裸足になった時、ふと自分の足の裏を見て「あれ、なんか黄色いな」と感じた事はありませんか?痛くもないし、肌が荒れているわけでもないし・・・と気になっても、そのままにしている人がほとんどではないでしょうか。また、自分だけではなく子供や友人の足の裏を見て黄色いと感じる事があるかもしれません。
今回はそんな「黄色い足の裏」に関して情報をまとめました。そこには病気にも関わる意外な事実が隠されていました。
足の裏が黄色くなる原因
足の裏が黄色くなる原因はいくつかありますのでご紹介します。
柑皮症
柑皮症は食べ物に含まれるカロテンを過剰に摂取した際に、カロテンの色素が皮膚に沈着して黄色くなる症状です。
カロテンは主に柑橘類に多く含まれておりミカンを食べ過ぎて手が黄色くなった、なんて話はよく耳にするのではないでしょうか。カロテンは他にもニンジン、カボチャ、マンゴー、トウモロコシなどにも多く含まれています。また、肌の角質層に沈着しやすい性質を持つ事から足の裏や手のひらに症状が現れやすいのも特徴です。特に子供は皮膚が薄く、同じ摂取量でも色が目立ちやすくなっています。
柑皮症の場合はカロテンの過剰摂取を辞めれば肌の色は元に戻ります。
・注意点
ただ単にカロテンの過剰摂取の場合は摂取量を減らすだけで対応できます。ですがカロテンは脂溶性(脂に溶けやすい)のため、高脂血症がある場合に血中のカロテン量が増え柑皮の症状が現れる事があります。過剰摂取に心当たりが無い場合や症状が改善されない場合は高脂血症の検査をする事をオススメします。
貧血
貧血の人は顔色が悪くなり、肌が黄色っぽくなる人もいますね。これは貧血症状により血中のヘモグロビンが減少し赤みが薄くる事で、結果的にカロテンやビリルビンなどによる黄色が強くでてしまう事によるものです。貧血は様々な疾患を含んでいる可能性がありますので検査を受けて原因を調べて貰いましょう。
汗による変色
足の裏は黄色の色素を含む汗を出す「アポクリン腺」という汗腺が多く分布し、黄色くなりやすい傾向にあります。この場合は靴下や靴の中敷まで黄色くなる事があり臭いの原因にもなります。
角質の変色
足の裏(特にカカト)は角質がたまりやすい部位の一つです。その角質が変色し黄色く見える事があります。見た目も悪いですがそれ以上に角質には雑菌が繁殖しやすくなっていますので、こまめなケアを心掛けましょう。
黄疸
血中のビリルビンが増加する事により、足の裏が黄色くなる事があります。ビリルビンとは古くなって破壊された赤血球中のヘモグロビンからできたもので、黄色い色素を持っています。
また、足の裏だけでなく手のひらや爪、顔などが黄色くなる事もあり、特に白目が黄色くなった場合は変色が肌(特に黄色人種の肌色)と比べわかりやすく、ビリルビンが原因で起きた変色かどうかの判断基準となっています。血中にビリルビンが増加する原因はいくつかありますのでご紹介します。
肝機能の低下
これは正常な時には尿や便と一緒に排泄されるビリルビンが、肝機能が低下する事で血液中に流れて出てしまう事によるものです。この時ウイルスやアルコールなどにより肝細胞が破壊され急性肝炎を起こしている可能性があります。
肝臓は沈黙の臓器とも言われ、障害があっても症状が現れにくいのが特徴です。黄色くなっている事が疾患のサインとなっている場合がありますので、見落とさないようにしましょう。
新生児黄疸
生後間もない赤ちゃんは肌や白目が黄色くなっている事があります。これを新生児黄疸といいます。赤ちゃんは母親の胎内にいる間は酸素の補給の効率が悪く、それを補うため赤血球を多く持っています。その後、肺呼吸に変わった際には過剰な赤血球が破壊され、多くのビリルビンが生成される事により黄疸が現れるのです。また、肝機能が未発達でビリルビンの排泄がうまくいかない事も黄疸が現れやすい要因の一つとなっています。
新生児黄疸は多くの新生児に見られる症状で生後2、3日で発症し10日程で落ち着くと言われており特に心配の必要はありません。ですが新生児黄疸が10日を過ぎ長期に渡り症状が改善されない場合には、他の病気の可能性があり注意が必要です。代表的なものとして以下のものが挙げられます。
新生児溶血性黄疸
母親と赤ちゃんの血液型が異なる場合、胎児の赤血球に対する抗体が母親の中で作られ、その抗体が胎盤を通じ胎児の中に移行される事があります。この抗体が赤血球を破壊し、ビリルビンが生成され黄疸が現れます。生まれて直ぐに黄疸の症状が現れたり、貧血の症状が見られる事が特徴です。
核黄疸
ビリルビンの数値が高い状態が続くと脳内にビリルビンが蓄積し、脳性マヒなどの後遺症が残る場合があります。核黄疸は治療が難しく、予防することが重要とされています。
先天性胆道閉鎖症
肝臓で作られる「胆汁」と呼ばれる消化液があり、通常は腸へと送られ消化を助ける役割を持つのですが胆汁が通る胆管が塞がってしまう事があります。行き場を無くした胆汁が血液中に流れ込むのですが胆汁にはビリルビンが含まれており、その結果黄疸が現れます。一万人に一人と言う珍しい病気ですが、気付かず放置すると命に関わる可能性もありますので早期発見が重要となっています。
それぞれの対処・治療方法
足の裏が黄色くなる原因はいくつもありました。その中には重大な病気のサインとなっているものもあり、なんらかの対処や治療を行う必要がありますのでご紹介します。
柑皮症
特に治療は必要ありません。カロテンを多く含む食材の摂取量を減らせば症状もなくなります。ですが高脂血症が隠されている場合もありますのでそちらの検査を行う事をオススメします。
貧血
貧血は偏食などにより鉄分やビタミンC、ビタミンB12、タンパク質が不足している際に起こりやすいとされています。食生活を見直しバランスの良い食事を心掛けましょう。
特に重要な鉄分を多く含む食材として、貝類、レバー、小松菜、ヒジキ、抹茶などが挙げられます。貧血の進行具合によっては錠剤などにから足りない栄養分を補給する必要があります。
足の裏の汗
足の裏は汗をかきやすい場所です。通常の温度調整の役割に加え、手のひら同様に緊張による汗も出やすくなっています。更に靴下やストッキングで覆われている事が多い為、蒸発しにくい事も理由の一つです。
また、角質が多い部位であるため色素や菌が染み込みやすくなっています。毎日足の指の一本までしっかりと洗いましょう。靴や靴下を清潔に保つ事もポイントです。
角質
ヒールを履いたり、立ち仕事などにより足の裏への負担が大きいと角質も多くなってきます。また足の血行不良や栄養不足、水虫などの病気も角質を増やす原因とされています。黄色く変色してしまった角質は見栄えも悪く清潔感も薄れてしまうので、日頃からしっかりとケアをしておきましょう。
・ケア方法
角質をお風呂で柔らかくした後、専用のヤスリで角質を削り落とします。一度キレイにした後、化粧水・ハンドクリームを塗布し上からサランラップを巻きつけ保湿します。フットケアサロンなど本格的なケアを行っている施設もありますので利用してみてはいかがでしょうか。
角質に痛みや痒みを伴う場合は皮膚科などの医療機関へ相談する事をオススメします。
肝機能の低下
肝臓は症状が出にくく、黄疸など何かしらの異変が現れた際には病気が進行してしまっている事が多いようです。そうならないために健康診断や検診を定期的に受診する事が大切です。また、日常生活の中でも肝臓を労る事を心がけましょう。肝機能回復に良いとされるものをいくつかご紹介します。
- 肝臓に良い食べ物・・・レバー、牡蠣、うなぎ、ナッツ類、ブロッコリーなど
- アルコールを控える・・・アルコールを分解する事は肝臓に大きな負担となります。1回に呑む量や回数を減らす、アルコール度数を低いものに変えるだけでも肝臓を労る事に繋がります。
新生児黄疸
黄疸自体は殆どの赤ちゃんに見られる症状ですが、その内の2割程が治療の必要があると言われています。特に低体重で生まれてきた赤ちゃんは内蔵の機能が未発達であり、発症率が高い傾向にあるようです。
光線療法
保育器に入れた赤ちゃんに、青白色や緑色の光を当てる治療法です。これにより体内のビリルビンが水に溶けやすくなり、体外へ排泄させる事によって血中のビリルビン値を下げられるのです。
基本的には24時間ずっと治療が行われ、授乳なども制限される場合があるようです。治療後の検査結果次第では延長して治療が行われます。
交換輸血
ビルリビンの値が高く重症の場合は交換輸血により血液を入れ替えます。
胆道閉鎖症
閉鎖している胆管の変わりに小腸を肝臓へ結合する手術が行われます。手術が困難な場合や効果が見られない場合は肝臓移植が必要とされています。
まとめ
足の裏が黄色い事について、簡潔にポイントをまとめました。
【柑皮症】
カロテンを多く含む食材の過剰摂取により起こります。特に治療は必要ありませんが、高脂血症が隠されている場合がありますので注意が必要です。
【貧血】
血中のヘモグロビンが減少する事で赤色が薄くなり黄色が強く現れます。鉄分などの栄養不足が主な原因ですが、他の疾患による貧血の場合は適切な治療が必要です。
【汗、角質】
足の裏は汗や角質が多い場所であり、黄色く変色する事があります。日頃のケアを行い清潔に保つ事が重要です。
【肝機能の低下】
通常、体外へ排泄されるビリルビンが肝機能の低下により、血液中へ流れ込む事が原因です。黄色くなる症状が現れている頃には病気の進行が進んでいる事が多く、様々な疾患の可能性が考えられます。日頃から飲酒などで肝臓に負担をかけている人は注意が必要です。
【新生児黄疸】
多くの新生児に黄色くなる症状が見られます。通常は時間の経過と共に黄色が薄くなっていきますが中には「核黄疸」や「新生児溶血性黄疸」、「胆道閉鎖症」など治療が必要となる場合があります。
【最後に】
足の裏が黄色くなる原因は様々です。治療が必要なものや中には命に関わるような重病が隠されている場合もあります。また、そんな症状が大切な赤ちゃんに現れる事も多く、少しでも疑問に思えばためらわず検査に行く事をオススメします。