クラインフェルター症候群とは?症状・原因・特徴を知ろう!治療法や特徴は?

聞きなれない病気の名前ですが、これは非常に特殊で、遺伝子の染色体の異常によるものだそうです。

中学校の生物で、男女を分ける染色体がxxとxyというように習ったと思いますが、まさしくその異常が起こり、発症します。今回はこのクラインフェルター症候群についてお伝えいたします。

クラインフェルター症候群とは

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クラインフェルター症候群について紹介します。

クラインフェルター症候群の特徴

男女を分ける人の染色体に異常が生じ、男性にのみ現れる症状ですが、いわゆる女性化してしまうのが特徴的です。他にも、様々の病気を併発したり、身体の成長より、手足が成長してしまう、スネ等の毛が生えなかったり薄毛になります。

普通に生活できますが、なんらかの制約が出てしまう病気です。

1942年にハリー・クラインフェルター医師が研究し発表した症候群であるため、この名前が付いています。

常染色体

人の遺伝子にある染色体は、二つずつの23対あります。ですから46個あるわけです。そして、その染色体のうち、男と女を分けるのがxxとxyでその違いとなるような構造になっています。

人が受精すると、この染色体を母と父から一つずつもらいうけ、それが成長していきます。一つずつもらいうけることにことにより、それぞれに似たところが出てくるのです。

常染色体は、男女を分ける染色体以外の22対のことをいい、それぞれの染色体は人体の設計図になっているわけです。つまり、ここに、それぞれの細胞が果たす役割のものすごい数の情報が入っています。このクラインフェルター症候群の場合は、性別を分ける性染色体に異常がある訳です。

性染色体

男女を分ける染色体がxxとxyとなっていて、男性はxy、女性はxxとなっているのは、おそらく覚えていれば、中学生の頃に生物の授業で習ったかと思います。

受精した際に父方、母方から染色体をもらい、それがくっ付いて人の個体として成長していくのですが、その分裂の際の性染色体が、xxyやxxxとなってしまうことがごく稀にあります。その遺伝子異常の影響で、生まれは男性なのですが、完全に男性になりきれていないように成長してしまい、女性かしている部分もみられ、特徴的な身体付きになってしまうのです。

クラインフェルター症候群の症状

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不妊症

不妊症と聞くと、今までは女性ばかりに問題があると言われてきましたが、最近では男性側にも問題が多いことが分かってきています。ですから、子供がなかなかできない場合は、夫婦そろって検査をすることが一般的になっています。

このクラインフェルター症候群の人は、男性の生殖機能は備えているのですが、普通の人よりも生殖能力が弱く、精子をつくる精巣の働きもきちんと機能していません。実際には普通に性行為もできますし、性器の勃起もあり、射精能力もありますが、精子自体が少ない、もしくは無精子という状態の場合が多いようです。

つまり通常の性行為では、妊娠する率がきわめて低いということになりますが、この場合、少ない精子を温存し、人工授精ということで、子孫を残すことは可能とされています。

また、よくあるのですが発症が軽い場合、30歳ぐらいまで気づかない場合もあります。結婚して子供ができずに医師の診断を受けた時に初めてクラインフェルター症候群であることが判明したということもあります。

それは、精子の数が少ないことで判明するようです。ですから、以下のような特徴的な症状もあまり目立たないものですと、このようにある程度の年齢に達してからクラインフェルター症候群と判ることあるのです。

女性化する身体

男性側の染色体の働きが、普通より半分以下となるため、身体つきも含めて女性っぽくなってしまいます。まれに性同一障害と見られることもあります。しゃべる時の声がが小さい、無口、控え目の性格などからそのようにとらえられることがあります。

また、もともと男性ホルモンが少ない影響で、筋肉が非常につきにくい身体にもなっています。男性ホルモンを補充しないと、いくら筋トレを行っても、筋肉はつかないというのが実情というところです。

乳房が膨らむ

男性でありながら、胸が女性のように膨らんできます。

これは個人差がありますので、必ずしも女性のように大きくなるわけではありませんが、大体において胸が出る傾向にあります。これは非常に気になる部分かと思います。

体毛が薄い

女性はスネ毛や髭が生えないように、男性なのにスネ毛はほとんど生えません。さらに髭も生えないか、ものすごく薄くなります。これもかなりの個人差があり、少し生えている人もいれば、双方とも全く生えてこない人もいます。

このように非常に不思議な現象が、クラインフェルター症候群では起きるのです。

性器が未熟

男性の性器の成長が劣るようで、発達が未熟です。つまり非常に小さい形であったり、あるいは睾丸が体内に入り込んでいるケースもあります。これは本人の意識の問題で、あえて見比べなければ自分の状態がおかしいとは気付きません。よって、これもなかなか発見しにくいことではあります。

親などが早い段階で気づくことは、その発見により速やかに対応することもできるのですが、なかなかそのようにもいかないケースが多いようです。

また、この性器が見た目が女性の性器と変わらないように見える場合もあります。このような現象が起きるのも、男性ホルモンの量が少ないことが影響しています。

学習障害

すべての人がそうではありませんが、知能が低いことがあり、言語を発する時がスムーズでなかったり、幼少期に言葉をしゃべり出す時期が遅れたりします。また、周囲とコミュニケーションが取りづらい傾向もあり、自閉症やアスペルガー症候群と間違われることもあります。

一般に社会適合性が低いと思われがちで、ただその反面、感情を抑えることができないこともあり、パニックを起こすこともあります。この辺は、回りの人も合わせるのが大変かと思われます。

この障害が起きるのは、遺伝子の性染色体の分裂度が多いほど、障害の度合いが重くなります。つまり、xxyよりもxxxyの方が、重度になる傾向にあります。

広汎性学習障害

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この広汎性学習障害というのは、上記の学習障害である、知能が低いということ以外で、社会的コミュニケーションが取りづらい傾向にある障害のことです。単に、引っ込み思案とかではなく、自分の行動にものすごくこだわりを持ち、ある意味わがままと思われるほどの、行動が多いという傾向にあります。

この症状だけを見ると、アスペルガー症候群とも間違えるケースもあります。ただ、一般に人から見れば、ちょっと変わった人ととらえるられるケースが多くなります。

併発する病気

他の病気を併発しやすいのも特徴的です。特に多いのが糖尿病です。糖尿病もまた、他の病気を発症しやすいので、クラインフェルター症候群の人は2倍に併発する可能性が高いといえます。

その他に、併発する病気としては、甲状腺機能の低下、男性にしては珍しい乳がんなどがあります。

甲状腺機能低下は、やはりホルモンが影響します。本来必要であるホルモンがないために、甲状腺から出るホルモンが、作用しないとか別の作用を引き起こすことになるからです。この甲状腺機能もまた、成長に関しても影響を及ぼすことになります。

また、乳がんにもなりやすいということですが、やはり男性ホルモンの分泌が少ないことが影響しています。乳がんの元は発がん性のものである有害物質が溜まりやすい傾向にあることなのですが、この有害物質は脂肪の部分に蓄積しやすい傾向にあります。

乳房はほとんどが脂肪でできているので、その脂肪分に有害物質が溜まり、かかりやすいのです。一般にメタボの人ががんにかかり易いのもその理由によります。

ただ、この乳がんも他のがんと同様、原因となるものを摂取しなければ、問題はありません。これは、普段からの食生活が影響します。

内臓脂肪の多い人、中性脂肪が多い人は別の意味でも気をつける方がいいかと思われます。

振戦

振戦とは、特に何もしていなくでも、手足が揺れる、もしくは震えてしまうことです。また、頭や手が意識しなくでもふらふらと揺れてしまうことです。

遺伝子の異常で起きてしまう身体の異常であり、傍から見ると普通の行為でないということがわかります。意図的に動かすことと、自然に動いてしまうことがあります。

手足が長い

この遺伝子を持ちクラインフェルター症候群の症状が出てしまっている人は、中学生ぐらいの頃になると、身体の成長が止まってしまいますが、手と足だけが成長を続けます。つまり手足だけが、身体の成長が止まっても通常の大人の長さまで成長します。

それとは別に、さらに特徴的なのは、手足とも細くなるのです。そして筋肉があまりなく、かなりアンバランスな状態で成長してしまいます。

声変わりしない

小学高学年になると、いわゆる大人の声に変わってきます。

その過程では声帯が成長するので、声質が変わります。これが声変わりというのですが、やはりこの病気の人は、身体の成長と同じように、男性ホルモンが少ないために成長しきれないということで、この症候群の人は声変わりもしません。

内気、無口の傾向

性格的な問題もありますが、女性的で静かな傾向にあります。一般的に無口で内気な性格になる傾向が強いようです。これは男性ホルモンが少ないことが原因となります。

男性ホルモンは、いわゆる原始時代の狩りをしているときの攻撃性や体の強靭さをつくり出す名残りがあります。それが少ないということは、当然攻撃性も減ってくるわけです。

そうかといって、女性ホルモンが多い訳でもないので、女性の特徴的な性分はそれほど現われないというのが一般的です。

クラインフェルター症候群の原因

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これというはっきりした原因はつかめていません。先にも述べたように遺伝子が受精時に異常をきたし、通常ではありえない遺伝子の配列になっていることで、クラインフェルター症候群の症状がでます。

また、現在の医療では、遺伝子異常に対し、その遺伝子を治療することはできません。このように生まれついた以上は、対処療法で改善を図る以外に症状を良い方向に持っていく以外ありません。

また、一部の研究から高齢出産の際にクラインフェルター症候群の子供が生まれる率が高いとの報告がありましたが、高齢出産が必ずしも原因とは限りません。この辺はまだまだ研究段階であり、根本的な原因の究明には至っていません。

クラインフェルター症候群の治療法

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クラインフェルター症候群の治療方法を紹介します。

ホルモン注射

完全な治療法という訳ではありませんが、症状が出た時からホルモンの注射を行うことが賢明かと思います。この注射を行うことにより、より男性的に成長するからです。

不妊症に関しての精子の数が少ないということに関してはあまり改善には結びつきませんが、その他の肉体的に男性的になる、身長、女性化の阻止などはかなりの有効な手段かと思われます。

副作用

ホルモン注射に関しての副作用はほとんど報告がありません。逆に費用がかさむというぐらいでしょうか?確かに月に何本か注射をするのはこのホルモンの費用もかなりかかります。また、これは筋肉注射なので自分で打つことはできず、必ず病院での治療になります。

クラインフェルター症候群のその他特徴

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クラインフェルター症候群のその他の特徴を紹介します。

性同一障害との関連

非常に女性的な、無口とか静かな状態となるケースが多いのですが、性同一障害と間違うケースもありますが、実は全く違います。性同一障害は、脳もしくは心の問題であり、心の性と身体の性が別の状態です。

つまり身体が男性で心が女性、もしくはその逆のパターンです。クラインフェルター症候群は、染色体異常の問題であり、そもそもの原因が違っています。そして、この病状が進んでも、性同一障害を引き起こすこともありません。

寿命について

この症候群にかかると、長生きできそうにないと思えますが、実はそんなことはなく、よほどの重病を併発しない限り、天寿を全うできます。

免疫力はあまり強いとはいえない状況なので、問題はその併発する病気次第ということになります。

病気がち

特に幼少のころは身体も弱い傾向にあり、病気がちです。気管支炎関連の病気は頻繁にかかるようです。

それと、男性ホルモンを注射することにより、前立腺を刺激することになります。この前立腺は男性特有のものなので、免疫力も弱く、病気が血となり、さらにホルモン注射が、前立腺がんを引き起こしやすいくしているとも言われています。

ですから前立腺がんを患っている場合は、この男性ホルモンの注射はできません。がんの促進につながってしまうからです。最も前立腺がんは高齢になるほどかかり易いので、若年のうちはあまり問題視されないと重います。

また、高齢になれば、男性ホルモンの注射はほぼ行われなくなります。これはあくまでも成長を促進するために意図的に注射するものなので、成長が終わる頃には逆に意味のないことになるからです。

クラインフェルター症候群の治療費など

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ホルモンの注射

この病気になることでかかる医療費はおもに定期的に注射をするもので、だいたい一回につき5000円程です。このホルモン注射は、この症候群が発覚してからはすぐに始める方がいいかと思います。すみやかに行わないと、著しく成長に影響がでます。

さらに難病ということでの補助金制度がありますので、利用することが賢明かと思われます。

不妊の治療

不妊ではありますが、必ず子供ができないかというとそうではありません。精巣には若干ですが精子が存在しておりそれを摘出して、卵巣に人工授精することが可能です。この方法を卵細胞質内精子注入法といい、電子顕微鏡で卵子に注入する方法です。

その費用はかなり高額となってしまいます。過去にも何例もあり、かなりの率で成功しています。また、クラインフェルター症候群の遺伝はほぼないので、自分の子供が遺伝子異常のキャリアとは考えなくてもいいと思います。

ですが、不妊の遺伝は引き継ぐ可能性はあります。つまり、クラインフェルター症候群の方から受精し生まれた子は、無精子か乏精子症になる可能性はあります。

対処法

先に述べた、男性ホルモンを定期的に注射することが、最も有効な対処法と思われます。現在のところでは、そのような対処法しかありません。もともと、遺伝子異常からなっており、その遺伝子を治療することができないからです。

まとめ

いかがでしたか。このような不思議な病気もあるということを改めて認識したことかと思います。現在は、この遺伝子異常に関しての根本的な治療法は、まだまだ研究段階で、治癒するための決定打はありません。今後も研究はされていくと思いますが、相当難しいと思います。

それこそ大昔は、このような原因が解らない病気はあまりなかったと思います。それだけ現在は複雑なものが絡み合っている時代であるがゆえかと思います。

考えてみれば、大昔は加工品などはありません。これらが原因とは考えるのは短絡的かと思いますが、洗剤だとか科学的なものも昔はなかった訳です。そのような微量でも積もると大きなことにつながりかねないと思いますし、何らかの人体への影響を与えていることがあると思われます。

このようなことは、もはやイタチの追い駆けっこ、などではないでしょうか?もはや、追いつくことも難しい世の中になってきていると思います。

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