トラネキサム酸について、美容に詳しい女性なら、もうすでにご存知かも知れません。このトラネキサム酸は女性の一番の悩みの、シミ・くすみにとても効果のあるお薬で、抗炎症作用やアレルギー効果などもあります。
シミやくすみだけでなく、ニキビやニキビ跡、美白美肌にも効果があるお薬です。はたしてトラネキサム酸の美容効果、炎症効果、止血効果は高い効果があるのでしょうか?
またお薬だけでなく色々な製品にも配合されています。トラネキサム酸について詳しく見てみましたので、一緒に見ていきましょう!
トラネキサム酸とは
トラネキサム酸とは、人工合成アミノ酸の一種です。メラニンが作り出されるのを、抑制する働きや、炎症を抑える働きがあります。肌荒れや、シミ、そばかすを改善予防する効果が見られます。
トラネキサム酸は長く医療現場で、血を止める目的として使われ、抗炎症、抗アレルギー効果、止血効果や、じんましん・湿疹などの治療薬として利用されてきました。
トラネキサム酸はジェネリック薬品です。医療機関で処方されるトラネキサム酸は「トランサミン」という処方薬です。
トラネキサム酸は必須アミノ酸の、リシンを元にして人工合成された、アミノ酸の一種で、厚生労働省から医薬部外品の「美白効果が期待できる」と認められました。
治療薬
1979年に肝斑(かんぱん)の改善効果が報告されました。それ以来肝斑の治療として使われて、現在では様々なものに利用されています。
シミ・そばかすの治療の内服薬や、肝斑改善を目的とした薬、美白を謳った化粧水などこのほかにも歯磨き粉など本当に沢山の、商品にも利用されています。
トラネキサム酸は生体内の、酵素プラスミンという血液を溶かす物質の、止血作用効果があって、止血剤としてプラスミンの働きを弱める事で、アレルギー症状や、腫れ、炎症などの症状を和らげることができます。
プラスミンも血液をスムーズに、流れるためには必要な物質ですが、しかしプラスミンが異常活発になると、出血が起こったり、出血が止まらなくなったりします。
その様な症状が起こった時に、プラスミンの異常活発を抑える薬として、トラネキサム酸が使用されるのです。
プラスミンは血栓を溶かす作用のある、タンパク質分解酵素で、プラスミンも私たちの体には、必要不可欠なタンパク質分解酵素です。
プラスミン作用を阻害するトラネキサム酸(商品名:トランサミン)は抗プラスミン薬で、抗プラスミン作用があります。
服用方法
トラネキサム酸として服用量は、通常は成人1日750~2000mgを、3~4回に分けて服用するのが一般的ですが、症状や年齢によって増減します。剤形別に見ますと1カプセルは250mgで、1日だと3~8カプセル服用となります。
薬の添付文書をみますと次の症状に適用されています。
- 全身性線溶亢進が関与する出血傾向は、白血病、再生不良性貧血、紫斑病、手術中、手術後の異常出血など
- 局所線溶亢進が関与する出血傾向には、肺出血、腎出血、鼻出血など、性器出血、前立腺手術中・手術後の異常出血など
- 口内炎における口内痛、口内粘膜アフター、扁桃腺炎、扁桃因、喉頭炎における咽頭痛
- 発赤、充血、腫れなど、
皮膚のアレルギー疾患にも適用されています。
- 湿疹
- 蕁麻疹
- 薬疹
- 中毒疹から起こる紅斑
- そう痒
- 腫れやかゆみなどの症状
喉の腫れなどの扁桃炎などの薬にも使われていて、三共ヘルスケアでは、ペラックT錠としてでています。
要するにトラネキサム酸は血を止める働きと、炎症を抑える働きとしての目的として使われていて、これらの関連する薬には、トラネキサム酸が広く使われています。
風邪など喉の痛みを緩和する、風邪薬などにも使われています。風邪の炎症作用を抑える効果があるため、風邪薬の成分にトラネキサム酸が、含まれている風邪薬もあります。
トラネキサム酸の特質効果
トラネキサム酸の働きは、止血作用と抗炎症作用の二つの働きがあります。
この止血作用と抗炎症作用の働きを利用して、色々な商品に使われ、効果をあげています。
止血作用
「繊維素溶解酵素」のフィブリンやフィブリノーゲンという、繊維素の働きを阻害する、プラスミンの働きをブロックする作用を、トラネキサム酸は持っています。
繊維素のフィブリンやフィブリノーゲンは、血栓を作る物質の一つで、怪我をした時にこれがなくなると、血栓を作る事ができなくて、血が止まらなくなります。
私たちの体の血液は、血液凝固因子により固まる働きと、凝固した血液を溶かす物質のプラスミンにより、繊維素溶解現象の線溶現象がうまく調和が取れて、滞ることなく血液が流れ、私たちの体の中の細胞に、栄養を届けているのです。
ですからプラスミンは血栓を溶かして、血液の流れをスムーズにしています。トラネキサム酸はこのプラスミンの作用をブロックして、血液の流れを止め止血作用が働いています。
抗炎症作用
プラスミンは血栓を溶かす以外に、血管を拡張したり炎症を引き起こしたりする、物質のキニンを遊離します。また血管の透過性を亢進させて、炎症班を活発にさせて酷くするはたらきがあります。
炎症が起きて発赤、腫れ、熱感、疼痛などをプラスミンは、起こさせてしまいます。ですから炎症反応をブロックする薬が、トラネキサム酸なのです。
扁桃炎や口内炎などの炎症作用に、トラネキサム酸配合の薬を用いる事で、症状を緩和でき、またアレルギー症状などの、症状を抑える働きも期待できます。
その他
トラネキサム酸は皮膚の色素沈着を抑制する効果があり、美容効果として、化粧品やあるいは美容クリニックなどで色々と利用されています。
トラネキサム酸は副作用がなく、安全性が高い事でも、利用価値が多くなっている一つです。副作用が全く無いわけではなく、重篤な副作用は殆どなく、また軽症な副作用も数がすくないです。
ただ生体内で血栓を溶かす、生体反応を抑制する働きがあるために、脳血栓や心筋梗塞、血栓性静脈炎の人には注意が必要となります。
歯茎の炎症や出血を抑える働きがあるため、歯磨き粉にも使われています。またトラネキサム酸は、ジェネリック医薬品なので薬価もやすいです。
先発品のトランサミンは、元々薬価が安く作られているため、余りその恩恵を受けている様に思われませんが、価格的にも安くて、安全な用途の広いお薬として、利用されています。
トラネキサム酸の美容効果
シミで皮膚科に行くのは、少し行きずらい感じがしますが、美容クリニックや美容皮膚科で、やっている治療はどの様なものがあるのでしょうか?
トラネキサム酸は2002年に厚生労働省から「美白効果のある成分」として承認されています。トラネキサム酸と日焼け止めサプリメントを併用すると、シミや美白効果が高くなります。
シミに効く効果のメカニズム
私たちの体が紫外線を浴びる事で、体の中ではメラニンを作らせる情報が、メラノサイトに情報伝達され、メラニンという色素を作り出します。
メラニン色素はチロシンというアミノ酸に、酵素チロシナーゼが作用して作られ、私たちが紫外線を浴びると、肌の細胞から分泌されることで、メラノサイトを刺激し、酵素チロシナーゼの量を、過剰に増やしてシミをつくります。
トラネキサム酸はその情報の中の、シミ発生物質のプロスタグランジンを、遮断することで、メラニン色素の酵素チロシナーゼの量を抑えて、シミ・そばかすを防ぐ事ができるのです。
肝斑にも効く
肝斑が発生しやすいのは30~40代で、高齢者では殆ど肝斑は発症しません。多くても50代後半までが症状の時期です。それは女性ホルモンが影響しているからです。
肝斑が発生するのは、女性ホルモンの影響もありますが、もう一つメラノサイトが活性化することも、原因の一つとなっています。
またタンパク質分解酵素のプラスミンが、肝斑が発症する原因影響があり、トラネキサム酸はメラニンが作られる前の段階で、メラノサイトの働きをブロックすることができます。
ですからシミができる前から、シミができるのを防ぐために、肝斑ができるのを抑える事ができるのです。
ただし肝斑の発症には、女性ホルモンが関係していますが、トラネキサム酸が女性ホルモンの、乱れを正常化するという事はありません。
皮膚科などではトランサミンで処方されますトラサミン錠ですが、市販薬ではトランサミン配合のトランシーノllの名前で、市販薬として販売されています。
トラネキサム酸配合のトランサミンは、抗プラスミン剤の抗プラスミン薬です。
美白注射
美容クリニックや美容外科などの治療に、美白注射トラサミンというものがあります。これは病院によって呼び方も、成分も違いますが、良く入っている成分は、トラサミン(トラネキサム酸)ビタミンC誘導体、アルブチン、カモミラETが入っています。
美白注射も即効性はなく、続ければ内服のトラサミン服用に比べれば効果は高いです。しかし1回や2回注射したからといって、美白・美肌になれる訳ではありません。
週に1~2回を1~2ヶ月ほど続けなければ、効果は現れてきません。またこれも副作用があるようです。ですので打たれる方は良く成分量や、有効性、副作用、危険性またトラネキサム酸の含有量などについて、しっかりと聞いて納得したうえで行うことが必要です。
クリニックで最初に行うシミ治療
美容クリニックや美容皮膚科で行う治療は、最初にカウンセリングをして、シミの種類について特定診断が行われます。
シミの種類によって治療方法が変わりますが、一番最初に行われるのは、どのシミについても内服薬が処方されます。この内服療法はビタミンC、主にシナール錠と、トラネキサム酸錠を服用します。
クリニックでレーザーで焼いてシミをとっても、レーザーだけではシミは綺麗に取れません。また一時的に取れたと思っても、またうっすらとシミは出てきます。
レーザーを当てる場合も、内服薬に2~3ヶ月内服療法のシナール錠と、トラネキサム酸錠を服用し、肌を整えてからレーザー治療が行われます。
また施術が全て終わっても、内服療法は続けられ、続けることでシミの再発を防ぐことになります。レーザー治療でも、効果が少なくかえって濃くなる人もいるようです。
シナール配合錠(ビタミンC)による効果
シナール配合錠は1959年から販売されている、シミ・くすみには欠かせないビタミン剤の一つです。ビタミンC(アスコルビン酸)が主な成分で、パテント酸を少量配合した、複合ビタミン剤です。
ビタミンCの作用として、メラニンの生成を抑制し、皮膚の色素沈着の改善、コラーゲンの生成を助け、また免疫力を高める働きがあります。
またストレスに強くなるステロイドホルモンを、つくる抗ストレス作用があり、酵素の働きを助けたり、美白効果、毛穴を目立たなくする皮膚の、分泌を抑える働きなどがあります。
即効性はありませんが、トラネキサム酸錠とシナール配合錠を、併用して服用することで、2~3ヶ月飲んでいると徐々に効果があらわれてきます。
用量はトラネキサム酸のシミの1日の摂取量は750mgです。トラサミン外用薬1錠が250mgなので、毎食後3錠のむと良い事になります。
このシナール配合錠と、トラネキサム酸錠を併用することで、美白、美肌効果は出てきす。美白作用は併用することで、効果が一層高くなります。
トラネキサム酸のシミに対する働き
トラネキサム酸は人工合成されたアミノ酸の一種で、抗プラスミン作用を持っていて、メラニンが作られる前段階で、メラノサイトの活性化をブロックします。
シミができる初期の段階から、シミができるのを予防するため、シミやくすみなどが改善される働きがあります。
しかし全てのシミに効果がある訳ではありません。肝斑、老人性色素班、炎症後色素沈着などの症状に効果的に作用します。ビタミンCのシナールなどと組み合わせて使うと、効果が高くなります。
トラネキサム酸とニキビ
トラネキサム酸はニキビの炎症を抑える効果と、ニキビ跡の色素沈着を起こさせない効果があり、トラネキサム酸の先発品は、第一三共から出ているトランサミン錠です。
ニキビ跡やニキビの炎症は、プラスミンが活発に活動することで起こります。プラスミンの働きを抑制する、トラネキサム酸錠を服用することで、プラスミンの生成を抑制します。
これによりニキビ跡やシミ・くすみなどが改善され、またニキビなどの炎症も抑える事が出来ます。ニキビ薬としてトラネキサム酸配合の薬を服用して、ニキビを治すことができます。
トラネキサム酸の副作用
副作用が起きたときは、医師か薬剤師にその旨伝える事が大切です。
重篤な症状としてけいれんが報告されています。妊娠・授乳中の方も同じ副作用が出た場合も、速やかに医師に相談してください。
副作用の症状
比較的副作用は少ないですが、食欲不振(0.61%)、悪心(0.41%)嘔吐(0.20%)、胸やけ(0.17%)、発疹(0.07%)、眠気などが報告されています。
別の止血薬トロンビンとは、一緒に服用ができないのです。それは併用することで、血栓ができてしまうからです。外来で時々処方されることが有りますので、気を付けましょう。
心筋梗塞、脳血栓、血栓性静脈炎、血栓症、腎不全などのある人は、血栓が安定化して、溶けにくくなる可能性がありますので、慎重に服用をするようにします。
過敏症状としては発疹、発熱、かゆみなどのアレルギー症状がおこることもあります。また胸やけ、食欲不振、吐き気、下痢、かゆみ、眠気などが起こる事もあります。
注意事項
服用量や服用時間、また剤形が色々ありますので、担当医及び薬をもらう薬剤師さんの指示を、正しく守って少なくともコップ1杯の水で、飲むようにすることが大切です。
少ない水分量でお薬を飲むことは、胃を荒らしますし薬の吸収が低下したりして、薬の効き目が悪くなることがあります。
またカプセルなどは特に少ない水ですと引っ付きやすく、食道に引っかかって胃炎や食道炎などを、起こす可能性もありますので、必ずコップ1杯の水で飲むように習慣づけてください。
また自己判断してお薬は飲まない様にして、必ず指示を守って飲むことが必要です。また抗プラスミン剤で副作用や過敏症などがある人は、必ず医師に伝えてください。
また血液凝固障害や、血栓症のある方は、またはその疑いのある方などは、必ず医師に伝える事が大切です。
まとめ
如何でしたでしょうか?トラネキサム酸について、詳しく見てきましたが、トラネキサム酸はとても安全な薬ですが、やはり注意を必要とする人もいます。
必ず自己判断で服用するのではなく、医師に相談して医師の処方の元、服用するのが大切です。健康な人は副作用など起きないかも知れませんが、過敏症などは急に起こる事もありますので、医師か薬剤師に相談されて、使用されるほうが良いのでは無いでしょうか?