プランマー病とは、甲状腺に腫瘍やしこりが出来ることによって引き起こされる病気です。甲状腺に出来た腫瘍やしこりによって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌し、甲状腺の機能が過剰亢進してしまう病気がプランマー病です。プランマー病になってしまうと、心身共に様々な症状が現れてきてきます。
今回は、このプランマー病についての詳しい説明と症状、原因とその治療法についてご説明していきたいと思います。
プランマー病の概要
プランマー病は甲状腺機能亢進症という病名であり、甲状腺ホルモンの機能が過剰に働いてしまう病気です。甲状腺のホルモンが過剰に働いてしまうと、身体的に疲れやすくなってしまったり、精神的にも不安定になってしまいます。
ホルモンが適度に分泌されている分には、身体的に強くなったり、ウイルスに対する抵抗力を示すようになりますが、なんらかの原因で過剰に甲状腺のホルモンが分泌されてしますと、心身ともに疲労感を感じやすくなってしまったり、様々な症状を誘発することになってしまいます。
以下、プランマー病による様々な症状とその原因・治療法について、ご説明させていただきたいと思います。
プランマー病の主な症例
プランマー病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される時の症例特有の症状が現れます。
具体的には、身体的疲労感・動悸、息切れがしやすい・心臓の鼓動が速かったりバクバクする・高血圧・汗をかきやすい・手が震える・不眠症・たくさん食べてるのに体重が減少している、等々、身体的にはこのような症状が現れることが多いです。
また、精神的には情緒不安定になりやすかったり、イライラしやすくなったりします。
プランマー病による弊害
プランマー病になってしまうと、ご説明した通り、様々な身体的・精神的な症状を引き起こしてしまうので、日常生活に多大に悪影響を及ぼしてきます。
具体的には、暑がりになってしまい大量に汗をかいてしまうので、特に夏場は大変です。また、甲状腺ホルモンの過剰分泌により全身の代謝が良くなり、食欲が異常に増してしまいます。食欲が増すことは良いことだと思う方もいるかもしれませんが、プランマー病では代謝が良くなりすぎて、食べても食べても体重が減少してしまうため、身体的には負担になってしまいます。食べ過ぎは、胃腸やその他の内臓にも負担になるので、食欲があり過ぎることも良いことではありません。
他には、手足が過剰に震えてしまい、文字をまともに書くことが出来なかったり、最悪、歩行困難にもなってしまいます。人間にとって、歩く運動は最も自然で活用することが多い運動の手段なので、そこに弊害が出てくることは、他の多くの日常動作にも弊害をきたしてくることを意味します。
全身の震えがコントロールできなくなる病気でもあるので、なかなか人前に出ようという気持ちが沸かなくなってしまったり、なにか行動を起こすのが億劫になってしまうこともあります。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌すると、排便の回数も増えるので、なにかとトイレに行かなくてはならなくなるのも面倒です。
また、精神的にはイライラしやすくなり、ちょっとしたことで怒ってしまうことが多くなるので、周囲とのコミュニケーションや連携にも支障が表れてきます。被害者意識や不安感が増してきてしまうのも、甲状腺ホルモンの過剰分泌による弊害でもあります。
このように、プランマー病は日常生活に多大な弊害とストレスを生みかねないので、必ず治療していった方が良い病気です。
プランマー病の原因について
プランマー病や甲状腺に腫瘍やしこりが出来る原因については、現代医学でも明確な理由はわかっていません。わかっていることがあるとすれば、それは遺伝性のものである可能性が高く、甲状腺に何らかの異常をきたしやすい家系に生まれた人は、このような病気になりやすいということです。
唇が厚い人、細長い体型の人もなりやすいと言われています。
他にプランマー病にかかりやすいタイプの人がいるとすれば、30代~40代の女性です。プランマー病や甲状腺の病気は女性がかかりやすく、その男女差は、女性の方が5倍~10倍ほど高いと統計で出ています。
プランマー病の予防法
プランマー病の原因は現代医学ではよくわかってはいませんが、日頃の生活習慣次第でいくらでも予防していくことは出来ます。なぜならば、プランマー病の原因の多くは、「ストレス」が関係しているのではないかと考えられているからです。
プランマー病に限らず、甲状腺の病気は少なからずストレスが原因だと考えられています。ストレスは多くの病気の原因になりえます。
一度、病気になってしまったら、それを治療するのは多大な労力を必要とします。まずは、病気を予防することから考えていきましょう。プランマー病を予防するための、ストレスを溜めない生活習慣をご提案します。
抗酸化作用のある食品・食事を取る
プランマー病に限らず、甲状腺亢進の病気(バセドウ病)は、体内に生じる活性酸素が原因の一つだと考えられています。活性酸素が体内に生じる原因は様々ですが、抗酸化作用のある食品や食事を摂取することで、ある程度の活性酸素を除去することが出来ます。
そこで今回は、活性酸素を除去するための食品を、いくつか取り上げてみたいと思います。
「ブルーベリー/りんご/ココア」は、ポリフェノールが豊富に含まれていて、ポリフェノールには抗酸化作用があります。また、ポリフェノールは認知症の予防や美肌効果もあり、睡眠の質も高めてくれます。
「豆腐/緑茶/玉ねぎ」は、フラボノイドというポリフェノールの一種が含まれていて、この成分にも抗酸化作用があります。他には、「バナナ/プルーン/ココナッツオイル/アボカド/納豆/卵の黄身/キャベツ/アーモンド/ニンニク/わかめ」などが、抗酸化力が高い食品です。
食品添加物は、極力摂らないようにする
体内の活性酸素を生み出す原因として、食品添加物の過剰摂取が一つの原因として挙げられます。一般のスーパーで売られている食品の多くは、添加物を使用していることがほとんどですが、それ故に、どんな食品を購入して、どんな食品は避けるべきなのか、ということを、慎重になって取捨選択していかなければなりません。
食品添加物を摂取し過ぎると、それは、直接的に多くの病気を引き起こす原因になりえます。ここでは、プランマー病の予防にもなりえる、あまり摂取しない方が良い食品添加物を紹介していきたいと思います。
「食パン/バター/ジャム/ハム/食用油脂/ソース/ジュース/加工食品/味噌/豆腐/沢庵」等は、摂食を控えた方が良い食品です。なぜならば、これらの食品には、酸化防止剤・着色料・保存料がたくさん含まれているからです。
これらの食品を摂り過ぎると、体内で活性酸素が生じやすく、体調が悪くなったり、ストレスに弱くなったりしてしまいます。結果的に、様々な病気を誘発する原因になり、それはプランマー病も例外ではありません。
お菓子類では、「ビスケット/チョコレート/カステラ/アイスクリーム」も、乳化剤・着色料などが多く含まれている食品です。
現代で生きている限り、これらの食品の摂取は避けられないかもしれませんが、なるべく食べなくても済むように心がけていくと、健康な身体を維持するためには良いでしょう。
紫外線をなるべく浴びないようにする
強い紫外線を浴びると、活性酸素が生まれて病気やストレスの原因になりえます。適度に日光を浴びることは身体にも良いことですが、あまりに強すぎる日差しには紫外線が多く含まれていて、それを浴びすぎると身体に良くないです。
紫外線防止のケア用品を使ったり、なるべく夏前の紫外線が強い時期には長時間の外出は控えるという工夫が、健康な身体を維持するためには必要な工夫です。
激しい運動を控える
激しい運動をすると、体内の活性酸素は一気に増えます。スポーツ選手は意外と短命な方が多いですが、それは、若い頃に激しい運動をし過ぎて体内の活性酸素を増やしてしまったから、という説もあるくらいです。特に、マラソンなどの長距離ランや、ウエイトトレーニング、サッカーやラグビーなどの大きな動きで動き続ける運動は、活性酸素を増やし健康の面では危険です。
健康に長生きしたいという方は、あまり激しい運動はしない方が得策かもしれません。
アルコールの摂取を控える
適度なアルコールの摂取は身体にも良いと言われていますが、飲み過ぎは身体にとって悪です。アルコールも、適量を摂る分には活性酸素を除去する効能がありますが、飲み過ぎると逆効果です。
タバコはやめた方が良い
喫煙は、活性酸素を増やし、身体をボロボロにしていくものです。タバコは、タールやニトロソアミンと呼ばれる有害物質を含んでおり、これらは発ガン性の成分であったり、当然、活性酸素も増やしていきます。
他にも、喫煙は健康の面では百害あって一利なしなので、なるべく吸わない方が身のためだと言えます。
睡眠時間をしっかりと確保する
人間は、寝ている間に身体を治癒します。つまり、病気を治していきたいのであれば、安静にしてたくさん寝ることが必要不可欠です。
身体的・精神的に疲れているのに、無理して動き続けたら、必ず病気になります。
ストレスを除去するために必要な最低睡眠時間は、最低6時間です。そして、その6時間はしっかりと暗く、余計な環境音のない場所で取ることが理想的です。可能であれば、7時間半くらい寝るもの健康には良いですが、9時間以上寝る人は、反って寿命が短い傾向にあるという研究結果もあります。
病気にならない理想的な睡眠時間は、6時間~7時間半でしょう。
人間関係や環境を変えてみる
結局、人間が一番ストレスをもらってくるのは、食べ物以上に、同じ人間からという側面もあります。
他の人間と関わっている以上、他人からストレスを受けることを回避することは不可能です。特に、仲の良いもの同士が集まっている集団であればそのようなストレスは少ないですが、恵まれた環境ばかりではありません。自分には合わないとか、どうしても多大なストレスを感じてしまう人間関係ばかりなのであれば、思い切って環境を変えることも、病気を予防するための一つの方法と言えそうです。
以上、ストレスを溜めないで病気を予防するための習慣を、8つに分けてご紹介しました。
これはプランマー病に限らず、様々な病気を予防するための習慣になりえるので、ぜひ、多くの方々に参考にしていただければと思います。
プランマー病の治療法
プランマー病の治療方法についてですが、主に3つあります。
- 一つは、抗甲状腺薬による薬物療法。
- 一つは、アイソトープ治療(放射性ヨードの内服)
- 一つは、手術療法
以上が挙げられます。
治療方法については、それぞれに一長一短あるので、一つずつご説明していきます。
抗甲状腺薬による薬物療法
抗甲状腺薬というのは、その名の通り、甲状腺から分泌されるホルモンを抑制する薬です。これを内服することによって、甲状腺のホルモンの過剰分泌を抑え、正常な状態に戻すという働きがあります。
通常であれば、適切な量を適切なタイミングで服用していただければ、大体一か月から三か月程度で正常な人と変わらない所まで回復します。そうなると、プランマー病の症状も緩和され、ほとんど気にならなくなる所まで日常生活を送ることができます。
ただし、注意点があるとすれば、抗甲状腺薬はそれなりに強力な薬なので、副作用が出ることがあることです。
抗甲状腺薬の副作用
いくつか起こりえる抗甲状腺薬による副作用について、ご説明させていただきたいと思います。
・かゆみ
薬を飲み始めて2~3週間以内に起こることがあるのが、かゆみです。程度が低いものであれば、かゆみ止めと一緒に内服すれば緩和されますが、肌が赤く荒れてきたら危険信号です。酷くなると内臓までただれてしまうので、抗甲状腺薬が合わない人は、ただちに服用をやめたほうがいいです。
また、高熱を伴う場合もあるので、そのような症状が少しでも現れた時には、服用をやめて別の治療法を検討してみることがおすすめされます。
・肝機能異常
プランマー病単独でも、肝機能異常になりえる可能性は高いですが、抗甲状腺薬によって肝機能異常が発生する場合もあります。この場合も、薬を服用してから2週間後以降に現れることが多く、肝機能異常の症状が現れてきたら、服用を控えるなどの対処策が必要となってきます。
しかし、軽度な症状なのであれば、適切な量を服用し続け、甲状腺の機能を正常に回復させた方が、総合的な回復は早まる場合があります。
・無顆粒球症
無顆粒球症とは、白血球の中にある顆粒球が大きく減少し、身体を細菌から守るための好中球が減ってしまう疾患です。この症状になってしまうと感染症にかかりやすくなり、様々な抵抗力を失うことになります。この副作用が出た場合は、命の危険に晒される場合があるので、注意が必要です。
薬を服用してから2週間後ほど、遅ければ数か月先に発症する可能性がある症状です。強い喉の痛みと高熱を伴う症状が現れます。ただし、これは非常に稀なケースなので、大体薬を服用した人の1000人に一人程度しかならない症状だと思っていいです。
この症状が現れた人は、よほど抗甲状腺薬が身体に合わない方なので、ただちに服用を中止しなければなりません。
詳しくは、無顆粒球症の症状・原因・治療法を紹介!早期発見のポイントや注意する薬を知ろう!を読んでおきましょう。
・その他の副作用
抗甲状腺薬の副作用は、服用をはじめてから2週間後以降に現れることが多いですが、稀に発熱と共に関節痛が起こることがあります。この関節痛は、腕や脚の関節で起こることが多いです。
また、腎臓や肺などに負担をかけ、血管に炎症を起こすこともあります。いずれにせよ、このような症状が現れた場合は服用を控えたり、別の治療法に移行した方が良い場合があります。
アイソトープ(放射性ヨウ素)治療
アイソトープ治療法とは、放射性ヨウ素の一つ、ヨウ素-131が含まれるカプセルを飲んで、甲状腺の病気を治療する方法です。このアイソトープを服用することによって、甲状腺のホルモンを減少させます。
メリットとしては、手術と違って首に傷がつくこともなく、喉の腫れを抑えることができることが挙げられます。
デメリットとしては、甲状腺のホルモンを減少させ過ぎる可能性が高く、今度は逆に甲状腺の機能そのものを低下させてしまう可能性があることです。
しかし、このデメリットは、甲状腺ホルモン薬を服用すれば、ある程度コントロールできます。
手術療法
過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを、甲状腺ごと外科的に切除する治療法です。全身麻酔で行うことが基本です。切除する甲状腺の量は、患者ごとに異なりますが、ある程度の甲状腺を残す場合は、プランマー病が再発する可能性があります。
どれくらいの量の甲状腺を残せば適切なのかということを手術前に判断することは困難であり、場合によっては、全ての甲状腺を摘出することが勧められます。甲状腺を全て摘出すると、確実に甲状腺機能低下を招くことになるので、甲状腺ホルモン薬は障害に渡り服用しなければならなくなります。
ただし、プランマー病を発症し続けるよりは遥かに心身にかかる負荷は少なく、甲状腺ホルモン薬に関しても、服用する量が決まれば、ホルモンのバランスは保たれていきます。
まとめ
さて、ここまでプランマー病についての症例や治療法をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
プランマー病の原因は、現代医学では特定することが出来ず、遺伝やストレスが関係している可能性だけが示唆されています。第一に、ストレスを溜めないような生活を送り、病気になる前に予防する心がけることが一番大事なことです。
そして、その上で病気になってしまった場合は、適切な治療法を選び、なるべく早期治療を心がけることが大切です。