療を開始するようにしましょう。
喀血が出たときの対処法
喀血症状がみられたとき、まずすべきは血を吐いてしまうことです。血液が空気の通り道を塞いで呼吸がしにくくなる、なんてことがありますから、咳をして吐いてしまいましょう。
そのあとはなるべく楽な姿勢を取り、救急車を呼びましょう。早急に医療機関へ行き、検査・治療を受けることが大切です。喀血して症状を放置するという人はなかなかいないと思いますが、早めの行動を心がけましょう。
出血量が多いときの対処
喀血時、出血量が多くどうにもならない。そのようなときはどうすればいいのでしょうか。このようなときも、同じように呼吸を確保することが大切です。
仰向けにし、顔だけ横に向けて、血液が出るようにします。その後、救急車が来るまでその状態で待機します。とにかく早く行動することが命を救うために大切です。
喀血症状の治療とは?
喀血してしまったとき、症状はどのようにして治療していくのでしょうか。病院に行ってから行われる治療には以下のようなことがあります。
止血剤の投与
出血箇所を検査によって特定し、止血剤を投与します。血液の出血が多いとそれだけ危険な状態になってしまうため、早急な対応が行われます。
カテーテルや気管支鏡を用いた止血処置
カテーテルや気管支鏡を用いて、直接出血箇所の治療を行います。早急に診断ができ、状況を把握することができるので、すぐに症状を改善することができます。
病巣の根本的治療
喀血症状を招く病気を根本的に治すことが、今後の健康に繋がります。肺に病気があるのであれば、検査ののち、それにあった治療を行なっていきます。
病気はがんや感染症など、きちんと検査をしなければわからないものばかりです。症状が出る前に自覚症状があるのであれば、まずは病院へ行くことが大切でしょう。
喀血・肺病を予防するために
喀血を起こす肺の病気。これを予防するためにどのようなことができるでしょうか。生活のあることに気を付けるだけで、病気を予防することができます。具体的には以下のことがあげられます。
有害物質を吸わない
タバコを代表とされる有害物質を呼吸器官に取り込まないこと。これが肺の病気予防のためにできる第一歩でしょう。特に肺がんになる人は喫煙率が高いため、禁煙が重要です。
また、注意したいのは喫煙者の近くにいる人。例えば家族内に喫煙者がいる人は、なるべく副流煙を吸わないことが大事です。自分はタバコを吸っていないのに病気になってしまったなんてことのないようにしましょう。
有害物質を吸わないという点では環境も大切です。家の近くに大型の道路があるケースでは、車の排気ガスを吸ってしまうなんてことがあります。これが肺を侵してしまうなんてこともあるので注意したいものです。
免疫力を下げない
肺の病気はがんだけではなく、外部からの細菌やウィルスが原因で発病することがあります。特に高齢者や子供は免疫力が弱いため、感染すると容易に病気を発病してしまうことがあります。
このため、病気予防で大切なのは免疫力を下げないこと。これは生活習慣の改善ともいえます。不規則な生活、食事の偏り、睡眠時間が短い。これらのことは免疫力を容易に下げてしまうため、病気にかかりやすくなってしまいます。
特に高齢者の場合は1つの感染症が命を落とすことにも繋がりかねないので、常日頃から体調管理には十分注意した方がいいでしょう。体力をつける意識を持ってくださいね。
初期症状できちんと対応する
肺の病気は比較的自覚症状が少ないといわれています。風邪と似たような症状ですから、見逃してしまうことが多いのですね。しかし、これが病気の悪化を招いてしまうのです。
このため、病気を早期で感知させるためには初期症状で対応することがポイントになるでしょう。ちょっと風邪の症状が長引くと思ったら、病院へ行ってみるといいかもしれません。
どんな病気でも初期段階で対応することができれば、それほど悪化することはありません。早期治療は体の状態を最善に保つ1つのポイントなのです。
喀血を通して病気を考える
喀血症状は肺の病気でもかなり進行している状態で起こります。今まで病気に気づかず、もしくは気付いていても悪い習慣をしてしまった結果が今の状態です。
病気には必ず原因があります。喀血に限って言えば、体の状態を悪くしてしまったことに他ならないでしょう。それは喫煙や体力の低下を招くような習慣があげられます。
特に喫煙は体の健康を損なう行為です。タバコには何百種類という有害物質が含まれていますし、肺はそのダメージを直接受ける臓器です。吸い続けることで病気にならないというほうがおかしいでしょう。
喀血はそんな肺に病気があることを知らせてくれる1つのサイン。そして、これ以上体に悪いことをすると本当に危ないということを教えてくれています。
喀血を無視する人はなかなかいないとは思います。ですが、病気になってその後の生活を変える人も少ないのかもしれません。相変わらずタバコを吸い続けるという人もいるのも事実です。
自分の体は自分のものです。しかし、その健康が害されることで悲しむ人は自分1人ではありません。周囲の家族も病気によって、悲しむことがあります。病気と健康は自分1人のものではないということを意識することが、この後の健康を考える上で大切なことなのだと思います。
吐血にもご用心
消化器官から出血、血を吐いてしまう吐血症状は喀血とはまた違う原因で発症します。原因の中で特に多いのがストレスです。ストレスは様々な形がありますが、実体は見えるものではありません。
例えば勤務時間が長い。これも体にとってはストレスとなります。睡眠時間が短かったり、食事の栄養バランスが悪かったり。これらのことも十分ストレスとなります。
消化器官はストレスの影響を受けやすく、容易に症状を発症してしまいます。長期間に渡って、とても大きなストレスを受け続けたとき、吐血をしてしまうなんてことがあるのですね。
吐血症状のほか、血便もみられることもあります。消化器官から出た血液は長い腸を流れて、便と交わります。便は通常の茶色をしているのではなく、黒い色をしています。これは血液が様々な物質と化学変化をしたためです。
喀血にしても吐血にしても、体から血が出るというのは用心が必要です。体の中は目に見えないですから状況を把握しにくく、病気に気づきにくいでしょう。体調不良が続くようでしたら、きちんと病院へ行くようにしましょう。
まとめ
口から血を吐いてしまう。これはかなりショッキングな出来事です。どこかにぶつけて皮膚から出血するなんてことはありますが、血を吐き出すってことはそう経験できるものではありません。
ですが、症状がみられたとき、体はそれほどダメージを受けていることがわかります。また、血を吐くだけではなく、それ以外にも症状が出ているはずで、生活しているなかでかなりの無理があるかもしれません。
喀血症状を重く受け止め、早く病院へ行く。命に関わる重篤な病気を抱えている可能性も否定できないでしょう。サインを受け止め、きちんと治療するようにしてください。