抗生物質を飲むと下痢になる原因は?対処方法はある?

仕事や家事、育児などで無理がたたって体調を崩してしまい、病院でお医者さんの診察を受けた経験ありませんか⁉︎

結局、薬局で抗生剤を処方してもらい、「自宅で安静にして、処方した薬は、食前あるいは食後にきちんと最後まで飲んでください。」と言われて、「薬を飲んだら、お腹の調子が悪くなって逆につらい・・・」なんて経験をされた方も少なくはないのでしょうか?

そんな経験をされた方のために、ここでは抗生物質と下痢についてお話ししたいと思います。

抗生物質ってどんな薬?

薬

「病院で抗生物質処方してもらって、家に帰って飲んで安静にしてたら病気が治った。」という経験をされた方も多いでしょう。あるいは、「抗生剤を飲んだら、お腹の調子が悪くなってしまった・・・」という方も少なくないでしょう。

でも、

「そもそも抗生物質って、いったいどんな薬なの?」

と思う方も多いのではないでしょうか?

そんな方のために、まずは辞書での定義を確認しておきましょう。

抗生物質とは、

antibiotic n.

a medical substance, such as PENICILLIN, that is produced by living things and is able to destroy or stop the growth of harmful bacteria that have entered the body.

Longman Dictionary of Contemporary English New Edition

抗生物質(名詞)

ペニシリンのように、微生物によって作り出されて、体内に侵入した有害なバクテリアの成長を止める、あるいは破壊することができる医学物質。

ロングマン現代英英辞典新版

うーん、理解できるような、できないような・・・でも、この定義から類推すると、抗生物質は「身体に有害なバクテリアをやっつけるか、バクテリアが増殖して身体に悪い影響を与えることを防いでくれる」ものであることはわかりますよね。

じゃあ、この定義にあるバクテリアとは、いったい何なのでしょうか⁈

バクテリアって何?ウィルスとどう違うの⁉︎

ウイルス

まず、バクテリアを辞書で確認してみましょう。

bacteria n.

very small living things related to plants, some of which cause disease; microbes – compare virus.

ibid.

バクテリア(名詞)

病気の原因になることもある非常に小さな植物性生物。微生物ーウィルスと比較せよ。

同書

バクテリアは、日本語にすると細菌と訳されますが、”some of which cause disease”/「(中には)病気の原因になるものもある」という定義があるので、

「(バクテリアの)種類によって、病気になる場合と病気にならない場合がある」

ということがわかります。

実は、私たちが良く耳にする善玉菌と悪玉菌とは、このことなんです。

「腸内環境を整えよう!」というCMのフレーズを聞いたことがある方も少なくないですよね。

もう、お気づきかもしれませんが、人体の腸内には細菌がたくさん存在しており、その中に、人体に良い影響を与える善玉菌と悪い影響を与える悪玉菌が存在しているんです。

ちなみに、善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さない「日和見菌」も存在します。善玉菌と悪玉菌、それから日和見菌については、後でもう少し詳しくお話しします。

最後に、バクテリアの定義の中に「ウィルスと比較せよ」とあるので、もう一度辞書でウィルスの定義を確認してみましょう。

virus n.

a living thing even smaller than bacteria which causes infectious disease in the body, in plants, etc.

ibid.

ウィルス(名詞)

バクテリアよりもさらに微小で、体内や植物などの中で感染症を引き起こす原因となる生物。

同書

(筆者訳)

とあります。

ウィルスが体内に侵入して感染すると、病気を引き起こす原因となるようですね。では、抗生物質はいったいどのようにして作られたのでしょうか?

抗生物質の由来

病院

1928年、イギリスでアレクサンダー・フレミングがペニシリンを偶然発見したのが、世界で最初の抗生物質と言われています。当時、イギリスロンドン大学セントメアリーズ病院医学校にあった彼の研究室の中は、相当散らかっていたそうです。

そんなフレミングが、自分の研究成果を整理しているときに、ブドウ球菌の培養実験で発生したアオカビの周囲に、ブドウ球菌の生育を妨げる領域が生じている現象を偶然発見したのが、のちにペニシリンと命名された最初の抗生物質であったとされています。

フレミング自身は、ペニシリンを単独で抽出できなかったのですが、1940年フローリーとチェインが単離に成功して、第二次世界大戦では多くの命を救ったとされています。

1945年には、それまで軍事用であったペニシリンが民間でも使用されるようになり、たくさんの感染症患者を救ってきた経緯があります。

では、多くの感染症患者を救ってきた抗生剤なのに、なぜお腹の調子が悪くなってしまうのでしょうか?

どうして抗生剤を飲むと下痢になるの?

お腹痛い

ここまで、抗生剤などの定義や人間の腸内には細菌がたくさん存在していることをお話ししました。抗生剤と下痢の話なのに、なぜ細菌の話なのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

でも、抗生剤の服用が下痢を引き起こしてしまうメカニズムを説明するためには、

「抗生剤とはどんな薬なのか?」

ということを理解する必要があります。抗生剤を服用すると下痢してしまう理由を知りたい方は、もう少しお付き合いください。

さきほど、バクテリアで触れた善玉菌と悪玉菌、それに日和見菌についてお話しします。

善玉菌のあれこれ

細菌

善玉菌は、その名のとおり、悪玉菌を抑えて腸内環境を良好にして、健康を維持する役割を果たしています。有名な善玉菌としては、乳酸菌やビフィズス菌などが挙げられます。

乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、腸の働きを正常に整えて、下痢や便秘などの異常を防ぎ、人体の免疫力を高めて、風邪や感染症などの病気になることを防いでくれています。

また、食物の消化や吸収を促して、ビタミンを合成する役割もあります。このようにして、善玉菌は、腸内環境を良好な状態に保ってくれているんですね。

悪玉菌のあれこれ

細菌

善玉菌と同じく、悪玉菌もその名前から、人体に悪影響をおよぼす細菌だと察することができます。ウェルシュ菌やブドウ球菌などが代表的な悪玉菌です。

このような悪玉菌は、腸内の状態を悪化させ、下痢や便秘といった症状を引き起こします。

また、アンモニアや硫化水素などの有害物質を生成して、人体の免疫力を弱めてしまいます。さらに、発がん性物質をも生成してしまいます。

赤ちゃんの腸内は、そのほとんどが善玉菌だったはずなのですが、年齢を重ねるとともに、少しずつ、この悪玉菌が腸内で増殖していき、身体に悪い影響を与えてしまうことになるのです。

日和見菌は⁉︎

じゃあ、日和見菌はというと、善玉菌や悪玉菌とは少し異なります。

通常は、ビタミンを合成したりなど、人体に有用な作用があるのですが、いったん悪玉菌が優位になって腸内環境が悪化すると、悪玉菌と一緒に有害物質を生成してしまいます。

大腸菌(無毒株)やバクテロイデス(無毒株)などが、その代表例です。普段は、人体に優しい働きをしているのに、悪玉菌が強くなると悪玉菌に協力してしまうんですね。

抗生剤を飲んだら下痢⁉︎

やっと、ここで抗生剤と下痢のお話です。

抗生剤には、病原菌をやっつける、あるいは病原菌の成長を妨げる働きがあります。つまり、抗生剤には殺菌作用があるのです。そこで、この殺菌作用を利用して、腸内に侵入したウィルスを殺菌することができるのです。

ところが、ウィルス殺菌のときに、ウィルスだけではなく、善玉菌も殺菌してしまいます。

すると、それまで腸内環境を支えていた善玉菌が殺菌されるので、腸内環境が悪化することになり、その結果、下痢の症状を引き起こしてしまうのです。

このように、抗生剤の服用が下痢を引き起こしてしまうのは、抗生剤の副作用であり、普通のことなのです。

つまり、抗生剤は「もろ刃の剣」、病原菌をやっつける時に善玉菌も殺してしまうのです。

もし、下痢の症状が出たら

医者

抗生剤を服用したときに下痢や軟便の症状が現れても、その症状は、抗生剤の通常の副作用であることが多いのです。そのような症状が現れても、医師の処方どおり、あわてず、きちんと抗生剤を服用しましょう。

ただ、1日に何度も、水状の下痢の症状に悩まされるような場合には、病院へ行って医師に相談したほうが良いでしょう。抗生剤の効能には個人差があり、人によって薬が合ったり、合わなかったりする場合があります。そのような場合には、他の抗生剤に変更してくれたり、追加で整腸剤を処方してくれることもあります。

抗生剤を変更してもらった場合でも、医師の処方どおりにきちんと薬を服用しましょう。

途中で抗生物質の服用をやめてしまうと、逆に悪玉菌に耐性ができてしまい、病気が悪化するおそれがあります。

症状が軽くなったからといって、自分でもう薬は必要ないと判断して、薬の服用を途中でやめてしまうのはくれぐれも避けましょう。

また、下痢の症状には個人差があります。自分の症状が軽いのか、それとも重いのか、判断できない場合もあるかもしれません。そんなときは、我慢せずに病院へ行って医師や看護師に相談しましょう。

まとめ

食事

日頃から腸内環境を整えておくことが大切です。

腸内環境のバランスが崩れる原因は、睡眠不足やストレスなどさまざまですが、年齢を重ねるにつれて悪玉菌が活性化する傾向にあります。

下痢や便秘などが続いて、「腸内環境が悪化してきているのかなあ・・・」と感じたら、早めに対応することをお勧めします。じゃあ、どうしたら良いのでしょう?

規則正しい生活を過ごして、しっかりと睡眠をとり、ストレスなどは避けるようにしましょう。適度に運動してみる、あるいは、運動が苦手な方は愛犬と近所の公園を散歩するだけでもかまいません。また、偏食を避けて規則正しく、バランスのとれた食習慣を身につけて、食物繊維やヨーグルトなどを毎日食べるように心がけましょう。

「千里の道も一歩から」さっそく、今日から始めてみましょう!

関連記事として、

下痢にいい食べ物、悪い食べ物を紹介!ヨーグルトはダメ?

妊婦の下痢の対策方法とは?食事や生活について!

お酒による下痢の原因を紹介!いったいどういう仕組み?

これらの記事も合わせてお読みください!

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする