年末年始は車での移動が多くなる季節です。車での移動はやっぱり非常に便利ではあるのですが、乗り物酔いをする方にとってはかなりきつい時間になります。
「酔うと思うから酔うんだよ」と言われてもやっぱり弱いものは弱いのでどうしようもないですが、予防方法といざ酔った時の対策法を知っておくことですこし症状が改善されるかもしれません。車酔いを起こす原因と対策についてまとめました。
車酔いとは
車酔いは、乗り物の揺れや身体に加速度が加わることによって三半規管が刺激されて起こる症状で、自律神経の乱れが現れたものを指します。
人間は揺れを内耳と皮膚、筋肉にある感覚器で感じています。揺れが起こると内耳に刺激が加わりますが、強い揺れが連続して起こると内耳に加わった刺激と視界や筋肉の感じる知覚の間にずれが生じてしまい、感覚が混乱します。これを平衡機能障害と言います。
平衡機能障害が自律神経症状に結びついたものを車酔いと呼んでおり、あくびや冷や汗、吐き気など、自律神経によって生じる症状が主なものです。胃腸などの内蔵が揺れることでこのような症状が起こります。
子供の頃に車酔いしていたけれど大人になるにつれて改善されたというようなケースは、三半規管が発達して自律神経の知覚のずれが起こりにくくなるからという理由があるのです。
車酔いが起きる原因
では、車酔いの原因やないやすい人について紹介します。
主な原因
前述の通り様々な知覚のずれによっておきる症状ということで、いろいろな知覚が車酔いの原因になり得ます。
・視覚:身体の感じる揺れと視界の景色が噛み合わず脳が混乱する・強い光により目が刺激を感じるなど
・嗅覚:車内、排気ガスの臭い
・触覚:平衡感覚の麻痺
などが挙げられます。
また精神的な要因として、車酔いの経験が多く酔うかも…と心配している状態にあること、身体的な要因としては睡眠不足や疲れがあることが原因として考えられます。
このずれや混乱によって脳の視床下部が反応し、自律神経が刺激されます。さらに慣れない状況に対してストレスを感じることでストレスホルモンが分泌され、これらの働きにより自律神経が興奮し様々な症状が現れます。
なりやすい人
同じ乗り物に乗っていても全く平気な人もいれば、あっというまに酔ってしまう人もいるのではないでしょうか。平衡感覚が弱いと車酔いになりやすいと思いがちですが、実は車酔いになりやすいかどうかと平衡感覚のみによるものではなく、平衡感覚の乱れが自律神経に影響しやすいかどうかによるという説があります。
また、影響を受けた自律神経が乱れやすいかどうかによっても症状が出やすかったりそうでなかったりが変化しているといわれ、生まれつき平衡感覚が弱いからどうしようもない、とあきらめる必要もないようです。
車に乗る前にできる予防対策
なるべく車酔いにならないようにしたいものですよね。予防方法を紹介します。
生活習慣
三半規管の乱れは乗り物にのっていればどうしても起こりうることですが、これを乗り物酔いのつらい症状につなげないようにするために普段からできることがあります。
車酔いには心理的な要因や元々の体調が関わっているとされているため、この点について対策しておくことで乗り物酔いを予防することができるのです。
また、疲労が溜まった状態だと血圧が下がるため自律神経の働きが低下し、これも三半規管の揺れが体調不良となって現れる原因となります。
睡眠不足や疲労が溜まったままでの乗車は避けましょう。
酔いどめの薬を飲む
酔いどめの薬の多くは、飲んでから30分〜1時間程度経ってから効果を発揮します。そのため、いざ酔ってから飲んでもなかなか効くまでに時間がかかってしまうこともあるので、乗る前に飲んでおきましょう。
酔い止めの薬を飲むことで生まれる安心感も、乗り物酔い防止に効果があります。
服装など
きつい服を着ていると振動などをより身体に伝えてしまいます。窮屈な服はそれだけでも不快感を増してしまうので、できるだけゆったりとした服装を選ぶことが重要です。
香水や制汗スプレーなども香りも車酔いを誘発させることがあるので避けましょう。
車に乗ってから出来ること
車に乗る際に出来る予防方法を紹介します。
乗車時に注意する行動
車に乗っている状態の場合、直接的な原因を解決することが必要です。まずはとにかく揺れにくい席に座ることが酔いづらくなる対策です。また、ヘッドレストに頭を付け姿勢を整えておくと、身体の揺れを小さく抑えることが出来ます。
前述の通り、三半規管が感じている揺れと他の知覚が合わなくなることが乗り物酔いを引き起こす原因であるため、知覚をシャットダウンすることが有効とされています。
例えば、強い光を見ないようにする、細かい文字を読まないようにするといった対策を行うことで視覚とのずれを防ぐことができます。目をつぶるのも効果的です。
また、あまり大きな動きのない遠くの景色を見たり進行方向に向かって座り、揺れを予測して「そろそろカーブが来る」といった意識を持つことも、感覚と実際の動きとのズレを小さくするために役立ちます(ちなみに、運転していると酔わないという説はこのあたりに理由があります。次にどんな動きをするか分かっているのでそれに対応し身体の揺れを抑えています)。
さらに嗅覚も乗り物酔いの原因の一つとなるため、車の臭いを抑えておきましょう。
食べ物や飲み物
すっきりした感じのある柑橘系の飲み物ですが、胃の働きを活発にするので車酔いしやすい方にはあまりおすすめできません。逆に車酔いしやすい方におすすめなのが炭酸水です。胃の調子や自律神経を整えるので、症状の改善が可能です。
食べ物の中でおすすめなものの一つが梅ぼしで、唾液が分泌されることで三半規管のバランスが整い、さらに酸味が胃の不快感を抑えます。また、キャンディ、チョコレート等、血糖値を上げるものを食べることで脳が覚醒し、車酔いを抑えることができます。
既に酔ってしまったという場合は、胃の粘膜を沈静化させる効果のあるショウガを摂るとよいでしょう。
その他
ストレスを感じた時に出るホルモンが車酔いに影響を与えているので、ストレス解消することも予防の一つとなります。
気休めのように思えるかもしれませんが、話をしたり音楽を聞くなどリラックスできることがあれば予防になります。
ただし、小さい文字を読むようなことや香りを広げるなどは乗車中には避けましょう。
酔ってしまったら
もしも車に乗っている最中に、車酔いが発生してしまった時の対処方法を紹介します。
車酔いに効くツボ
どうしても酔ってしまうという場合は、吐き気を抑えて気分を落ち着けるツボを押してみましょう。
手首にある「内関」というツボが乗り物酔いに効くといわれています。手首の付け根から指三本幅分下(身体側)にあるツボです。ここを反対の親指で押します。このツボにあらかじめ米粒を貼っておくという方法もあります。
氷をなめる
氷を舐めるとその冷たさで副交感神経の働きが静まり、車酔いが改善されます。塊の氷を噛み砕かないようにしてなるべく長時間口の中にいれておくと回復します。
まとめ
乗り物に乗っている限り揺れを完全に止めることはむずかしいですが、揺れをすこしでも予測しておくことや、他の感覚を使わないでおくことで揺れと身体の感覚のずれを最小限にすることができます。運転ができる方であれば思い切って自分が運転してしまう方が酔いは防げるでしょう。
また、一番簡単な対策の一つは「あまり気にしすぎないこと」です。車酔いの症状は車を降りればすぐに治ります。どうしても無理だったらちょっと降りればいいや、という程度にのんびり構えていると意外とそんなにひどく酔わないかもしれませんよ。
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