たかが寝不足と思いがちですが、寝不足は思わぬ症状を引き起こします。場合に依っては「また寝れば治るでしょ」とも言っていられない慢性的な状態になってしまう可能性もあります。
寝不足の症状を知って、早めにしっかり対策しましょう。
睡眠の重要性
人が生きて行く上で、睡眠を取らないというのは不可能です。たまに、ものすごい短時間の睡眠で大丈夫?という方もいますが、やはりある程度の時間は寝ていたいものです。
睡眠には、脳と体を休める役割があります。脳がしっかり休む事でストレスを解消する事ができ、体を休める事で病気の予防や成長、老化防止に役立っています。また、人の脳は眠っている間に様々な事を整理し、記憶として留める働きをします。
そのため、記憶の定着やその日学習した事を効率化するには眠る事が重要なのです。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。
- レム睡眠:浅い眠り。体だけが眠っていて脳が起きている状態
- ノンレム睡眠:深い眠り。脳が眠っている状態
人が眠りにつくとまずノンレム睡眠が起こり、浅い眠りであるレム睡眠は就寝後3時間程後から訪れます。そこからは、浅い眠りと深い眠りを周期的に繰り返す事になります。
睡眠周期は人によって異なりますが、大体90分周期(70〜110分の間)ぐらいで繰り返しているので、レム睡眠中に目覚ましを掛けておけばスッキリ起きる事ができる仕組みになっています。
寝不足が引き起こす症状
脳が疲れて起こる症状
脳の回復が間にあわないと、記憶力、思考力、集中力が低下します。寝不足によって脳が活動できなくなって力を発揮出来なかったり、ケアレスミスの増加によりいろいろな危険性が生じます。
また脳の血管が、ストレスで拡張したままになってしまうと頭痛が起こります。
精神的に疲れて起こる症状
「嫌な事は寝て忘れろ」というように、私達は睡眠によって精神的にも回復しています。そのため、睡眠不足は精神的なダメージの回復も遅らせてしまうのです。
寝不足傾向にある方の場合、ストレスを感じやすくなり、特に午後は怒りっぽくなります。かと思えば突然不安になったりという症状が出るようになり、これらが蓄積する事でうつ病のリスクが高まります。
また、ホルモンバランスの乱れによって食欲を司る部分のバランスが崩れ、食べても食べてもお腹が空く、食欲が治まらないといった症状が出ます。これは肥満に直結し、将来的には身体的な問題にもつながります。
身体的な症状
身体的な回復が遅れて起こる症状として、最も有名なのは肌荒れです。
睡眠中に傷ついた細胞の修復や新陳代謝が起こっているため、肌質が荒れてしまうという、女性にとって恐ろしいデメリットがあるのです。
また、身体の機能がしっかりと働かなくなってくる事による吐き気が起こったり、免疫力の低下によって風邪を引きやすくなるといった問題点もあります。免疫力の低下は、全ての病気に対してリスクになるので注意が必要です。
その他
上記以外にも全体的に疲れているので、寝足りなさや疲れが取れない、急な眠気に襲われるといった症状が出ます。心身ともに疲れて来るとめまいが起こる場合もあり、車の運転や機械の操作をする方は生命の危機も起こりえます。
また、長期間睡眠不足が続き睡眠不足症候群になっている可能性もあります。寝不足ではないのに日中眠くなってしまうというような場合、睡眠障害を疑ってみるのがよいかもしれません。睡眠不足症候群に掛かっているせいかもしれません。
もともとお昼に眠くなってしまうのは、人間のリズムによるものです。14時くらいに一旦眠くなってしまうのは仕方が無い事ですが、我慢出来ない程の眠気が毎日続くという場合は睡眠不足症候群の可能性があります。
質の高い睡眠を取れていますか?
とはいえ、そんなに睡眠時間を取れないという場合は、睡眠の質を高める事が大切です。どんなに長時間寝ていても疲れが取れないという場合も、質が悪い可能性があります。
どれくらいの睡眠が必要か
人によって必要な睡眠時間は異なります。
脳が受けるストレスなどが大きい人は、その修復に時間が掛かるため長時間の睡眠が必要ですが、あまりストレスを受けない方は短い睡眠時間で回復できています。これは持って生まれた性格に依る所も多いのでどちらが良い、悪いという事はありません。
今自分の睡眠時間が足りているのかどうかわからないという場合は、睡眠手帳を付ける事をお勧めします。平日と休日の睡眠時間に2時間以上の差がある場合、平日の睡眠時間が不足している傾向があると言えます。
質の高い睡眠
睡眠は生理的なもので、本来であれば私達の身体は日の出・日の入とリンクしているはずです。動物は暗くなると代謝が落ち、睡眠ホルモンの分泌が増えて眠くなります。そしてまた明るくなると睡眠ホルモンが減って目が覚める、というのが理想的な状態です。
しかし現代では夜遅くまでライトの光を浴びており、このリズムが狂ってしまうために睡眠の質が下がってしまうのです。詳しくは、眠りが浅い人へ!快眠できない原因と快眠する方法についての記事を参考にしてみてください。
質の高い睡眠を作る生活習慣
では、質の高い睡眠を得るためにはどうすれば良いのか紹介します。
食事に関するポイント
・コーヒーの飲み過ぎには昼過ぎくらいから注意が必要
カフェインは眠れなくなるだけではなく、睡眠の深さに影響を与えています。コーヒー2杯分程度のカフェインを摂取すると、睡眠中の覚醒が多くなるというデータがあり、寝る前のカフェイン摂取は控えるべきであると言えるでしょう。
カフェインの覚醒効果が持続する時間に個人差はありますが、8~14時間程度と意外と長いのでお昼の一杯の後は少し気をつけた方が良さそうです。中途覚醒については、中途覚醒が起きる5つの原因と5つの対策方法についての記事を読んでみてください。
・夜にコンビニに寄らない
帰り道に煌々と輝くコンビニの明かりは、ついつい引き寄せられてしまうものです。
しかし、コンビニの明かりは非常に明るく(1500ルクスとも言われます。一般的なリビングの明るさがせいぜい500ルクス程度である事を考えると非常に明るい空間です。)、これを浴びる事でm睡眠ホルモンの分泌が妨げられてしまいます。
・深夜の食事はNG!
食べてすぐに寝ると太りやすくなりそうなイメージがありますが、それよりも怖いのが寝たつもりなのに眠れていないという状況です。胃腸が活発に動いている間は、体温が下がりきらず眠りが浅くなってしまいます。
消化にかかる時間はだいたい2時間くらいなので、就寝時間から逆算して2時間前には食事を終わらせておきましょう。
・寝る前の一杯も控えましょう
寝る前に一杯飲むとぐっすり眠れるという方がいらっしゃいます。
ストレスをやわらげる点から眠りに入るのを手助けする効果があるのは確かなのですが、アルコールの分解が起こると交感神経が有意になり眠りが浅くなります。
寝付きは良いけれど質はあまり良くないというケースが起こりやすいので、睡眠3時間前には飲み終えておくほうがよいでしょう。
生活習慣について
交感神経を刺激する行動や、体温が下がらなくなる行動は就寝時間の直前に行うべきでは無い事です。そのため、激しい運動やものすごく熱いお風呂に入るといった体温を上昇しすぎる行動も、寝る直前には好ましくありません。
運動そのものは睡眠にいい影響を与えているので積極的に行うべきですが、大体就寝3~4時間前までにするのがおすすめです。お風呂も同様に、交感神経を活発にするので就寝3時間前までがよいタイミングといえます。
精神的な問題として、横になってからいろいろな考え事をしてしまうというのも交感神経を刺激してしまいます。考え毎の間に怒りが湧いて来る、といった場合、脳の一部を刺激してしまい、眠りに入りづらくなります。
まとめ
睡眠不足は脳や身体への影響が大きく、脳への影響が回り回って身体の不調につながるなどの問題も多くあります。
また、集中力や記憶力への悪い影響は著しく、たかが睡眠不足と侮っていると重大な事故や病気につながりかねません。しっかりと睡眠を取るようにして脳と身体を回復させるよう努めましょう。
忙しい生活の中ではなかなか難しい事もありますが、お風呂や食事は寝る3時間前くらいまでに済ませてのんびりリラックスするのがポイントです。
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