手にブツブツとした湿疹ができて気になることはありませんか?湿疹の種類によっては、かゆかったり、そうではなかったりと、様々です。基本的には手のひらがかゆくなることがありますが、手の裏や足もかゆくなることがあります。
そういった時は、何かに感染している可能性もあります。難治性の疾患ということもあり得るので、できるだけ早く治療院へ行くようにしましょう。
では、どういった病気が挙げられるのか、どういった対処・治療をしていくと良いのかについて、説明をしていきます。
指のぶつぶつに当てはまる病気と原因
手のブツブツ、つまり手の湿疹には症状が類似しており、それに当てはまる皮膚疾患は多種に渡り、鑑別がとても難しいです。
皮膚科やアレルギー科、内科といったそれぞれの専門医でなければ鑑別ができません。中には、顕微鏡での皮膚検査をしなければ病気を特定することができない場合があります。
当てはまる皮膚炎として特に多い皮膚疾患は、以下の4つが挙げられます。
手湿疹(主婦湿疹)
手湿疹(てしっしん)は、主婦湿疹とも言われるほど主婦の人が多く患いやすい湿疹であるため、主婦湿疹と言われます。日常生活の中で1日の間に何度も水や洗剤を使うような生活をしていたり、そういった仕事をしていると、肌に必要な皮脂までどんどん削り取られて皮膚の乾燥が進行します。
たまにハンドクリームを塗るようでは保湿も間に合わずに乾燥していきます。すると、皮膚の表層の角質というバリア機能を担っている層が削られたり傷がついて免疫力が低下し、ブツブツとした水泡(すいほう)や皮剥けが起きます。
また、水仕事のためにゴム手袋を利用することで荒れたり症状が悪化するケースもあります。症状が悪化すると、指の腹の部分や指の関節の部分の皮膚が割れて出血(アカギレ)し、かゆみや痛みが生じます。乾燥して肌がガサガサするところまでいくと、どんどん皮膚が硬くなっていく可能性もあります。
汗疱状湿疹(汗性湿疹、汗疱性湿疹)
汗疱状湿疹(かんぼうじょうしっしん)は、原因が明確化されていません。
しかし、ストレスが原因と考えられているケースが多いと言われています。手掌(手のひら)にたくさんの汗をかき、汗腺が詰まって、汗が体の外に出し切ることができなくなります。すると、皮膚の下に汗でブツブツとした水泡ができます。水泡ができると汗腺が詰まっている状態なので、かゆみが生じます。このかゆみは伴わないケースもあります。
更に、乾燥すると皮膚がガサガサと硬くなり、皮膚の水泡や角質が剥がれていきます。これを何度も繰り返します。約1ヶ月で状態は落ち着くと言われています。しかし、水泡を気になって掻きむしると、状態は悪化していくので、できるだけ掻かずに早急に治療院へ行きましょう。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の原因も、明確化されていませんが、これまでの症例より、ストレス、免疫の異常、アレルギー、歯の治療といった金属アレルギーが原因ではないかと言われています。
手掌や手の指に小さく赤い水泡や膿疱が出現した場合、これが疑われます。かゆみや痛みの症状が出現し、手掌の皮膚が剥がれていきます。この症状の寛解と再燃を繰り返し、根治困難な難治性の皮膚疾患になります。また、関節炎を併発する可能性もあります。
白鮮
白鮮(はくせん)は、手のひらにできるカビが原因となって、手のひらに水虫ができている状態を言います。手のひらにできるということで、手白癬や手水虫とも言われています。これは、検査用テープを皮膚に当てて顕微鏡で見ることで発見し、診断することができます。
水仕事を多くする人になりやすい病気です。かゆみ症状はありません。見た目は皮膚炎に類似しており、手に白鮮が生じると、皮膚が硬くなり、うろこのようになって剥がれます。
なお、白鮮菌は体内に侵入する可能性があります。この菌が体内に侵襲すると、体内で白鮮が増殖して体の中から白鮮の症状が出現していきます。こうなると、根治困難となります。
ダニ
ダ二は特にツメダ二、イエダニの2種類が多いと言われています。
ダニに嚊まれると0.5~1cmの赤い湿疹(斑点)ができ、強いかゆみに襲われます。湿疹は、噛まれてから8時間後~24時間以内に出現することがほとんどで、直ぐに現れるわけではありません。湿疹のかゆみは蚊よりも強く、1週間以上続きます。
更に、運動をしたり、入浴したり、サウナに入ったり、太陽に当たったり、お酒や辛い物を食べるなど血行が良くなることをすると、血の巡りが良くなるわけですから湿疹のかゆみがより一層強くなります。湿疹を掻きむしると、傷跡が残る可能性があるため、掻かないようにしましょう。
接触性湿疹
接触性湿疹の原因は、洗剤、植物、ゴム(ゴム手袋など)、金属、衣服といった物による「かぶれ」です。基本的には何かしらの物質によるものが多いです。
よくあるケースは、ズボンや下着のゴムによってみみずばれの様な湿疹が出るパターンです。
皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏性湿疹は、肌が乾燥して起きます。特に、空気が乾燥しやすい冬に湿疹が起きやすいです。かゆみの症状は非常に強いものになります。
特徴的な原因は3つあり、乾燥肌、長時間の入浴による肌の乾燥、エアコンやコタツ、ストーブなどの暖房機の長時間使用による肌の乾燥など、何らかの環境で乾燥肌を悪化させると起きます。また、かゆみを誘発しやすくする要因でもあります。
脂性湿疹(漏脂性湿疹)
これは、皮脂が多く分泌される場所に発生します。好発部位は、頭部、顔、首です。特に女性に多くみられます。また、思春期にも好発し、これは、皮脂の分泌が多いために発症しやすいとされています。
主な原因は、特に春~夏、漏れだした皮脂の中にいる細菌が活発になり、細菌感染するパターンです。これは、春~夏に多いです。また、脂質・糖質・アルコール類の過剰摂取やホルモンバランスの乱れが原因となります。
マラセチア毛包炎
マラセチア毛包炎は、マラセチア菌と言うカビの菌が増殖することによって引き起こされる皮膚疾患です。マラセチア菌は、常に皮膚に潜んでいるため、誰にでも発症し得ます。症状は、ニキビ様の小さく赤い湿疹が大量に発生します。かゆみはほとんど出ません。
特に、夏は汗をかきやすく、菌が増殖しやすいため、発症しやすいです。
内因性湿疹
内因性湿疹とは、免疫力の低下や遺伝といった、体の内部のものが原因で起きます。例えば、アトピー性皮膚炎です。これは、体のセラミドの細胞が少ないことでも起きやすくなります。
寛解と再燃を繰り返しやすく、慢性湿疹になりやすいです。
感染のリスク
皮膚疾患は感染症のものも多くあります。有名なものでは、水虫です。細菌性やウイルス性であれば、水泡などを潰すと水泡からウイルスや細菌が漏れて他人にウイルス感染・細菌感染するリスクが高まります。
形がおかしかったり、皮膚が硬かったり、白い色や赤い色をしていたりなど異常が見られて気になったとしても、自分で潰さずに治療院で処置してもらうようにしましょう。
間違いやすい病気
湿疹と間違えられやすい病気として、ガンの一部が挙げられます。代表的なものでは、ボーエン病やベーチェット病です。この癌は、皮膚に赤色の湿疹様の症状が出現するため、湿疹と間違えやすいです。皮膚科の専門医による正しい検査と診断が必要となります。
これらに関しては、癌治療が必要となり、手術によって癌細胞が存在する部位を除去する必要があります。
それぞれの対処法・予防法・対策方法
どういった対処・予防・対策をとると良いのか見ていきましょう。
また、病気別の対処法も見ていきましょう。対処法を見たからといって、自己判断で対策をとらずに、最初は治療院の専門医に診てもらい、正しく対処していきましょう。
手湿疹
乾燥の症状が進行し悪化すると、ひび割れを起こしてかゆみが出現します。
そういった場合は、水仕事をする時はゴム手袋を着用し、また、適時ハンドクリームを使って指や手の保湿をするようにしましょう。ゴムにアレルギーがある場合は、通常の手袋にするのも手ですが、ゴム手袋とは異なり、水が中に浸透していきます。
なお、手湿疹の症状として、皮膚の硬さが生じても、同じ対処法が適応されます。
汗疹
原因は不明ですが、汗腺が原因ではないかと言われている点から、汗の管理をしっかりしたり、発疹ができても無理矢理いじくらないといった対応が必要です。
掌蹠膿疱症
金属アレルギーが原因で金属を含むものに触れていて、かゆみの症状が出た時の対処として、金属を取り除き、皮膚に触れないようする方法があります。
ダニ対策
ダニの対策としては、4つあります。それは、部屋を清潔に保つこと、部屋を換気すること、ダニを駆除すること、治療院に行くことです。基本的にはダニの駆除が優先です。
ダニがいそうな場所を掃除したり、日光で浄化したり、スプレーやダニアース等を利用することがおすすめです。それでもかゆみがある場合は、治療院に行きましょう。
皮脂欠乏性湿疹
主な原因が乾燥なので、肌をできるだけ乾燥させないようにすることに効果が得られます。よって、日常生活の中で常に肌の保湿に心が得る必要があります。
乾燥する前にハンドクリームやボディークリームで保湿し、かゆくなった時もそのように対応するようにしましょう。
接触性湿疹
この湿疹は、日常生活でよく使用する物から起こるため、対策が非常に難しいです。
例えば、衣服でかゆみが生じる場合は煎剤を変える、服の素材を変えるといった対策が必要です。また、シャンプーを肌に優しい物に変える、ボディーソープやハンドソープを石鹸に変えるといった考慮も必要でしょう。とりあえず、かぶれや湿疹の原因となる要素を取り除き、使用する物を変えるといった方法が必要になります。
脂性湿疹(漏脂性湿疹)
原因が皮脂なので、常に肌を清潔にケアすることが大切です。洗剤や、界面活性剤の含まれているシャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ等を石鹸に変えたりと肌に優しい物を使うだけで状態が改善する可能性があります。
また、食べ物にも注意が必要です。揚げ物や刺激物、甘い物を食べ過ぎると皮脂が過剰に分泌されます。
マラセチア毛包炎
汗をかくと発症しやすいため、肌の清潔を保つようにしましょう。他の湿疹の対策と同じように、日用品には気を付けましょう。
アトピー性皮膚炎
ストレスによって免疫力が低下して生じる場合もあるため、なるべくストレスを溜めないようにしましょう。
汗を放置して細菌が増殖し、炎症を引き起こしたり、洋服の素材によって免疫機能が反応してアトピーが出現することもあるため、服の素材に気を付けたり、汗の吸収性や発汗性の良い物を使用したりするようにしましょう。
また、汗をかいた後はなるべく早めにシャワーをして細菌の増殖を防止するといった対処が必要です。
それぞれの治療法
手にブツブツとした湿疹が出る時は、アレルギーが原因であるケースが多いです。原因を正しく捉えて正しく対処をするには、病院の受診が必要です。
治療院は、皮膚科やアレルギー科、内科に行きましょう。原因によっては、対応外の科もあり、そういった際には紹介状を書いてもらったり、他の治療院へ回る必要があります。
手湿疹
手湿疹の症状としてかゆみや、皮膚の硬さといった症状が悪化した場合は、ステロイド剤を使用します。
痛みが出現した場合は、かゆみや皮膚の硬さが出た時と同様にステロイド剤を塗ります。また、ひび割れに外的な刺激が入ると更に痛みが出ます。よって、傷口を塞ぐ必要があります。
汗疱
原因が不明ということで正式な治療法や対策は見つかっておりません。かゆみの症状が出現した時はステロイド剤を使用しますが、効果は得られにくいとされています。
また、ビオチン治療という治療があり、これはサプリメントを使用した治療となっており、効果が得られやすいとされています。
掌蹠膿疱症
かゆみや痛みの症状が出現している時は、ビオチン治療(サプリメントを使用した治療)を行います。この際、ビオチンとミヤサリン、ビタミンCを同時に服用します。更に、抗ヒスタミン剤、抗生剤を飲む場合もあります。重症化した場合は、免疫抑制剤を服用することもあります。
また、外用薬としてステロイド外用薬や活性型ビタミンD3軟膏といったアレルギー剤を使用します。ステロイドは外用薬でも体内への副作用が、人によっては強く出現する可能性があるため、長期的な仕様には注意が必要です。
なお、かゆみや痛みといった症状以外に、皮膚の硬い状態が長期的に続くと、紫外線療法が必要になる可能性があります。
白癬
白癬菌を殺すために、白癬剤などの抗真菌薬の服用をしたり、外用薬として薬を塗るといった治療が施されます。
ダニ
早めの治療が大切です。基本的には、抗ヒスタミン剤の内服でかゆみを抑制し、ステロイド外用剤も使用されます。皮膚科の治療院にて処方を受けますが、薬局でも購入が可能です。しかし、薬局の場合は、治療院で処方された薬よりも効果が弱いため、かゆみの症状が再発しやすく、そこで掻きむしって状態が悪化したり、かゆみが強すぎて効果が得られないといったことが起きます。しかし、治療院で処方されるものは強力なものであり、外用薬と言っても副作用が強く現れる傾向にあります。長期的に使用すると副作用も生じるので、どうしても気になる人は、医師に相談しましょう。
脂性湿疹(漏脂性湿疹)
これは、難治性の皮膚疾患です。かゆみは弱い方ですが、長期的な治療が必要となります。
アトピー性皮膚炎
基本的には、外用薬のステロイド剤が使用されます。とは言っても、重症度別に使用されるため、使用される種類はその人の症状によって異なります。また、内服薬として痒みの鎮静剤となる抗ヒスタミン薬やステロイド内服薬、漢方薬が併用される場合もあります。ステロイドの内服薬はかなり重症度の人に適応されます。漢方薬は、外用薬の治療にて症状の改善が見られない場合や、疲労感や倦怠感が見られる場合に処方されます。
ステロイド剤
様々な皮膚疾患に対してステロイド剤が適応されていますが、世間の人は、ステロイド剤をあまりよくない薬と捉えているが多いです。副腎皮質ステロイド剤は副作用も依存性も耐性も強いためです。しかし、ステロイド剤は炎症を抑えるためには効果のある薬です。これで症状が落ち着くならば身体的にも精神的にもストレスフリーになります。但し、正しく使用することが大切になります。
まとめ
指の皮膚炎と一言言っても、症状が類似していたとしても、原因や治療法は病気によって異なり、さまざまな方法があります。
また、皮膚炎によっては、難治性の病気もあります。早期発見・早期治療が大切です。見た目が悪くなるだけではなく、耐え難いほどにかゆみや痛みが出たり、皮膚が硬くなってボロボロになっていきます。
出来るだけ早く治療院へ行きましょう。まずは、皮膚科やアレルギー科に行くと良いでしょう。
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