下痢が黒い原因はなぜ?問題がある場合と問題がない場合の違いを知ろう!

あなたは、日頃から自分の便の状態を確認していますか?日頃から自分の便の状態をチェックしていると、便の状態が変化したことにより、早期に自分の身体の異常や病変に気付くことができます。

このように日頃から自分の便の状態をチェックしていても、実際に便の色が変わるとビックリしてしまいます。特に便の色が黒く変色していると、黒という色の持つ負のイメージから嫌な予感を覚えるかもしれません。ましてや、日頃から自分の便の状態を確認していない人は、気が動転してしまうかもしれませんね。

そこで今回は、便の色が黒い場合に考えられる病気、さらには便が下痢症状で黒くなっている場合に考えられる病気について、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

便の状態に関する基礎知識

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便の色が黒い場合に考えられる病気について説明する前に、まずは便の状態に関する基礎知識について、ご理解いただきたく簡単に説明をしたいと思います。

便の状態は、私達がイメージする以上に、多岐にわたります。

便の形状

人間の便は、通常は楕円形や棒形をしています。食物繊維や炭水化物を多く食べていると便の量が多くなり、楕円形・棒形が太くなります。そして、このような通常の便の水分量は、概ね60~70%とされています。

通常の便よりも水分量が多くなると、軟便となり便の形は楕円形・棒形から形が崩れていき、便の水分量が90%超となると完全に便は液状となって形は失われて下痢(下痢症状)と呼ばれます。

逆に、通常の便より水分量が少なくなるとスムーズな排便が出来なくなり、便が排出されない便秘(便秘症状)となります。

便の色

人間の便は、通常は茶色や黄土色をしています。この茶色や黄土色は胆汁に由来するとされています。

胆汁は、肝臓で合成される黄色・黄褐色の液体のことで、胆嚢で貯められて濃縮された後に、十二指腸に分泌されることにより、脂肪の消化吸収を助ける働きをします。そして、胆汁に含まれるビリルビンという物質が胆汁の黄色・黄褐色の元となっており、このビリルビンの色素が尿や便に混ざり排出されることで、尿は黄色がかった色になり、便は茶色・黄土色になるのです。

一方で、身体に異常・病気が起こると便の色にも変化が見られることがあります。異常・病気の可能性がある便の色としては、黒色便・赤色便・灰色便・白色便(乳白色便)・緑色便があります。

黒色便

便の色が黒くなる黒色便は、イカ墨を使った料理を食べた場合など特に問題の無い場合も存在しますが、胃や食道などの上部消化器系からの出血で胃がんといった深刻な病変の可能性もあります。そのため、消化器科などの病院を受診して検査や医師の診断を仰いだほうが良いでしょう。

ちなみに、血液は赤いので赤色便になるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、上部消化管で出血すると、排便に至る途中で血液に含まれたヘモグロビンが消化液などによって黒色に変色させられるので、便が黒くなるというわけです。

加えて、上部消化管からの出血による黒色便は粘度が高くなる傾向があり、見た目がコールタールのように見えることからタール便と呼ばれることもあります。

赤色便

便の色が赤くなる赤色便は、主に下部消化器系や肛門などからの出血が原因であることが多いとされています。肛門の痔といった場合もありますが、黒色便と同様に大腸などの下部消化管からの出血で大腸がん・潰瘍性大腸炎といった深刻な病変である場合がありますので、注意が必要です。赤色便に気付いたら、早期に病院を受診しましょう。

ちなみに、回腸などの小腸や大腸の大部分を占める結腸から出血があると便は暗赤色となり、大腸でも肛門直前の直腸や肛門から出血があると鮮明な赤に近い色の便(鮮血便)となります。

灰色便

前述したように、通常の便は胆汁に含まれるビリルビンの影響で茶色・黄土色となっています。この便を茶色・黄土色にさせるビリルビンを含んだ胆汁が、何らかの要因で分泌されない場合に、便の色が灰色の状態になることがあります。

胆汁が分泌されなくなる原因は、胆石・胆管閉塞・胆管あるいは肝臓の腫瘍などが考えられます。

白色便(乳白色便)

健康診断の胃部レントゲン検査で、造影剤としてバリウムを飲むと便が白くなりますが、こちらは問題ありません。

また、便の中に脂肪分が増える脂肪便になると白い色(乳白色)の便になることがあり、この場合は膵臓に異常・病変が発生している可能性があります。そもそも食事で摂取した脂肪は、膵臓から分泌される膵リパーゼという消化酵素で分解された上で消化吸収されます。

そして膵炎などで膵臓が機能低下すると、膵リパーゼの分泌が減少して脂肪が分解されず脂肪便になるわけです。ただし、一般的に日本人の食生活では脂肪便になるほどの脂肪分を摂取しない傾向にあるため、欧米人に比べて脂肪便による白色便の可能性は低いと言えるでしょう。

さらに、激しい下痢の際に白色に濁った便となる場合があります。この場合、コレラ菌による経口感染性の病気やロタウイルスなどによるウイルス感染症の可能性があります。

詳しくは、便が白いのは病気かも?考えられる原因と対処法を知ろう!便の色で分かることは?を読んでおきましょう。

緑色便

黒色便・赤色便・灰色便・白色便とは異なり、便の色が緑色になる緑色便は、特に問題となることはない場合がほとんどです。緑色便は、葉緑素を含んだ食べ物を大量に摂取することが、主な原因と考えられています。例えば、緑色野菜をスムージーや青汁などにして大量に飲んでいる場合などに、便が緑色になる可能性があります。

ただし、稀に食中毒や急性腸炎で下痢症状となる際に、ビリルビンが酸化して緑色の下痢便となる場合があるとされています。

詳しくは、緑色の便の原因は?病気の可能性と対処方法について!を参考にしてください。

黒色便でも問題がない場合

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前述のように、黒色便は特に問題の無い場合もあれば、深刻な異常・病変の可能性がある場合もあります。

そこで、まずは便の色が黒色に変化していても特に問題が無い場合について、ご紹介したいと思います。

黒色の食べ物を摂取した場合

黒い色素を含んだ食べ物を多く摂取すると、便の色が黒くなる場合があります。この場合、黒色の食べ物を多量に摂取した後に、一過性で便が黒くなるだけですので、特に問題はありません。

便の色が黒くなる食べ物としては、次のようなものが挙げられます。

  • イカ墨を使った料理
  • 海藻類(海苔・ひじき・わかめ・昆布など)
  • 黒米

ただし、このような黒色の食べ物を適度に食べている分には便が黒くなることはなく、あくまでも多量に摂取した場合に一過性で黒色便となる可能性があるにすぎません。

紫色の野菜・果実を摂取した場合

紫の色素を含んだ野菜や果実あるいはその加工品などを多く摂取すると、便の色が黒くなる場合があります。この場合も、黒色の食べ物を摂取した場合と同様に、摂取後に一過性で便が黒くなる可能性がありますが、特に問題はありません。

便の色を黒くする紫の色素を含んだ野菜や果実、あるいはそれらの加工品としては、次のようなものが挙げられます。

  • 茄子(ナス)
  • 紫キャベツ
  • ぶどう
  • ベリー類(ブルーベリー・カシスなど)
  • ぶどうジュース
  • 赤ワイン

ただし、このような紫色の飲食物を適度に食べたり飲んだりしている分には便が黒くなることはなく、あくまでも多量に摂取した場合に一過性で黒色便となる可能性があるにすぎません。

貧血治療薬を服用している場合

貧血を改善するために貧血治療薬を服用している場合は、便の色が黒くなって黒色便になる場合があります。

これは、特に鉄欠乏性貧血の症状改善や治療のため鉄分を含んだ鉄剤やサプリメントを服用している場合に、服用した鉄剤の一部が吸収されず排便に至る過程において酸化することが原因とされています。

鉄分を含んだ食べ物を摂取した場合

貧血治療薬と同じ仕組みで、鉄分を含んだ食べ物を大量に摂取すると、便の色が黒くなる可能性があります。鉄分を多く含んだ食べ物としては、次のようなものが挙げられます。

  • レバー
  • パセリ
  • ほうれん草
  • 海藻類(海苔・ひじき・わかめ・昆布など)

ただし、いくら鉄分を多く含んでいるからといっても適度に食べている分には便が黒くなることはなく、あくまでも大量摂取した場合に一過性で黒色便となる可能性があるにすぎません。

腸内環境が悪い場合

人間の腸内には、非常に多くの腸内細菌が生息しています。そして、この腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分類することができます。この腸内細菌の中で悪玉菌が優勢となった環境が長く続くと便秘症状になりやすく、排便できずに大腸に停滞した便は悪玉菌によって腐敗し黒く変色していく可能性があります。

特にデトックスや腸内洗浄などを実施すると、長い期間にわたって大腸内にこびりついていた宿便が排出されることがありますが、この宿便は黒色・黒褐色といった黒色便の場合が多いようです。

近年の研究によって、腸内環境が悪いと身体に様々な悪影響を及ぼすことが明らかになっており、腸内環境の悪さによる黒色便に問題がないとまでは言えません。ただし、生命の危機に直結するような深刻な異常・病変とまでは言えないという意味で、この場合の黒色便は問題がないと言えるでしょう。

黒色便で問題がある場合

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前述のように、黒色便は特に問題の無い場合もあれば、深刻な異常・病変の可能性がある場合もあります。

そこで、次に便の色が黒色に変化していた場合で、特に注意を要し問題があると考えられる場合について、ご紹介したいと思います。

急性胃粘膜病変

急性胃粘膜病変とは、突発的で急激な胃痛・腹痛、嘔吐、吐血、下血(血便)といった症状が現れる病変のことで、いわゆる急性胃炎(急性胃腸炎)や急性胃潰瘍・急性十二指腸潰瘍のことを言います。

もともとは、胃炎と消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)は別の病態と考えられていましたが、近年はいずれも同じ胃粘膜に関する病変として急性胃粘膜病変とまとめて呼ばれるようになっています。

急性胃粘膜病変の症状の一つに下血(血便)があり、黒色便という形で現れます。これは、胃や十二指腸の粘膜から出血して、排便に至る途中で血液中のヘモグロビンが消化液などによって黒色に変色させられ、便が黒くなるからです。

急性胃粘膜病変の原因

急性胃粘膜病変の原因は、非常に多岐にわたるので注意が必要です。具体的には、次のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • 解熱鎮痛剤など薬剤の副作用
  • 喫煙
  • アルコールの過剰摂取
  • 香辛料やカフェインなど刺激物の過剰摂取
  • 暴飲暴食
  • ピロリ菌感染

食道静脈瘤

食道静脈瘤とは、食道の粘膜の下を走行する静脈の血管壁が瘤(こぶ)のように膨れる病気のことです。

この食道静脈瘤それ自体は特に自覚症状は現れませんが、食道静脈瘤が破裂すると吐血や下血(血便)といった症状が現れます。そして、食道静脈瘤から出血した血液中のヘモグロビンが、胃腸などの消化管を経て排便に至る過程で黒色に変色して黒色便となります。

ちなみに、食道静脈瘤が大きい場合に破裂をすると出血量が多くなるので出血性ショック(循環性ショック)となり、生命の危機に晒される場合もあります。

食道静脈瘤の原因は、主に肝硬変などの肝臓の病気だとされています。

胃がん

胃がんは、胃部に発生する悪性腫瘍のことです。胃がんが発生しても、その初期段階では自覚症状に乏しく、早期発見は難しいとされています。

胃がんがある程度進行すると、自覚症状として胃痛・腹痛、吐き気・嘔吐・胸焼け、腹部膨満感、食欲減退などの症状が現れます。これらの症状に加えて患部から出血が生じることにより、貧血や黒色便の症状が現れることもあります。

胃がんの原因

胃がんの原因も、非常に多岐にわたるので注意が必要です。具体的には、次のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • 喫煙
  • アルコールの過剰摂取
  • 香辛料、カフェイン、塩分など刺激物の過剰摂取
  • ピロリ菌感染
  • ・性胃炎や慢性胃潰瘍

黒色便で下痢症状の場合

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ここまで説明してきたように、黒色便は特に問題の無い場合もあれば、深刻な異常・病変の可能性がある場合もあり、それぞれに複数の原因が考えられます。

それでは、黒色便で下痢症状でもある場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか?

下痢症状に腹痛を伴わない場合

黒色便で下痢症状であっても腹痛を伴わないのであれば、それほど心配する必要はないかもしれません。下痢は脱水症状を引き起こしやすいので、しばらく水分補給に気を配りながら経過観察しましょう。改善の兆しがなければ、病院を受診しましょう。

便が黒色になる原因は、前述のような黒色・紫色の食べ物の摂取、貧血治療薬の服用、鉄分含有の食物の大量摂取、腸内環境の悪化などが考えられます。

一方で、下痢となる原因については、別に検討しなければなりません。

下痢の発生メカニズム

腹痛の伴わない下痢症状では、主に3種類の発生メカニズムが考えられます。それは、分泌性下痢・浸透圧性下痢・運動亢進性下痢の3種類です。いずれにしても、生活習慣の見直しや、乳酸菌の摂取などで腸内環境を改善する必要があるでしょう。

分泌性下痢

分泌性下痢は、大腸などの消化管の粘膜からの水分・塩分の分泌が異常に高まることにより、大腸内の水分量が増加して下痢となる場合です。消化管の粘膜からの水分・塩分の分泌が異常に高まる要因は、主に細菌やウイルスの感染と考えられています。

浸透圧性下痢

浸透圧性下痢は、何らかの要因で大腸内の浸透圧が上昇することにより、高まった浸透圧を低下させようとして消化管粘膜から水分が大腸内に浸み出すために生じる下痢の場合です。

例えば、牛乳に含まれる乳糖やオリゴ糖などは難消化性の糖質で、これらが消化されずに大腸に到達して水分に溶けると大腸内の浸透圧が高まります。そして乳糖やオリゴ糖の濃度を薄めようとして大腸内に水分が浸み出し、その結果として下痢が生じます。

運動亢進性下痢

運動亢進性下痢は、ストレスや身体の冷えなどにより自律神経が乱れることにより、消化管の動きが過剰となることで、便が十分な水分吸収をされないまま大腸を通過してしまうタイプの下痢です。

食道静脈瘤の場合

黒色便で下痢症状であっても腹痛を伴わないのであれば、基本的にそれほど心配する必要はないかもしれませんが、食道静脈瘤の場合は早急に病院を受診して専門家である医師の下で治療しなければなりません。吐血が現れたり、黒色便が長く続いているようならば、早めに病院を受診しましょう。

食道静脈瘤の治療は、基本的に内視鏡を用いて患部を止血することになります。

下痢症状に腹痛を伴う場合

黒色便の下痢症状で、しかも腹痛を伴うのであれば、事態は深刻かもしれません。便が黒い下痢症状で、しかも腹痛を伴う原因として考えられるのは、前述した急性胃粘膜病変や胃がんの可能性です。

急性胃粘膜病変の治療法・対処法は、主に薬物療法となります。一方で、胃がんの場合には、その進行度合いによっても治療法・対策法は異なります。

まとめ

いかがでしたか?便の色が黒い場合に考えられる病気、さらには便が下痢症状で黒くなっている場合に考えられる病気について、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、便の色が黒く変色していると、黒という色の持つ負のイメージから嫌な予感を覚えるかもしれません。

しかしながら、便の色が黒く変色した黒色便といっても、全てが深刻な病変につながっているわけではなく、特に問題のない場合もあります。また、深刻な病変の場合であっても、早期に対処すれば、十分に回復の余地が存在します。

ですから、便の状態が変化したことにより、早期に自分の身体の異常や病変に気付くためにも、日頃から自分の便の状態をチェックするようにしましょう。

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