あなたは掌蹠膿疱症という病気を知っていますか?あまり聞いたことがないですよね。少し前に芸能人の奈美悦子さんを苦しめた病気なんです。
実はこの病気、一度発症すると治りにくい難病なんです。一時的に良くなったり悪くなったりを繰り返しながら長期的に症状を発症し、患者を悩ませる病気になります。
水虫だと思っていたら掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)だったなんて話も多くあります。手が痒い、皮膚に水ぶくれが発生していて中々治らないなどの症状を抱えている人はこの病気の可能性がありますので、この病気についての知識を深めていきましょう。
掌蹠膿疱症について説明したいと思います。正しい処置の仕方、病気に対する知識を持っておき、慢性化させないように症状を改善していきましょう。
掌蹠膿疱症ってどんな病気か知ってますか?
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手のひらや足の裏に無菌性の膿疱が生じる難治性の病気です。現在確実な原因はわかっていませんが、主に自己免疫の異常によるものと思われていて、扁桃炎や虫歯、金属アレルギー、腸内環境の悪化ではないかと言われています。
この細菌は無菌性なので人にうつる病気ではありません。では、掌蹠膿疱症とはどんな病気なんでしょうか?
掌蹠膿疱症の症状って?
初期症状に見られるのは手拳や足底(特に足踏まず)に出来る水疱です。最初は小さな水疱なんですが、この水疱が徐々に膿疱へと変わっていきます。更にこの膿疱から赤い斑点(紅斑といいます)ができます。
この紅斑は次第に大きくなっていき、複数の紅斑と融合して大きな紅斑になります。これが1か月位の間に繰り返し起きて慢性化します。基本的には手足に出来る膿疱ですが、時には膝や頭部にも出来ることもあるのです。
足に発生している場合には特に親指と小指の部分に症状が発生しやすく、慢性化しどんどん症状が悪化すると日常生活が困難になるほどの痛みやかゆみなどの症状を引き起こすケースもあります。
皮が向けたり、ガサガサな状態に皮膚が変化している場合には症状の進行が確認されますので皮膚科に行って適切な治療を受けるようにしましょう。
掌蹠膿疱症の原因は?
原因は不明です。いくつか原因と思われることがありますのでそれを説明したいと思います。
・扁桃腺の病巣感染…扁桃炎や歯の炎症などの病気が関係しているといわれています。
・腸内環境のバランス悪化…ストレスや生活習慣の乱れにより腸内環境が悪化し、善玉菌が減ることにより発症させる可能性があります。
・金属アレルギー(主に歯)…過去に治療し詰めた金属がアレルギーの原因となり、掌蹠膿疱症を発症させる可能性があります。
・喫煙…ニコチンの摂取によりビオチンを大量に消費しビオチン不足になるためと言われています。
これらの問題を抱えている人に症状が発生しやすい傾向があることから、これらとの問題との関連性が挙げられていますが、具体的に何が関係して症状につながっているのかは不明です。
原因が明らかになるまではもう少し時間がかかりそうです。
掌蹠膿疱症になりやすい人はいるの?
症状が頻発しているのは40代以降の年代で、子供にも稀に発生することはありますが、重症化はしない傾向にあります。
特に上記で説明した原因と関連する状態を抱えている人には発生しやすい病気になりますので、虫歯持ち、喫煙者、金属アレルギーを持っている人はこの症状が現れた場合は早期に対処した方がいいでしょう。
見た目ほどに強い痛みやかゆみはなく、その内に治るだろうと検査を見送っている内に病気が慢性化してしまうケースが多く見られるので、早めに皮膚科を受診しましょう。
合併症の危険性について
掌蹠膿疱症を放置すると合併症を発症する可能性もあります。合併症で有名なのが、掌蹠膿疱症性骨関節炎です。奈美悦子さんはこの合併症を引き起こし大変苦労されたそうです。この合併症を引き起こすと胸骨や肋骨などに炎症が起きて、関節に激痛が起こるというものです。
酷い時は痛くて歩くこともままならいなんてこともあるようです。でも、早期に発見することが出来れば1か月ほどで症状が治まりますが、長期的な治療が必要となります。
その他にも確認されている合併症は胸肋鎖骨間骨化症、脊椎関節炎、胸肋鎖骨関節炎などを引き起こす事が多くあります。
これらの合併症は診察を受けている患者のおよそ10%に発生が確認されています。つまり10人に1人が重度の痛みを伴う合併症を引き起こしているという現状があるのです。
ただの皮膚病だと侮っていると、痛い目に合いますのでしっかり治療を進めていくことが重要です。
掌蹠膿疱症の診断方法は?
もしも、掌蹠膿疱症の専門医ならば特徴などですぐにわかるようですが、現在掌蹠膿疱症の専門医は多くない為、以下の検査をして原因を見つけるようです。
検査方法
・血液検査…白血球の数と炎症反応を表すCRPの数値をみます。
・金属パッチテスト…歯の金属がアレルギーになっていないかを確認するテストです。
・扁桃誘発試験…扁桃腺を綿棒で刺激してその後どうなるのかを観察します。
上記の検査でも何にも出なかった時は、皮膚の一部を取り皮膚生検による検査を行います。
掌蹠膿疱症の専門医
掌蹠膿疱症の専門医は現在少ない為、わざわざ家から1時間以上かけて専門医のいる病院に行く人もいます。もし、この掌蹠膿疱症の専門医ならば、掌蹠膿疱症の特徴的な臨床像から病気を断定できるようです。
しかし、専門医が増えないのは掌蹠膿疱症の原因が不明であることが理由の一つです。この病気に悩んでいる人にとってはとても辛い現実です。
掌蹠膿疱症の治療法とは
現在、原因不明の特定が難しい病気ですので、基本は皮膚科的治療、生活習慣の見直しと根本的治療です。
この生活習慣の改善により劇的によくなる人もいます。それぞれの治療法について見ていきましょう。
生活習慣の改善
生活習慣を改善することで症状を治癒しやすい体作りを行っていきます。病院などでもこのような生活指導が行われる場合もあります。
もし、特に偏った悪化に繋がる生活習慣をしている人はこれらの改善法を覚えておいて症状の軽減に繋げていきましょう。
・禁煙
実は、この掌蹠膿疱症の患者のうち80%以上が喫煙者と言われてます。このタバコに含まれているニコチンを解毒するのに、ビオチンを大量に消費してしまい足りなくなるというものです。
もし、発症した人がタバコを吸っていた場合、1番最初に取り掛かる治療方法です。
・食事の見直し
忙しい社会人は手を抜いてしまう食事。外食や出来合いの物ばかり食べていませんか?市販の食品にはたくさんの化学物質が含まれています。この化学物質を解毒するのにもたくさんの抗体物質を使います。出来るだけ化学物質の少ない物を選ぶことも重要です。
・仕事の見直し
通常社会の人は本来1日8時間労働ですよね?残業や休日出勤などしていませんか?現代の日本人は働き過ぎな所があります。
そのせいでストレスが溜まり体に不調が生じる人が増えています。無理をし過ぎは禁物です。きちんと休む時は休む、頑張る時は頑張る!と言った切り替えをすることも必要です。このストレスを減らすことで改善がみられることもまります。
皮膚科的治療
皮膚科で行われる治療法を紹介します。内服薬や外用薬での治療法が基本的な治療法になります。皮膚炎の症状は皮膚を切開しての手術などは行いませんので、安心して病院に行きましょう。
・ステロイド薬の外用
この治療は対症療法です。荒れてしまっている所をそれ以上悪化させないようにします。ただ、このステロイドには副作用が強いことで有名ですのできちんと医師の指示に従って使用しなければなりません。
医師の指示なしで止めてしまうと、副腎皮質ホルモンが一時的に不足し症状が悪くなる可能性もあります。
・抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬にはかゆみを止める作用があります。この掌蹠膿疱症の症状には耐え難いかゆみがあるので、もしかゆみが出てしまった場合は迷わず飲みましょう。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、更に症状が酷くなってしまします。
・抗アレルギー薬
抗アレルギー薬にはバリア機能の修復に有効です。このバリア機能を修復することによりウイルスの侵入を防いでくれ、免疫力を上げることが可能です。
・ビオチン治療法
ビオチンの不足によって起こると断定した場合の治療法です。ちなみにビオチンとはビタミンの一種でビタミンB7やビタミンHと呼ばれています。
この治療法は掌蹠膿疱症の患者にとって最も人気のある治療法となっています。掌蹠膿疱症患者は1日3mm〜9mmのビオチンを摂取します。ただし、ビオチンだけを摂っても効果はあまりありませんので、ビオチンと一緒にミヤリサンとビタミンCを摂りましょう。
そうすることによって、体内に上手にビオチンを吸収させることができます。先ほど紹介した薬のように即効性はありませんが、副作用の危険性がないので他の治療法と併用できます。
ただ、このビオチン治療に関しては否定的な医師も多いです。
・漢方治療
漢方を使って自然に免疫力を高めることで回復力を高め、治療を促すことが出来ます。一般的に病気が慢性化してしまう原因は免疫力や自己治癒力が低くなってしまっている状態が原因で悪化の一途を辿ってしまいます。
なので、初期の症状であれば、漢方で自己治癒職を高めて完治を目指すことが出来ます。
特に肺と腎臓の機能を向上させることで掌蹠膿疱症の治癒力を高めることに繋げられます。効果を挙げられる20を超える漢方がありますので漢方を取り扱っている病院や薬局で薬を購入することが出来ます。
根本的治療
検査をして原因物質の可能性があると思われ場合に行われる治療方法です。
・金属アレルギー
主に歯科治療で使われた金属に反応してしまう場合、その金属を取り除きセラミックにかえることで症状が治まる人もいる言われています。
他にもアクセサリーなどを長時間つけることで体内に金属イオンが入り、かゆみや湿疹を起こします。その場合は、その金属との接触を避けることで改善がみられます。
・扁桃腺の切除
もし、扁桃腺の病気によって掌蹠膿疱症が起きているのならば扁桃腺の切除をすることで改善する可能性があります。扁桃腺とは病原菌が喉の奥に行かないようにするためにありますが、これは小さい時にのみ働いているのであり、大人になるとそんなに必要なものではなくなります。
ですので、扁桃腺が原因であると断定出来たのであれば切除をしても、その後副作用はないと考えられています。
治療期間はどれくらい?
治療までにかかる期間は、症状の重症度、慢性化しているかどうかによっても大きく変わってきます。原因がはっきりわかるかどうかも治療期間を大きく左右します。
原因が特定できていて、有効な治療法が行える場合は、積極的に治療を行えば短期間で完治を目指すことが出来ます。原因の治療にどれだけの時間がかかってしまうかわかりませんが、数ヶ月で症状を治すことが出来るでしょう。
大体、短期間でしっかり治療を行って完治を目指せるのは全体の2〜3割の割合になります。残りの8割近くは原因が特定できず、治療が長引くことが多く、対処的治療をで症状を和らげていく治療をメインに行っていくことになります。
しかしその治療を続けていれば、アレルギーのように何処かのタイミングでふと症状が治ってしまうケースも有り、だいたい3年〜7年の過程で完治してしまう事もあります。
基本的には有効な薬を探り、症状を和らげながら生活に支障をきたしてしまう症状を和らげながら自然に治癒するのを待つ治療になりますので、長く病気と付き合っていく覚悟をしておきましょう。
日常的に出来る対策法は?
もし、それらしき症状が発生してしまった場合に取るべき対策法は何かあるのでしょうか?掌蹠膿疱症が発生してしまった場合にやっておきたい対策法について紹介します。
慢性化に繋げないために重要な項目ですのでしっかり対策していきましょう。
まずは症状の観察
手の膿疱や湿疹のような症状の他に関節炎などの症状は出ていないか、掌蹠膿疱症の病気の特徴となる症状が落ち着いたり悪くなったりする症状を繰り返していないか、などの症状を観察することで病気を特定していきましょう。
もし、それらしい病気の症状が確認されたら早めに病院での検査を受けていきます。
掌蹠膿疱症の症状は水虫や手荒れなどの症状に似ているので、自分の目で見ただけではこの病気であるかどうかを見極めることができません。
顕微鏡で手の皮膚や足の表面の皮膚を採取し、菌の存在を確認してみないと正確な原因を特定することは難しいので、症状が確認できたら早めに皮膚科での検査を受診するようにしましょう。
定期的に検査を受ける
体が疲れやすい、皮膚が荒れやすいなどの症状が発生している場合にこの病気にかかりやすい傾向があります。
関連する病気として糖尿病や甲状腺疾患などを抱えている患者にも発生しやすく、慢性化しやすいこともありますので、違和感を感じた時やそうでないときにも病院での定期検査を受けることでまだ自覚症状のない病気も発見することが出来ます。
また掌蹠膿疱症が長引いているときには他の病気にもかかりやすい状態になっていますので、これらの病気にかからないように早期に検査をして治療していくことも重要です。
禁煙を行う
上記でも説明しましたが、喫煙者に掌蹠膿疱症の病気が発生する確率が非常に高くなっています。これは紛れもない事実ですので、これ以上症状が発生しやすい環境を保たないために、禁煙をして症状が回復しやすい体作りをしていきましょう。
禁煙をしても治るという病気ではありませんが、再発しづらい体作りを行うことが出来ます。
いきなりの喫煙は難しくとも、喫煙本数を減らす対策はしていったほうが良いでしょう。
皮膚科だけでなく他の病院も受診してみる
検査を受ける場合に皮膚科だけでの検査では原因となる病巣を見つけられない場合があります。歯科や耳鼻科などに行った時に鼻炎、扁桃腺、虫歯などの病気が発生していることが発見され、それを治療することで病気が回復する場合があります。
それぞれの専門の先生が検査することで始めて見つかることもありますので、それぞれの病院での検査を受けてみましょう。
まとめ
掌蹠膿疱症についてわかりましたか?現段階ではこれとはっきり言い切れる原因がないので非常に難しい病気です。ですが、諦めずに原因を追求すること、そして自分にあった治療法を見つけることが改善、そして完治するきっかけになります。
諦めないでしっかり治して健康をとりもどしましょう。発症→治癒→再発を繰り返す病気ですので、正常に治っていると勘違いしやすい病気でもありますので、繰り返して何度も症状が発生している場合には病院での検査を受けましょう。
専門となる病院は皮膚科ですが、その他にも耳鼻科や歯科やアレルギー科などでも原因が特定されることも覚えておきしっかり検査していきましょう。
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