寝る子は育つって本当?科学的な根拠と睡眠不足による弊害

ことわざで「寝る子は育つ」と言いますが、これはただの迷信ではなく、科学的観点からも正当性があるようです。というのも、子供の成長に必要な成長ホルモンは、夜寝ている間に多く分泌されることが知られているからです。

一方で、最近では日本の子供の睡眠時間が、世界的に見ても短いという気になるデータもあります。睡眠不足は、子供の成長に影響を与えるだけなく、肥満・生活習慣病やうつ病の発症率を高めたり、学力低下にも繋がる可能性が指摘されています。

ここでは、睡眠が子供の成長を促す科学的な根拠、必要な睡眠時間、そして睡眠時間が足りない場合に起こりうる様々な影響についてご紹介したいと思います。

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「寝る子は育つ」の科学的な根拠

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寝る子は育つと言われている科学的な根拠を紹介します。

成長ホルモン

成長ホルモンは分泌されることで、器官の組織へ成長を促す作用があります。例えば、骨の骨端線(こったんせん)に分泌されると、骨の成長を促進します。また、骨だけではなく、バストのラクトゲン受容体に働きかけ、バストの成長に関わることも知られています。

成長ホルモンには、組織の成長を促すだけではなく、脂肪細胞が燃焼しやすくする働きなど、代謝を促進する働きもあります。また、細胞の結合を強くしたり、筋肉などの細胞の修復を促進したり、免疫力を高めたりする働きがあります。

これらの理由からも、子供達が健全に成長するためには、成長ホルモンが十分に分泌されなければいけないことが分かります。成長ホルモンは、寝入ってから3時間以内の深い睡眠(ノンレム睡眠)の時に、大量の成長ホルモンが分泌されます。

睡眠に関わるホルモン

沢山の成長ホルモンが分泌されるようにするには、深い眠りが必要となります。メラトニンは睡眠ホルモンとして知られ、また、セロトニンやコルチゾールも睡眠に深く関わりがあります。

メラトニン

メラトニンは睡眠を安定させるホルモンで、分泌されると体温・血圧・脈拍などが下がります。そのため、脳が眠る準備が出来たと認識し、自然と眠りに入っていけるのです。
メラトニンは日中はほとんど分泌されず、夕方から夜間にかけて多く分泌されます。夜、就寝する時間に合わせ、体が分泌する量をコントロールし、適切な時間に眠りにつけるようになっているのです。

セロトニン

セロトニンは、睡眠、摂食抑制、体温調節などに影響を与えます。ドーパミンやノルアドレナリンなど、興奮や高揚感を引き起こす脳内物質が過剰に分泌されるのを抑制し、自律神経の働きを整え、精神的なバランスを保つ作用があります。

メラトニンの分泌量はセロトニンの量に比例します。セロトニンが日中に多く分泌されると、夜、セロトニンが、メラトニンの分泌を促すため、眠りにつきやすくなります。逆に、セロトニンが不足すると、メラトニンの分泌量も少なくなり、眠りにつきにくくなります。

また、セロトニンが睡眠不足などの理由で分泌が減ってしまうと、疲れやすくイライラしがちになり、また不安が増したりすることがあります。セロトニンは規則正しい生活、適度な運動、朝日を浴びることで分泌量が増加します。

コルチゾール

生命活動を維持するために必要なホルモンで、糖・タンパク質・脂質・電解質・骨の代謝、免疫機構に関与します。また、ストレスに敏感に反応し、ストレスを多く受けると分泌量が増えます。

また、コルチゾールは起床準備の役割を持っています。コルチゾールの分泌は、起床する3時間前から分泌が増え、そして起床時に最も分泌が増えます。毎朝、起きる時間を一定にし、コルチゾールの分泌のが最高値に達する時間帯に起床すると、すっきりと起きられるようになります。

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年齢別の必要な睡眠時間

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それでは、実際にどれぐらい睡眠時間が必要なのでしょうか?もちろん、睡眠時間は健康状態や環境・年齢など、多くの要因によって異なります。ここでは年齢ごとで推奨される睡眠時間を記載します:

  • 0-3ヶ月(新生児):14-17時間
  • 4-11ヶ月(乳児):12-15時間
  • 1-2歳(幼児):11-14時間
  • 3-5歳(未就学児):10-13時間
  • 6-13歳(児童):9-11時間
  • 14-17歳(ティーンエージャー):8-10時間
  • 18-25歳(若年成人):7-9時間
  • 26-64歳(成人):7-9時間
  • 65歳以上(高齢者):7-8時間

新生児・乳児は1日の半分以上の睡眠時間を必要とし、正に「寝ることが仕事」のようです。また、18歳以下は慨して、18歳以上の成人よりも長い睡眠時間が必要で、特に年齢が低くなればなるほど、長い睡眠時間を必要とすることがわかります。

日本の小学生の睡眠時間を調査したデータによると、睡眠時間が8時間よりも少ない子供は31%、10時間を越えている子供は4%ということです。世界的には、半分以上の子供が9時間以上寝ており、イギリスやフランスの子供の約半分が10時間以上の睡眠をとっています。このことからも、日本の子供の睡眠時間が世界水準よりも少ないことが分かります。

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睡眠不足で起こる弊害

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前項では、日本の子供の睡眠時間が世界的にも少ないことに触れました。十分な睡眠時間を確保出来ていない場合、子供の成長に影響することは容易に想像出来るかと思います。では、子供の成長以外に、睡眠不足はどのような影響を与えるのでしょうか?

肥満や生活習慣病

成長ホルモンには脂肪を分解する作用があるため、よく眠らないことで体に脂肪が蓄積されてしまう可能性があります。また睡眠が不足すると、自律神経の1つの交感神経が優位になり、血糖値が上がり、肥満に繋がる可能性があります。

また、睡眠時間が短すぎると、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が悪くなります。その結果、インスリン抵抗性が引き起こされ、糖尿病の危険が高まる可能性があります。また、インスリン抵抗性は、高血圧や動脈硬化の進行とも関わりがあるとも報告されています。

最近では、子供にも生活習慣病の症状が出ており、その数も増えてきているようです。文字通り、生活習慣病は日頃の「生活習慣」が大きく影響する病気です。そのことからも、子供の頃から規則正しい生活を、出来るだけ心掛ける必要があります。

免疫力の低下

自分の体を、病気やウイルスなどから守る機能を免疫機能とよびます。そして、その働きをする白血球は顆粒球とリンパ球に分けられ、顆粒球は主に細菌を、リンパ球は主にウィルスを攻撃します。

免疫は自律神経と深い関係があるため、自律神経のバランスと働きを健全にし、白血球を適切な量に保つ必要があります。自律神経のバランスと働きは、睡眠と深く関わっているため、睡眠不足は免疫機能にも悪い影響を与えます。

知能の発達の遅れ

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は身体は深く眠っているのに、脳が活発に動いている状態のことで、急速眼球運動(REM(レム): Rapid Eye Movement)を伴います。ノンレム睡眠では、筋肉は活動していますが脳は眠っています。

大脳が出来てから、まず最初に現れるのがレム睡眠です。胎児や乳幼児の時期のレム催眠は動睡眠とよばれ、盛んに胎児は動きます。レム睡眠は、大脳の機能を発達させ、大きく成熟させる役割があります。大脳は成熟するまで十数年が掛かり、脳内の神経回路は乳幼児期にも継続してつくられます。

保育園児を対象とした、睡眠の規則性と脳機能の発達についての調査結果によると、睡眠リズムが乱れている5歳児の44%が、三角形を正しく認知できず描けなかったということです。また、成績上位の子供は9時間以上眠っていることが多く、成績下位の子供の睡眠時間は7時間以下との報告もあります。子供の睡眠不足が、知能の発達に大きく影響する可能性は否定出来ないでしょう。

学習能力、集中力、やる気の低下

睡眠が不足すると、脳に疲労物質が蓄積することから、脳の機能が低下することが分かっています。また、寝不足の状態が続くと、1日ぐらい眠っただけでは、脳の機能が完全には回復しないとも言われています。

脳の一部である、大脳皮質の内側にある大脳辺縁系には、海馬という記憶や学習能力に関わる器官があります。一説によると、海馬は睡眠により大きくなり、また、海馬が大きいほど学習能力が高くなるとも言われています。

大脳皮質の一部である前頭前野は、脳の活動を調節する重要な役割を持っており、記憶や学習と深く関わりがあります。特に、初めて体験する作業などは、海馬の活動が必要になります。

睡眠不足は前頭前野の機能を低下させます。それにより、集中力がなくなる、やる気がなくなる、イライラする、人の気持ちを察する能力が低下するなどの弊害が出てきます。

情緒不安定、多動性・落ち着きがない

子供の就寝時間と素行の関係性を調べるために行われた、イギリスにの調査結果があります。その調査では、2001年~2002年に生まれた1万人以上の子ども達を7年間に渡り追跡調査したもので、その規模の大きさから信憑性が高いと言えるでしょう。

この調査では、子供が、3歳・5歳・7歳の時に、母親に「平日の夜の就寝時間は規則的かどうか」と「何時に就寝しているか」を質問しました。そして、子供が7歳の時には、母親と担任教師に、「普段の素行・行動」、「交友関係」、「感情面」、「落ち着きのなさや多動性」について評価を行ってもらったそうです。

その結果、7歳の時点で決まった時間に寝ていなかった子供は、同じ時間に寝ている子供達と比べて、落ち着きがなく多動性で、情緒不安定で、また友達との関係があまり良くないということでした。また、就寝時間が遅くなればなるほど、子供の素行レベルが悪くなるという傾向もみられました。一方で、その子供達も就寝時間を規則的にすることで、行動面がかなり改善されたということです。

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まとめ

たかが睡眠と思われがちですが、子供が成長するために必要な成長ホルモンが睡眠中に十分に分泌されなければ、子供の成長は著しく阻害される可能性があります。成長ホルモンだけでなく、睡眠の質や成長に関わる役割を持つホルモンもまた、睡眠と深い関係があることがお分かりいただけたと思います。

世界的にみても、日本の子供は睡眠時間が少なく、睡眠不足による免疫力や学習能力の低下、肥満や生活習慣病を発症する危険性、多動性や情緒の不安定さなどが心配されます。現代のように忙しい日常の中でも、子供が心身ともに健全に成長出来るように工夫をし、子供達が質の良い睡眠がとれるようにしてあげましょう。

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