年齢とともに気になる目尻のしわや眉間のシワ。年齢によるお肌のハリを取り戻すのは難しいので、手術を必要としない、プチ整形を始める人が増えています。プチ整形の1つに、ボトックス注射があります。手術に比べて手軽な値段で始められることや、元に戻せるというメリットが人気の理由です。
ここでは、「ボトックスってそもそも何?」という人や、効果や副作用について詳しく知らない人の為に、ボトックスの詳細をまとめてご紹介します。
ボトックスについて
ボトックスの事を詳しく知らない人でも、シワに効果的という程度は知っていると思います。
シワと一概に言っても、ボトックスが効果的な場合と効果的でない場合もあります。ボトックスがどんなシワに対して使用されているのか、効果的な箇所を知る為に、ボトックスの概要、メカニズム、主な使用用途についてご紹介します。
ボトックスとは?
皆さんが「ボトックス」と呼んでいるのは、実はボツリヌストキシン製剤の代表的な商品名ことで、正体はボツリヌストキシンの事です。このボツリヌストキシンは、ポツリヌス菌と呼ばれる毒素から抽出されたタンパク質の1種で、骨格筋弛緩薬に分類されます。
これを美容注射として対象の箇所注入することで筋肉麻痺を起させ、シワ治療や美肌治療、痩身や様々な部位に効果的だと美容医療現場で用いられています。「ポツリヌス菌の毒」と聞くと、とても体に悪そうで手が出しにくいですが、アメリカでも美容整形だけでも10年以上の歴史があります。
ポツリヌス菌の持つ毒素は強力ですが、ボトックス注射で使用されているものは、致死量の100分の1以下です。アメリカのFDA(米食品医薬品局)で許可され、安全性は既に確立されています。
ボトックスのメカニズム
「ポツリヌス菌の毒」と聞くと、この毒が一体私達の体の中でどのような働きをするのか、気になる人も多いと思います。ボトックスは、一言で言うと筋肉を麻痺させて動かさないことで、筋肉を小さくする治療法です。
中でも、効果的な表情ジワに使用する場合と、エラに使用する場合のメカニズムを詳しく説明します。
シワの場合
通常筋肉を動かす時には、脳神経からアセチルコリンという伝達物質が分泌され、その刺激が筋肉に伝わり、筋肉が動きます。例えば、眉間の表情じわの場合、アセチルコリンが多く分泌されることで、眉間の筋肉がたくさん働き、時間の経過とともにしわが現れます。
ボツリヌストキシンは神経からアセチルコリンを抑える働きがあり、筋肉麻痺を生じさせます。筋肉の動きが和らぐことで表情シワを減少させることが出来ます。
エラの場合
小顔注射としてエラにボトックスを注入するのも人気です。エラの部分が張って顔が大きく見えるという悩みを抱えている人がいます。エラが張っている原因として、骨格の問題だと考える人が多いですが、実は咬筋(こうきん)というエラ部分の筋肉が盛り上がることで顔を大きく見せている場合が多くあります。
骨格が原因ではなく、このような筋肉が原因の場合は、エラにボトックスを注入することで、小顔効果が期待出来ます。この治療方法は、筋肉の動きを弱める治療法です。筋肉は使わなくなると、痩せていきます。
ボトックスをエラに注射して、エラの筋肉の動きを麻痺させて、筋肉を使わないことで収縮させ、顔を小さくする治療法です。エラに注入した場合、注入後から3日~7日程度で筋肉が動かなくなるのを感じ、3~4週間程度エラの筋肉が徐々に小さくなっていくといわれています。
個人差はありますが、3~4ヶ月で痩せたと感じるようになると言われています。筋肉が痩せると皮膚がたるみます。その為、もともと顔にたるみがある人は、ボトックス注射をすることで、よりたるみが気になる人もいます。
ボツリヌストキシンの使用用途とは?
ボツリヌストキシンは、もともとは眼科や神経内科などで眼瞼や顔面痙攣の治療として使用されていました。しかし、他にも様々な効果があると知られ、近年では美容外科治療で使用されることが増えています。
眉間や額、目尻のしわなどは、従来用いられていた手術などの方法では治療が困難だと言われていました。困難にしていた理由は、皮膚に付いた筋肉の表情筋の収縮が大きく関与しているからです。この問題を解決したのが、ボツリヌストキシンです。これを表情筋に注入して麻痺させれば、シワを減らしたり、消滅させることが出来ます。
美容医療でのボツリヌストキシンの使用方法は、子顔や額や目尻の表情じわ治療、ふくらはぎの痩身、多汗症、わきがなどの改善と、幅広く使われています。他にも、肩こりや顎関節症、 肩をホッソリさせる美人肩の治療に用いる整形・形成外科もあります。
ボトックスとヒアルロン酸注射の違いについて
ボトックスの他にも、シワ治療の人気の施術方法に「ヒアルロン酸注射」があります。ボトックスは、表情ジワの改善に優れていて、額や目尻、眉間などが適している箇所と言われています。
一方で、ヒアルロン酸は鼻・目じり・ほうれい線・胸など適応箇所が多数あるのが特徴です。ここでは、それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。
ボトックスのメリットとデメリット
ボトックスは、表情ジワの改善に優れている為、額・目じり・眉間などの改善に適しています。手術する必要がなく、費用も安くダウンタイムもなく施術ができ、更に効果が徐々に現れてくるので、人に気付かれにくいです。
半永久的でないことや、注射が痛いことがデメリットして挙げられます。
メリット
■注射による簡単な治療方法
手術を行わない為、体への負担が少なく短い時間で回復することが出来ます。
■費用が安い
エラ削りなどの整形手術を行うよりも費用が抑えられます。ボトックスの費用の相場は1万円~5万円程度です。顔全体やわきがなど広範囲の場合は10万円~30万円程度です。
■細かく調整できる
注入する位置や量の単位、深さなど細かく調整することが出来ます。
■翌日からメイクやシャワーが可能
手術よりも制限が少なく、翌日からメイクやシャワーが可能です。
■自然と効果が現れる
施術を受けてから、徐々に効果が現れるので、周りに気付かれにくいです。
■気に入らなかった場合、元に戻る
手術は元に戻すことは出来ませんが、ボトックスの場合は、効果が切れれば元に戻ります。
デメリット
■即効性がない
表情ジワの場合、注入してから2日~3日、小顔効果の場合は2週間~1ヶ月かかると言われています。
■持続期間は半永久的ではない
個人差がありますが、効果の持続期間は、3ヶ月~6ヶ月ほどと言われています。効果を持続させたい場合は、数ヶ月1回継続して施術を行う必要があります。
■注射が痛い
麻酔を希望することが出来ますが、それでも押すような痛みがあると言われています。感じ方には個人差もあり、場所にもよりますが、我慢できるほどの痛みという人もいます。
■内出血や腫れがでる場合がある
注射したことで、人によっては内出血や腫れを伴うことがあります。
■副作用が出る場合がある
場所によっては、副作用と感じるような症状が現れます。例えば、額にボトックスを打った場合に、表情の強張りが出やすいです。眉毛をいつも上げるようなしぐさをする人は、瞼が重たくなったように感じます。また、痩せることで皮膚がたるんだなどを副作用と感じる人もいます。
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸とは、粘性が高く皮膚や筋肉、軟骨をつくる主成分です。人の体には37兆個もの細胞があり、この細胞同士をくっつけて結合組織を作っているのが、ヒアルロン酸です。人が人の形を維持するのに欠かせない成分です。また、ヒアルロン酸は、高い保湿性、水分保持力が特徴です。
このヒアルロン酸は、膝の軟骨の痛みをとる際に使用されたり、ほうれい線や目の下のシワ治療や鼻を高くしたりするのに、使用されています。ヒアルロン酸をへこみのある部分に注射し、内側から隆起させることでシワを伸ばしたり、ふっくらとさせることが出来ます。
従来使用されていたコラーゲンは、たんぱく質で出来ており人によってはアレルギー反応を起こす人もいました。これを解消したのがヒアルロン酸です。ヒアルロン酸は、アセチルグルコサミンとグルクロン酸が結合した層です。純粋なヒアルロン酸だけを注射していれば、アレルギーを起こす心配はありません。
長期間効果を持続させる為に、余計な成分が入っているものは、副作用が現れたり、トラブルの基になります。「このヒアルロン酸は長持ちしますよ」という言葉をかけられた場合は、成分を疑いましょう。ダウンタイムがなく、即効性があるので人気の施術の1つです。
メリット
■注射による簡単な治療方法
手術を行わない為、体への負担が少なく、短い時間で回復することが出来ます。
■費用が安い
エラ削りなどの整形手術を行うよりも費用が抑えられます。ヒアルロン酸1本1cc4万円~6万円だと言われています。クリニックによっては余ったヒアルロン酸を冷蔵庫で保管して、次回に再利用できるところもあります。
■細かく調整できる
すぐに効果が目で見て分かるので、鏡で状態を確認しながら注入量を調整することが出来ます。また、適応箇所も多数あります。一般的には、鼻・目じり・ほうれい線・胸などですが、他の部分にも注入可能です。
■当日からメイクやシャワーが可能
手術よりも制限が少なく、当日からメイクやシャワーが可能です。
■安全性が高い
もともと、体内にある成分なので、純粋なヒアルロン酸だけであればアレルギーが起こる心配はありません。また、ヒアルロン酸は1本売りが基本ですので、他の人が使ったものを、使いまわすといったことがなく、衛生面にも優れ新鮮なものを使用できます。
■即効性がある
ヒアルロン酸をいれてすぐに効果が実感できます。
■気に入らなかった場合、元に戻る
手術は元に戻すことは出来ませんが、効果が切れれば元に戻ります。また、溶解剤を使えばヒアルロン酸を無くすことも出来ます。
デメリット
■効果が短い
体内に吸収されてしまうので、効果が一生続くわけではありません。個人差がありますが、効果は3ヶ月~半年ほどと言われています。効果を持続させたい場合は、数ヶ月1回継続して施術を行う必要があります。
クリニックによっては5年持つなど言われるところもありますが、入れた最後の1滴がなくなるのが、5年後ということで、満足いく状態を保っているわけではありません。
■注射が痛い
注射が痛いのは、どの施術も同じです。痛みを緩和したい場合は、麻酔を希望することが出来ます。
■内出血や腫れがでる場合がある
注射したことで、人によっては内出血や腫れを伴うことがあります。
■副作用が出る場合がある
ヒアルロン酸を打ち続けると、針穴の部分の皮膚がたるんでくると言われています。また、医師の技術不足による副作用も何件か、報告されています。
ボツリヌストキシン製剤について
ボツリヌストキシン製剤は、ボトックス以外にも種類がたくさんあります。美容外科では、ボトックス以外の商品も扱い、値段も様々です。
ここでは、日本で使用されている有名なボツリヌストキシン製剤についてご紹介します。
ボトックスビスタ
ボトックス注射で使われている「ボトックス」の正式名は、アラガンジャパンが取り扱う「ボトックスビスタ(BOTOX VISTA)」です。この商品が元祖のボツリヌストキシン製剤で、こちらの商品名を省略してボトックスと呼ばれて、普及されました。
この商品は、厚生労働省から認可を受けており、品質管理も十分されていることから、安全性が高いです。世界中で使用実績があり、症例数も多いので信頼性もあります。熱に弱く、複合タンパク質を含む点がデメリットとして挙げられます。
長期に使用すると、人によっては抗体が出来て効果がなくなると指摘もありますが、一般の美容領域内で使用する分には特に問題はないと考えられています。
他のボツリヌストキシン製剤と比べると商品の値段が高いです。安全性や信頼性を重視する人、初心者の人にはオススメの製品です。都内のクリニックを比較するとほとんどのクリニックがこちらの製品を使用しているようです。美容皮膚、美容歯科で有名な湘南美容外科ではボトックスビスタを使用した、エラボトックスは20,000円で施術可能です。
ゼオミン
ボトックス以外のボツリヌストキシン製剤で有名なものはドイツ、メルツ社製の「ゼオミン(Xeomin)」です。一般的に、ボツリヌストキシン製剤に、不純物が多く入っていると、人によっては抗体が出来、繰り返し注射を行った場合に効果が現れずらずらく、効果の持続期間が短くなる事があると言われています。このトラブルを解決したのがゼオミンです。
このゼオミンは不純物を限界まで除去し、他の製品に比べて10分の1に抑えています。また、アメリカのFDA、欧州のCE、韓国のKFDAで認可を得ている為、信頼性が非常に高い製品です。
高品質の為、料金も比較的に高いですが、何度注射しても効果が現れやすく、持続期間も個人差がありますが、半年から1年程度と言われています。品質が安定し、長期に渡って使用できる製品と言えます。しかし、どうしても割高になってしまう為、こちらの商品を取り扱っているクリニックは少ないです。高州クリニックでは5万円で施術できます。
ニューロノックス
韓国のメディトックス社製「ニューロノックス(Neuronox)」も日本で取り扱っています。この製品は美容大国の韓国で美容治療として多く使用されています。
ニューノロックスはボトックスビスタと比較すると、30%ほど料金が安いのがメリットです。韓国の食品医薬品安全庁から認可を得ています。値段は安いですが、韓国の症例も多く、認可を受けていることから、安全性も信頼性も高いと言えます。
抗体や温度変化の問題はボトックスビスタ同様に発生しますが、こちらも一般の美容領域内で使用する分には特に問題はないと考えられています。
リジェノックス
リジェノックス(Regenox)も韓国製のボツリヌストキシン製剤です。こちらも韓国の食品医薬品安全庁から認可を得ています。こちらも料金が安く、日本での症例がたくさんある為、安く安全性の高い商品と言えます。
湘南美容外科ではリジェノックスを使用した、エラボトックス9,720円で施術可能です。
ボトックス注射の注意点について
プチ整形と言っても「失敗した」という声も中にはあります。その理由として、考えられる副作用を事前に把握していなかったり、安さに引かれてよく分からない製品を使ったり、技術不足の医師を選んでしまうことが挙げられます。
ボトックス注射に興味がある人は、事前に知っておきたい、失敗しない為の注意点を覚えておきましょう。
ボツリヌストキシン製剤の確認
クリニックの中には、ボツリヌストキシン製剤を表記していない店もあると言われています。上記で紹介した製品は品質や信頼性の高いものです。しかし、ボツリヌストキシン製剤の中には安価で中国製の品質管理が雑なものも存在します。
美容治療を施術しようと考えている方は、まずは担当する美容クリニックがどのボツリヌストキシン製剤を使用しているのか確認しましょう。
次に、ボトックス注射が影響を与えるのは製剤のフレッシュ具合です。ボツリヌストキシン製剤は通常、大きな瓶に入っており、患者に必要な分だけを注入します。通常開封後1週間が使用期限と考えられていますが、開封後数日で次第に効果が弱まっていくとも言われています。
ボトックス注射が人気クリニックであれば、患者数も多く製剤の回転も早いと考えられます。フレッシュな製剤を使用される可能性が高い方が、より効果が期待できます。
医師のスキルや実績を確認
いい製剤を選んだとしても、担当する医師のスキルや実績がないと失敗する可能性があります。
判断基準の1つとして、ボトックスビスタ認定医かどうか確認しましょう。人気のクリニックは、銀座院や横浜院など複数の店舗を持っています。クリニック全体の口コミではなく、店舗ごとの口コミ状況を確認するのも1つの手段です。
また、スキルのある医師を選んだとしても、自分の描いていたものと結果が異なる場合もあります。ボトックス注射は、量や注射する位置、深さなど細かい調整をすることが可能です。自分の希望に近づける為にはカウンセリングをしっかりとし、考えられる副作用についても納得がいくまで事前に説明を受けておきましょう。
おわりに
年齢とともに気になる目尻のしわや眉間のしわ。これらの解決策の1つとしてボトックス注射があります。ボトックス注射は表情ジワの改善に適した治療方法です。
シワの改善にはヒアルロン酸やレディエッセなどもあります。あなたの悩みを改善できるかどうか確認するには、クリニックの無料相談を利用してみましょう。
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