ゴーシェ病とは?症状・原因・種類について紹介!似ている病気を知っておこう!

皆さんゴーシェ病という病気を知っていますか?世界中で約5000人、日本の患者数は約150名と非常に稀な病気の為、難病指定されています。遺伝により発症する病気の1つで、肝臓・膵臓の肥大や貧血、骨がもろくなることが主な症状です。

現在では、根本的な治療法ではないですが、治療方法が確立されており、定期的に治療を受ければ、病気の進行を食い止めたり、生活の質を保つことが出来るようになりました。

ここでは、ゴーシェ病の概要や似ている病気、症状、原因、検査方法、治療方法について詳しくご紹介します。

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ゴーシェ病について

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ゴーシェ病の概要、ゴーシェ病のタイプ、原因についてについて詳しくご紹介します。

ゴーシェ病とは?

ゴーシェ病は、1882年にフランスの医師フィリップ・ゴーシェにより発見された為、彼の名前を取ってゴーシェ病と呼ばれています。ゴーシェ病は先天性代謝異常症、ライソゾーム病の糖質代謝異常症(リピドーシス)に属し、遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。遺伝的要因により、生まれつきグルコセレブロシターゼが酵素欠損、活性欠損、活性低下していることにより、様々な症状を引き起こす病気です。

体内にあるグルコセレブロシターゼと呼ばれる酵素は、グルコセレブロシドと呼ばれる糖脂質をセラミドを分解する働きがあります。このグルコセレブロシターゼの異常や機能低下により、グルコセレブロシドが肝臓や脾臓、骨髄などに溜まり、肝脾腫や骨症状が現れます。グルコセレブロシドが貯蓄された細胞のことを、ゴーシェ細胞(Gaucher細胞)と呼びます。また、グルコセレブロシドに似た物質に神経毒性のあるグルコシルスフィンゴシンと呼ばれる物質があります。この物質は脳細胞に溜まり、神経障害を引き起こします。グルコシルスフィンゴシンが関与する原因は明確には分かっていません。

世界中で確認されている患者の数は約5千人といわれ、民俗によって発症の頻度に大きく差が出ています。日本では、6万人に1人の割合なのに対して、アシュケナージュ系ユダヤ人の中では1000人に1人、非ユダヤ人は10万人に1の割合だと言われ、ユダヤ系の人種に多く見られる病気です。この病気は、厚生労働省が実施している難病制疾患克服研究事業の臨床研究分野に指定された特定疾患で、医療費の自己負担の軽減が受けられます。

ライソゾーム病の糖質代謝異常症(リピドーシス)とは?

ライソゾーム病は、糖脂質代謝異常症(リピドーシス)、ムコ多糖代謝異常症(ムコ多糖症)、 糖蛋白代謝異常症、ムコリピドーシス、糖原病II型、 酸性リパーゼ欠損症、ライソゾーム膜蛋白異常症に分けられます。ゴーシェ病はライソゾーム病の糖質代謝異常症に属しています。細胞は様々な物質を合成したり、成分を分解して再利用する役割があります。成分を分解して再利用するのは、リソソームという細胞内にある小器官で行われています。

リソソームで物質の分解が出来なくなると、物質が蓄積されて細胞が障害を受けます。細胞膜に多く含まれるスフィンゴ脂質の分解に障害がおき、物質が蓄積される病気を糖質代謝異常症(リピドーシス)と呼びます。これに属している病気は、ニーマンピック病、テイ・ザックス病、そして今回の題材であるゴーシェ病があります。

神経細胞に蓄積されると、脳の障害が引き起こされ、肝臓や脾臓に蓄積されると、肥大し臓器障害が起こり、肺に蓄積されると、呼吸機能に影響を及ぼします。これらの病気の主な症状として、精神運動発達遅延や視力障害、知能障害、肝脾腫、多発性骨異常などが見られます。

グルコセレブロシドとは?

グルコセレブロシドとは、糖脂質の1種でグルコシルセラミドとも呼ばれています。グルコセレブロシドは、セラミドとグルコースというブドウ糖が合わさって出来たものです。グルコセレブロシドは、グルコセレブロシターゼにより、グルコースをセラミドから切り離し分解されます。

ゴーシェ病のタイプ

ゴーシェ病は大きく分けて3つの種類に分けることが出来ます。

Ⅰ型(成人型・非神経型)

神経変性が見られずに、知能や発育が正常なタイプです。発症時期は様々で、幼児から成人後まで幅広い年代で発症します。症候性患者の多くは思春期までに発症します。主な症状は、肝臓大や脾臓大、貧血、血小板の減少、骨痛です。

患者によっては、肺機能障害を起こす場合もあります。症状の進行は緩やかで、症状の程度は人によって異なります。このタイプの患者は、日本で60名ほどいます。

Ⅱ型(乳児型・急性神経型)

乳児期(生後3ヶ月~5ヶ月)に発症し、広い範囲で臓器障害を伴う神経症状が急激に進行します。乳児期に咽頭痙攣からはじまり、筋緊張低下、眼球運動障害、肝臓・脾臓の肥大と斜視、開口困難、痙攣などの神経症状が見られます。

このタイプの場合は、発症後数年で呼吸障害に陥り、死に至る場合がほとんどです。このタイプの患者は、日本で40名ほどいます。

Ⅲ型(若年型・亜急性神経型)

Ⅱ型同様、乳幼児期に発症して、神経症状が現れます。進行性のゴーシェ病ですが、Ⅱ型と比較すると症状の進行が緩やかです。肝臓・脾臓の肥大と斜視、開口困難、痙攣、知能障害、視力障害、精神症状、心障害などが見られます。

Ⅲ型の場合は、更にⅢ型a、b、cと3つに分けられます。このタイプは、日本で50名ほどの患者数がいます。このタイプが発症した場合は、多くの方の寿命は20歳代~30歳代だと言われています。

・Ⅲa型

肝脾腫、若年発症の神経症状である、小脳失調、ミオクローヌス、痙攣、斜視が見られます。

・Ⅲb型

核上性水平注視麻痺が神経症状として現れ、重篤な臓器障害が現れます。

・Ⅲc型

水頭症、角膜混濁、心弁膜石灰化などの臨床症状や合併症が見られます。

ゴーシェ病の原因について

ゴーシェ病は、1番染色体q21-q31の遺伝子変異により、この遺伝子上に存在するライソゾーム酵素(グルコセレブロシターゼ酵素)の活性欠損が起こることが原因です。この遺伝子は常染色体劣勢遺伝子の形式で伝わります。

人の細胞には2本ずつ対になった23対(46本)の染色体が存在しています。グルコセレブロシターゼ遺伝子は常染色体の中にあり、この常染色体も2本ずつ対になっています。この2本ともに異常があるとゴーシェ病の症状が現れます。1本のみに異常が現れた場合は、正常な方が役割を果たす為、症状が現れません。

片方のみ異常の遺伝子を持ち症状が見られない方を、保因者(キャリア)といいます。

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ゴーシェ病と間違えられやすい病気について

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白血病や骨髄炎などと症状が似ているため、間違えられやすいです。

白血病

白血病とは血液の悪性腫瘍のことです。骨髄と呼ばれる部分で赤血球、血小板、白血球など血液細胞が作られます。この作られる過程で白血球細胞が、癌化したものを白血病と呼びます。白血球は病気から体を守るためのウイルスと戦う役割があり、赤血球は体の隅々に酸素や栄養素を運び、血小板は出血を止める役割を担っています。

白血球が、がん化すると、骨髄内で増殖を繰り返し骨髄内を占領し、正常な血液細胞が少なくなります。これにより、健康な体を維持できなくなります。主な症状として、貧血や免疫力の低下、出血しても止まりにくい、脾臓の肥大が見られます。また、免疫力が低下することで、様々な病気にかかりやすくなります。

詳しくは、白血病の初期症状を紹介!あざやかゆみなどに要注意!を読んでおきましょう。

骨髄炎

骨髄炎とは、骨髄と呼ばれる部分に細菌やカビなどの菌が入りこんで細菌感染し、炎症が起こる病気です。発症すると、発熱、骨の痛み、患部の腫れを伴います。乳幼児に発症した場合は、手足ですら動かすことが難しい状態になります。

骨髄は骨の内部にある空洞部分の組織を指します。この空洞の部分は骨髄液で満たされており、酸素や栄養素を取り込み、血液の成分である赤血球や白血球、血小板などを作っています。骨髄炎が起こる原因は様々あり、風邪や膀胱炎など体内の別の部分で感染したウイルスが血液を通じて骨髄に移動したり、骨折や手術などを通じて直接細菌が骨髄に入ることなどが挙げられます。

昔は骨髄炎にかかると死亡すると言われるほどの大きな病気の1つでしたが、抗生物質の発達により、死亡する例は少なくなっています。

詳しくは、骨髄炎とは?症状・原因・治療法を知ろう!背骨から発症したときは要注意?を参考にしてください!

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ゴーシェ病の症状について

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ゴーシェ病は、血液異常、臓器腫大、骨異常の3つの症状が特徴的な症状です。ここでは、ゴーシェ病の症状についてご紹介します。

肝臓や脾臓の肥大

グルコセレブロシドと呼ばれる糖脂質が肝臓や脾臓にたまり、臓器の腫れが見られるようになります。

肝臓や脾臓が腫れると外から見ても分かるほどに、お腹が膨れてきます。

造血能低下

グルコセレブロシドと呼ばれる糖脂質が骨髄に溜まることで、造血能低下が引き起こります。また、脾臓が肥大することで、赤血球や白血球、血小板などが破壊され血液成分の減少が見られるようになります。

このような、血流障害が起こると、貧血がおこったり、出血した時に血が止まりにくくなります。

骨異常

血液障害が起こると、骨がもろく、骨に痛みを感じたり、骨折しやすくなったり、骨変形などの骨症状が現れて歩行に影響が出たり、成長の遅れに繋がります。

特に、体の体重がかかりやすい股関節に影響を受けやすく、大髄骨頭壊死症などを引き起こします。

神経症状

ゴーシェ病のⅡとⅢのタイプの場合は、神経症状が見られます。セレブロシドに似た物質のグルコシルスフィンゴシンが脳細胞に溜まると、神経症状が現れます。

神経症状では、自分の意志とは関係なく小刻みに震える痙攣が起こったり、左や右斜めを見ている状態の斜視、口が開きにくい開口困難などを引き起こします。また、神経障害に伴い栄養障害や呼吸障害なども引き起こす場合があります。

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ゴーシェ病の診断方法

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ゴーシェ病を発症しても、自覚症状がない場合や症状が多様にある為、症状から病状を推測するのは、非常に困難です。

触診で肝脾腫などが見られ、血液検査での血小板の減少、神経症状からゴーシェ病が疑われた場合、酵素活性・蓄積物質の測定や遺伝子解析を通じて確定診断を行います。

家族歴の確認

ゴーシェ病は遺伝子の変異が原因です。常染色体劣勢遺伝の形式で伝わるので、家族にゴーシェ病に掛かっている方がいないか確認します。

家族のグルコセレブロシターゼ酵素欠損症状を確認することで、診断の手がかりになる場合があります。

血液検査

血液検査は、血液を採取して血液の成分に異常が現れていないか確認する検査方法です。血液検査で血小板の減少が見られた場合、ゴーシェ病が疑われます。

酵素活性・蓄積物質の測定

皮膚の一部を採取して、培養した細胞を培養皮膚線維芽細胞と呼びます。この培養皮膚線維芽細胞やリンパ球を用いて、グルコセレブロシダーゼ酵素の働き(酵素活性)がどの程度行われているか確認します。

この酵素活性が低いと確認された場合は、ゴーシェ病の診断が確定診断されます。また、肝臓や脾臓の組織の一部を採取してグルコセレブロシドの蓄積が見られた場合も、ゴーシェ病と確定判断されます。

遺伝子診断

ゴーシェ病の場合、血液や骨髄を使用して遺伝子解析することで、ゴーシェ病特有の遺伝子変異を確認することが出来ます。

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ゴーシェ病の治療方法

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ゴーシェ病は治療方法が確立している病気です。放置すると進行していく病気なので早期発見、早期治療が生活の質を保つのにとても重要です。

また、ゴーシェ病の全ての型に保険を適用や支援制度を受けて治療を受けることが出来ます。

酵素補充療法(ERT)

ゴーシェ病の治療で行われる方法として一般的な治療は、酵素補充療法です。ゴーシェ病はグルコセレブロシターゼの酵素が少ないことが原因で様々な症状を引き起こします。酵素補充療法は、グルコセレブロシターゼの酵素を点滴により補充する方法です。

セレザイムと呼ばれる製剤を点滴投与することで、不足していた酵素が補い、溜まっていたグルコセレブロシドの分解が行われ、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨痛・骨クリーゼなどの骨症状を緩和させることが可能です。しかし、神経症状に関する効果はあまり見られないと言われています。セレザイムの分子量が大きく血液脳関門を通過できない事が原因で、神経症状に効果がないのではないかと考えられています。治療方法は2週間に1度の点滴治療を行います。1回の投与は約1時間~2時間程度です。

以前は、セレザイムの薬剤の価格が高額で、治療を続けられない方も多くいましたが、2001年より難病指定されてから、現在では医療費助成制度が適用できる為、医療費も安心して治療が受けられます。

骨髄移植(BMT)

骨髄移植は、患者の骨髄液を正常な血液細胞を持つ骨髄液に取り替える治療方法です。この骨髄移植には提供してくれるドナーが必要になります。骨髄移植を行うことで、グルコセレブロシドの分解を可能にし、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨痛・骨クリーゼなどの骨症状を緩和させるだけでなく、神経症状の進行を食い止めや改善が可能です。

骨髄移植は、全身麻酔を行い、患者の骨髄を完全になくした上で、患者の腕の静脈に点滴注射を行い正常な血液細胞をもつ骨髄液を注入します。造血幹細胞が血液成分を作り始めたら、成功したと言えます。骨髄移植をする際には、HLAと呼ばれる型を確認します。白血球の型は数百から数万通りあるので、一致が難しく、兄弟の間でも4分の1の確率でか一致しないと言われています。

型が一致したドナー提供者が見つかった場合、骨髄移植を受けられたとしても、移植片対宿主病(GVHD)と呼ばれる合併症のリスクを伴います。これは、体が拒絶反応を起こし、移植した臓器を異物と見なして攻撃し始める現象です。このようなリスクは致命的な経過を招くこともあり、大変大きなリスクを伴います。その為、ゴーシェ病により骨髄移植を選択される方は少ないです。

基質合成抑制療法(SRT)

基質合成抑制療法は、グルコセレブロシドが生産されるスピードを遅くし、体内に作られる量を減らし、ゴーシェ病の進行を抑制する治療法です。

これにより、肝臓や脾臓、骨髄に蓄積される量を減らすことが出来ます。日本では、サデルガという経口治療薬の商品が2015年5月から使用することが可能になりました。

ケミカルシャペロン療法

ケミカルシャペロンは変異した、たんぱく質に化合物をつけ、変異したたんぱく質を安定したものに変化させる方法です。

神経症状に効果が期待できるとされ、ムコソルバンという商品名のケミカルシャペロン療法の研究が、アンブロキソールの医師主導型臨床治験が行われています。この薬は一般的には、去痰剤として使用される薬で、未だゴーシェ病の薬としては認可されていません。

その他の治療方法

根本治療ではありませんが、血液障害により不足している成分を補助する為に、カルシウム剤や増血剤などの投与が行われる場合があります。

また、骨がもろくなって骨折したり、関節に負担がかかり大髄骨頭壊死症などが見られた場合は、整形外科で手術を受ける必要が出てきます。

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おわりに

ゴーシェ病は難病指定されている病気の1つです。生活の質を保つ治療法は確立されているため、2週間に1度の点滴治療を受ければ、神経症状以外は緩和することが可能です。また、神経障害にも効果が期待できるケミカルシャペロン療法の研究が進んでおり、ゴーシェ病の薬として認可される日も近いかもしれません。

ゴーシェ病のタイプによっては、乳幼児の頃から発症する場合があるので、周りにいるお母さん、お父さんがいち早く異変に気づいてあげることが病状の進行を食い止めるのに、とても重要です。

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これらを読んでおきましょう。

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