「お酒は太る」。こんな話を聞いたことはありませんか?実際、種類にもよりますが、お酒にはカロリーも糖質も高いものがたくさんあります。会社の付き合いだとか、友達といてつい楽しくなってしまって飲んでしまうことは多いと思いますが、その積み重ねは着実にあなたの体の中に、脂肪を増やし続けているのです。
とはいえ、例えば近年話題の糖質・カロリーゼロのお酒さえ飲めば大丈夫なのでしょうか。実は、そうでもないのです。カロリーや糖質だけではなく、お酒の代名詞であるアルコールも、間接的には太る原因となるのです。今回の記事では、どうしてお酒を止めると痩せられるのか、またその「禁酒ダイエット」の実践のために必要なことを紹介致します。
どうしてお酒で太るのか
お酒が肥満に繋がる理由は様々です。お酒それ自体が高カロリーかつ高糖質であること、食欲や加速してしまうことなど、枚挙に暇がありません。
ここではまずは、「お酒それ自体の太る要因」、「お酒によって食べ過ぎてしまうこと」、そして「間接的に、アルコールがどうやって肥満化につながるか」の三点について紹介したいと思います。
お酒それ自体の、太る要因
お酒で太ってしまう要因の一つは、お酒自体が高カロリー・高糖質であることが多いからです。その典型例が甘いお酒でしょう。特に甘いカクテルは、ジュースが混ざっていることも多いです。
参考として、飲みやすいカクテルの代名詞であるカシスオレンジは一杯(60gとします)で、180カロリーの上に糖質は20gもあります。つまり、カシスオレンジを二杯飲むだけで、カロリー・糖質量が共に白米100gを超えてしまうほどです。
ちなみに、飲み会の顔とでも言うべきビールはどうでしょうか。実はビールはそこまで高くなかったりします。ビールの種類やメーカーによって左右されますが、100gあたりでカロリーは大体40-60kcal程、糖質に至っては3g前後しかありません。ビールで太る理由は質ではなく量、つまり「ジョッキサイズで飲むのが当たり前」であるがゆえに太るのです。
ちなみに「量で太る」というのはビールに限りません。どのお酒も、一杯だけならそこまで問題ではないかもしれません。しかし飲み会は通常、一回大体二時間です。20分に一杯のペースで飲むと仮定しても6杯は飲む計算になります。もしこの六杯全てがカシスオレンジだとした場合、それだけで1080kcalに加え、糖質摂取量は120gという、恐ろしい数値になります。
ちなみに120gという糖質は、白米で換算すると約4杯分です。身の毛もよだつ数字ですね。
お酒が食欲を加速させ、悪循環を生む
お酒だけでも十分太る理由になります。しかしながら、それに並ぶ危険性が他にも潜んでいます。それが「おつまみ」です。お酒には脂っぽい食べ物が非常に合います。「ビールと鶏のから揚げのセット」と聞いただけで、口から涎が出そうになる人もいるでしょう。ポテトフライや串カツなどもお酒とは最高といっていい相性を誇ります。
しかし揚げ物は高カロリーです。また、フライの衣には糖質が多く含まれています。つまり、お酒と揚げ物のコンビネーションによって容易にカロリー糖質も基準値をオーバーしてしまうのです。
さらに悪いことに、お酒を飲むと喉が渇きます。これはアルコールを分解するために、急速に体内の水分が使われるからなのですが、とにかくお酒を飲むとさらに飲み物が欲しくなります。すると再びお酒を注文し、そして口が寂しいので新しい油もののおつまみを注文し飲み食いし、そしてまた喉が渇き・・・という悪循環に陥ります。
また、「飲み会の後のシメのラーメン」は好きですか?私は大好きです。しかし勿論、これがまた急速に脂肪増加につながります。単に、ラーメンが高カロリーだからではありません。なぜ飲み会の後にシメの炭水化物が欲しくなるか、そしてなぜ飲み会後はさらに太りやすくなってしまうのか、それは次項の「アルコールが、間接的に肥満化を促す理由」にて紹介致します。
アルコールが、間接的に肥満化を促す理由
もちろん、アルコールそれ自体は別に太りません。しかし、冒頭でも書かせて頂いたように、「間接的に体重増加を助長する」のです。より正確にはアルコールによって、一時的にですが太りやすい体になるのです。それはどういうことでしょうか。簡単に言えば、肝臓の働きがアルコールの分解に集中するためです。
肝臓にはアルコールの分解だけでなく、「グリコーゲン(一時的なエネルギー・カロリー)を筋肉や肝臓に蓄える」という、貯蔵機能もあります。しかし、アルコールが摂取された場合、その分解・排出処理が肝臓の最優先事項となり、そちらに集中します。有害物質の解毒を最優先に行うのは、生命の維持という人体の最大使命から考えれば当然かもしれません。
少々逸れましたが、とにかくアルコールを摂取すると、グリコーゲンの貯蔵処理が二の次になります。するとどうなるのでしょうか。
行き場をなくしたグリコーゲンは、筋肉や肝臓の代わりに、脂肪へと蓄えられます。結果として、グリコーゲンが新しい中性脂肪となってしまうのです。この中性脂肪が、後に体脂肪となるのです。もちろん、アルコールの分解速度は個人差がありますし、量によっては、アルコールを摂取しても所蔵機能を妨げずに分解できるかもしれません。しかし最善を期すなら、アルコールと多量のカロリー・糖質を同時に取るべきではないのです。
また、この貯蔵機能が損なわれることによる弊害はもう一つあります。エネルギーの貯蔵が行われないため、血糖値が一時的に低下するのです。当然肉体は、不足した糖分を体外から摂取しようとして脳に呼び掛けます。そして糖分の補給源としてベストなのは炭水化物です。これが、飲み会後に、ラーメンなどのシメの炭水化物が欲しくなる理由です。
さらに、アルコールによって血液の循環が促進されることで胃液の分泌が促進され、このことからもさらなるおつまみや炭水化物が欲しくなるのです。
禁酒ダイエットの方法!
それではいよいよ、禁酒ダイエットの実践法を紹介したいと思います。コンセプトは読んでの通りです。アルコールの摂取を控えることで、前述の様々な弊害を回避しようというダイエット法です。
言うまでもなく、このダイエット法を行う上で最大の障害が飲み会です。仕事の付き合いや接待でも行かなければならないことが多いでしょう。プライベートでは自制可能だが、仕事の飲みだと難しいものがあります。
しかしあきらめる必要はありません。飲み会に行ってもアルコールを避ける方法、あるいはそもそも行かずに済ませる方法はあります。ですのでここでは、飲み会に負けずに禁酒ダイエットを貫く術を紹介致します。
アルコールを含まない飲み物を活用しよう
一つ目がアルコールを含まない飲み物の活用です。例えばノンアルコールビールです。アルコールがないので、前述した数々の弊害を防げますし、油ものへの誘惑に抵抗しやすくなります。シメのラーメンも欲しくなりません(純粋にお腹が空いてしまった場合を除きます)。ノンアルコールがない場合は、ウーロン茶などを活用しましょう。
最初の一杯はビールを飲まざるを得ない場合もあるでしょう。ですが前述のように、ビールはまだマシな部類なので、一杯だけなら大して心配はいりません。もしくは最初の一杯のビールを、極力時間をかけてチビチビ飲むことで、それ以降の追加注文を避けることも可能です。
また、ダイエットをするうえで蒸留酒を薦める声がありますが、これは危険です。確かに蒸留酒は殆ど糖質を含みませんが、上述のように、アルコールを摂取することで中性脂肪がつきやすくなります。ですので蒸留酒を飲む場合、「これ以降は太りやすいつまみを一切食べない」などの別の制約が必要となります。
車を活用しよう
文字通りです。車で通勤していることを盾に、そもそも飲み会を避けるという裏技です。特に近年は、度重なる飲酒運転の悲劇を受けて、飲酒運転規制がどんどん強まっています。そんな中、車で通勤している部下を無理やり飲み会に連れていき、そしてお酒を飲ませたともなれば上司や同僚の責任問題はまぬがれません。
「理由はどうあれ、飲み会を断るのはまずい」と思われるのであれば、行くだけ行って、車を理由に飲酒だけを避けるのもありでしょう。流石にこれなら問題はない筈です。後はウーロン茶や水を飲みながら、油もの以外のつまみで楽しみましょう。
医者を活用しよう
これは少々わかり辛いかと思いますが、つまり「医者の指示」を口実に飲み会・飲酒を避ける方法です。いくらなんでも、「医者から飲酒を控えるように言われている」と主張する人に、無理やりお酒を飲ませる人はそうそういないでしょう。いたら訴訟ものの問題です。
実際にそういった診断書を貰えれば良いのですが、ない時も使っていいと思います。なにより自身の健康のためなのですから。100%の嘘が躊躇われるならば、「以前、飲酒で体を壊して医者から控えるように言われている。だから飲めない」と伝えるのはどうでしょうか。もしくは、「一杯だけなら許可されてる」といい、最初の一杯だけで凌ぎ切るのもいい方法です。
まとめ
今回は以上となります。このように、お酒はそのカロリーと糖質以外にも、太る元となる要素をいくつも抱えています。単純に痩せる上でも、また健康状態全般を維持する上でも、禁酒は大きな武器となってくれます。
禁酒をする上で飲み会は大きな壁ですが、今回紹介した方法や工夫を駆使すれば、決して禁酒は不可能ではありません。少なくとも、減酒くらいは十二分に可能ですし、それでも効果はあります。
諦めずに、健康維持の方法を探しましょう。