風邪になった時にサウナに入る人がいるといいます。巷でウワサの「この方法」って、本当はどうなのでしょうか?デトックス効果で体内の菌やウイルスが排出されて風邪の治りが早くなるなどといいますが、この説の真偽は如何程のものなのでしょうか。
今回は、風邪の際にサウナに入るメリットやデメリットについて紹介します。いつも風邪の時にサウナに入っているという方や、知り合いにそういう人がいるけど・・という方は是非読んでおきましょう!
実際に体的にはどの様な効果が得られるのか、また危険性などについても紹介しますのでどの様な問題がひそんでいるのかについても知っていきましょう。
そもそも「風邪」って
風邪をひくと、体内でウィルスと戦うために発熱します。
昔から「風邪の時は温かくして」と言われていますが、それは体温が奪われると抵抗力が落ちるので、しっかり温まりましょう!ということです。
また、症状も様々ですので、時期や症状によっては専門医への受診も大切です。インフルエンザなどであれば、対処方法が変わってきます。
鼻水や痰は、デトックスの一つで鼻や喉から入ってきたウィルスなどを体外へ排出します。
悪寒は、体温の上昇に伴い、外気との温度差が生じますので、体感的に熱を奪われた寒さがその原因になります。
「頭寒足熱」という言葉があります。これは、漢字の通りで「頭を冷やし、足を温める」ことです。頭が高温になると脳に影響が出る場合があります。ですから、氷枕を使用して頭を冷やすのです。また、靴下を履いたりして足を温めるのは、放熱を抑えたり、抹消神経や毛細血管をケアする為です。
【豆知識①】高温の発熱には注意が必要
人間の体の大半はタンパク質です。タンパク質は約40度で固まり始める(蛋白変性)といわれています。なので、体温が38.5度を超えていると医師は解熱剤を処方することが多いのです。なぜなら、体の深部は、体温計で計った温度よりも高いからです。
でも、安心してください。42度のお風呂に入っても、80度のサウナに入っても、人間の体には体温調節の機能があるので、日頃は心配しなくても大丈夫です。
風邪などの体調が優れない時には、その体温調節が上手くできない体になっていますので、しっかりとしたケアが必要です。
【豆知識②】体を効率的に冷やすポイント
外部からの体温調節に有効な場所は・・・「太い血管」です。
血液を冷やしたり温めたりすることで、体がクールダウンしたり、温まったりします。そのポイントは「首筋(頸動脈)、わきの下(腋窩動脈)、足の付け根(大腿動脈)」です。
※冷やすには有効ですが、温めすぎには注意です。
ここには太い血管があり、効率よく血液を冷やしたりすることができます。この方法は、熱中症対策としてかなり有効ですので、風邪とは少し違うかもしれませんが、覚えておくといいです。真夏の夜に、500mlのペットボトルに水を凍らせて、タオルに巻いたものを太ももに挟んで寝ると快適だったりします。
もし、高温の熱が発生していてつらい症状が続いている場合には動脈を冷やすことを意識して、体を効率的に冷やして体温を上昇させすぎないようにしましょう。
サウナについて
サウナは今から2000年以上前の北欧フィンランドのガレリア地方が、その発祥です。
食料を貯蔵しておいたり、肉・魚やチーズをスモークする小屋がいつの間にか沐浴するところへと変わっていったそうです。
そのフィンランドの伝統的なサウナの方法が「ロウリュ」です。「ロウリュ」とは、焼けた石に水をかけて蒸発する水分によって、湿度と温度を上げる方法です。皆さんも一度はテレビなどで見たことがあるかもしれません。
【サウナの種類】
大きく2つのサウナがあります。
◎ドライサウナ
これは、湿度がかなり低く、温度が80~100度程度です。「カラッとした暑さ」の究極の状態と言ってもいいと思います。
地球上では、気候として気温80度というのは、まずあり得ないのですが、サウナは人工的に空間を作りますので、この環境が可能です。
また、ドライサウナでは、肌がピリピリするという人もいます。「唇が乾いた」なんて経験をしたことがある人もいるでしょう。このドライサウナに入る時に大事なことは「水分補給」です。せっかく汗をかくのに水を飲むの?という思う方もいるかもしれませんが、これを忘れると大変なことになります。「干物」になってはいけませんので。。。
デトックスの意味を考えると、汗として老廃物は出して、新しい水分を摂取することは、健康に正しくサウナと利用するためにとても大事なことです。
◎ミストサウナ
これは、霧が充満していて、かなり湿度が高い状態のサウナです。
梅雨時期のジメッとした日の更に高温多湿の状態です。「温度40度前後、湿度70~100%」くらいです。
ドライサウナとは違って、肌がピリピリするような刺激もなく、むしろ湿度によって体に潤いを与えてくれます。のどの渇きもなく、息苦しさもほぼありませんので、ゆっくりとサウナを楽しめます。ただし、ミストサウナも水分補給はお忘れなく!
通常のミストサウナのミストは、スプラッシュミストという大きさが約100マイクロメートルの霧です。ちょうど「霧と霧雨」の間くらいの大きさです。ミスト化粧水はだいたい「5~40マイクロメートル」の超微細ミストです。一般的には、50マイクロメートルより大きくなると、肌にまとわりつく感じで不快に思うと言われています。
サウナに化粧水のような効果効能をそこまで求めないでしょうし、しっかりとした潤いを肌で感じるスプラッシュミストのサウナはちょうどいいと思います。
※1マイクロメートル=1/1000ミリ
◎両方のサウナの共通点
・両方とも体が通常の体温以上にあるので、必ずセットであるのが「水風呂」です。これは、クールダウンとともに開いた毛穴を引き締める効果があります。水風呂に浸かるのが苦手な人は、冷たすぎない水のシャワーを浴びるのもいいです。
また、表面的に冷やすことで、体の芯からポカポカしてきます。これを繰り返すことで、新陳代謝がUPしたり、冷え性の予防になると考えられています。さらには、血管の収縮が適度に起こることで、血管年齢を若く保つ要因にもなると言われています。
・長時間ではなく、小まめに出入りをして、それと同時に水分補給をすることが大事です。
・持病のある方は、「入ってもいいのか?」「入り方の注意点」などを、医師に相談してからにしましょう。特に心疾患のある方や血管疾患のある方は、必ず医師に相談してください。
・実は、発汗効果は「ほぼ同じ」なんです。ですから、お好みや体調に合わせて、どちらのサウナに入ってもOKです。
「風邪とサウナ」の関係について
体を温めることで風邪のウィルスが死滅して、発汗することでデトックスされて症状が治まるというのが単純な理由なのですが、その理論が転じて「サウナに入ると風邪が治る」という話があるのです。
確かに、サウナに入ると体温は上がります。しかし、サウナは表面的に温度を上げる作用が強いので、体内のウィルスにどこまで有効なのか?は疑問があります。人によっては、サウナで汗をかくことで風邪の症状が治まる場合もあると思います。
ここで考えてみてください。
Q.サウナは、どこにありますか?
自宅にサウナがあるという方は少ないと思います。スーパー銭湯などでサウナに入っても帰宅するころには湯冷めしてしまいます。これでは、風邪が悪化しますよね。
また、公共の場所には様々な菌が自宅以上にいますので、抵抗力の弱っている状態で行くのはちょっと危険です。さらには、風邪を他人に移してしまう恐れもありますし、他の人の菌から更に感染症をもらってしまう事も考えられます。ですので、明らかに免疫力が低下している場合には、人が沢山出入りしている場所には近づかないほうが良いでしょう。
◎サウナに入るメリット
サウナに入ることのメリットには以下の様な物があります。
- 新陳代謝がUPする。
- 強制的な発汗で、デトックスできる。
- 毛穴が開き、発汗することでお肌にもよい。
- 体温調節機能が高まる。
などの効果です。基本的にはこれらの効果は体の体調が万全の場合に得られる効果ですので覚えておきましょう。
◎サウナに入るデメリット
サウナには、嬉しいメリットだけでなくデメリットも存在します。健康対策として有効なサウナですが、具体的にどの様な問題が発生してしまう可能性があるのかを見ていきましょう。
- 心臓疾患などの方は、発作を起こす危険がある。
- 火傷する場合がある。
- 脱水症状を起こす危険がある。
- 長時間のサウナは意識を低下させる恐れがある。
適切でないサウナに利用にはこのような危険が伴うことがあります。小まめに水分補給を行なったり、我慢比べなどをしながらのサウナの利用は控えるようにしましょう。
風邪を引いた時にサウナに行くのはやめた方が良い
風邪を引いた場合にサウナに入ると早く治りそうというイメージは、
- サウナ自体が健康を目的に使用されている施設であるから
- 体を温めることで菌を死滅できるのでは
- スチームサウナの湿度で喉の粘膜が潤いそう
- 汗をかいたら体温が下がりそう
などの効果を期待して、使用してしまう人もいるでしょう。しかし、実際には上記のような効果は得ることはできなさそうです。
既に体内に入ってしまって体調を悪化させている菌に対しては、自己免疫力の力で体温を上昇させて対応しないと、外気がどれだけ暑かろうと意味をなしません。寧ろ体力のみが消費されてしまい、体調が逆に悪化してしまう事もありそうです。
ですので、風邪を引いたときの対策法としては有効と言えない手段でしょう。
体温をもとに戻すために体力を消費する
サウナや入浴では風邪を引いている引いていないにかかわらず、体の脂肪を燃焼し、汗をかき、デトックス効果もありますが、上昇しすぎてしまった体温を元の体温に戻すためにはかなりの体力を消費します。
入浴やサウナなどは軽い疲労を伴うもので、この疲労感が健康時には睡眠導入効果などを促して快眠効果なども期待できる対策法になります。
しかし、風邪のときにはサウナや入浴などで無駄な体力を消費してしまうことはNGの行為になります。体力が奪われてしまうことは免疫力の低下に直結してしまう問題になります。
ですので、出来ればサウナは利用せずに汗をかいてしまっていたり体がベタついている場合には、シャワーで軽く体を流したり、体を濡れタオルで拭くなどの簡単な方法で対策するのが好ましいでしょう。
熱がない場合にはサウナは有効?
鼻風邪や喉風邪など、風邪の症状が一部にのみ発生している場合には、サウナが有効な場合もあります。
特に鼻炎などで鼻が慢性的に詰まっているなどの場合には、ミストサウナのミストを浴びて鼻の血流を良くして粘膜を潤すことで鼻が気持ちよく通る場合もあります。
また、喉の粘膜も同様に潤して温めることで炎症の痛みを軽減できます。
- 血行を良くすること
- 粘膜を潤すこと
この2点が有効に働いて、しっかり体力がある状態ではサウナは有効な効果を発揮しますのでその場合には利用してもいいでしょう。
風邪の予防にサウナは最適
風邪を引く前に、サウナを利用しておくことでデトックス効果や体温調整機能を整えることで風邪を予防することが出来ます。
特に喉などの粘膜に付着している菌をそれ以上侵食させないために、粘膜を潤して保護し、修復力を高めたり、血行を良くすることでも免疫力を高められます。
しかし、水分が異常に汗で排出されてしまった場合には便秘などの問題につながって、免疫力が低下してしまうこともありますので注意しましょう。
☆風邪をひいた時の対処法
ここに風邪をひいた時にどうするのがいいのか?をまとめてみます。
風邪の正しい対処法についておさらいしていきましょう。
・温かくして布団にしっかり入って寝る。
温かくしてということですが、体温を上昇させすぎることはNGです。
自然な発熱で菌を死滅させることが重要になりますのでしっかり汗を吸わせるためのシャツやパジャマなどを着て布団に入って睡眠をしっかり摂るようにしましょう。
とにかく寝ることが風邪を治すためには最も有効な手段になりますので、体を休ませるようにしましょう。
・汗をかいたら、すぐに着替えて水分を摂取する。
汗をかいたままの状態にしていると、汗が冷えてしまい体を冷やしてしまう事に繋がります。
ですので汗をかいてしまったらなるべくすぐに着替えるようにしましょう。
更にそれだけ汗をかくので、水分補給も非常に重要です。特に発熱が発生している場合にはのどが渇いてしまう前に小まめに水分補給をすることがポイントになります。
出来れば枕元にいつでも飲めるペットボトルの常温ポカリを置いておき、気づいた時に口に軽く含ませるのが最適です。
喉が乾くというのは、いわば非常に軽度の脱水症状の症状でもありますので、水分と電解質と適度の塩分などを水分補給で補っていきましょう。
・しっかり食べて、しっかり出す。
免疫力、体力ともに落ちている場合には消化のよいものがいいです。なるべく胃や腸に負担をかけないようにうどん、柔らかいおかゆ、など喉どおりが良くて栄養が取れるもの、噛まなくても消化が良いものなどを食べると良いでしょう。
※排泄はとてもいいデトックスです。糞便から菌を排出することで体調の改善が行われます。また腸内細菌を整えることで免疫力が格段に向上しますので、風邪の治りが早くなります。
・室内を加湿する
加湿器などを使用して室内の湿度を40%〜60%の間に設定していきましょう。
風邪にかかっているときが最も免疫力が低下している時期で、更なる感染症にかからないためにも、室内を加湿してウイルスを退治していくことが重要です。
なぜなら、特に注意が必要なインフルエンザウイルスが湿度20%の場合には多く存在しているのに対し、50%以上の湿度では20〜60%のウイルスの軽減が認められているからです。
この軽減率に関しては湿度だけではなく、気温も関係してきますが、特にインフルエンザや風邪が流行する冬には加湿の効果は絶大なものになります。
もし、家に加湿器がない場合でも、ハンガーに固めに絞ったタオルなどをかけて置くことや、部屋がワンルームならお風呂場にお湯を溜めて扉を開けているだけでも加湿がしっかり行えます。
しかし加湿のしすぎでは菌やカビが発生しやすくなる問題もありますので、適度に加湿を行って感染症の併発を予防していきましょう。
まとめ
ということで、『サウナに入ると風邪は治る!』というのは、ウソとは言いませんがあまり期待できない、できれば避けた方がいいということでしょう。
風邪をひいた時は、サウナに行くのではなく、食事と睡眠で治す方が得策といえます。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!