ダイエットをしようと決意をした方の中には、実践するダイエット方法として水泳を検討されている人がいるかもしれません。というのも、水泳はウォーキングなどと並ぶ代表的な有酸素運動で、なおかつ全身運動でもありますので、効果的なダイエットができるとされているからです。
一般的にダイエット方法としての水泳は、膝や腰といった関節に負担が少なく怪我しにくいことがメリットとされていますが、実は水泳には関節の負担軽減のほかにも様々なメリットが存在しているのです。
そこで今回は、あらためてダイエット方法としての水泳についての魅力を、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
ダイエット方法としての水泳
まずは最初に、ダイエット方法としての水泳を実践するにあたって、水泳の運動効果やカロリー消費量など基本的な事項を、おさらいしておきましょう。
水泳の運動効果
日本では、ほとんどの人が学校体育の一環としてプールの授業を経験しますから、プール内で歩行する水中ウォーキング(プールウォーキング)をすると、思いのほか水の抵抗や負荷があることをご存知でしょう。
このように水中では陸上での運動とは異なり、水が抵抗となるので、プール内を移動するだけでも筋肉の運動量がより必要とされるため、必然的にエネルギー消費量も多くなります。
また、水の抵抗があるプール内を移動するには、泳ぎにしても水中ウォーキングにしても、足だけでなく全身の身体を使わなければなりません。
さらに、水泳は、トップスイマーが50メートルの速さを競うような競技水泳を除けば、基本的に自分のペースでゆったりと泳ぐのが通常ですから、運動中も十分に酸素を取り込める有酸素運動でもあります。
ですから、水中ウォーキングを含めて水泳は、全身運動かつ有酸素運動であって、消費エネルギーが大きい運動方法と言えるでしょう。
水泳の消費エネルギー
このように水泳は、水という抵抗・負荷がある中で行うため全身を使わざるを得ず、その消費エネルギーは大きくなります。
そのため、陸上における一般的な運動方法よりも、水泳の消費カロリーは高いと言われています。具体的に体重50㎏の人が1時間の運動をして消費するエネルギーは、次の通りです。
- 時速6㎞のランニング(ジョギング):1時間で約300kcal
- 散歩やウォーキング:1時間で約175kcal
- 分速47.5mのクロール泳法:1時間で約415kcal
- のんびりと泳ぐ:1時間で約300kcal
- 水中ウォーキング:1時間で約225kcal
消費カロリーの計算根拠
ちなみに、消費カロリー(消費エネルギー)の計算における注意点として、体重や運動強度によって非常に大きな個人差が生じます。水泳の消費カロリーについては、言及している本やサイトで様々な数値が紹介されていますが、運動強度をどう評価するかによって数値は大きく異なってきます。
例えば、のんびり泳ぐと言っても、競技水泳を行うトップスイマーと水泳を始めたばかりの人では消費カロリーも自ずと異なります。また、泳ぎ方(クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライ)によっても異なります。クロール泳法による分速47.5mは、日本記録が男性で50mを約22秒、女性で50mを約25秒ですから、水泳経験者には普通の速さでも、水泳初心者には全力が必要かもしれません。
前述の数値は、国立健康栄養研究所の
・「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表」
・「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表に対応した体重別エネルギー消費量の早見表」
引用元:国立健康栄養研究所
に基づいて計算した数値です。興味のある方は、参考にしてみて下さい。
ダイエット方法としての水泳
このような水泳の運動効果や消費エネルギーを踏まえて、ダイエットとして水泳を実践する場合は、自分のペースでゆったりと30分~1時間程度泳ぐようにすると良いとされています。
ダイエットの仕組みは、血液中のブドウ糖をエネルギーとして消費してから、不足するエネルギーを賄うために体脂肪を分解・燃焼させる点にあります。概ね運動開始から15分程度で、エネルギー源がブドウ糖から脂肪に切り替わるとされています。つまり、ダイエットの鍵である脂肪燃焼効果は、運動をある程度の時間継続することによって得ることができるのですね。
ですから、泳ぐ距離にはあまりこだわりすぎず、30分から1時間継続できるペースで泳ぐようにすると良いでしょう。そして、ある程度継続して慣れてきたら、インターネットの動画や指導員の意見を参考にトレーニングメニューを変更していくと良いでしょう。
ダイエット方法としての水泳のメリット
最初に述べましたが、ダイエット方法としての水泳は膝や腰といった関節に負担が少なく怪我しにくいことがメリットとされています。
しかしながら、ダイエット方法としての水泳のメリットは、それだけにとどまらず様々なメリットが存在しているのです。そこで、ダイエット方法としての水泳のメリットについて、ご紹介したいと思います。
浮力による身体への負担の軽減
ダイエット方法としての水泳の最大のメリットは、もちろん浮力による身体への負担の軽減です。水には身体を浮かせる浮力が存在しますので、陸上におけるスポーツに比べて、運動時に膝や腰など関節にかかる負担が軽減されます。
膝や足の状態が良くない人は、プール施設での水泳や水中ウォーキングなどの水中運動を選んで実践してみると良いのではないでしょうか。
水圧による身体への負荷・刺激
ダイエット方法としての水泳のメリットは、浮力による身体への負担の軽減だけではありません。
水中で活動していても、あまり意識することはありませんが、水中での活動において身体には常に水圧がかかっています。この水圧は、水の中に入り動かなくても、あらゆる方向から身体を押さえつけるような働きをするため、静水圧とも呼ばれます。
水圧による負荷・抵抗はインナーマッスルに効く
このような水中での活動において身体にかかる水圧による負荷や抵抗は、筋肉を動かすにあたっての負荷・刺激となり、筋トレ効果も期待できるのです。特に水中のような軽くもなく重くもない適度な負荷・抵抗がある中での運動は、インナーマッスルに効くと言われます。
インナーマッスルとは、身体の表面にある上腕筋や大腿筋ではなく、身体の内部にある筋肉の総称で、深層筋とも呼ばれます。インナーマッスルは、姿勢保持あるいは関節や内臓の正常位置の保持といった役割を果たし、いわゆる体幹の一部でもあります。
インナーマッスルを鍛えるには、負荷の少ない動きを繰り返す地道なトレーニングが必要です。陸上のトレーニングですと単調になりがちですが、水泳や水中運動であれば飽きずに継続しやすくなります。
そして、インナーマッスルが鍛えられると、基礎代謝量が増えるとともに、内臓を正常位置に保持することによって、お腹周りの引き締め効果も得られます。
水圧によるマッサージ効果
また、筋トレ効果だけでなく、身体の外側から水圧による圧力がかかることにより、血液やリンパ液の流れも促されます。
そのため、血流などの改善によって足のむくみの解消や肩こりの緩和などマッサージ効果も期待できます。
水によるリラックス効果
そもそも水には人をリラックスさせる効果があると言われています。例えば、小川の浅瀬のせせらぎの音や浜辺に押し寄せる海の波の音を聞くことで癒される人もいれば、山奥の滝や公園の噴水を見て落ち着く人もいます。また、家のお風呂でも温泉地の温泉でも入浴すれば、心身ともにリラックスすることができます。
このような水によるリラックス効果の理由は多岐にわたります。例えば、陸上では常に重力に晒されていますが、水中では重力から解放されることが要因とする見解や、胎児として母親の胎内で羊水に包まれていた記憶が呼び起こされていると考える見解もあります。
いずれの見解にしろ、このような水によるリラックス効果はプールにおける水の中でも例外ではなく、精神的にも身体的にも落ち着くことができるのです。それまで抱えていた日常生活の悩みも、水中運動をすることで一旦忘れることができ、ストレス解消にもつながるでしょう。
水温によるエネルギー消費量の増加
前述の通り、水泳を含めた水中運動の消費カロリーは、一般的な陸上運動に比べると高くなっています。
これに加えて、プールでは水温が体温より低いことから、水によって奪われる体温を保つために、人の身体は体内のエネルギーを消費して体内で熱を発生させようとします。プールの水温は、温水プールであっても体温より低い温度設定です。そのため、プールは基本的に消費カロリーが増えやすい環境であり、水泳はダイエットの観点からも脂肪燃焼効率が良いと言えるのです。
天気に関係なく実施できる
ウォーキングやジョギングなどでダイエットをしようとすると、どうしても天気の影響を受けてしまいます。もちろん、雨が降っていても関係なくウォーキングやジョギングをする人はいるかもしれません。しかしながら、雨の日に屋外で運動をすると、ウェアや衣服は汗をかくので晴れでも雨でも洗濯するとしても、シューズのお手入れという面倒な手間が新たに発生してしまいます。
その点、水泳は屋外が雨や雪でもスポーツジムや屋内プール施設にさえいけば、いつもと同じ運動ができます。都市部ではプールを備えたスポーツジムやスポーツクラブが多くできていますし、都市部でなくとも各自治体がごみ処理施設の排熱を利用した温水プール施設を整備したりしています。
ですから、天気に関係なくダイエットとしての運動ができるという点も、水泳のメリットと言えるでしょう。
ダイエット方法としての水泳の注意点
このようにダイエット方法としての水泳には、多くのメリットが存在するのですね。だからと言って、何も考えずにガムシャラに手で水を掻きバタ足をすれば、ダイエットにつながるということでもありません。
ダイエット方法として水泳を実践するにあたっては、いくつかの押さえておくべきコツや注意点があります。そこで、ダイエット方法としての水泳の注意点について、ご紹介したいと思います。
ダイエットの基本を認識しておく
ダイエットの基本は、食事による摂取カロリー(摂取エネルギー)を上回るカロリー消費(エネルギー消費)を継続することで、体内に蓄積した体脂肪を燃焼させていくことにあります。
そのためには、暴飲暴食のように必要以上のエネルギーを摂取することは避けなければなりませんし、水泳などの有酸素運動を継続する必要があります。また、インナーマッスルや身体の表面にあるアウターマッスル(表層筋)を鍛えて筋肉量を増やして、基礎代謝量を増やして代謝アップすることも必要でしょう。
世の中には様々なダイエット方法がありますが、結局のところ、摂取カロリーを消費カロリーが上回らないと体脂肪は落ちません。ですから、ダイエットを成功させようと考えるならば、摂取カロリーと消費カロリーの方程式はダイエットの基本として常に認識しておく必要があるでしょう。
バランスの良い食事
このように摂取カロリーを消費カロリーが上回らないと体脂肪は落ちません。とすると、どうしても食事制限をして、摂取カロリーを低く抑えようとする人が現れます。
たしかに、食事制限をすることで消費カロリーが上回り、体重が減少してダイエットの目的を達成できることもあるでしょう。しかしながら、食事制限をしていると、身体を維持するための栄養素が不足するため、筋肉量が減少します。そして、筋肉量が減少すると基礎代謝量も減少しますから、以前と同じ食事量でも太りやすくなり、いわゆるリバウンドが発生します。
ですから、健康的にダイエットをするためにも、水泳による運動の継続とともに、筋肉の形成に必要な栄養素をバランス良く、そして過不足なく補給するためのバランスの良い食事が必要不可欠になるのです。
準備体操やストレッチの実施
プールに入る前には、事前に準備体操やストレッチを行い、身体を温めるとともに筋肉をほぐしておきましょう。
事前の準備体操やストレッチは、水泳だから必要なのではなく、あらゆるスポーツを行うにあたって実施すべきものです。というのも、これから運動をするということを頭では理解していても、心肺機能や筋肉などは未だ平常モードであるからです。身体が平常モードにあるときに急に身体を動かすと、血圧が上昇して心肺機能に負担がかかったり、筋肉や腱が運動についていけず怪我をしやすくなります。ダイエットのために運動を始めたのに、怪我をして運動ができず、余計に太ってしまっては元も子もありません。
ですから、泳ぐ前には準備体操やストレッチを実施することで、心拍数を少し高め、筋肉をほぐし温めるようにしましょう。
水分補給と冷えには注意
プールでは水中にいるために、汗をかいていても気付くことは困難です。実は、水泳も運動方法の一つである以上、運動を継続していれば発汗によって身体から水分が失われています。
ですから、有酸素運動として、ある程度の時間継続して泳ぐ場合には、事前に水分を摂取しておくか、途中で水分補給をする必要がありますので注意しましょう。
また、前述のように体温より低い水温は短期的にはエネルギー消費量を増やす効果が期待できますが、過度に身体を冷やすと逆に体内に脂肪を蓄えようとする防御反応を示します。ですから、水泳などの水中運動を終えた後は、長く水に浸かっているのではなく、陸上に上がって身体を過度に冷やすことのないようにしましょう。
結果を求めすぎない
水泳に限らず、あらゆるダイエット方法に言えることですが、結果を早急に求めすぎてはいけません。短期間でのダイエットは、その分リバウンドの可能性も高くなります。
たしかに、目に見える形で結果が現れないと、水泳を継続していくモチベーションが高まらないかもしれません。しかしながら、健康的にダイエットをして太りにくい身体を手に入れるには、それ相応の時間が必要になるのも事実です。
ですから、ダイエット方法としての水泳を始めるにあたっては、ある程度の長い期間を継続する決意や覚悟を持つとともに、結果を求めすぎないことも必要になります。
まとめ
いかがでしたか?ダイエット方法としての水泳についてのメリットや注意点について、ご理解いただけたでしょうか?
水泳はウォーキングなどと並ぶ代表的な有酸素運動で、なおかつ全身運動でもありますので、効果的なダイエットができるとされています。そして、水泳には、膝や腰といった関節に負担が少なく怪我しにくいことをはじめとして、多くのメリットが存在します。
ただし、ダイエット方法としての水泳を実践して、より効果抜群なものとするには、押さえておくべき注意事項もありますので、本記事が参考となれば幸いです。
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